看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『副鼻腔炎の市販薬のおすすめは抗生物質ジスロマック?効かない?』というタイトルでお送りします。


副鼻腔炎にかかってしまうと、ネバネバした鼻汁や鼻づまり、または頭痛や咳など色々な症状が出てきて、とても不快な状況になります。

副鼻腔炎の症状 ネバネバした鼻汁や鼻づまり

副鼻腔炎は一旦かかってしまうと治るのに、早くて2週間、症状が慢性化して長期になると3ヶ月ほどかかってしまいます。

そんな副鼻腔炎の治療の中心は薬物療法(お薬を飲むこと)になります。

今回はそんな副鼻腔炎のお薬の市販薬について説明していきたいと思います。



 

副鼻腔炎の市販薬のおすすめは抗生物質ジスロマック?効かない?

副鼻腔炎はほとんどの場合、お薬(抗生物質)の服用で治ります。

その抗生物質の種類の中に「ジスロマック」という商品名のお薬があります。

このジスロマックというお薬は副鼻腔炎にとても効果があります。

副鼻腔炎の市販薬のおすすめは抗生物質ジスロマック

ですので、「市販薬の抗生物質のおすすめはジスロマックです!」

…と思いっきり言いたいところなんですが、私はハッキリ言っておすすめはできません。

「ジスロマックはとても良く効くけれど、市販薬として購入することはおすすめしません。」と言ったほうがいいかもしれません。

私個人の意見としては、市販薬の抗生物質を購入して服用しないほうが良いと考えています。

そもそも抗生物質が必要かどうか分からないのに、自分の判断で市販薬の抗生物質を購入して飲むこと自体がとても危険です。

自分の判断で市販薬の抗生物質を購入して飲むことはとても危険

仮に飲んだとしても、それが効いているかどうかの判断も自分ではできないはずなのです。

もし効いていなければ、今度は別の抗生物質を試す必要も出てくるかもしれません。

でも、その判断は専門知識がある医師が経過を診ているからこそできることです。

それだけ副鼻腔炎というのは、簡単には治らない厄介な病気です。

副鼻腔炎は抗生物質の服用だけではなく、何度も耳鼻科に通って鼻腔の中をきれいに吸引したり、ネブライザーという水や薬剤などを霧状にして噴霧する器械を使って、鼻腔から吸い込む治療を受けます。

副鼻腔炎の抗生物質の服用以外の治療

そして、鼻汁の粘度が強い時にはそれを溶解するお薬を使ったり、炎症を鎮める消炎鎮痛剤も一緒に使います。

そうやって数週間から何ヶ月も通院してやっと治る病気なんです。

抗生物質を飲んで自覚症状がなくなったからといって副鼻腔炎が完治した、とは言えません。
 

ネット上には、

ジスロマックはクラミジアなど性感染症、その他色々な病気にとても効果があり、副鼻腔炎にもジスロマックのジェネリック薬〇〇(商品名)がおすすめです!

という記事があります。

ジスロマックというお薬はファイザーという製薬会社が開発したお薬ですが、ネット上ではそのジェネリック薬が通販で販売されています。

普通、抗生物質というのは、ドラッグストアなどの薬局では販売されていません。

日本では抗生物質は病院を受診して医師が指示した処方せんが必要になっており、店頭では購入できません。

それは薬事法によって決められていることなのです。

なので、ジスロマックと同じ成分の抗生物質を市販薬として購入するとなると、日本以外の海外の商品をネットで個人的に購入するしかないのです。

海外からの医薬品の輸入については、

「一般の個人が輸入(いわゆる個人購入)することができるのは、自分自身で使用する場合に限られており、個人輸入した製品を、他の人に売ったり、譲ったりすることは認められません。」

厚生労働省の「医薬品等の個人輸入に関するQ&A 」より
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/kojinyunyu/faq.html

とあります。

ですので、ネット上でこうした医薬品を一般の人に対して販売している輸入代行サービス会社があるわけです。

医薬品を一般の人に対して販売しているネット輸入代行サービス会社

こうした購入方法で入手した抗生物質の服用をおすすめすることはできません。

もう少し詳しく抗生物質の市販薬をおすすめしないのかを説明していきます。
 



市販薬のジスロマックをおすすめできない理由

副鼻腔炎を治療するお薬としてジスロマックは、原因となる細菌を退治するための抗生物質としてとても効果があります。

(もちろん、ジスロマック以外にも効果のある抗生物質はありますが、ここではジスロマックを例に挙げて説明していきます。)

副鼻腔炎の症状が出て、耳鼻咽喉科を受診すると抗生物質が処方されることがほとんどであり、ジスロマックもよく処方される抗生物質です。

このように耳鼻咽喉科を受診し、きちんと医師の指示のもとで処方されてお薬を飲んで治療を受けることはおすすめできます。

抗生物質だけでなく、口から飲む医薬品というのはどんなお薬にも副作用や飲み合わせ(他のお薬との相性)など注意点があります。

なので、お薬は基本的には医師の指示のもとで処方を受けて、飲むことが理想なのです。

病院では、その患者さんのアレルギー体質やその他の病気などで服用しているお薬との関係を考え、一番適したお薬が処方されます。

もし、副作用など危険な症状が出ても処方した医師に報告し指示を受けることで、すぐに対処できるので患者さんにとっても安心なわけです。

そしてこのお薬が抗生物質ということになると、もっと注意が必要になってくるのです。

抗生物質というのは、副作用を起こしやすいお薬です。

抗生物質は副作用を起こしやすい薬

ただ、これまでに様々な研究がなされてジスロマックというお薬は、ほとんど副作用は見られないと言われています。

ですが、全く副作用が出ないわけではありません。

なので、余計に医師の指示のもとで服用したほうがいいのです。
 

また、抗生物質というのは、「飲み方・飲む量・飲む期間」が決められていて、それを守って全て飲みきって初めて効果が現れます。

抗生物質は飲み方・飲む量・飲む期間を守って全て飲みきって初めて効果がある

もし、症状が軽くなったといって服用を途中で止めてしまうと、まだ生き残っている細菌達は抗生物質に対抗するために、自らを抗生物質に耐えられる菌に変化させていきます。

これを「耐性菌」と言います。

こういった耐性菌が増え始めると更に別の抗生物質を使うことで効果が出ることもありますが、また途中で服用を止めれば、細菌はその抗生物質にも耐性化していくのです。

やがては抗生物質に効かない耐性菌が出てくる可能性もあるので注意が必要です。
 

抗生物質というお薬を市販薬として購入して服用するほとんどの人が、抗生物質に対する知識もないままに服用していると思います。

こういう飲み方は本当に危険なのです。

こうした「抗生物質などのお薬を市販薬で購入して飲む」ということは、私にとっては考えられないことなのです。

「私にとっては」というよりも医療に携わる者からすると考えられないこと、と言っても過言ではないでしょう。

これは、抗生物質に限ったことではありませんが、やはり口から飲むお薬というのは通販などで購入するのはなるべく避けたほうが良いです。

副鼻腔炎の市販薬などについてのまとめ

今回は、副鼻腔炎に使う抗生物質の市販薬について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

副鼻腔炎の市販薬のおすすめは抗生物質のジスロマック?効かない?
副鼻腔炎の原因となる細菌を殺す抗生物質としてジスロマックはとても効果のあるお薬です。
しかし、抗生物質などのお薬は副作用や飲み合わせ、そして効果の判断など様々な問題があるため、医師の指示のもとで経過を診ながら処方してもらって服用すべきお薬です。
抗生物質を市販薬として購入して服用するのはおすすめできませんので、なるべく耳鼻咽喉科を受診して治療を受けましょう。

 

副鼻腔炎というのは、軽い場合だと時に何も治療を受けなくても自然治癒することがあります。

しかし、副鼻腔は脳や目に近いところにあるので、その炎症が直接脳や目に影響を及ぼすと重い合併症を引き起こすことも考えられます。

そうなると、死に至ることも可能性としてあるのです。

病院に行く時間も、通院する時間もないからといって簡単にネットなどで抗生物質を使用するのはできるだけ避けて、きちんと受診するようにしましょう。