こんにちは、現役看護師のミカです。今回は、『副鼻腔炎を繰り返す原因は?ストレス・カビ菌・たばこは関係する?急性と慢性の違いも』というタイトルでお送りします。
副鼻腔炎が長引いたり、繰り返したりするのはなぜか、という疑問に答える記事です。

鼻の奥の「副鼻腔」に炎症が起こる病気が副鼻腔炎で、急性のものと慢性のものがあります。
この記事では、副鼻腔炎の急性と慢性の違い、繰り返す・長引くときに学会や公的機関、病院の解説が挙げている要因、ストレスや疲れ、カビ菌(真菌)、たばこについて資料にどう書かれているかを整理します。
・急性鼻副鼻腔炎は「発症から4週間以内」と定義され、かぜなどのウイルス感染が発端になることが多いとされています(日本鼻科学会)。
・ある大学病院の解説では、慢性副鼻腔炎は、細菌感染によるタイプと、アレルギーが関係する好酸球性副鼻腔炎の2つに大きく分けて説明されています。
・日本鼻科学会のガイドラインは、成人では糖尿病や喘息など下気道疾患の合併が難治性・反復性の原因となっていることが少なくないとして、問診での確認を挙げています。
・好酸球性副鼻腔炎は指定難病で、手術後に再発することがあります(難病情報センター)。
・ストレスや疲れ、たばこと副鼻腔炎の繰り返しの関係は、確認した資料には記載がありませんでした。
・症状が長引くときは耳鼻咽喉科への相談が勧められています(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。
副鼻腔炎とは?急性と慢性の違い
副鼻腔は、鼻の周りにある空洞で、上顎洞(じょうがくどう)・篩骨洞(しこつどう)・前頭洞(ぜんとうどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)があります。

国立病院機構の病院の解説では、副鼻腔の炎症のうち、かぜのあとなどに突然起こるものを急性副鼻腔炎、膿が慢性的にたまるものを慢性副鼻腔炎としています(国立病院機構の病院の耳鼻咽喉科の解説)。
日本鼻科学会のガイドラインは、急性鼻副鼻腔炎を「急性に発症し、発症から4週間以内の鼻副鼻腔の感染症で、鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽といった呼吸器症状を呈し、頭痛、頬部痛、顔面圧迫感などを伴う疾患」と定義しています(日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)」日本鼻科学会会誌53巻2号(2014))。
同じガイドラインによると、急性鼻副鼻腔炎は感冒(かぜ)の経過中に起こることが多く、ライノウイルスなどのウイルス感染が発端となり、数日後に細菌感染に移行する場合が多いとされています。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説では、急性期の症状は、鼻づまり、においのあるドロっとした鼻汁、頬・鼻周囲・額の痛み、顔やまぶたの腫れ、発熱などです。
急性期の症状が落ち着いたあとも「なかなかすっきりしない」場合は、慢性化の可能性があるとされています(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気」)。
日本鼻科学会のガイドラインの序文には、不十分な治療によって慢性副鼻腔炎に至ることが重要な問題であると書かれています。
副鼻腔炎を繰り返す・長引くときに、資料が挙げている要因
「繰り返す原因」だけを一覧にした資料は見当たりませんでした。
そこで、学会・難病情報センター・病院の解説に出てくる要因を、書かれている範囲でまとめます。
| 要因 | 資料の記載 |
|---|---|
| かぜなどのウイルス感染のあとの細菌感染 | 急性鼻副鼻腔炎は上気道のウイルス感染に続いて起こることが多い(日本鼻科学会) |
| 糖尿病・喘息などの合併(成人) | ガイドラインは、成人では糖尿病や喘息など下気道疾患の合併が難治性・反復性の原因となっていることが少なくないとして、問診での確認を挙げている(日本鼻科学会) |
| 歯の病気(歯性上顎洞炎) | 慢性副鼻腔炎の一部には、歯の病気が原因となる場合もある(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」) |
| 好酸球性副鼻腔炎 | アレルギーが関係するタイプで、喘息に合併することが多く、難治性で再発しやすい(大学病院の解説) |
| 真菌(カビ) | 真菌が原因の副鼻腔炎(副鼻腔真菌症)があり、高齢の人、糖尿病の人、免疫機能が低下した人に生じることがある(大学病院の解説) |
| ストレス・疲れ、たばこ | 確認した資料には記載なし(下で説明) |
(出典: 日本鼻科学会「急性鼻副鼻腔炎診療ガイドライン2010年版(追補版)」日本鼻科学会会誌53巻2号(2014)、ある大学病院の耳鼻咽喉科の解説)
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「鼻の症状」のページには、「慢性副鼻腔炎は細菌やカビ、ウイルスによる感染が主な原因」と書かれ、一部には好酸球が関わる難治性のもの、歯の病気、腫瘍、血管炎などが原因となる可能性があるとされています(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」)。
副鼻腔炎を繰り返す原因はストレスや疲れ?
関係がないという意味ではなく、確認した資料(学会・難病情報センター・病院の解説)にこの点の記載がなかったという意味です。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「鼻の病気」のページと「鼻の病気Q&A」のページには、ストレスや疲れと副鼻腔炎の関係の記載がありません。
難病情報センターの好酸球性副鼻腔炎のページにも、ストレスの記載はありません。
ストレスは、鼻の病気では血管運動性鼻炎の誘因として挙げられていますが、副鼻腔炎との関連には触れられていません(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気Q&A」)。
このため、ストレスや疲れが副鼻腔炎を繰り返す原因になるかどうかは、確認した資料からは「資料に記載なし」としか言えません。
副鼻腔炎を繰り返す原因はカビ菌(副鼻腔真菌症)?
カビ(真菌)が原因の副鼻腔炎は「副鼻腔真菌症」と呼ばれます。
ある大学病院の耳鼻咽喉科の解説では、副鼻腔真菌症は、高齢の人、糖尿病の人、ステロイドや免疫抑制薬、抗がん剤などで免疫機能が低下した人に生じることがあるとされています。

同じ解説によると、真菌がその場で増えるだけのもの(非浸潤性)と、眼や脳などの周囲の組織に広がるもの(浸潤性)に大きく分けられます。
内服薬などの保存的治療では治りにくいことが多く、内視鏡下手術または外切開による手術が検討されるとされています(ある大学病院の耳鼻咽喉科の解説)。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の「鼻の病気Q&A」には、かび(真菌)による慢性副鼻腔炎でも鼻血が出る、と書かれています(日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気Q&A」)。
副鼻腔炎を繰り返す原因はたばこ?
関係がないという意味ではなく、確認した資料(学会・難病情報センター・病院の解説)にこの点の記載がなかったという意味です。
たばこと副鼻腔炎の繰り返しの関係について、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の副鼻腔炎の解説(鼻の病気・鼻の病気Q&A)、難病情報センターの好酸球性副鼻腔炎のページ、国立病院機構の病院と大学病院の解説には、記載が見つかりませんでした。
そのため、たばこが副鼻腔炎を繰り返す原因になるかどうかは「資料に記載なし」です。
好酸球性副鼻腔炎は、治りにくい副鼻腔炎のひとつ
難病情報センターによると、好酸球性副鼻腔炎は、両側の多発性の鼻茸(はなたけ)と粘り気のある鼻汁によって高度の鼻づまりとにおいの障害を示す、成人発症の難治性の副鼻腔炎で、指定難病です。
原因は不明とされ、鼻茸は2型炎症が主体で、抗菌薬は効かず、ステロイドの内服にのみ反応すると書かれています。
気管支喘息や、アスピリン不耐症を含む NSAID-exacerbated respiratory disease(N-ERD)を伴うことが多いとされています。
手術で鼻茸を取ると鼻づまりは一時的に改善しますが、すぐに再発します。
再発については、術後6年間で50%の症例が再発し、アスピリン喘息に伴う好酸球性副鼻腔炎では術後4年以内に全例再発すると書かれています(難病情報センター「好酸球性副鼻腔炎(指定難病306)」)。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の解説では、好酸球性の特徴として、喘息の合併、においがしない・わかりにくい、鼻茸を伴うことが挙げられています。
国立病院機構の病院の解説では、近年は重症の鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎が増えており、その多くがこの好酸球性副鼻腔炎で、厚生労働省により難病に指定されているとされています。
好酸球性副鼻腔炎を、医療機関のチャンネルが解説している動画です。
受診の目安と、薬について
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は、鼻の症状が長引く場合は、耳鼻咽喉科医に相談するよう勧めています。
慢性の場合の診断には、鼻内視鏡、レントゲン、CT検査が必要とされています。
国立病院機構の病院の解説では、慢性副鼻腔炎ではまず保存的治療(薬物療法など)を行い、改善しない場合に内視鏡による手術を行うとされています。
日本鼻科学会のガイドラインでは、急性鼻副鼻腔炎の軽症では、抗菌薬を使わずに経過を観察することが妥当とされています。
副鼻腔炎と市販の抗生物質については、別の記事で整理しています。
→ 副鼻腔炎に市販の抗生物質(ジスロマック)はある?処方せん医薬品の扱いと抗菌薬を使う場合
副鼻腔炎を繰り返す原因についてのまとめ
今回は副鼻腔炎を繰り返す原因について説明してきました。まとめてみましょう。
・急性期の症状が落ち着いても「すっきりしない」場合は、慢性化の可能性がある
・日本鼻科学会のガイドラインは、成人では糖尿病や喘息など下気道疾患の合併が難治性・反復性の原因となっていることが少なくないとして、問診での確認を挙げている
・歯の病気(歯性上顎洞炎)、好酸球性副鼻腔炎、真菌(カビ)によるものも、資料に挙げられている
・好酸球性副鼻腔炎は指定難病で、手術後に再発することがある
・ストレスや疲れ、たばこと副鼻腔炎の繰り返しの関係は、確認した資料に記載なし
・症状が長引く場合は耳鼻咽喉科医に相談する
この記事は一般的な情報をまとめたもので、診断や受診の代わりにはなりません。
出典(2026年10月17日確認)
