看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『ヒアリに刺されるとどんな痛みや痕なの?症状の時間経過と処置・治療薬は?』というタイトルでお送りします。


アリの中には、「ヒアリ」と言われる種類のアリがいます。

このアリは刺されると稀に命を落とす可能性もあるという「殺人アリ」と言われています。

今回は、このヒアリに刺されてしまった時の症状や処置などについて説明していきたいと思います。
 

ヒアリとはどんなアリなのか、そして日本のアリとの違いについては別の記事で説明しています。



 

ヒアリに刺されるとどんな痛みや痕なの?

「ヒアリ」(別名:アカヒカリ)というアリは、漢字で「火蟻」とも表されます。

その漢字からも想像できるように、刺されると火傷(やけど)のような激しい痛みがあります。

日本国内で初めてヒアリが発見されたのは平成29年5月26日ですが、初めてヒアリに刺されたというケースは同年7月27日です。

その時に実際に刺されたとされる30代作業員の方は毎日新聞の取材に対し、「クラゲに刺されたような痛み」であったと表現しています。

参照:ヒアリ・作業員「クラゲに刺されたような痛み」の記事より
毎日新聞2017年7月27日(https://mainichi.jp/articles/20170728/k00/00m/040/125000c)

 

そして、刺された直後は下記の写真のような痕になるようです。

ヒアリに刺された痕

そして、刺されてから数分から数時間(個人差あり)で刺された周囲が1㎝ほど赤く腫れてきて化膿(かのう・膿んでくること)してくるようです。
 

では、その後の症状の時間経過や治療薬などについて説明していきましょう。

症状の時間経過は?

ヒアリに刺された場合、上記の写真のような痕ができるのですが、症状として一番注意が必要なのはヒアリの毒に対するアレルギー反応です。

このアレルギー反応は「アナフィラキシーショック」といって放置すると命に関わる症状で、薬物や食べ物などでも起こることもあります。

薬物や食べ物への反応と同じように、すべての人に起こるわけではなく、ヒアリの毒にアレルギー反応を持つ人が起こす症状と言えます。

アナフィラキシーショックを起こすと、短時間のうちに全身に重いアレルギー症状が出ます。

このアレルギー症状が出る場合、どれくらいで症状が出始めるのかについては、はっきりとしたことは言えません。

人によっては、すぐに出る場合や数十分かかる場合もあるのです。

ですので、刺された場合はしばらく安静にして、全身の状態に変化がないかを観察することが大切です。

そのアレルギー症状とは…

  • めまい
  • 動悸
  • 胸が苦しい感じ
  • 吐き気や嘔吐(おうと)、下痢などの消化器の症状
  • 手の震え
  • 声がかれる、呼吸が苦しいなどの呼吸器の症状
  • 視野の異常(ボーっとしてくる、視野が狭くなるなど)
  • 意識が遠のく感じ、または意識がなくなる

などです。

これらの症状が出たら、アナフィラキシーショックである可能性が高いのですぐに病院を受診することが必要です。

もし、数時間様子をみても上記にあるような症状も出ない場合には、急がなくても構いませんが病院は受診しましょう。

これらの症状が出る時間は個人差があるので、何時間経過したら心配はいらないとはっきりは言えませんので、病院に行くまでは注意してください。
 




 

では、ヒアリに刺された場合の治療薬や処置についてです。

ヒアリに刺された場合の治療薬や処置については?

ヒアリに刺された部位は、水道水できれいに洗浄してください。

刺された箇所は傷がありますので、洗い流すことで毒の成分を除去したり、雑菌が侵入してしまうのを防ぐことができます。

そして、もし手元に虫さされなどの時に塗る、ムヒやレスタミン軟膏などといった抗ヒスタミン軟膏があれば、それを塗っておきましょう。

そして、その後には必ず病院を受診してください。

もし、アレルギー反応の症状が出てきた場合には、自分でできる処置などはなく病院での治療が最優先されます。

アナフィラキシーショックの状態になってしまったら、すぐに救急車を呼んで受診しましょう。

その際の病院での治療は、アドレナリンという薬物の筋肉注射となります。

アドレナリンというのは、人の副腎という臓器で作られるホルモンのことです。

アドレナリン注射は…

  • 心臓の働きを強めて手足など末端の血管を縮めることで血圧をあげる作用
  • 気管支を拡げて呼吸をしやすくする作用
  • 粘膜の腫れを抑える作用
  • アナフィラキシーショックの症状を起こしている原因となる物質の放出を抑える作用

といった作用で、アナフィラキシーショックの症状を速やかに改善してくれます。

このような治療が病院で行われます。
 

まとめ

今回は、ヒアリに刺された場合の痛みや痕など症状や治療に関して説明してきました。

では、まとめてみましょう。

ヒアリに刺されるとどんな痛みや痕になる?
ヒアリに刺されると、火傷にあったような激しい痛みを感じます。
刺されてから数分から数時間(個人差あり)で刺された痕の周囲が1㎝ほど赤く腫れてきて化膿(かのう・膿んでくること)してくるようです。

 

症状の時間経過は?
刺されて、数分~数時間でヒアリの毒によるアレルギー反応でアナフィラキシーショックの症状が出ることがあります。
時間は個人差があるので、はっきりしたことは言えません。
アナフィラキシーショックの症状は…

  • めまい
  • 動悸
  • 胸が苦しい感じ
  • 吐き気や嘔吐(おうと)、下痢などの消化器の症状
  • 手の震え
  • 声がかれる、呼吸が苦しいなどの呼吸器の症状
  • 視野の異常(ボーっとしてくる、視野が狭くなるなど)
  • 意識が遠のく感じ、または意識がなくなる

などです。

 

治療薬や処置は?
処置としては…
刺された痕は水道水できれいに洗浄し、毒や雑菌の侵入を防ぎましょう。
アナフィラキシーショックの症状が出た場合は、すぐに救急車を呼んで病院に行きましょう。
治療には、アドレナリンの筋肉注射が行われます。

 
ヒアリに刺された痛みというのは、その表現の仕方は人それぞれですが、相当痛いようですね。

噛まれた際に手でヒアリを払いのけようとすると、その手まで噛まれる可能性もありますので、なるべくタオルや衣類などで払いのけるよう注意しましょう。

そして、慌てずにしっかり全身の状態を観察し、病院を受診するようにしましょう。