看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『アシネトバクターの感染症ってどんな病気?症状や治療についてわかりやすく説明!』というタイトルでお送りします。


アシネトバクターという名前の菌を、最近ときどきニュースで耳にするようになりました。

ちょっと難しい名前の菌ですが、細菌の一種です。

アシネトバクター感染のニュースは、私たちが普段生活している環境で起こった例ではなく、どれも病院の中で起こっている例が取り上げられています。

ですが、感染して亡くなられている人がいると聞くと、

「普段私たちが生活している中で感染することはないのかな?」

とか、

「もしかして、私たちも病院に行くと感染することがあるのかな?」

などと、少し心配になる人もいるのではないでしょうか。

今回は、この「アシネトバクターの感染症」について、できるだけ簡単に説明していきたいと思います。
 

まず、アシネトバクター感染症については、鹿児島大学病院にて感染者の中から死亡された方が出たことを2018年8月3日に朝日新聞がニュースとして取りあげています。

朝日新聞デジタル「アシネトバクターは通常無害 抵抗力弱った患者で重症化」について
https://www.asahi.com/articles/ASL83321PL83ULBJ002.html

 
ここにも掲載されているように、鹿児島大病院以外でも福岡大学病院での感染例をはじめ東京や名古屋の病院でもそれぞれ院内感染、そして死亡例が報告されています。
 

では最初に、アシネトバクターという菌について説明していきましょう。




 

アシネトバクターってなに?

アシネトバクターという細菌は、普段は自然の環境の中に広く存在している菌なのです。

土壌や河川水などの湿った環境を好んで生息しています。

そして、健康な人の皮膚面や、動物の排便などにも存在していることがありますが、通常は無害とされています。

アシネトバクターには多くの種類の菌があるようですが、人の感染症の例から多く検出されるのは「アシネトバクター・バウマニ」という菌です。

↓下記が、「アシネトバクター・バウマニ」の顕微鏡写真の画像です。

アシネトバクターバウマニ
 

では、そんなアシネトバクターの感染症とはどんな症状が出る病気なのでしょうか?

アシネトバクター感染症ってどんな症状が出る?

アシネトバクターという菌は、川や土の中など自然の環境の中に広く生息している菌です。

通常は無害で毒性の弱い菌ですので、砂遊びや水遊びなどをしていて、そこにアシネトバクターが潜んでいても感染することはほぼありません。

健康に生活している人が日常生活を送っている中では例え感染したとしても、無害であって何の症状も出ません。

アシネトバクターによる感染症の流行の多くは入院患者のいる病院の中で起こっており、それ以外の場所で起こることは滅多にないのです。

普段、健康な人にとって感染の心配のないアシネトバクターでも、病気で免疫力や抵抗力が弱っている患者さんにとっては様々な病気を引き起こす可能性があります。

アシネトバクター感染症は、主に抵抗力がない患者さんに感染して重症化してしまいます。

例えば、人工呼吸器をつけている患者さんであれば肺炎になったり、身体に傷があればそれがひどくなったりとあらゆる臓器で炎症を起こす可能性があります。

ですので、アシネトバクターに感染したからといって、それ特有の症状があるわけではありません。

もともと、大きな病気で死期が近いとされる症例や、人工呼吸器をつけているような重症の患者さんに感染してしまいますので、様々な症状が出て悪化してしまうことが多いのです。
 




 

では、アシネトバクター感染症はどのような感染経路をたどるのでしょうか?

アシネトバクター感染症の感染経路は?

アシネトバクターは、土の中や川などにいて、主にその菌に触れることで感染します。

また、感染した人の咳やくしゃみなどで出るしぶきを他の人が吸い込んでしまうと感染することもあります。

いずれも、健康な人には無害です。

そして、病院の中においては、アシネトバクターが付着している医療従事者と触れることや、マットレスや人工呼吸器などの医療器具を通じて感染してしまうことがあるのです。

鹿児島大病院で起きた例では、感染した患者さんのほとんどが集中治療室に入ったことがあったため、集中治療室で感染した可能性が高いとされています。

集中治療室に入る患者さんといえば、ほとんどの方が大きな病気を患っていて、かなり免疫力や抵抗力が弱っていますから、すぐに感染し重症化してしまうことが多いのです。
 

では、アシネトバクター感染症に対する治療はどんなことがされるのでしょうか?

アシネトバクター感染症に対する治療方法は?

普通、細菌に感染してしまったら、その細菌に効果のある抗生物質のお薬が使われて、徐々にその感染症も改善していきます。

しかし、病院の中で感染症が問題となっているアシネトバクターは、抗生物質がほとんど効かない「多剤耐性(たざいたいせい)タイプ」と言われるものです。

もし、感染が流行してしまうと特効薬があるわけではないので治療が難しくなる例が多くなるでしょう。

アシネトバクターは抵抗力がない重症の患者さんに感染することが多いこともあって、どんな薬剤を使っても治療は困難なことが多いのです。

ですので、例えば熱が高ければ解熱剤を使ったり、痛みがあれば鎮痛剤を使うなどの対症療法になってきます。

アシネトバクター感染症の症状や治療についてのまとめ

今回は、アシネトバクター感染症について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

アシネトバクター感染症の症状は?
アシネトバクターは健康に生活している人には無害な菌であり、入院中である特に重症の患者さんに感染しやすいとされています。
アシネトバクターに感染したからといって、特有の症状があるわけではありません。
もともと大きな病気や重篤な状態の患者さんであるので、様々な臓器が炎症を起こしたり悪化していくのでどんな症状が出るかはわかりません。

 

アシネトバクター感染症の治療は?
どんな抗生物質も効きにくいとされる多剤耐性アシネトバクター感染症には特効薬はありません。
熱が高ければ解熱剤を使うなど、それぞれの症状に合わせた対症療法が主になってきます。

 
アシネトバクター感染症は、普段から元気に生活を送っている人にとっては特に心配するような細菌ではないことはおわかりいただけたと思います。

ですが、大きな病気でしかも重症の患者さんにとっては死期を早めてしまう可能性のある細菌です。

私たちは病院に入院している患者さんを見舞う際などに、アシネトバクターを持ち入ってしまう可能性があります。

ですので、入室前には石けんで手洗いをきちんとして感染のリスクが少しでもなくなるようにしましょう。