今回は、蜂窩織炎(ほうかしきえん)の治療方法や治療期間、重症化のサインについて、学会誌の解説と厚生労働省の手引きで確かめられる範囲でまとめます。
参考にしたのは、掛屋 弘「皮膚・軟部組織感染症」(日本内科学会雑誌 112巻11号 2068~2075ページ、2023年)と、厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・入院編」です(2026年10月16日確認)。
個々の症状についての判断や治療は、医師の診察を受けて、その指示に従ってください。
治療に関する説明の前に、蜂窩織炎の症状はどんなものなのかについて知りたい場合には、蜂窩織炎の症状についての記事をご参照ください。
蜂窩織炎とは?
日本内科学会雑誌の解説(掛屋 弘氏、2023年)には、次のように書かれています。
- 蜂窩織炎は、真皮深層から皮下脂肪組織を炎症の主座とする感染症で、皮膚・軟部組織感染症の一つ
- 局所の炎症の徴候として、発赤、熱感、腫脹、圧痛がみられる
- 好発部位は下肢で、ときにリンパ管炎やリンパ節炎を併発する。高熱を伴うこともあり、敗血症を起こしてショックに至る例もある
- 蜂窩織炎と診断するための決定的な臨床所見や検査所見はない。蜂窩織炎に類似した疾患は多数あり、誤診の多い疾患で、他の疾患を除外することで診断される
- 主な原因菌は、β溶血性レンサ球菌(溶連菌)またはメチシリン感性の黄色ブドウ球菌(MSSA)と考えられている
蜂窩織炎の治療方法は?入院は必要?
同じ解説には、治療について次のように書かれています。
- 発症からの進行速度や基礎疾患、全身状態などを総合的に判断して、治療方針を決定する
- リンパ浮腫を伴う場合は、短時間で重症化することがあるため注意が必要
- 治療薬選択の例として、軽症では第1世代セフェム系薬(セファレキシン、セファクロル)の内服、中等症では第1世代セフェム系薬(セファゾリン)の点滴、重症例やコントロール不良の糖尿病など免疫不全者ではより広い範囲に効く抗菌薬が挙げられている
- 免疫不全患者では、溶連菌や黄色ブドウ球菌以外が原因菌となることがあるため、中等症以上の場合は、血液培養を含めた培養検査を行い、原因菌が判明するまでは広域抗菌薬の経験的な使用を検討する
入院が必要になる基準は、この解説には書かれていません。
抗菌薬の種類や量、飲み薬か点滴かは、医師が決めます。お薬は、医師・薬剤師の指示に従って使ってください。
蜂窩織炎の治療期間はどれくらい?
厚生労働省の「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・入院編」は、入院患者の抗菌薬適正使用についての手引きです。
この手引きには、次のように書かれています。
- 感染症の治療期間は、患者背景や感染臓器、原因微生物のすべてを考慮して決定する。膿瘍等の合併症がなく、臨床経過も良好であれば、治療期間の短縮を検討できる
- 「入院中によく遭遇する感染症の短期治療期間の例」の表に、非重症の蜂窩織炎は、短期治療期間5~6日間、長期治療期間(参考)10日間と載っている
- 壊死性筋膜炎や皮下膿瘍は、一般的に外科的介入が必要
- 重症例を対象とした試験では、6日間治療した群は12日間治療した群と比べて、90日後の再燃が有意に多かったと報告されている
この日数は入院患者を対象とした手引きの記載で、外来で飲み薬を処方された場合の日数を示したものではありません。
処方された薬は、医師・薬剤師の指示どおりに使ってください。
重症化のサイン
日本内科学会雑誌の解説には、次のように書かれています。
- 発赤に混じって水疱や紫斑がみられる場合には、さらに深部の感染である壊死性筋膜炎やガス壊疽との鑑別が重要
- 壊死性軟部組織感染症(壊死性筋膜炎やガス壊疽等)を疑う局所症状として、皮膚所見の範囲を超えて広がる強い疼痛や感覚低下、皮膚壊死所見(紫斑、水疱)の出現、意識障害・血圧低下・頻呼吸などの敗血症様の症状、これらの数時間単位での急速な出現・悪化が挙げられている
- 壊死性軟部組織感染症は、原則として全例を重症例と見なして、緊急の内科的・外科的処置が必要とされている。初期は皮膚所見に乏しいこともあり、蜂窩織炎との鑑別が重要
蜂窩織炎の治療についてのまとめ
今回は蜂窩織炎の治療について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
治療方法は?
日本内科学会雑誌の解説では、治療方針は進行速度、基礎疾患、全身状態などを総合的に判断して決めるとされ、軽症では第1世代セフェム系薬の内服、中等症では点滴などが例に挙げられています。
入院が必要になる基準は書かれていません。
日本内科学会雑誌の解説では、治療方針は進行速度、基礎疾患、全身状態などを総合的に判断して決めるとされ、軽症では第1世代セフェム系薬の内服、中等症では点滴などが例に挙げられています。
入院が必要になる基準は書かれていません。
治療期間は?
厚生労働省の手引き(入院患者向け)には、非重症の蜂窩織炎の短期治療期間5~6日間、長期治療期間(参考)10日間と載っています。
治療期間は患者背景や感染臓器、原因微生物などを考慮して決めるとされています。
厚生労働省の手引き(入院患者向け)には、非重症の蜂窩織炎の短期治療期間5~6日間、長期治療期間(参考)10日間と載っています。
治療期間は患者背景や感染臓器、原因微生物などを考慮して決めるとされています。
重症化のサインは?
水疱や紫斑、皮膚所見の範囲を超えて広がる強い疼痛、感覚低下、意識障害や血圧低下、数時間単位の急速な悪化は、壊死性軟部組織感染症を疑う所見として挙げられています。
水疱や紫斑、皮膚所見の範囲を超えて広がる強い疼痛、感覚低下、意識障害や血圧低下、数時間単位の急速な悪化は、壊死性軟部組織感染症を疑う所見として挙げられています。
こんにちは、現役看護師のミカです。
コメント
有難う御座います。昨日塗り薬を貰いました。飲み薬は支給されませんでした。大丈夫か不安です。