今回は、『HIVの治療薬や治療費用は?完治できる?薬の一覧や副作用も説明!』というタイトルでお送りします。
HIVウイルスの新たな感染者は、日本でも毎年1,000人を超える報告があがっています。
もはやHIVウイルス感染症はあまり珍しい病気ではありません。
診断されていないけどウイルスを持っている患者さんは、身近にもたくさんいるものとして認識しておいたほうがいいと思います。
もし、自分がHIV感染症になったときに気になることの一つは、その治療に関することだと思います。
そして、「その治療で完治できるのか?」などはとても気にかかりますよね。
今回はそんなHIVの治療薬や治療費用などについて説明していきたいと思います。
それぞれ、治療薬と費用を分けて説明していきます。
HIVの治療薬は?完治できる?薬の一覧や副作用も
HIV感染に対する治療の目的は、身体の中のHIVウイルスの量を抑え進行を食い止め、免疫力を回復させて、その状態を維持させていくことです。
そして、生活の質と感染による症状を改善して、死亡数を減らすことです。
そのための治療には抗HIV薬(飲み薬)が使われます。
抗HIV薬の使用が始まった当初は、お薬の副作用が強いこともあり感染がわかってもすぐには治療が開始されませんでした。
ですが、現在では治療薬も飲みやすく、副作用の少ないものが開発されており、年々治療の開始が早い段階で始まっています。
なるべく早めにお薬を飲んでウイルスを抑えることでHIV感染の合併症を減らして、その後の身体も安定した状態に改善できます。
しかし、お薬などの治療でHIV感染症を完治することはできません。
ただ、治療をきちんと続けていくことで普通の日常生活を送れることはできます。
そのためには何より確実に指示されたお薬の量や回数を守って、定期的に診察に行くことが重要なのです。
では、治療薬について説明したいと思いますが、抗HIV薬というのはかなりたくさんの種類があります。
そして、どのようなお薬が使われるのかはその患者さんによって違ってきます。
ここでは、それらたくさんの種類のお薬について掲載されている抗HIV薬の一覧表をご紹介しましょう。
一覧表の中にお薬の飲み方や副作用など注意点も記載してありますのでこの表がわかりやすいかと思います。
↓HIV/AIDS先端医療開発センター(大阪医療センター薬剤科作成)による抗HIV薬一覧表です。
http://www.onh.go.jp/khac/data/hivmedicine_list2017-02.pdf
また、これらの抗HIV薬のひとつひとつのもっと細かい情報が知りたいという方のために、同じくHIV/AIDS先端医療開発センターの作成した資料がとても参考になると思いますので紹介します。
それぞれのお薬の効果や飲み方、そして副作用まで丁寧に記載されていますのでご参照ください。
↓HIV/AIDS先端医療開発センター(大阪医療センター薬剤科作成)による抗HIV薬の詳細について。
http://www.haart-support.jp/information/index.htm
では次に治療費用に関して説明していきます。
HIVの治療費用は?
HIVウイルスに感染し治療を開始していくと、とても気になるのは治療費用ですね。
HIV感染症も普通の病気と同じく、健康保険証を提示すれば医療費の3割負担で治療を受けることができます。
この治療にかかる費用がどれくらいかは患者さんの状況によって全く違ってくるので、ここで「HIV感染の場合、医療費はだいたいこれくらいですね」などと具体的な数字は説明できません。
そこで、負担額を軽減する制度は色々ありますので、それを紹介していきたいと思います。
- 限度額適用認定証
- 高額療養費制度
- 身体障害者手帳
- 重度心身障害者医療
- 自立支援医療
などがあります。
ここで、「限度額適用認定証」と「高額療養費制度」について少し説明していきましょう。
限度額適用認定証について
限度額適用認定証を病院に提示するとその人の収入に合わせた限度額の支払いで済むように負担額が軽減されます。
限度額適用認定証は、お持ちの保険証が健康保険組合であれば健康保険組合に、また国民健康保険であればお住いの市町村役場に問い合わせてみましょう。
高額療養費制度*について
この制度は、医療費が高額になった時にこの制度で1ヶ月の自己負担額が一定の額以下までに抑えられるようになる制度です。
↓こちらの記事の目次2「高額療養費制度とはどんなもの?」をご参照ください。
関連記事 ▶ 子宮筋腫手術の費用まとめ!高額療養費や保険適用後の自己負担額はいくら?
それ以外では
- 身体障害者手帳
- 重度心身障害者医療
- 自立支援医療
などがあります。
これらの制度は、1ヶ月およそ数千円~2万円程度で治療を受けることができますが、その方の所得やお住いの地域によって、また治療内容で費用は変わってきます。
それぞれ、自分がどの制度が利用できて治療に関してどれくらい自己負担額が軽減されるのかなどについては、治療を受ける病院のソーシャルワーカーに相談してみましょう。
ソーシャルワーカーというのは、経済的または社会的なことの相談、生活していく上で不安なことなどを何でも相談し問題を解決していくためにお手伝いしてくれるカウンセラーのような存在です。
なんでも気になることは相談してみましょう。
HIVの治療薬や治療費用についてのまとめ
今回はHIVの治療薬や治療費用について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
HIVの治療薬にはたくさんの種類のお薬があります。
これらたくさんの種類の中から、その患者さんの状態に合った抗HIV薬を選択していきます。
ただし、どんな抗HIV薬を使ってもHIVウイルスの感染症を完治することはできません。
でも、抗HIVをきちんと飲んで、また指示通りに定期診察を受けて治療を進めることで非感染者と変わらない日常生活を送ることはできます。
治療費用に関しては治療内容や、個人の所得などでかなり変わってきます。
またHIVの治療費用は高額になりますが、その自己負担を軽減できる制度が次のようなものです。
- 限度額適用認定証
- 高額療養費制度
- 身体障害者手帳
- 重度心身障害者医療
- 自立支援医療
などが、ありますのでどんな制度が受けられるのかなど、病院のソーシャルワーカーに相談してみることをおすすめします。
先日、産婦人科に勤める友人が「最近、梅毒とともにHIV感染の患者さんが本当に増えてきた」と言っていました。
ただ患者さんが増えてきたと認識できるのは、患者さんが自分で異常に早くに気づき、受診・検査をして治療を受けている人が増えているということだから良いことだと思っています。
そのことで感染拡大は少しでも抑えられます。
感染していない人でも患者さんが増えている以上、いつ感染するかは全くわからないことです。
だから、いつでもその可能性を考えながら生活していくことが大切になってきます。