今回は、『デング熱の症状にのどの痛みも?発疹(湿疹)やかゆみは?画像あり』というタイトルでお送りします。
デング熱という感染症を聞いたことがあるでしょうか?
聞いたことがないという人も多いと思います。
デング熱というのはフラビウイルス科に属するデングウイルス感染症です。
↓デングウイルスの顕微鏡写真
難しい科名ですが、デングウイルスには4つの型があります。
どの型にかかっても同じ病気が起こり、その症状からは感染したウイルスの型はわからないようです。
今回は、そんな難しそうな名前の「デング熱」について紹介したいと思います。
デング熱の感染経路は?
デング熱の症状を説明する前に、その感染経路を少し説明しましょう。
デング熱は、デングウイルスを持つネッタイシマカ、ヒトスジシマカといった種類の蚊に刺されることで感染します。
↓下の画像はヒトスジシマカ!
感染には必ず蚊が媒介しており、人から人への感染はありません。
この蚊の活動時間は夜明け少し前から日暮れまでの間の、特に朝と夕方だそうです。
ただし、室内に存在している蚊については夜間でも刺す可能性はあります。
次に、デング熱に感染した場合の症状について説明しましょう。
デング熱の症状まとめ!画像も紹介
デング熱に感染した場合、かなりの割合で不顕性感染(ふけんせいかんせん)に終わると言われています。
不顕性感染とは、ウイルスが身体の中に入り感染が成立したのにも関わらず、全く症状が出ずに終わる感染のことです。
感染者のおよそ50~80%が不顕性感染だと言われていますが、その報告は様々で実際には正確な数字はわかっていません。
次に症状が現れたケースについて説明します。
デング熱は2~14日(多くは3~7日くらい)の潜伏期間を経て、症状が現れます。
ネット上では「デング熱 症状 のどの痛み」といった言葉で検索されていますが、「のどの痛み」などの呼吸器系の症状が出るということは聞いたことがありません。
調べてみても、特にのどの痛みが出るといったようなことはないようです。
では、デング熱の症状はどのようなものがあるのか紹介します。
- 急な発熱
- 頭痛
- 眼窩痛(がんかつう・目の奥の痛み)
- 顔面紅潮(がんめんこうちょう・顔が赤らむ)
- 結膜充血(けつまくじゅうけつ・白眼の部分の充血)
- 食欲不振
- 腹痛
- 便秘
- 全身の筋肉痛
- 骨や関節の痛み
- 全身のだるい感じ
などが現れます。
そして発症後3~4日経過すると胸部から発疹が出始め、手足や顔面に拡がっていきます。
まるで、麻疹のような広範囲な発疹には「かゆみ」も伴います。
デング熱を検索している人の中には、「デング熱には湿疹が出るの?」と検索されている人も多いようですが、この場合は「湿疹」と言うよりも、「発疹」と言ったほうが良いでしょう。
湿疹というのは、炎症などが原因で引き起こされた皮膚の変化のことです。
そして、発疹は何らかの原因によって皮膚に現れた変化の総称のことです。
デング熱では炎症を起こしたことによる湿疹ではないので、発疹というのが適切でしょう。
ではそんな発疹については下の2つの画像をご覧ください。
↓下の画像はデング熱の患者の発疹です。
身体の体幹や手指にまで広範囲に発疹が見られます。
これらのデング熱の症状はおよそ1週間程度で治まります。
回復したあとでは後遺症などの症状は残りません。
適切な治療を行なうとほとんどの患者が回復し、死亡率は1%以下でかなり低い確率になっています。
また、デングウイルスに感染したあと、デング熱と同じように発症して経過した患者の一部の人において「デング出血熱」という重篤な病気に至るケースがあります。
デング出血熱は死亡率の低いデング熱とは違って、通常でも10%、適切な処置がなされない場合には40~50%の確立で死亡すると言われています。
また、デング熱にかかった人が、デング出血熱になるのかどうかについては全く予想できません。
デング出血熱は、デングウイルスに感染後、デング熱と同様に発症して発熱が下がりかけた時に出血傾向(血が止まりにくくなる状態)の症状が出て重篤になります。
デング出血熱の症状は
- 不安や興奮状態
- 手足が冷たくなる
- 胸や腹部に水が溜まる
- 血液を固まらせる作用のある血小板が減少する
- 鼻血や消化管の出血
などが症状となり、出血性ショックの状態となると死に至る可能性も高くなります。
では、このデング熱に効果のあるお薬はあるのでしょうか?
デング熱の治療薬は?
デング熱には治療薬はありません。
デング熱に感染して発症しても、その死亡率は1%以下ですので、特別な治療を行なわなくても回復していくケースがほとんどです。
ですので、治療方法は対症療法になり、例えば発熱時は解熱剤を使用するなどになります。
では、デング熱には予防接種はあるのでしょうか?
デング熱の予防接種はある?
デング熱には予防接種もなく、予防薬もありません。
ですので、デング熱の発生地域に旅行される予定のある人は蚊に刺されないように十分注意する必要があります。
参考までにデング熱のリスクのある国の地図を載せておきます。
最近では2016年、日本国内で、フィリピンへの滞在歴がある女性1名が発疹等の症状を示し、7月16日に受診し、19日に「デング出血熱」と診断され、21日に逝去されたという情報が確認されています。
この症例のようにただの「デング熱」ではなく、「デング出血熱」になると重篤化して死に至ることもあります。
ですので、渡航の際には蚊にさされないようにすることはとても大切です。
デング熱がデング出血熱になるかどうかは全く予想できませんので、とにかくデングウイルスには感染しないように注意しないといけません。
この情報に関しては厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000131052.html
また厚生労働省のホームページで、海外に出張や旅行される方にデング熱に関する注意喚起の資料も掲載されていました。
参考までに載せておきますので、もし渡航される可能性のある方は確認しておきましょう。
http://www.mhlw.go.jp/image.jsp?id=371384
厚生労働省からpdfの資料が送られています。また、こちらのページで掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000131793.pdf
デング熱の症状などに関するまとめ
今回はデング熱の症状などに関して説明してきました。
では、まとめてみましょう。
デング熱の症状として
- 急な発熱
- 頭痛
- 眼窩痛(がんかつう・目の奥の痛み)
- 顔面紅潮(がんめんこうちょう・顔が赤らむ)
- 結膜充血(けつまくじゅうけつ・白眼の部分の充血)
- 食欲不振
- 腹痛
- 便秘
- 全身の筋肉痛
- 骨や関節の痛み
- 全身のだるい感じ
などが現れ、発症後3~4日後に発疹が出てきます。
(この場合には湿疹というよりも発疹というほうが適切)
発疹にはかゆみも伴います。
また、のどの痛みなど呼吸器系に症状はあまり出ないようです。
デング熱は感染した場合、早期に発見し適切な治療を受ければほとんどが完治していく病気です。
日本国内に住んでいて人から人に感染することはないので大流行にはならないと思いますが、渡航する予定のある人はやはり要注意です。
海外に行くともし感染して症状が出ても、日本に帰国してからなどと発見が遅れる可能性があります。
蚊に刺されないように注意していても、刺されたかどうかに気づかないこともあると思うので、少しでも何か症状が出た際には必ず医療機関を受診するようにしましょう。