今回は、『やけどで水ぶくれができたり破れた時の処置は?キズパワーパッドやオロナインは使える?』というタイトルでお送りします。
「やけど」というのはどんなに範囲の小さな浅いやけどでも、こんなにヒリヒリするのかというくらい痛いですね。
特に水ぶくれができた時なんかはどんなふうに処置したらいいのか、なんて困ることも多いと思います。
今回はやけどをしてしまった時の処置方法に関して説明していきたいと思います。
やけどをした時の処置は?
やけどで水ぶくれができた時の処置方法を説明する前に、やけどを負ったときの基本的な処置について説明しておきたいと思います。
やけどをしてしまったら、水ぶくれができるできないに関係なく、とるべき行動はやはり「冷やす」ということです。
やけどをした直後は必ずすぐに流水で患部を冷やすことです。
やけどを起こすことの多い手や腕などは流水で冷やしやすいかもしれませんが、足などは洗面所では難しいので浴室でシャワーをかけて冷やすといいでしょう。
流水で冷やすときの注意点を次にまとめます。
・冷やす時間は5~6分程度にする。
やけどの程度にもよりますが、流水で流し過ぎると皮膚がふやけたり、刺激になって皮膚が剥けたりしてしまうので長時間冷やすのはやめましょう。
・衣服の上からやけどをしてしまった場合には、衣服を脱がずに着たままで衣服の上から流水で冷やす。
衣服を剥がすときに皮膚を一緒に剥がしてしまう恐れがあるためです。
流水で冷やしながら、衣服が無理なく脱げそうならば脱いでもいいでしょう。
・水道水は患部に直接当てずに、流れてきた水で冷やすようにする。
患部に直接水道水を当ててしまうと、その水の勢いで皮膚が剥けてしまったり、傷ついてしまったりするからです。
健康な皮膚で受けた水の流れで冷やすといいでしょう。
これらの点に注意して冷やしましょう。
もし、流水で冷やすのが難しい部位だったら、氷や保冷剤などを布に包んで患部に適度な間隔で当てたり離したりしながら冷やしましょう。
ただし、氷や保冷剤を患部に直接当てたり、布に包んでいても患部に長時間当て続けたりすると更に皮膚を傷つけてしまうかもしれないので注意してください。
では、次にやけどで水ぶくれができた時の処置について説明しましょう。
やけどで水ぶくれができたり破れた時の処置について
例えば、夜間にやけどをしたとします。
そんな時、このまま自分で処置をして様子をみていいのか、翌日になったら病院に行ったほうがいいのか、もしくはいますぐにでも病院に行った方がいいのか…困ってしまうかもしれません。
これはやけどの深さや範囲、または部位などによっても変わってきます。
やけどの範囲が見るからに広範囲であるとか、やけどを負った時からすでに皮膚が剥けている状態だと、かなり深い程度のものが考えられますのですぐに受診するようにしましょう。
やけどを負ってすぐに水ぶくれができる時と、時間が経ってから水ぶくれができることもあります。
また、自分が思うほど深いやけどではないかもしれないし、思ったよりも深く悪化していく場合もあるのです。
どんなやけどでも、やはりきれいに早く治したほうがいいと思いますので、水ぶくれができてしまった場合には皮膚科を受診することをおすすめします。
ここでは、皮膚科で診てもらうまでに自分でどんな処置をすればいいのかについて説明していきたいと思います。
ただし、実際に患部を見て説明しているわけではないため、必ずしもその処置方法が的確だとは限らないということをご理解ください。
では、やけどで水ぶくれができた時の処置と破れた時の処置について分けて説明しましょう。
やけどで水ぶくれができた時の処置方法は?
基本的には、水ぶくれができた場合には自分でつぶさないほうがいいです。
水ぶくれができた場合は普通に生活していく間に潰れてしまう可能性は高いため、そこから細菌などが入って炎症をおこしやすいのです。
なので、できればその日、もしくは翌日にでも皮膚科を受診したほうがいいでしょう。
それまでの処置方法については、ワセリンなどの軟膏を塗って、その上からラップで患部を覆って、あればガーゼで保護しておくといいでしょう。
この際、必ずラップは当てておくようにします。
ワセリン軟膏やガーゼがなくても、ラップだけは当てておきましょう。
そうすれば、皮膚が乾くのを防げます(なぜ乾くのが良くないのかは後程説明します)。
この時に使うラップですが、つまようじなどで数か所穴をあけておくといいです。
すると、もし水ぶくれが破れた時に中の液体がその小さな穴からガーゼに抜け出ていってくれます。
穴をあけたラップよりももっと優秀なグッズは、台所用品である穴あきの水切りポリ袋です。
これは在宅で床ずれのケアでよくおすすめする方法ですが、この穴あきポリ袋をカットして当てておくと水ぶくれが破れた時には液体が適度に外に漏れ出ていき、しかも乾燥しないので皮膚を傷めずに剥がすことができます。
なにも塗らないでラップも何もせずに、ただガーゼや布だけで保護するのは絶対にやめてください。
これは、ガーゼに水分が吸い取られて乾いてしまい、ガーゼを取るときに皮膚が剥がれてしまうかもしれないからです。
そして、なるべく早めに皮膚科で診てもらってください。
皮膚科では、水ぶくれを清潔に破って処置してくれるか、あるいはそのままの状態で経過をみるかどちらかは医師の判断によりますが、その際自宅での処置方法も指導してくれます。
では、水ぶくれが破れてしまった時はどうすればいいでしょうか?
やけどで水ぶくれが破れた時の処置方法は?
もし、水ぶくれが破れてしまった時は、すぐに石鹸の泡で優しく洗ってください。
その後、布で擦らないように、優しく押さえるように水分をふき取ってください。
そして、ここでもワセリンの軟膏を塗って、その上からラップを当てて保護します。
基本的には「水ぶくれができた時」の処置方法と同じです。
ガーゼがあれば、ラップの上からそっと保護しておきましょう。
この際も絶対に、ガーゼだけを使って保護するのはやめましょう。
特に水ぶくれが破れた時は、ガーゼだけを当てて時間が経つと、剥がすときに皮膚がむけてしまいやすいので要注意です。
そして、そのままなるべく早めに皮膚科を受診するようにしましょう。
では次は、水ぶくれができた時や破れた時に使えるものについて紹介します。
よくドラッグストアなどで販売されているキズパワーパッドやオロナイン軟膏は使えるのでしょうか?
まずは「キズパワーパッド」から説明しましょう。
やけどで水ぶくれができたり破れた時にキズパワーパッドは使える?
やけどで水ぶくれができた時ですが、水ぶくれがある間は皮膚が盛り上がった状態なのでキズパワーパッドなどの絆創膏をはること自体、難しいですね。
やけどの範囲がかなり小さめ(例えば、1㎝以下)であれば洗浄して清潔にしてから使うこともできます。
指先のちょっとしたやけどくらいならば上手に使えば早く治すことができるでしょう。
ただ、指先くらいでは済まないやけどに関して、私はキズパワーパッドを使うことはおすすめできません。
それは、やけどの水ぶくれが破れた時は細菌が侵入しやすく炎症を起こしやすいからです。
もし炎症を起こしてしまった状態で、キズパワーパッドを貼るとその炎症が悪化してしまうからです。
キズパワーパッドは傷をきれいに治してくれるとても良い製品なのですが、使う条件としては感染を起こしていない傷であることです。
医療機関ではこのキズパワーパッドと同じような効果のある絆創膏を使って治療することも多いのですが、やはり医療機関で管理しながら使うほうが安心です。
感染を起こしてしまった傷というのを自分でなかなか判断できなかった場合、キズパワーパッドを貼ると治りが悪くなってしまうので、個人の判断で使うことは私はおすすめできません。
では、よく家にある「オロナイン軟膏」は使えるのでしょうか?
やけどで水ぶくれができたり破れた時にオロナインは使える?
私はやけどで水ぶくれができた時や破れた時に、オロナイン軟膏の使用はおすすめできません。
もし、オロナイン軟膏を使うとしたら水ぶくれができていない程度の浅いやけどです。
それならばオロナイン軟膏は使ってもらっても良いと思います。
軽いやけどや擦り傷などにはとても効果のあるお薬だと思っています。
しかし、水ぶくれができる程度のやけどには浅いものから深いものまであります。
それは実際にその患部を見て判断しないとわからないですし、そんな状況でオロナイン軟膏を塗ることを勧めることはできません。
どんな処置をしてどんな薬を使っていくのかは医師の判断に任せたほうがいいので、それまであまり軟膏類は使わないほうがいいでしょう。
ただ、ワセリン軟膏に関しては特別に作用のあるお薬などが配合されておらず、皮膚の乾燥を防ぐ効果が高いので医師に診せるまでに塗るお薬としては一番適しているのでおすすめしています。
やけどで水ぶくれができたり破れた時の処置についてのまとめ
今回はやけどで水ぶくれができた時などの処置について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
やけどができた時は必ず流水で患部を冷やし、ワセリン軟膏を塗り、穴をあけたラップや穴あきポリ袋をカットして当ててガーゼ保護していきましょう。
そして、皮膚科を受診しましょう。
水ぶくれが破れたら、患部をきれいに洗浄して水分を押さえて拭きとり、その後の処置方法は水ぶくれができた時に処置と同じです。
ただ、水ぶくれが破れてしまった場合はガーゼだけを当てておくと剥がす際に必ずと言っていいほど、皮膚が剥がれてしまいますので、絶対にガーゼのみを当てるのは避けましょう。
かなり範囲が小さめのやけどでは使えるかもしれませんが、やけどは水ぶくれが破れたら細菌が侵入して感染を起こしやすいため、あまりおすすめはしません。
やけどでも水ぶくれができていない軽い程度のやけどでしたら、オロナイン軟膏を使ってもいいと思います。
しかし、水ぶくれができる程度のやけどは浅いものから深いものまであり、自分では判断できません。
ですので、使ってもワセリン軟膏くらいにしておきましょう。
水ぶくれができるほどのやけどというのは、治る過程の中できちんとしたケアがされなかったり、感染を起こして悪化してしまうと、跡になってしまうことがあります。
どんな部位にできたやけどでも、なるべく早くにきれいに治すことができるように、皮膚科を受診するようにしましょう。