今回は、『痛風発作の時の痛み止めにロキソニンやインドメタシンは効く?コルヒチンについても説明』というタイトルでお送りします。
痛風発作の時の痛みというのは、そのほとんどが突然やってきます。
足の指の関節やかかとなどに急に痛みが出ることで、自分の身体が痛風にかかっていることを初めて知る人も多いと思います。
もし、痛風発作の痛みに襲われたとき、その痛みはどんなお薬で治まるのでしょうか?
今回は、痛風発作の時の痛み止めについて、説明していきたいと思います。
痛風発作の痛みとは?
痛風発作の時の痛み止めについて説明する前に、この痛風発作の痛みとはどんなものなのかについて説明しておきたいと思います。
痛風というのは、血液中の尿酸値が上がり、排泄しきれない量の尿酸塩が関節内や腎臓の中に少しずつ蓄積されることで引き起こされる病気のことを言います。
関節内に沈着した尿酸塩の結晶は、何らかのきっかけで関節腔内にはがれ落ちます。
身体はそのはがれ落ちた結晶を異物と認識して、免疫細胞である白血球が攻撃を始めます。
この時、白血球は生理活性物質(プロスタグランジンやサイトカインなど)というものを放出するのですが、この物質が毛細血管をひろげて、その部位の血液の流れが激しくなることで激しい痛みを感じるのです。
この痛みが痛風発作の痛みなのです。
では、痛風発作の痛みが現れたときの痛み止めはロキソニンやインドメタシンは効くのでしょうか?
痛風発作の時の痛み止めはロキソニンやインドメタシンは効く?
痛風発作の痛みはかなり激しい痛みで、かかった患者さんは普通に生活をするのが困難な状況になります。
ですので、痛風発作が起きたときには、まずはその炎症を抑えて痛みを少しでも和らげてあげることが最優先です。
痛みを和らげてあげるために飲むお薬としては、ロキソニンやインドメタシンというお薬はとても効果があります。
では、そんなお薬についてもう少し詳しく説明していきましょう。
痛風発作の痛みがあるときに使用されるお薬は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と言われるお薬です。
非ステロイド抗炎症薬というお薬には、炎症を起こす生理活性物質であるプロスタグランジンの産生を抑える作用があります。
痛風発作の一番症状の強いときに、これら非ステロイド抗炎症薬を短期間の間に大量に服用すると炎症が鎮静化します。
この治療法のことを、「NSAIDパルス療法」と言います。
この治療に使われるお薬は、
- インドメタシン(商品名:インダシン・インテバン)
- ナプロキセン(商品名:ナイキサン)
- ジクロフェナク(商品名:ボルタレン)
- ロキソプロフェン(商品名:ロキソニン)
などが使われます。
ただし、これらのお薬には、副作用があります。
例えば、
- 胃腸障害(胃潰瘍)
- 発疹(ほっしん)
- かゆみ
- むくみ
- 頭痛
- 肝機能や腎機能の低下
などがあります。
これらの副作用も、頭痛がするからと1回に1錠を飲むくらいであれば、それほど気にすることではありません。
しかし、NSAIDパルス療法では短期間に普通の数倍の量のお薬の量を服用するので、当然副作用のリスクは高くなります。
ですので、同時に胃潰瘍を起こさないようにするお薬も服用します。
そんな中、例えば過去に胃・十二指腸潰瘍などを起こしたことのある患者さんにはNSAIDパルス療法はできないことがあります。
再度、胃潰瘍などを発症する可能性が高いからです。
そのような場合や、非ステロイド抗炎症薬で効果がなかった場合には、抗炎症作用がもっと強い副腎皮質ステロイドを使うこともあります。
痛風発作が出たときの痛みに対しては、このようにロキソニンやインドメタシンなどを使って、発作の痛みと炎症を抑える治療をまず行います。
そして、発作が治まったら2週間くらいしてから、尿酸値を下げるお薬を少量から始めていきます。
ですので、ロキソニンやインドメタシンなどといった非ステロイド抗炎症薬というのは原因となる痛風を治す治療ではなく、あくまでも痛風発作によって出た痛みを抑えるだけのお薬なのです。
もし、痛みや炎症を抑えてばかりいて、その先で重要となる痛風の治療をして尿酸値をコントロールしていかないと、必ずといっていいほど痛風発作を繰り返します。
ロキソニンやインドメタシンなどで痛風発作は完治しないので、きちんと受診して医師の指示どおりに治療していきましょう。
では、次にコルヒチンについて説明していきましょう。
痛風発作の時にコルヒチンは効く?
一度でも痛風発作を経験したことのある人は、再度発作を経験するまえに前兆のような症状を感じる人が少なくありません。
痛風発作の前兆として、発作が起きる部分にピリピリしたり、違和感や鈍痛などを感じたら、発作を予防する目的で使われるのが、「コルヒチン」と言われるお薬なのです。
痛風発作の前兆として起こる症状に関してはこちらに詳しく記載してありますので、ご参照ください。
コルヒチンは、ユリ科のイヌサフランという植物が原料でアルカロイドという有機化合物の一種です。
コルヒチンというお薬は、昔から痛風のお薬として使われており、普通の痛み止めのお薬ではありません。
痛風発作をきっかけに、免疫細胞である白血球が働き始めますが、この白血球の働きを抑えて尿酸塩の結晶を異物として攻撃しないようにするお薬なのです。
ですので、このコルヒチンというお薬は発作の予防として服用します。
また、痛風の治療として尿酸値を下げるお薬を飲み始めた時に、尿酸値が急に下がることで痛風発作が起きやすくなるのですが、この発作を予防する目的でも使われることがあります。
いずれにしても、受診したうえで医師の指示のもと、服用するようにしましょう。
痛風発作の時の痛み止めについてのまとめ
今回は痛風発作の時に飲む痛み止めなどについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
痛風発作が現れた時には、その痛みや炎症を抑えてあげることが最優先となります。
そのために「非ステロイド抗炎症薬」であるロキソニンやインドメタシンはとても効果があります。
しかし、服用する量はかなり多くなるため、副作用の危険性もあるので医師の指示に従って服用するようにしましょう。
コルヒチンは、痛風発作が起きた際に免疫細胞である白血球の働きを抑えて、発作による痛みが起きないように予防してくれる効果があります。
ですので、痛風発作が起きるまえの前兆の症状が現れたときに服用します。
痛風と診断されたことがなくて、初めて痛風発作を体験した場合にはすぐに手元にある痛み止めのお薬を飲んでしまうかもしれません。
でも、鎮痛薬の中にはあまり効果のないお薬や副作用の強いお薬など色々ありますし、服用する量も調整が必要ですので、自己判断で服用したりせずに必ず受診して処方を受けるようにしましょう。