看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『急性心不全の原因と症状まとめ!急性心不全とはどんな病気がわかりやすく説明!』というタイトルでお送りします。


「急性心不全とはいったいどんな病気なんだろう?」

と思ったことがある方はとても多いのではないでしょうか?

私も「急性心不全ってどんな病気ですか?」と聞かれると正直少し戸惑います。

それは、急性心不全という状態がひとつの原因で起こるものではなく、たくさんの病気によって引き起こされる状態のことをいうからです。

これは、なかなか簡単には「こんな病気です!」と言えません。

一概に心不全と言っても、原因や症状は人によって全く違ってきます。

今回はこの「急性心不全」という状態をなるべくわかりやすく説明していきたいと思います。

 



 

心不全とは?

まず先に急性心不全の「心不全」という状態について説明をしておきましょう。

心不全というのは、日本循環器学会による定義の中では下記のような内容となっています。

「心不全というのは、なんらかの心臓機能障害、すなわち、心臓に器質的およびあるいは機能的異常が生じて心ポンプ機能の代償機転が破綻した結果、呼吸困難・倦怠感や浮腫が出現し、それに伴い運動耐容能が低下する臨床症候群」だとされています。

 

少し難しい言葉が続いていてわかりにくいと思いますので、できるだけ簡単に説明していきます。

私たちが生きていくためには、身体のすべての部分に十分な酸素、そして栄養分が運ばれていくことが必要です。

その酸素や栄養分を全身に運んでくれるのが血液で、その血液をポンプの働きをしながら循環させてくれているのが「心臓」なのです。

心臓のポンプ機能

心臓が、ポンプの機能を使って、十分な血液で心臓の中を満たして、また十分な量の血液を身体中に送り出していきます。

全身の血液の流れは、心臓のポンプを中心にずっと休むことなく、グルグルとめぐっていきます。

こうして、私たちは元気に生きることができるわけです。

ですが、何らかの病気が原因で心臓の機能が悪くなってしまうと、心臓のポンプがうまく働かず、全身に血液をスムーズに循環させることができなくなります。

心臓のポンプ機能の低下

身体の色々な場所で血液が流れずに滞ってしまうと、様々な部分に負担がかかってしまい、色々な症状が現れてくるのです。

このような状態のことを「心不全」と言います。

このように心不全の状態になるまでの経過が急激である場合を「急性心不全」と言い、徐々に経過していくことで比較的状態が軽い場合を「慢性心不全」と言います。

急性心不全は、急激な経過をたどり、最悪は死に至ることも多い状態と言えます。

詳しい原因は分かりませんが、芸能界でも2018年2月には俳優の大杉漣さん、5月には歌手の西城秀樹さんが急性心不全の状態で他界されました。
 




 

では、急性心不全の状態になる原因というのはいったい何なのでしょうか?

急性心不全の原因は?

急性心不全の原因はひとつではありません。

急性心不全の主な原因疾患として、次のような病気が挙げられます。

  • 心筋梗塞(しんきんこうそく)
    心臓自体に酸素や栄養を送っている血管が詰まってしまい、血液を供給できなくなることでが心臓の筋肉が死んでしまう病気
  • 心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)
    心臓の中にある弁がうまく作動しないことで、血液が逆流してしまったり、血液を十分に全身に送り出せなくなる病気
  • 高血圧症
    繰り返し測っても、いつであっても血圧が高い状態が続く病気

 

など、このような病気以外にもまだまだ数多く考えられますし、心臓以外の病気が原因疾患になることもあるのです。

そして、これまで元気に生活してきた人であっても、原因不明で風邪や過労、ストレスがきっかけとなって急性心不全を引き起こすことがあります。

そうした場合、最悪突然死することもあるのです。

それは、高齢者であるとか若者であるということは関係なく発症する可能性があります。

 

では、次に急性心不全の症状について説明していきたいと思います。

急性心不全の症状は?

急性心不全の原因は、とてもたくさんあると説明してきましたが、それに伴って症状も様々です。

人によって、その心臓の状態は様々であり、同じ病気でも急性心不全になる人とならない人がいます。

症状の種類や出方も人によって様々ですが、急性心不全によって起こる症状として主なものを挙げてみると、次のような症状になります。

  • 少しでも動くとしんどさを感じる
  • 身体がだるい
  • 動悸がする
  • 下半身または全身にむくみが出る
  • 腹痛が起こる

 

これらの症状は、心臓のポンプがうまく動かないために、全身の血液の流れがうっ滞(うったい)*することで起こる症状です。

*うっ滞…血液の流れが悪いことで、血管内などにに血液が滞ってしまう状態。

 

心臓で血液を送り出す機能が悪くなると、心臓から先に血液が進まず、心臓のすぐ後ろに位置する肺の部分では血液のうっ滞が起こります。

普段、肺では血液がスムーズに流れることで酸素と二酸化炭素のガス交換が行われ、正常に呼吸をしているわけです。

しかし、血液がうっ滞してしまうと肺に水が貯まってしまい、ガス交換ができなくなり、酸素も十分に取り込めず呼吸が苦しくなるのです。

上記の症状にある、「少しでも動いたり、身体がだるく動悸がする」といった症状は、この肺への血液のうっ滞からくる症状であると言えます。

また、足の先に血液が滞ってしまうと、そこで皮膚の下に血液中の水分が漏れ出し、むくみが出てきます。

そして、もし肝臓や腸に血液のうっ滞が起こると、食事をした後にお腹が張って苦しかったり、腹痛を訴えることもあります。

ただ、これらの症状は急性心不全を起こした時によく出る症状ではありますが、他の病気でも起こる可能性があります。

ですが、もし、これらの症状が現れたときには急性心不全の可能性が高いので、すぐに病院を受診することをおすすめします。



急性心不全の原因と症状についてのまとめ

今回は、急性心不全の原因と症状について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

急性心不全とは?
全身に血液を循環させる中心となるのは心臓のポンプ機能です。
そのポンプの状態が悪くなることで、血液を心臓に十分に血液を貯めて、それを全身に送り出すということができなくなります。
そのため、身体の様々な部分に負担がかかってしまい、色々な症状が現れてきます。

 

急性心不全の原因は?

  • 心筋梗塞
  • 心臓弁膜症
  • 高血圧症

などですが、これ以外にも様々な病気が原因で起こります。

 

急性心不全の症状は?

  • 少しでも動くとしんどさを感じる
  • 身体がだるい
  • 動悸がする
  • 下半身または全身にむくみが出る
  • 腹痛が起こる

などです。

 

原因は様々なので、これ以外にも何らかの症状が現れる可能性があります。

急性心不全というのは、症状が現れてから急激に容態が悪化してしまうことが多くあります。

そのため、なるべく早くに病院を受診して治療を開始することが大切です。

「しんどいけどこれくらいなら、我慢できるかな」

「ちょっとムクミがひどいけど、飲みすぎたかな」

などと様子をみていたら、いつの間にか急に病状が進んでしまうことがありますので我慢せずに受診しましょう。