今回は、『ピロリ菌の除菌方法とその検査方法まとめ!薬の費用や副作用など注意点も』というタイトルでお送りします。
胃がんの話をすると必ずといっていい程出てくる「ピロリ菌」は、ヒトの胃の粘膜に住んでいるらせん状の形をしている細菌です。
日本では40歳以上の人の2人に1人がこのピロリ菌に感染していると言われています。
私達の胃の中には強い酸がありますので、普通はそんな環境で細菌は生きられないのです。
しかし、ピロリ菌は胃の中に住み続けることができます。
それは、ピロリ菌が出している「ウレアーゼ」という酵素があるからです。
ウレアーゼは、胃の中の尿素という物質を分解してアンモニアを作り出します。
作られたアンモニアはアルカリ性なので、胃の中のピロリ菌がいる部分の酸が中和されて、そこで住み続けることができるわけです。
ピロリ菌に感染すると、ピロリ菌が作り出したアンモニアによって胃の粘膜は傷つけられます。
また、ピロリ菌は有害な毒素も作り出すので、胃粘膜が更に傷つき荒れてきます。
こうして傷ついた胃粘膜の状態でそれが慢性化すると、今度は胃酸によって炎症を起こして慢性胃炎や胃潰瘍になると考えられています。
そして徐々に何年も長い年月をかけ、胃がんになってしまうことがあります。
でも慢性胃炎の段階で治療を行なうと、胃がんになってしまうリスクを1/3程度まで減らせると言われています。
その治療のことを、「除菌」と言いますが、今回はそのピロリ菌の除菌方法や検査方法などについて説明していきたいと思います。
ピロリ菌の除菌方法と検査方法まとめ
胃カメラで胃の中を調べてピロリ菌の存在が発覚したら、ピロリ菌の除菌治療を行ないます。
ピロリ菌の除菌治療というのは、お薬を一定期間飲む治療です。
そして、一定期間の除菌が終了したら、ピロリ菌が除菌されたかどうかの検査をします。
このピロリ菌の除菌の方法と、除菌後の検査の方法について順番に説明していきます。
ピロリ菌の除菌方法は?
ピロリ菌を除菌するには、内服薬(飲み薬)を飲みます。
お薬の種類は
- 胃酸の分泌を抑えるお薬を1種類
- 抗菌剤(抗生物質)を2種類
です。
↓
お薬を1週間飲み終えてから、4週間後に除菌できたかどうかの1回目の検査をします。
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この1回目の検査で除菌ができていなかった場合には、飲んでいたお薬の2種類の抗菌剤の内の1種類だけを別の抗菌剤に変えて、2回目の治療を開始していきます。
変更したお薬を1日に2回、1週間飲みます。
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1回目と同じように、お薬を飲み終えたら4週間後に再度検査をします。
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それでピロリ菌がいなくなっていれば、治療は終了となります。
この2回目の除菌で9割以上が成功しています。
でも、もし2回目でピロリ菌がまだ生き残っているようなら、3回目を開始します。
何回目まで除菌できるかはわかりませんが、ある先生から聞いた患者さんの例では、4回目くらいまでする人は何人かいたそうです。
また、このピロリ菌除菌は2回目までしか健康保険が使えません。
3回目からは自費での治療になります。
それでは、その検査方法について説明していきましょう。
ピロリ菌が除菌できているかどうか判定する検査方法は?
ピロリ菌を除菌した後に、除菌ができているかどうかの検査は、
「尿素呼気試験(にょうそこきしけん)」という、呼気(こき)、つまり吐いた息で検査をします。
尿素呼気試験は胃の粘膜全体を調べる方法で、診断精度がかなり高いです。
方法としては、専用の容器に息を吹き込んで、次に試験薬を飲んだら、再度息を吹き込みます。
その息でピロリ菌が除菌できているかを検査します。
尿素呼気試験は、患者さんも痛みや苦痛を伴うことなく検査できます。
結果は30分程で出ます。
現在ではピロリ菌除菌後の検査方法として、ほとんどの医療機関がこの尿素呼気試験を行なっているようです。
そして、もし患者さんによってこの尿素呼気試験が難しいようであれば、便の検査で判定する検査方法もあります。
便を採取して、その便の中にピロリ菌抗原があるかどうかを検査します。
では次に除菌に使われる薬の費用や副作用などについて説明していきましょう。
ピロリ菌除菌の薬の費用や副作用は?
まずは、ピロリ菌を除菌する薬の費用について説明します。
除菌の薬の費用は?
ピロリ菌を除菌するお薬は健康保険3割負担で約1,800円くらいです。
↓除菌には、このような抗菌剤が使われます。
では、除菌で飲むお薬に副作用はあるのでしょうか?
除菌の薬の副作用は?
ピロリ菌の除菌薬の副作用には次のような症状が出ることがあります。
- 便が柔らかくなって、時に下痢になる。
- 味覚がおかしいと感じたり、口の中が苦いのを感じることがある。
- 稀な例として、発熱・腹痛を伴った下痢をしたり、便に血が混じることもある。
などがあります。
下痢になる原因としては、抗菌剤(抗生物質)によるもので、腸を刺激する作用が強く出たり、腸内細菌のバランスが崩れることだと言われています。
症状が下痢や味覚異常、もしくはその両方が出ても自己判断で勝手にお薬を飲むのを中止したりしないようにしましょう。
下痢や味覚異常などの症状は、除菌の治療が終了すれば出なくなります。
もし、下痢がひどいようならば、ビオフェルミンなどの整腸剤を一緒に処方してもらうのもいいと思います。
下痢だけでなく、発熱や腹痛を伴った下痢、または便に血が混じるなどの場合には、すぐにお薬を飲むのを中止して担当医に診てもらってください。
一般的には無症状で経過する人がほとんどです。
ピロリ菌除菌の際の注意点は?
ピロリ菌の除菌治療をする上で注意する点を紹介します。
・ピロリ菌の除菌を確実にするために、処方されたお薬は必ず指示通りに飲む。
自分の判断で飲むのを中止すると、除菌が失敗して、飲んだ治療薬が効かないような別の種類のピロリ菌が現れることがあります。
・アルコールは控える。
アルコールには胃酸の分泌を促す働きがあります。
胃酸が多いと、除菌薬の効果が悪くなることがありますので、除菌中はずっと控えるようにしましょう。
・タバコは控える。
喫煙は血管を収縮させて、血液の流れを悪くします。
そして、胃粘膜の抵抗力も低下して負担をかけてしまいます。
タバコを吸われている人は、ニコチンガムなどで木気を紛らわすなど、なるべく禁煙を成功できるように工夫しましょう。
・コーヒーもアルコール同様、胃酸の分泌を促すので、できるだけ控える。
ピロリ菌の除菌中はこれらのことに注意してください。
除菌のためのお薬を飲み終えたら、次に4週間以上経過してから除菌できたかどうかを判定する検査をします。
その検査の際の注意点を説明したいと思います。
ピロリ菌除菌後の判定検査の際の注意点は?
ピロリ菌除菌後の判定検査では、尿素呼気試験という検査をします。
この尿素呼気試験をする際の注意点を次に挙げます。
- 検査をする4時間前から食事は摂らない。
- 水分やお茶は大丈夫ですが、ガムやタバコなども吸わない。
- 除菌から尿素呼気試験までの4週間の間に胃薬などは飲まない。
これは、胃薬の作用の関係で、検査をしてもピロリ菌の存在が不確かな結果になる可能性があるので胃薬は飲まないほうが良いそうです。
ピロリ菌の除菌方法と検査方法などについてのまとめ
今回はピロリ菌の除菌などについて説明してきました。
では、簡単にまとめてみましょう。
・ピロリ菌の検査方法:吐いた息を検査
・ピロリ菌除菌の薬の費用:7日間で1800円
胃カメラなどの検査をしてピロリ菌の存在に気づけば、幸いにも胃がんへの進行も食い止めることができるのです。
なので、「最近なにか胃の調子が悪いな…」などと感じたら、早めに受診をしたほうがいいです。
受診する際に、内科(できれば消化器内科を掲げているところ)や胃腸科ですね。
内科にも、胃カメラ等の検査ができる医院・クリニックと胃カメラ検査の設備がないところもありますので、なるべく検査が可能なところがいいです。
前もって近くの医院・クリニックを調べてから受診してみてください。