看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『脳梗塞の前兆チェックリスト!頭痛・しびれ・めまい・血液検査など』というタイトルでお送りします。


脳の病気というのは、何だかとても怖いイメージがありませんか?

頭の中の病気というのは、単に頭が痛いとか頭だけの症状ではなく、身体に様々な症状が出てくるので何だかわけのわからない病気だと思う人も多いと思います。

今回はそんな脳の病気、脳梗塞の前兆について説明していきたいと思います。



 

脳梗塞とは?

脳梗塞の前兆について説明するまえに、脳梗塞とはどんな病気なのかについて説明しておきたいと思います。

脳は生命をつかさどっている、大変重要な臓器です。

その脳には、首のほうから太い血管が伸びており、更に細い血管が脳の奥まで張り巡らされて、隅々の神経細胞まで、酸素や栄養を供給してくれています。

この脳の血管が何らかの障害が起こる病気のことを脳卒中と呼んでいます。

脳梗塞とは

この脳卒中というのは病名ではなく、正式名称は「脳血管障害」と言われる病気です。

脳血管障害には次のような病気に分かれます。

  • 脳梗塞…脳の血管が詰まってしまう病気
  • 脳出血…脳の血管が破れて出血して起こる病気

今回は、脳の血管が詰まってしまう「脳梗塞」の前兆となる症状について紹介していきましょう。



脳梗塞の前兆チェックリスト!頭痛・しびれ・めまい・血液検査などについて

脳梗塞の前兆チェックリスト

脳梗塞の前兆と言われる症状は次のようなものになります。

脳梗塞の可能性を感じた場合は、このような症状がないかチェックしてみてください。

  • 身体の片側の手足に力が入らない
  • 全身の半分のしびれがある
  • めまい
  • 激しい頭痛
  • 呂律(ろれつ)がまわらない
  • 言葉が出てこない
  • 物が二重に見えたり、一部が欠けて見える
  • 歩くとフラつき、前に進めない

 

多くの人が気になる頭痛やしびれ、めまいなどの症状は高い確率で入っています。

そして、血液検査に関しては、前もって検査をしていたからといって、脳梗塞がいつ起こるなどの予測はできません。

しかし、血液検査で糖尿病や脂質異常などがあれば、動脈硬化が進んでいる可能性が高く、脳梗塞になるリスクも高くなります。

検査項目で言えば次の項目です。

  • 糖尿病…血糖値の検査
  • 脂質異常…悪玉コレステロールの検査(LDLコレステロールと言われるもの)

糖尿病で血糖値が高かったり、悪玉コレステロールが高いと動脈硬化が進み、脳梗塞のリスクが上がります。

これらを日頃から注意して見ておきましょう。




 

ここまで説明した症状は脳梗塞の前兆と言われる症状です。

つまり、脳梗塞の前兆と症状ということは、脳梗塞になる一歩手前の症状ということになります。

これらの症状が出ることを「一過性脳虚血発作(いっかせいのうきょけつほっさ)」と言い、英語では

 ” Transit Ischemic Attack ”と言い、その頭文字を取って、「TIA」と言います。(以下、TIAと記載します)

TIAは小さな血栓(けっせん・血の塊など)が一時的に血管を詰まらせてしまうことによって、脳の一部の血液の流れが悪くなり、脳の細胞に酸素や栄養が行かないことで上記のような症状が現れます。

しかし、その詰まった血栓が分解して溶けてまた血液の流れが再開すれば、これらの症状は治まります。

その場合の発作は、時間にすると数分から数十分の間の症状で、長くても24時間以内には完全に症状が治まります。

短時間で症状が改善することもあって、そのまま放置する人も多いのです。

しかし、これらの症状が治まったからといってそのまま放置してしまうと、様態はどんどん悪化してしまいます。

なぜなら、脳の血管を詰まらせる原因が解消されたわけではないからです。

脳の血管を詰まらせるだけの動脈硬化が起きているということなのです。

もし、何もせずに放置しておくと、再度同じように血栓が原因で脳の血管が詰まってしまい、血液の流れが完全に閉ざされた状態で経過してしまうと、その先の脳細胞は死んでしまいます。

このような状態のことを「脳梗塞」と言います。

ですので、前兆として症状が現れた場合にはすぐに治まったとしても、脳梗塞を疑ってなるべく早くに脳神経外科を受診しましょう。

一過性脳虚血発作(以下、TIAと記載)を放置していると脳梗塞に移行しやすいという報告は日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン2015(追補2017)」にあり、次のように書かれています。

  • TIA発症後90日以内に脳梗塞を発症した患者の調査では、その約半数がTIA発症後の48時間以内に脳梗塞を発症。
  • TIA発症後の30日以内の患者の調査では、その約半数がTIA発症後24時間以内に脳梗塞を発症。
  • TIA発症後90日以内に脳卒中を発症する危険度は、15~20%である。
  • TIA発症後の1日以内に治療を開始した場合、平均20日後に治療開始した場合と比較すると、その後の大きな脳卒中の発症を80%軽減された。

 

これらの報告はこちらに記載しています

日本脳卒中学会の「脳卒中治療ガイドライン2015(追補2017)」
「TIAの急性期治療と再発予防」81ページに記載
http://www.jsts.gr.jp/img/guideline2015_tuiho2017.pdf

TIAを発症し、その症状が出たらすぐに受診したほうが良いということは、これらの報告を見るとすぐにわかりますね。

ちょっとした症状だからと放置せずに速やかに病院を受診することがとても大切です。



脳梗塞の前兆チェックリストに関するまとめ

今回は脳梗塞の前兆チェックリストについて、説明してきました。

では、まとめてみましょう。

脳梗塞の前兆チェックリストは?
次のような症状になります。

  • 身体の片側の手足に力が入らない
  • 全身の半分のしびれがある
  • めまい
  • 激しい頭痛
  • 呂律(ろれつ)がまわらない
  • 言葉が出てこない
  • 物が二重に見えたり、一部が欠けて見える
  • 歩くとフラつき、前に進めない

 

頭痛・しびれ・めまい・血液検査などは?
頭痛やしびれ、めまいなどの症状は高い確率で入っているが、血液検査は前もって検査をしていたからといって、脳梗塞がいつ起こるなどの予測はできない。
しかし、血液検査で糖尿病や脂質異常などがあれば、動脈硬化が進んでいる可能性が高いので脳梗塞になるリスクは高くなる。
検査項目で言えば…

  • 糖尿病…血糖値の検査
  • 脂質異常…悪玉コレステロールの検査(LDLコレステロールと言われるもの)

これらを日頃から注意して見ておきましょう。

 

脳梗塞の前兆となる症状は、一過性脳虚血発作(TIA)と言われる症状になります。

しかし、これらの症状は本当に短時間で消失することが多く、多くの人は症状が治まることで放置してしまいがちです。

TIAの症状があったからといって必ずしも脳梗塞になるわけではありません。

しかし、脳梗塞になるリスクが高い以上は要注意しておかなくてはいけません。

また、脳梗塞になる前に必ずTIAの症状があるとは限りません。

急に脳の血管が完全に詰まってしまって脳梗塞を発症することも十分あります。

ですので、どちらにせよ、これらTIAの症状が少しでも現れた場合には、なるべく早くに脳血管外科がある病院を受診するようにしましょう。