看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『セカンドオピニオンは紹介状なしでは無理?書いてくれない時はどうする?』というタイトルでお送りします。


セカンドオピニオンという制度を使ったことのある人は少ないのではないでしょうか?

セカンドオピニオンという言葉さえ聞いたことがないという人もいるかもしれません。

この「セカンドオピニオン」というのは、患者さんが医療施設を受診した際、医師の診断や治療法が適切なのかについて、他の医師の意見を聞くことです。

日本では1990年代後半から徐々にセカンドオピニオンを取り入れた医療施設が増え始めて、今では「セカンドオピニオン外来」という外来を設けている病院もあります。

セカンドオピニオン外来

病院や診療所を受診すると、主治医の先生は必要な検査をして、その患者さんに一番適した治療方針を決めてそれを勧めてきます。

しかし、そこでまた別の医師からも治療方針に関する意見を聞くことで、他にも良い治療法が見つかったり、更に適した治療方針を患者さん自身で選べることになるのです。

それがセカンドオピニオンの良いところです。

今回はセカンドオピニオンについて、紹介状なしでも大丈夫なのか、また、もし書いてくれない時にはどうしたら良いのか、などについて説明していきたいと思います



 

セカンドオピニオンは紹介状なしでは無理?

セカンドオピニオンというのは、今自分の病気を診てもらっている主治医の先生が診断した内容や治療方針などについて、更に他の先生の判断を仰ぎたい場合に使う制度です。

セカンドオピニオンという制度を使って、他の先生に診察してもらうには必ず紹介状が必要になります。

セカンドオピニオンは紹介状なしでは無理

なぜその紹介状が必要なのかというと、セカンドオピニオンを受けた医師はその患者さんの病気について何も分からないので、何のアドバイスもできないからです。

セカンドオピニオンというのは、主治医の先生は変わらずに、他の先生の意見を聞いて、また主治医の先生のもとに戻って再度治療方針を検討していくというのが基本になります。

簡単に言えば、

患者さんが紹介状を持っていく
  ↓
依頼先の先生がそれらの情報を参考に患者さんを診断する
  ↓
診断内容の返事をもらって、また主治医の先生のところを受診する

 
という流れになっているわけですね。
 

依頼先の先生は新たに検査をして診断するわけではありません。

紹介状などに書かれた情報をもとに判断するだけです。

もし、紹介状もなにもない状態だと、普通の受診と同じことになるのです。

そうなると、恐らくこれまで行なってきたことと同じような検査をもう一度、いちからやり直す必要が出てくるのです。

ですが、一度目の検査日とそれほど日にちが空いてなければ、おそらくどの検査をしても結果は同じような結果になるでしょう。

そんな検査をまたいちからするというのは、身体的にも負担がかかりますし、検査にかかる時間も費用も無駄になってしまいます。

特に検査にかかる費用は健康保険を使ってするわけですから、健康保険組合には2つの病院から倍の額の請求がされることになります。

このように同じような検査を連続してするといたずらに医療費を増やすだけです。

そして、健康保険では基本的に一つの病名で複数の医療施設を受診することはできないとされています。

もし、そういった重複診療を行なっていれば、いずれ健康保険組合から指導が入るかもしれません。

そんな状況を避けるためにも、紹介状などの書類は必要です。

もし、セカンドオピニオンという制度をとらずに、その主治医の先生ではなく別の病院の先生にかかりたい、という思いがあるのであれば、そんな時もちゃんとそれを伝えれば、先生は紹介状を用意してくれます。

ですので、ちゃんと主治医の先生と話し合うことが必要ですね。
 

では、この紹介状ですが、どんな内容が書かれているのかについて説明していきましょう。

主治医の先生が書いてくれる紹介状と一言で言っても、単に「診察をお願いします」といった簡単な内容の書面だけではありません。

患者さんのことについて書かれてある紹介状の内容は…

  • これまでの既往歴(きおうれき・今までかかったことのある病気)はどんなものがあるか
  • アレルギーなどの特異体質の有無はあるか
  • 現在の病気の経過について、また、今はどういった状態なのか
  • その病気についての自分の治療方針について
  • 今回、どういった経緯でセカンドオピニオンとなったか
  • 現在、飲んでいるお薬や使用している外用薬、または点滴など

 
これらの内容が書いてあります。

そして、この紹介状だけではなくて、これまでの検査(血液検査やレントゲン、その他の精密検査など)の結果をまとめたデータや、画像フィルムなどを全てまとめて渡されるのです。

セカンドオピニオンでは紹介状だけでなく検査結果も共有される
 

このように色々準備しないといけないので、今書いてくれと頼んですぐに用意できるものではありません。

きちんとセカンドオピニオンを利用したいと主治医の先生に申し出れば、主治医の先生はちゃんと用意してくれます。

ちゃんと段階を踏んで、急に依頼して紹介状を要求することのないように準備していきましょう。

では、「セカンドオピニオンを使いたいので、紹介状を書いてほしい」と言っても、書いてくれない時にはどうすれば良いのでしょう?



セカンドオピニオンの利用の際に紹介状を書いてくれない時はどうする?

ほとんどの主治医の先生は、その患者さんに対して一番適していると自信を持って行える治療方針を提供していると思います。

しかし、患者さん側からすればその治療方針を疑問に思ったり、他の先生にも意見を聞きたいといった思いが出てくることもあると思うのです。
 

そんな時にこそ、実際に主治医の先生とは別の医師の意見を聞くことで、納得した状態で医療を受けられるのがセカンドオピニオンの良いところなのです。

その部分を理解している医師であれば、恐らく紹介状等は用意してくれるはずです。

ただ、医師の中にも色々なタイプの医師がいます。

書いてくれないという医師に書かない理由を伺いたいところですが、書かないというのならセカンドオピニオンは成立しません。

どうしても書かないということであれば、これは仕方がありません。

書くまで待つと言われる方はそれもありかとは思いますが、病気というのは早くに進行していくことがあります。

なので、ゆったり待ち構えていていい場合と悪い場合があるので注意が必要です。
 

もし、どうしても書いてもらえないなら、セカンドオピニオンという制度は使わずに、別の病院の医師を受診したほうがいいと思います。

その場合には、新しく受診した病院の医師にそれまでの経緯を全て説明しましょう。

紹介状を書いてくれないので何も病気に関する情報は持っていけませんが、もし、その先生がどうしても必要であると判断すれば、もとの主治医のいる病院に問い合わせて、患者さんの病気に対する情報を請求してくれる場合もあります。

ですので、もしセカンドオピニオンの紹介状を書いてくれない場合は、新しく受診した先の先生に相談してみてください。

その際に注意したほうがいいと思うのは、なるべくその病気の専門性が高い医師に診察してもらうこと、そして、前の主治医に対する不満ばかりを言わないことです。

前の医師への不満より大切なのは、今の病気を治す前向きな気持ちです。

その気持ちが伝われば、きっと新しく診察してもらった病院では納得した医療が受けられるのではないかと思います。

では最後に、セカンドオピニオンを受けるための費用について参考までに紹介しておきたいと思います。



セカンドオピニオンを受けるための費用は?

セカンドオピニオンというのは基本的には健康保険が適用されません。

セカンドオピニオンというのは患者さん側の都合でする診療なので、全て自費になるのです。

自費診療ということは、セカンドオピニオンを受ける病院がそれぞれ、費用を決めています。

なので、各病院によってその費用はバラバラです。

また、時間制で料金を決めている病院も多いようですね。

例えば、30分で15,000円とか、1時間は2~3万円とか本当に様々なので、前もって費用を確認しておきたほうが良いでしょう。

セカンドオピニオンと紹介状についてのまとめ

今回はセカンドオピニオンと紹介状について色々説明してきました。

では、まとめてみましょう。

・セカンドオピニオンは紹介状なしでも大丈夫か?
セカンドオピニオンの制度を使う際には、必ず紹介状が必要になります。

もし、セカンドオピニオンを使うならば主治医の先生とよく相談して、紹介状など必要書類を揃えて用意してもらいましょう。
 

・セカンドオピニオンを使う際に主治医の先生が紹介状を書いてくれない時はどうする?
基本的には、紹介状がないとセカンドオピニオンは使えません。

自分の思いを伝えて、もしそれでも紹介状などを用意してくれないのであれば、他の病院を新たに受診するしかないでしょう。

その場合でも、受診した病院の医師にセカンドオピニオンのための紹介状を用意できなかった経緯を全て話して理解してもらいましょう。

 

セカンドオピニオンという制度は、比較的軽症ですぐ治る可能性のある病気の方よりも、深刻な病状の方のほうが使われるケースが多いと思われます。

本来はその患者さんに一番適した治療方法を1人の医師ではなく、他の医師の意見も取り入れて、最終的に患者自身が納得した形で受けられるようにするための制度です。

しかし、主治医の医師との信頼関係が成り立っていないと成立しにくい側面もあります。

よく先生と話し合って最善の治療方法を受けられることを願っています。