看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『大腸がんは若い女性もなる?30代~50代でかかる確率や死亡率を説明!』というタイトルでお送りします。


女性がかかりやすい癌というと、乳がんとか子宮がんなどをイメージする人は多いのではないでしょうか。

でも実は、女性の死亡数は大腸がんが1位で、肺がん、胃がん、膵臓がん、乳がんへと続きます。(2015年厚生労働省による人口動態統計より)

女性の死亡数は、大腸がんが1位
 

また、女性のがんにかかる人数を部位別に見ると1位は乳がんですが、2位には大腸がんが入っており、胃がん、肺がん、子宮がんへと続きます。

女性ががかる癌 乳がんが1位
 

このように大腸がんは死亡数でもがんにかかる人数でも上位を占めています。では、年齢別に見てみるとどういった状況なのでしょう?

今回は、若い女性でも大腸がんにかかるのか、30~50代でかかる確率や死亡率などを説明していきたいと思います



 

大腸がんは若い女性でもかかる?

大腸がんは若い女性でもかかります。

10代~20代の女性でも、少ないですが患者さんはいます。

大腸がんを含めて、どの部位にできたがんも高齢になるに従って徐々に増加していきますが、大腸がんに関しては30代から少しずつ増えはじめて40代でぐんと確率が上がっていきます。
 

ではデータをみながら、30代~50代でかかる確率をみていきましょう。

女性の大腸がん30代~50代でかかる確率は?

下のデータをご覧ください。

これは、2013年の年齢別にみた大腸がんの罹患率です。(国立がん研究センターの調査結果より)

※罹患率とは、1年間に人口10万人あたり何人が大腸がんと診断されるかを出したものです。

2013年の年齢別にみた大腸がんの罹患率

女性の大腸がんの罹患率はこのように、30代後半頃より少しずつ増え始めていきます。

次にそれぞれの年齢で、大腸がんにかかった人が10万人あたり何人いるかを記しました。

30~34歳・・・6人
35~39歳・・・10人
40~44歳・・・20人
45~49歳・・・32人
50~54歳・・・58人
55~59歳・・・81人
60~64歳・・・118人

という感じでグラフでもわかるように、どんどん増加していきます。

また、下のデータは1983年から2013年までの10年毎の罹患率を表したデータですので参考までにご覧ください。

1983年から2013年までの10年毎の罹患率を表したデータ

1983年から2013年の30年間で大腸がんにかかる人数がかなり増加しています。これは若い女性がかかりやすくなったからなのでしょうか?
 

30代~50代の女性の大腸がん患者の死亡率はどれくらいなのでしょう?



女性の大腸がん30代~50代の死亡率は?

下のグラフは2015年の女性の大腸がん患者の死亡率のデータです。

(死亡率とは、1年間に人口10万人あたり何人大腸がんで死亡するかを出したものです。)

2015年の女性の大腸がん患者の死亡率のデータ

それぞれの年齢に分けて10万人あたり大腸がんの女性が何人死亡するのかをみていきましょう。

30~34歳・・・0人
35~39歳・・・2人
40~44歳・・・4人
45~49歳・・・6人
50~54歳・・・11人
55~59歳・・・19人
60~64歳・・・30人

となっています。

実際に2015年に女性で大腸がんで亡くなった人数を言いますと、

30代…98人
40代…462人
50代…1180人

となります。

それでは、女性が大腸がんにかかる原因について説明しておきたいと思います。

様々な原因を、国立がんセンターの予防研究グループの調査結果を参考に説明していきたいと思います。

女性が大腸がんにかかる原因は?

女性が大腸がんにかかる原因はどんなことがあるのでしょうか?

過度の飲酒

女性が大腸がんにかかる原因 過度の飲酒

お酒に含まれているエタノールは分解されて、アセトアルデヒドになります。

お酒を飲むと顔が赤くなったり、頭が痛くなったり、気分が悪くなる人がいますが、これらの症状はアセトアルデヒドの仕業です。

このアセトアルデヒドというのはがんの発生に関わっていると考えられています。

アセトアルデヒドが分解される時に出てくる活性酸素によって、細胞の核酸(DNA)を作るのに必要な葉酸という物質が破壊されます。

そして、DNAの合成や修復がうまくいかずにがんになると考えられています。

男性では、1日平均1合以上お酒を飲む人は、お酒を飲まない人に比べて大腸がんになりやすいと言われています。

しかし女性に関しては、週1日以上お酒を飲む人でも、飲まない人に比べて発生率は上がらなかったようです。

これは、1日平均1合以上お酒を飲む人がほとんどいないためで、もし大量に飲酒してしまえば、男性の結果と同様のことが言えます。

参考までに…
日本酒1合と同じアルコールの量は
・ビール大ビン1本
・焼酎0.6合
・ワインでグラス2杯(200ml)
・泡盛0.5合
・ウイスキーダブルで1杯
となります。

 

喫煙

たばこを吸う人は、吸わない人に比べて大腸がんになりやすいと言われています。

男性でも女性でも、たばこを吸う人は吸わない人に比べて、大腸がんの発生率が1.4倍だということです。(国立がん研究センターの調査結果より)

女性は男性よりも喫煙者が少ないですが、大腸がんの発生率への影響は男性同様となります。

たばこの煙には、発がん性物質がたくさん含まれているのです。

私達は、たばこの煙が直接触れる喉や気管、肺だけへの影響を考えがちですが、実は煙に触れない大腸の粘膜からも発がん性物質が検出されるといいます。
 

赤肉(牛・豚・羊の肉)、加工肉(ベーコン・ハム・ソーセージなど)の摂りすぎ

女性が大腸がんにかかる原因 赤肉と加工肉

最近では、食生活の変化などで肉中心の食事をする人が増えてきています。

昔は野菜や味噌などを中心とした質素な食生活だったのが、今では赤肉や加工肉ばかりを好んで食べる人が多いのです。

赤肉や加工肉などの摂りすぎが、大腸がんにどう影響するのかについては、色々な作用が指摘されています。

肉や魚を強火で調理した際に焦げた部分にできる発がん物質や、食べ合わせによって体内に生成される発がん物質なども大腸がんを発症させるリスクになると言われていますが、まだ科学的根拠はないようです。

しかし、肉類の摂取量と大腸がんのリスクが上昇することに関連性があることは確実で、食べ過ぎには注意する必要があります。
 




 
 

家族歴(親や兄弟姉妹など直系の家族に大腸の病気にかかった人がいること)がある

女性が大腸がんにかかる原因 家族歴

大腸の病気とは、潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)やクローン病という病気などのことです。

家族に大腸の病気のある人がいると、大腸がんにかかりやすいと言われています。
 

以上の4つが、女性の大腸がんの原因として考えられるものです。

そして原因として考えられやすい肥満に関してですが、男性では肥満だと大腸がんにかかりやすいと言われています。

肥満で引き起こされるインスリンというホルモンが関連しているようです。

しかし、女性の場合では肥満と大腸がんとの関連性は日本だけでなく、世界の他の国でもまだ不明らしいのです。
 

ある説では、女性の閉経(更年期)が関係していると言われていますが、国立がんセンターの研究でははっきりとした関係は見られなかったそうです。
 

また、よくネットで「高身長は大腸が長いために、大腸がんにかかりやすい」という説を見かけます。

ですが、国立がんセンターの予防研究グループの調査では、高身長と大腸がんとの関連性はなかったということです。

若い女性の大腸がんについてのまとめ

今回は若い女性でも大腸がんになるのか、また30代~50代の罹患率や死亡率について説明してきました。

まとめてみましょう。

・若い女性でも大腸がんにかかる。
・30代から大腸がんにかかる人は少しずつ増え始めて、40代からぐんと増加している。
 そしてその罹患率も、過去30年間でかなり増加している。
・30代~50代の大腸がんの女性の死亡率も、罹患率に伴って徐々に増加している。

 

女性に大腸がんが増加しているのにも関わらず、早期発見のための大腸がんの検診を受ける人はまだまだ少ないのが現状です。

これは、仕事が忙しいからとか、検査が恥ずかしいなどといった理由によるものが多いのでないかと思われますが、大腸がんは早期発見すれば、90%以上が治ると言われています。

ですので、なるべく定期的に大腸がん検診を受けるようにしましょう。