看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『水虫の症状が足や指の間にできてかゆい!どんな薬が効く?写真で説明』というタイトルでお送りします。


ほとんどの人が「水虫」と聞くとだいたいどんな病気か想像がつくのではないでしょうか?

水虫というのは、病名で言うと「白癬(はくせん)」と言い、その原因となっている菌は、白癬菌(はくせんきん)です。

この白癬菌は真菌(カビ)の仲間で、ケラチンと言われる蛋白を栄養分として生きています。

ケラチンというのは皮膚の表面にある角質という部分に多いので、その皮膚面が白癬菌によって変化していき、見た目にもわかりやすいと思います。

例えば、皮膚がカサカサして水ぶくれができて破れて皮が剥けたり、など目に見えて皮膚の変化がわかります。

水虫の症状 足

そして、毛髪や爪というのも角質が変化してできたものなので、白癬菌は毛髪や爪などにも感染してしまいます。

白癬菌は感染する部位によって、病名も変わってきます。

例えば、

  • 足:足白癬(あしはくせん)、俗称は水虫
  • 股:股部白癬(こぶはくせん)、俗称はインキンタムシ
  • 髪の毛:頭部白癬、俗称はシラクモ
  • 爪:爪白癬(つめはくせん)
  • 手:手白癬(てはくせん)
  • 股以外の身体:体部白癬、俗称はゼニタムシ

などです。

今回はこの中でも特に患者さんの数が多いと言われる「足白癬」、水虫について説明していきましょう。

薬の説明をする前に、足の水虫の種類の説明をしておきます。



 

足の水虫の種類

足や足の指の間にできる足白癬には、次のような種類があります。

  • 足の指の間の皮が剥けたり、白っぽくふやけたりする趾間型(しかんがた)
  • 足の裏の小さい水疱(すいほう・水ぶくれ)ができて、それが破れて皮が剥ける小水泡型(しょうすいほうがた)
  • 乾燥して皮が剥け、カサカサに足の裏やかかとが硬くなる角質増殖型(かくしつぞうしょくがた)

に分類されています。

趾間型や小水疱型は、季節が暖かくなると症状が悪化します。

そして、かかとなどにできる角質増殖型は年間通して症状が出ていることが多いですが、特に冬場は乾燥してひび割れてひどくなる傾向にあります。

ここで注意すべき点があります。

白癬菌は夏場に菌が増えて感染しやすく、冬場には菌が減って感染しにくい、ということではありません。

白癬菌は一年を通して感染します。

実は、白癬菌に一度感染してしまうと、ずっと年中その皮膚に存在しています。

冬場の乾燥した時期には、ヒッソリと皮膚に潜んでいて自然に消えてなくなることはありません。

そして、白癬菌の増殖しやすい高温多湿な状況になれば活動が活発になって、症状が悪化してくるのです。

なので、足の水虫を完治させずにそのまま症状が治まったからと放っておけば、実は完治しておらず、爪に感染していくケースがとても多いです。

ですので、水虫になった場合には薬での治療がとても重要になってきます。

では、足や指の間の水虫に効く薬はどんなものがあるのでしょうか?



足や指の間にできた水虫に効く薬は?

本当はここで、水虫ができたらこの市販薬がいいですよ!と紹介したところですが…

自分の判断で「水虫ができた!」と思って市販薬の水虫の薬を使わないほうがいいです。

水虫の症状 市販薬に注意

これは絶対にしないほうがいいです。

実際に水虫の症状を改善した経験

私個人の体験や、色々な患者さんのケースをみてきた上で説明していきたいと思います。

足の指などに水虫ができた場合ですが、普通は

「抗真菌剤を使いましょう!するとすぐに治りますよ!」

…と言いたいところですが、この足の水虫に関しては本当にお薬の選択が難しいのです。

というのは、水虫の症状だからと言って、必ず抗真菌剤が効くとは限らないからです。

それは、その症状が本当に水虫ではないかもしれないからです。

実際に「かゆみ」を感じる足の水虫は、足にできる白癬の約1割程度と言われているのです。

残りの9割はかゆくない水虫なのです。

なので、かゆみを伴った水虫というのは「湿疹」を伴った水虫であることが多いのです。
 

何度も言いますが、
自分の判断だけで水虫だと思って、市販薬の抗真菌剤を使わないでください。

必ず皮膚科に受診して治療薬を処方してもらってください。
 

実は私もまだ若い頃に、足の水虫に感染したことがありました。

恐らく、よくプールに通っていたのでその際に感染したものだと自分では思っています。

そして、すぐに市販薬の水虫のお薬を買って使ってみましたが、水虫の薬を塗れば当然すぐに良くなると思っていました。

でも全く改善せずに更に悪化する一方だったので、皮膚科を受診して薬を処方してもらいました。

恐らく、当時の私の足は水虫と同時に湿疹(しっしん)が出ていたようで、抗真菌剤だけでは効かなかったんですね。

抗真菌剤は湿疹のある皮膚には強い刺激になり、かゆみはむしろ倍増して悪化していくばっかりでした。

でも、皮膚科から処方してもらった薬で一気に良くなりました。

恐らく処方されたお薬は、抗真菌剤と湿疹に効くお薬(ステロイド)との混合軟膏だったと思います。

このように、足に水虫のような症状が出てきた場合には次のようなことが考えられるのです。

  • 水虫という診断
  • 水虫と同時に湿疹が出ているという診断
  • 水虫ではなく、湿疹であるという診断

もし、水虫だという診断であれば抗真菌剤だけでとてもよく効きます。

ところが、同時に湿疹が出ている場合には、抗真菌剤を使うと悪化することがあります。

そして、水虫ではなく、湿疹であった場合には抗真菌剤を使うと更に悪化していきます。

このようなことが考えられるので、必ず皮膚科に受診して処方を受けるようにしてくださいね。
 

では次に、ある患者さんの足の水虫の例を写真とともに説明していきましょう。

この患者さんの場合も、水虫である上に湿疹を発症してしまって抗真菌剤では治りませんでした。

分かりやすい例として紹介しておきたいと思います。



ある水虫の患者さんの例

この患者さんは私と同じように、最初は水虫だと思って自分で買った抗真菌剤を使っていました。

ところが2~3ヶ月様子をみても、全く改善しなくて徐々に悪化していきました。

そして、皮膚科を受診してわかったのは、水虫と一緒に湿疹になってしまっていたということです。

抗真菌剤だけでは全く治らなかったわけです。

そして、抗真菌剤のクリームに、リンデロンVGクリームというステロイドを入れた混合軟膏を塗って様子をみました。

すると、1週間程度でほとんど症状は消えて、改善していったのです。

抗真菌剤だけで2~3ヶ月かけても治らなかった水虫が、ほんの1週間で改善したのです。

次の紹介する写真はその患者さんの足の水虫の写真です。

足の指の数え方として、親指から小指に向けて「第1趾、第2趾~第5趾」と数えていきます。そういった数え方で記載していきます。

 

そしてこれから紹介していく画像は、次の3ヶ所の部位の治療前と後の画像です。
1ヶ所ずつ説明していきます。

  1. 右足の第1趾と2趾の指の間
  2. 右足に第1趾と2趾の指の間を裏から撮った画像
  3. 左足の第2趾と3趾の指の間
①これは右足の第1趾と2趾の指の間です。赤くただれて、皮が剥けています。
水虫の症状の例 足の指の間 1

↓毎日、足を洗った後に薬を塗って、足全体がきれいに治ってきています。

水虫の症状の例 足の指の間 2

 

②右足の第1趾と2趾の間を足の裏から撮った画像です。
表と同様にかなり皮膚がただれているのがよくわかります。
赤いのは湿疹で炎症を起こしているからです。

水虫の症状の例 足の指の間 3

↓それが、このようにつるんときれいに治っていました。

水虫の症状の例 足の指の間 4

 

③これは左足の第2趾と3趾の指の間の画像です。
ほとんどの足の指の間がこのように赤くただれていました。

水虫の症状の例 足の指の間 5

↓そして、やはりこのようにきれいに治ってきました。

水虫の症状の例 足の指の間 6

 

この人の場合、足の指の間だけではなく、指の上のほうの皮膚もただれて湿疹を起こしていたのですが、それもほとんどがきれいに治っているのがわかると思います。

そして、この際のお薬の処方の内容ですが、抗真菌剤にステロイドが入っています。

ステロイドが気になった人もいるかもしれません。

基本的に、白癬菌にはステロイド剤を使ってはいけない、と言われています。

真菌やウイルスによる感染症にステロイドを使うと症状が悪化してしまうからです。

ステロイドにはどこかで炎症が起きた場合、その炎症に対して免疫システムの過剰な働きを抑える「免疫抑制作用」と炎症を抑えてくれる「抗炎症作用」をもって症状を改善してくます。

でも、それは症状を抑えてくれて改善するだけで、病原菌の増殖を抑えてくれているわけではないのです。

ステロイドの効果で免疫力が抑えられている間にどんどん菌が増殖していき、白癬菌などの感染症状が悪化してしまうのです。

こういった理由で、ステロイドは白癬菌などの真菌には使ってはいけないと言われています。

しかし、この患者さんのケースは、水虫と共に湿疹の症状が強く出ています。

湿疹がひどい状態の皮膚に抗真菌剤を使うと、湿疹を刺激してしまうだけで改善はしないのです。

そこで、ステロイドを使ってみると湿疹が治まってきて、全体の症状が改善されてきたわけです。

こうした湿疹などの皮膚炎には、ステロイドがとても効果を発揮します。
 

このように、抗真菌剤だけを使ってもなかなか良くならない場合もありますので

「足に水虫ができてなんだかかゆい」

など症状があった場合には必ず皮膚科でみてもらうようにしましょう。

では最後に、足や指の間にできた水虫を薬で治すときのポイントについて説明したいと思います。



水虫を薬で治す時のポイント

抗真菌剤は塗り薬と飲み薬があります。

どちらのお薬も使う際に注意してほしいポイントがあります。

薬は最低1ヶ月は連続して毎日使う

飲み薬でも塗り薬でも、水虫のお薬は一旦症状が改善したとしても、白癬菌を全滅させるためには1ヶ月程度かかるのです。

よくあるのが、秋がきて涼しくなってくると症状もなくなったので、勝手に薬と使うのを止めてしまうことです。

すると、白癬菌はそこに潜んでいるだけでいなくなったわけではないので、高温多湿な夏になるとまた活動しはじめるのです。

なので、秋冬になり症状が軽くなっても、必ずお薬は毎日塗り続けてください。

水虫の薬は最低1ヶ月は連続して毎日使う

医師の許可が出るまで、軟膏類は塗り続けましょう。

そして、薬の塗り方についても注意が必要です。

薬の塗り方に注意

白癬菌は足の症状が出ているところだけにいるのではなく、症状のない部分にもいます。

ですので、薬は患部にだけ塗るのではなく、足の裏や足の縁の部分、そして正常な皮膚の指の間などにも、くまなく塗ることが大切です。

水虫だけの症状であった場合には、それだけで治っていきます。

それでも治らない場合には、単なる水虫ではないと考えられますので、担当医にまた次の治療の指示を仰ぐようにしましょう。

足や指の間にできた水虫についてのまとめ

今回は足や指の間にできた水虫について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

  • 水虫ができたと自分で判断して、市販薬を使わないほうがいい。
  • 本当に水虫(白癬)であれば、抗真菌剤が効くことが多い。
  • 水虫であると思っていても、他の症状を伴っていた場合には抗真菌剤の使用で悪化することがある。
  • 水虫に湿疹など他の炎症を伴っていた場合、抗真菌剤だけでは悪化するためステロイド剤を一緒に使うと改善することがある。

 などです。

水虫にかかっている人は本当に多く、でも薬を使えばすぐに治まるので中途半端に薬を止めてしまい、時間をおいてまたかかって、の繰り返しをする人も非常に多いのです。

家の中で感染している人がいれば、容易に他の家族に感染してしまいます。

ですので、なるべく薬は最後まで使い続けるようにしましょう。