今回は、『子宮内膜症の治療方法は?ピルなどの薬や注射による治療法とその副作用も説明』というタイトルでお送りします。
子宮内膜症は20~40歳代の女性に多いと言われています。
私たち看護師もほとんどが女性なので、一緒に仕事をしている何人かの職員は子宮内膜症を発症していました。
やはり、仕事中にこの病気の特徴である強い生理痛が起こると、かなり辛そうな状態で鎮痛薬を使っても効果がないため休まざるを得ない日もありました。
今回は、そんな子宮内膜症の治療について説明していきたいと思います。
子宮内膜症の治療方法は?ピルなどの薬や注射による治療法について
つらい生理痛の自覚がある子宮内膜症ですが、その治療方法にはどんな方法があるのでしょうか?
子宮内膜症の治療方法は次の2つの方法に分けられます。
- 薬物療法
- 手術療法
です。
どの治療法を選択するかは、患者さんの年齢や症状がどれくらい進んでいるのか、妊娠の希望など様々なことを考えたうえで相談し、決定していきます。
今回は、このうち薬物療法について説明していきたいと思います。
この薬物療法についてですが、知っておいていただきたいことがあります。
それは、子宮内膜症というのは、お薬によって完全に治る病気ではないということです。
薬物療法は完治させるための治療ではなくて、子宮内膜症の悪化を防いだり、痛みや出血量を軽くさせたりする対症療法です。
ですので、子宮内膜症の治療というのは、基本的には長く付き合っていかないといけない病気なのです。
では、そのように症状を和らげくれる薬物療法の内容について紹介していきす。
薬物療法には次の2つの方法があります。
- 鎮痛剤で子宮内膜の痛みを抑える方法
- ホルモン剤やピルを使って痛みや出血量を軽減させる方法
これらの方法です。
では、それぞれどのような治療法なのか紹介していきましょう。
鎮痛剤で子宮内膜の痛みを抑える方法について
鎮痛剤などの痛み止めのお薬をうまく使うのは、生理痛などの痛みには有効です。
将来的に妊娠を考えている若い世代の人には適した方法ですが、子宮内膜症を防ぐことはできません。
また、鎮痛剤が効かない場合もあります。
そのような場合や、ある程度病状が進行してしまった場合には、次に説明するホルモン療法に切り替えることが望ましいとされています。
ホルモン剤やピルを使って痛みや出血量を軽減させる方法について
子宮内膜症の痛みや出血量が多いなどの症状は、排卵して分厚くなった子宮内膜が剥がれ、生理が来ることで悪化します。
ですので、ホルモン剤やピルを使ってホルモンの状態を一時的に生理が来ない状態(妊娠しているような状態)にしてあげると症状が改善していったり、進行を抑えることができます。
ピルに関しては、旅行などに行く際に生理の調整のために使用する方もおられると思います。
ピルを飲んでいると排卵しないため、生理が来ないような状況になるので子宮内膜を休ませることができ症状が改善します。
これらのお薬を使って、痛みや出血量、または生理の周期などを調整していきます。
では、ホルモン剤や注射薬の製品名を少し紹介しましょう。
よく使われているホルモン剤に「ディナゲスト」と言われる黄体ホルモンがあります。
これは、排卵の抑制や卵巣に働き子宮内膜を分厚くするホルモンを抑制して、子宮内膜症を改善します。
また、注射では「リュープリン」というお薬もあります。
これは、子宮内膜の異常な増殖を抑えてくれることによって、子宮内膜症を改善します。
また、飲み薬や注射などと違って、器具を使った治療もあります。
それは、「ミレーナ」と言われるものです。
上の画像にあるように小さなこの器具を産婦人科で手術をして子宮内に装着します。
このミレーナからは持続的に黄体ホルモンが出てきており、子宮内膜の成長を抑えます。
そのため、生理の出血が少なくなり痛みも軽くなるのです。
この方法は全身のホルモンバランスには何の影響も与えませんし、排卵も生理もきます。
(ですが、受精卵の着床は防ぐので妊娠はしません。)
この器具は5年間挿入しておくことができます。
では、これらの治療法に使われるお薬の副作用に関して説明していきましょう。
子宮内膜症の治療薬や注射の副作用は?
子宮内膜症の治療薬として、使われるホルモン剤やピルなどのお薬はひとつではないので副作用に関しても一概には言えません。
ですので、ここでは「ピル」の副作用と、そしてよく使われている「ディナゲスト」と「リュープリン」の副作用について紹介しましょう。
ピルの副作用は…
最近使われているピルはホルモンが低用量で入っており、副作用もそれほど心配するものではないと言われています。
もし副作用が出るとすれば、次のような症状があります。
- 吐き気
- 倦怠感(けんたいかん・身体がだるい感じ)
- 不正出血
- 頭痛
- 乳房の張り
などです。
ディナゲストの副作用は…
この黄体ホルモン製剤は、飲んでいる間は通常よりも子宮内膜が薄くてはがれやすくなっているので、不正出血が起こりやすいという点です。
それくらいで、そのほかに特別な副作用が出るという報告はないようです。
リュープリンの副作用は…
更年期障害のような症状があります。
例えば、うつ状態、ほてり、めまいなどです。
ほかには筋肉痛や不眠などがあります。
副作用に関しては個人差が大きくあり、症状も人によって様々です。
子宮内膜症の治療方法についてのまとめ
今回は子宮内膜症の治療方法、中でも薬や注射による治療法などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
主には
- 手術療法
- 薬物療法
そして、薬物療法には
- 鎮痛剤で子宮内膜の痛みを抑える方法
- ホルモン剤やピルを使って痛みや出血量を軽減させる方法
があります。
子宮内膜症の症状を改善するために、ピルやホルモン剤を使う方法があります。
ピルは、排卵を抑え子宮内膜の発育を防ぐことで、子宮内膜症の過剰な出血や痛みを抑えて改善します。
またホルモン剤では、よく使用されているものに、ディナゲストという黄体ホルモン剤があります。
これは、排卵の抑制や卵巣に働き子宮内膜を分厚くするホルモンを抑制して、子宮内膜症を改善します。
注射薬では、リュープリンというお薬があり、これは子宮内膜の異常な増殖を抑えてくれることによって、子宮内膜症を改善します。
ディナゲストの副作用は、不正出血です。
また、リュープリンは更年期障害の症状に似た副作用が出ることがありますが、かなり個人差があるようです。
今回、子宮内膜症の治療方法について説明してきましたが、他の病気よりも子宮に関する病気の説明は本当に難しいなと感じました。
なぜなら、子宮というのは本来の正常な機能が他の臓器に比べて本当に複雑だからです。
「卵胞ホルモンが分泌された後、排卵が起きてその後黄体ホルモンが分泌されると分厚くなった子宮内膜は剥がれおちて生理になり、そして…」
なんて、訳わからないですよね。
でも、本来の正常な機能を理解できていないと、病的な内容に関する説明は絶対にできません。
これは医療従事者である私たちでも、治療方法の説明はとても難しい内容でした。
そこで、産婦人科に勤める姪にも情報を提供してもらいました。
この記事が、きつい生理痛などの自覚症状がある方などで、これから受診をしようと考えられている方などに少しでも参考になればと思います。