今回は、『看護師の働く場所は病院以外はどこ?新卒に人気の就職先は?』というタイトルでお送りします。
以前は看護師の働く場所はほとんどが病院など入院病棟や外来の業務がほとんどでした。
でも最近では、病院以外の職場でも看護師が活躍できるところが多くなっています。
私も今の時代にもし看護師の免許を取っていたら、あれもしてみたい、これもしてみたいなどと興味を引く仕事が結構あります。
そうして色々な業務を体験するということはとてもいいことです。
ただ、病棟とは違う場所で働くということにはメリット・デメリットや注意点などがあります。
今回は病院以外で看護師が働ける場所について、メリット・デメリットや注意点なども説明しながら、また新卒看護師さんに人気の就職先なども紹介していきたいと思います。
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看護師に働く場所は病院以外はどこがある?
看護師の資格を活かして、看護師が病院以外で働くことができる職場は意外にたくさんあります。
では紹介していきましょう。
まずは病院以外で一番先に選びやすい、個人医院やクリニックから紹介します。
個人医院やクリニック:眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・神経内科など
入院患者さんのいない、外来のみの勤務となります。
どんな科のクリニックの勤務をするかによって、行なう業務も変わってきますね。
例えば、眼科や耳鼻咽喉科、皮膚科などでは特別な処置の介助などに限られてきます。
そして、採血や点滴などの処置もあります。
しかし、医師1人の小さなクリニックなどで採血や点滴などが少ないところは、医師が採血や点滴を行なっている施設が意外に多いです。
また小さなクリニックは看護助手もいないため、器械や製剤の消毒や滅菌、洗濯や掃除、製剤・薬剤の発注なども全て看護師の業務に入ってきます。
- 夜勤がない。
- 定期的な休みが決まっている。
- 決まった仕事内容になるのでそれ以上の高度な医療技術などは求められない。
- 患者さんに急変が起こってもすぐに医師の指示を仰げる。
デメリット
- 小さなクリニックなどは看護師の数も少なく、代わりがいないので休みにくい。
- 1人でしないといけない雑用や処置は多くなるかもしれないので負担に感じることがある。
- 病院に比べ、夜勤がないのでお給料は低い場合が多い。
- 地区医師会が実施する在宅当番医制度というのがあり、もし当番医にあたれば休日の急病患者の医療にあたるため、日曜出勤をしないといけないことがある。(行なっていないクリニックもある)
個人医院やクリニック:内科・外科・整形外科について
個人医院やクリニックの中でも内科や外科、整形外科に関しては、眼科や皮膚科とは少し違った雰囲気になります。
内科・外科に関しては、もし消化器を専門にしている外来ですと、胃カメラや大腸ファイバーなどの消化器の検査に対する介助につくことが多いです。
また整形外科に関しては、初診の患者さんのほとんどはレントゲンを撮影した後、関節内注射や神経ブロック、そしてレントゲン透視下での注射などの様々な処置を受けるのでその介助が必要です。
もし、骨折患者がいればギプス固定の介助などや創の縫合など、本当に様々な処置の介助をすることになります。
私は個人医院やクリニックの中でも、整形外科が一番多くの処置が行なわれているのではないかと感じていますが、医師の動きを見ながら動けると良いスキルアップに繋がりますのでおすすめですね。
美容外科クリニック
美容外科については、看護師にとって本当に特別なクリニックになると思います。
行なわれる処置のほとんどが医療ではないので、患者さん対象というよりも、お客様対象といった感覚でないと勤まりません。
例えば、看護師であってもお客様に対しての接客を重要視するため、マナー研修などを取り入れているクリニックも多いです。
また、新卒や中途採用で比較的若い看護師を募集しているクリニックが多く、その分、未経験に対して教育制度が充実しているところは多いようです。
- 比較的、高収入のクリニックが多い。
- 時間的に朝はゆっくりめの出勤時間である。 (退勤時間も遅いですが…)
- 夜勤がない。
- 病院の雰囲気はなく、清潔感のある場所で働ける。
- 施術を割引価格で受けられる。
デメリット
- 接客が重要視されるので、接遇マナーに厳しい。
- お客様からのクレーム対応をしないといけない時がある。
産業看護師(企業内看護師)
産業看護師とは、企業内看護師とも言います。
企業、会社の中にある医務室や健康管理室などで勤務します。
勤務内容は、従業員の健康管理、そして怪我などの対応、救急時の搬送などです。
また、健康面での相談やメンタルケアなどもします。
- 夜勤がない。
- 残業がほとんどない。
- 基本的に健康な人が多いため、急変なども少なく精神的負担が少ない。。
- 看護師はほとんど1人なので、ゆっくりした自分のペースで仕事ができる
デメリット
- 看護師は1人、多くて2人程度なので求人数は少ない。
- 看護師としての技術はそれほど使う機会がないのでスキルアップは望めない。
- 病院に比べてお給料は少ない。
- 企業の従業員の1人となるのでボーナスは企業成績が影響することもある。
- パソコンを使えない人は難しいかも…
高齢者施設
高齢者施設というのは、老人保健施設やデイサービス、訪問看護ステーション、特別養護老人ホームなどがあります。
仕事内容は、利用者の健康管理が主な仕事になります。
例えば、バイタルチェック、排便コントロール(浣腸または摘便など)、吸引、経管栄養(PEG注入)、内服薬の管理などですね。
もし、表皮剥離や褥瘡などの処置が必要であれば行ないます。
また必要時は点滴などの処置をする施設もあります。
- 急変がない限りは比較的ゆったりとした時間が流れるので精神的負担が少ない。
- 夜勤がないので、生活のリズムが整う。
- 病院と違ってレクリエーションなど季節的な催し、誕生日会なども多いので楽しい時間が過ごせる。
- 認知症など高齢者独特の疾患について学べる。
デメリット
- 急変時は、家族への報告や診療情報提供書、看護サマリーなどの書類の作成、救急搬送の手配など少ない人数で手早くする必要がある。
- 夜勤はないが、オンコールをしなければいけない施設もある。(オンコール:夜間看護師が不在の際に利用者に異変があった場合、介護職員から報告を受け指示を出すため常に携帯電話を持っておく制度)
- どんな疾患が発症するかわからないので、臨床経験が全くない新卒看護師などは少し判断しにくいことが多いかもしれない。
商業施設の医務室や救護室
商業施設の仕事は、お客様や従業員が体調不良になった時や怪我をした際の対応になります。
ほとんどが健康な人ですが、急に体調が悪くなったり、転んで怪我をするなどといった時の処置もします。
簡単な処置は可能ですが、体調が悪化したり怪我の程度が重いと救急搬送の手配もします。
- 定時に始まり終わるので、残業などもない。
- 定休日が決まっているので、しっかり休める。
- 対応する看護師は1人ではないので、精神的負担は少ない。
デメリット
- お給料は安い。
- 看護師としての技術を使う場が少ないので、腕が落ちるかも…。
- 求人数は少なめ。
治験コーディネーター
治験コーディネーターとは、薬の治験をしたい製薬会社と治験に参加する患者さんの調整をするお仕事です。
治験には様々な施設が関わります。
例えば、製薬会社や医療機器メーカー、それを行なう病院や検査機関などです。
その人達の調整をしていきます。
担当した治験がスムーズに行なわれるように、コーディネートしていくわけです。
また治験に協力してくれる患者さんとの調整もします。
仕事内容は、看護師というよりもOLさんのようなデスクワークが多くなります。
- 夜勤がない。
- 生命に関わる現場での仕事ではないので、精神的負担が少ない。
- 土日、祝日が休み。
デメリット
- データ整理や書類作成などのデスクワークが主になるので、看護師という雰囲気ではない。
- お給料が安いところが多い。
保育所や幼稚園などの医務室
園児の健康管理、毎日の健康状態の把握、観察が主な仕事になります。
また、子供は流行性の疾患を発症する可能性がありますので、感染予防対策なども必要です。
基本的に病児の保育はしませんが、もし転んで怪我をしたら絆創膏を貼ったり、熱が出れば冷やすなど簡単な処置は行ないます。
- 子供と遊ぶのが好きな人には楽しく仕事ができる。
- 保育所などは土日や祝日が休みなので、予定が立てやすい。
- 子供の健康について学べる。
デメリット
- お給料が安い。
- 看護師は1人なので、子供になにか症状があった時の対処法について相談相手もいないので精神的負担がかかる。
- 子供に何らかの異常があった際、保護者への報告や説明などをきちんとする必要がある。
- 保育士との信頼関係を築いていく必要がある。
献血ルーム
献血に来た人の採血が主な仕事です。
献血ルームに来られる方の採血と献血のバスで現地に向かうバス内での採血という2通りがあります。
- 献血ルームの場合、定時に始まり定時に終わり残業があまりない。
- 急変がないため、精神的負担が少ない。
デメリット
- 献血バスで現地に向かう場合は、後片付けなどの時間があるため残業になる可能性がある。
- 採血以外、看護師の技術は必要としないためスキルアップは望めない。
- お給料は病院で夜勤をしている場合に比べると少ない。
以上が看護師の病院以外で働ける場所になります。
探せばもっと見つかるかもしれませんね。
では、そんな中でも新卒看護師に人気の就職先はどんなところなのでしょうか?
新卒看護師に人気の病院以外の就職先は?
新卒看護師というのは、看護師としてのスキルが全く備わっていない状態です。
そんな中、新卒看護師が病院以外で働きやすい職場とは…
- 耳鼻咽喉科クリニック
- 眼科クリニック
- 皮膚科クリニック
- 内科クリニック
- 美容外科クリニック
- 献血ルーム
- 商業施設などの医務室や救護室
これらがおすすめですね。
おすすめする理由として、これらの職場は新卒看護師で経験のない人でも比較的入っていきやすい職場だからです。
それぞれの科は、例えば、耳や目、美容などの分野に特化しているので独特な知識や技術が必要にはなりますが、それは集中して勉強し覚えてしまえば、後は慣れるだけです。
私自身は新卒看護師さんには最初は病棟勤務などを経験して欲しいと思ってはいますが、もしこういった専門的な分野で長く勤めていこうと思うのなら、こうした職場に就職するのもありかと思います。
そしてあまりおすすめしない職場として
- 産業看護師(企業内看護師)
- 高齢者施設
- 保育所などの医務室
- 治験コーディネーター
などです。
おすすめしない理由としては、これらの職場で働くには病院など臨床で経験した知識や技術が必要になってくるからです。
例えば、産業看護師は簡単な仕事に見えますが、検診などで出た結果から考えられる疾患などを推測して更に必要な検査などの検討をしたり、データを見て健康管理や生活指導などもしていかないといけません。
異常の早期発見や生活指導などは、たくさんの症例をみてきたからこそできる仕事です。
また、高齢者施設に関しては、多くの高齢者がいてどんな疾患を発症するか分からない環境です。
そんな中、その利用者に起こった症状から考えられる疾患を推測して、様子をみていいのか、それともその症状に適した医療機関への受診が必要なのかの判断を迅速にしないといけません。
また、家族への状況報告をしつつ、必要ならば救急搬送の判断をしなくてはなりません。
私も高齢者がかかる疾患を色々みてきましたが、ある程度の臨床経験がある看護師でも判断が難しい症例はたくさんあります。
医師がいない時間帯に利用者が急変して心停止を起こし、そのまま逝去されるケースも珍しくはありません。
このような仕事はやはり病院、特に病棟での臨床経験がものを言います。
確かに新卒看護師で病院以外に働ける場所はたくさんあります。
ただ、新卒看護師が上記で説明した耳鼻咽喉科や皮膚科クリニックなどに就職した場合、看護技術的にはそのクリニックに必要なスキルしか身につかないのです。
もし、そのクリニックを辞めて他の職場で働こうとしても、そこで求められる技術ができるかどうかはわかりません。
なので、未経験者歓迎であれば問題ないのですが、即戦力が欲しいクリニックや病院などでは少し就職は難しいかもしれません。
病院やクリニックは中途採用する場合、未経験者OKと言いながらもできるなら経験者に来てほしいものです。
現場でも何も知らない看護師さんにイチから教えるより、ある程度基本が身についた看護師さんに指導するほうが楽だと実際に感じます。
新卒看護師として最初に働く場所は、できるなら大きな病院での病棟勤務が一番おすすめです。
例え、1~2年でもいいのです。臨床での経験が少しでもあるのとないのとでは、その後の就職にかなり影響を及ぼします。
どの科で働くかにもよりますが、1年でも日勤と夜勤を経験していればある程度の経験ができます。急変やターミナルケアにも当たるでしょう。
何でもないちょっとした経験でも、必ずその後の仕事に役に立つ時が来るはずです。ある場面で先輩に教えてもらったことが後々役に立つことがあるんです。
そうして臨床経験を少しでもしていれば、いざという時の自信になり、だいたいどの仕事についても何とかやっていけるでしょう。
私個人の意見になりますが、新卒看護師で最初に仕事をする場所は病棟勤務をおすすめします。
病棟勤務で日勤や夜勤をしておくことは、とてもたくさんの知識や技術を習得でき、その経験はその後どんな職場で働いても役に立つからです。
看護師の働く場所は病院以外はどこかなどについてのまとめ
今回は、看護師が病院以外で働ける場所などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
- 個人医院やクリニック:眼科・耳鼻咽喉科・皮膚科・神経内科など
- 個人医院やクリニック:内科、整形外科に関して
- 美容外科クリニック
- 産業看護師(企業内看護師)
- 高齢者施設
- 商業施設の医務室や救護室
- 治験コーディネーター
- 保育所や幼稚園などの医務室
- 献血ルーム
- 耳鼻咽喉科クリニック
- 眼科クリニック
- 皮膚科クリニック
- メンタルクリニック
- 内科クリニック
- 美容外科クリニック
- 献血ルーム
- 商業施設などの医務室や救護室
看護師の働く場所として病院以外でもたくさんあります。
病院以外で仕事をする時には、これまでの看護師としての経験がある程度あればほとんどの場合就職できるでしょう。そして、また病院に戻ることもできます。
ただし、新卒看護師が病院以外に就職すると、そこから別の職場に変わる際に就職先の選択範囲がかなり狭くなってくることを覚悟しないといけません。
また、色々な職場を経験をすることも大切ですが、どの職場も直接ではなくても人の生命が関わっている仕事です。
その責任を考えて、どんなふうに自分の看護師人生を歩んでいきたいのかをしっかり考えながら、職場を選択していくことが大切になってきます。