看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『女性の尿管結石の症状は腰痛や吐き気?初期には下痢や発熱も?』というタイトルでお送りします。


尿管結石は男性のほうが女性の患者さんより多いと言われています。男性になぜ多いのかは不明です。

男性のほうが多いと言われている理由に、ネットではよく「男性の尿管のほうが長いから」などという情報を載せているのを見ますが、それについては科学的根拠が全くありません。

結石ができる原因も確実なことは判明していないですし、男性に多いと言われる理由も現在ではまだ不明です。

そんな中、私は女性ですが尿管結石を持っており、数年毎に何回も再発を繰り返しています。

女性が尿管結石になった場合にどんな点に注意すべきかなどについてお伝えできればと思います。
 

まず、症状を説明する前に、尿管結石ができる場所を簡単に説明しておきたいと思います

尿管結石は腎臓と膀胱の間の尿の通り道にできた結石のことを言います。

尿管結石は腎臓と膀胱の間の尿の通り道にできた結石

他にも腎臓にできる腎結石、膀胱にできる膀胱結石などありますが、今回は尿管にできる尿管結石の症状に関して紹介していきます。



 

女性の尿管結石の症状は腰痛や吐き気?

女性が尿管結石にかかったら、どんな症状が出るのでしょうか?

女性の尿管結石の症状

尿管結石の代表的な症状を4つ紹介します。

1.疝痛(せんつう)といわれる背部から腰部、または側腹部にかけてに激しい痛み

疝痛(せんつう)とは、結石で尿管が急に詰まった時に、そこから尿が流れず尿管が押し広げられて痙攣(けいれん)を起こすために出る痛みのことです。

そして、もし結石が動いて場所が変わると、背部から腰部、そして側腹部(脇腹のあたり)や下腹部に痛みが移動することもあります。
 

2.血尿(けつにょう)

血尿は見た目で赤いことが確認できる場合と、見た目にはわからない場合があります。

結石は移動したりすると、尿管など通過した部分を傷つけながら移動します。

その際にできた傷から出血をしてしまうと、尿に血が混じることがあるのです。

見た目にはわからなくても、調べてみると潜血の反応が出ていることが多いです。
 

3.吐き気や嘔吐(おうと)

疝痛の痛みは強い痛みで、その痛みが吐き気や嘔吐の症状を引き起こすと言われています。
 

4.頻尿(ひんにょう)や残尿感(ざんにょうかん)

もし尿管結石が移動して膀胱の近くまで降りてくると、頻尿(トイレが近くなる感じ)や残尿感(排尿後もまだ尿が残っている感じ)といった膀胱を刺激する症状が出ることがあります。

などがあります。
 

実は、尿管結石の症状は男性も女性も変わらず同じ症状です。

ただ女性の場合に知っておいて欲しいことがあります。

女性で腰痛や下腹部痛がある時に注意すべきこと

男性と違って、女性で腰痛や下腹部痛がある場合、婦人科系の病気と間違う可能性があるということです。

*婦人科系の病気というのは、子宮や卵巣などの病気です。

尿管結石は急に生命に関わる事態になることはあまりないのですが、婦人科の病気だと緊急の処置が必要になる病気があるのです。(子宮外妊娠や卵巣腫瘍破裂など)

女性で腰痛や下腹部痛がある時に注意すべきこと

自分でどちらの病気なのかは恐らく判断できません。

でもどちらの病気にかかったとしても、痛みがひどい場合には

「どこが悪いんだろう?なんの病気なんだろう?」

と考えている余裕はありません。

ですので、女性の場合にはなるべく早くに病院を受診したほうがいいと思います。
 

では次に、尿管結石を発症した初期に起こる症状として、下痢や発熱について気にしている人が多いようですので説明していきたいと思います。

実際に下痢や発熱はあるのでしょうか?



尿路結石の初期症状に下痢や発熱はある?

尿路結石にかかった際、初期に出る症状として下痢や発熱が出る可能性は低いです。

下痢に関しては、尿管結石の病気とは関連性がない症状なので、もし下痢の症状が出ていたとすればたまたまであったと思われます。

もし同時に胃腸が弱っていたとすれば下痢になる可能性もありますし、尿管結石が起こったストレスで下痢になってしまうことも考えられます。

でも、尿管結石が原因で下痢は起こることは考えにくいです。

そして発熱に関してですが、これも初期の症状としていきなり発熱が出ることはあまりありません。

尿管結石の症状は急に発症して症状が現れます。

その初期に起こる症状として発熱は考えにくい症状です。

しかし、もし結石が尿管に詰まったまま動かない場合には、「腎盂腎炎(じんうじんえん)」という病気を引き起こす可能性があります。

腎盂腎炎はどこからか侵入してきた細菌に感染して腎盂が炎症か起こす病気です。

普通、健康であれば細菌が入ってきても排尿と一緒に流してしまうのですが、結石で尿の流れが悪い場合に腎盂腎炎になってしまうことがあります。

この腎盂腎炎の症状は腰痛や38.0℃以上の高熱などです。

尿路結石の初期症状に下痢や発熱の可能性は低い

なので、初期の発熱は考えにくくても、尿管結石の症状が出始めて我慢し続けている経過の中での発熱には注意が必要です。

そのような時にはあまり我慢せずに、病院を受診するようにしましょう。

また、もし尿管結石の症状が出始めた初期の頃から発熱があるとすれば、尿管結石とは別の病気を発症している可能性もあるので、その場合もやはり早めに受診するようにしましょう。
 

では、尿管結石を発症した場合の治療方法とはどんなことをするのでしょうか?

尿管結石の症状が出た場合の治療方法は?

結石の大きさが5mm以下のような小さな結石は動く可能性が高いので、痛み止めの薬などを使いながら自然に排出するのを待ちます。

5~10mmくらいの大きさの結石は、結石ができている場所や患者さんの年齢や、他に持っている持病など色々な患者さんの背景を考えて処置方法を検討します。

10mm以上の大きい結石の場合には、動かないケースも多く次のような処置がとられます。

  • 体外衝撃波結石破砕術(たいがいしょうげきはけっせきはさいじゅつ)(ESWL)
  • 経尿道的尿管砕石術(けいにょうどうてきにょうかんさいせきじゅつ)(TUL)

といった処置がとられます。
 

体外衝撃波結石破砕術は、身体には傷をつけることなく体外から衝撃波を当てて、結石を細かく砕いて身体の外に尿と一緒に排出させる治療法です。

尿管結石の症状の治療方法 体外衝撃波結石破砕術

そして、経尿道的尿管砕石術は尿道から細い内視鏡を入れて、結石をモニターで観ながらレーザーで砕き、取り除いていく治療法です。

尿管結石の症状の治療方法 経尿道的尿管砕石術

この治療は麻酔をして行ないますので痛みは伴わないです。

特徴として、体外衝撃波結石破砕術は結石が大きければ何回かに分けて行なう必要がありますが、経尿道的尿管砕石術のほうは一度で確実に取り除くことが可能です。

女性の尿管結石の症状についてのまとめ

今回は女性の尿管結石の症状について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

女性の尿管結石の主の4症状

・疝痛といわれる背部から腰部、または側腹部にかけてに激しい痛み
・血尿
・吐き気や嘔吐
・頻尿や残尿感

 

尿路結石の初期症状に下痢や発熱はある?

初期に下痢や発熱の症状は考えにくいが、発熱に関しては腎盂腎炎の可能性もあるので注意が必要。

 

女性の場合には、男性と違って腎臓や膀胱がある付近に子宮や卵巣などの臓器があります。

そういう婦人科系の臓器になにか炎症があった場合でも、尿管結石と同じような痛みが出たりします。

そういった意味ではどちらの病気なのかの判別はとても重要になってきますし、早めの対応が必要です。

あまり我慢することなく、異変を感じた際にはすぐに受診するようにしましょう。