今回は、『肌のかゆみの原因は夏と冬で違う?ストレスや乾燥のせいもある?内臓も』というタイトルでお送りします。
私達の身体をいつも一番外側から守ってくれている組織、それが皮膚、肌です。
時々、原因のわからない肌のかゆみでイライラしたり、掻いて痛い思いをしたことがありませんか?
「そんなにひどくて病院に行くほどでもないけど、でもやたらかゆいのはなぜなんだろう…」
と悩んでいる人も多いと思います。
今回はそんな肌のかゆみの原因について説明してきたいと思います。
肌のかゆみの原因は?
まず最初に、肌のかゆみの原因にはどんなものがあるのかを説明していきたいと思います。
肌のかゆみの原因は、主に次の2つにわけられます。
- 皮膚の病気でかゆみが起こる
- 皮膚の病気以外の原因でかゆみが起こる
それぞれ説明していきましょう。
皮膚の病気というのは、
- アトピー性皮膚炎
- じんましん
- 接触性皮膚炎
- 白癬(ミズムシ)
などがあります。
これらが原因で起こるかゆみは、その治療を受けることによって解決するでしょう。
皮膚の病気以外の原因で肌のかゆみが出る場合、これらを
「皮膚そう痒症(ひふそうようしょう)」と言います。
皮膚そう痒症には、
全身の肌にかゆみが出る「全身性皮膚そう痒症」と、
身体の限られた一部にかゆみが出る「限局性(げんきょくせい)皮膚そう痒症」があります。
それぞれの原因を次に説明します。
全身性皮膚そう痒症の原因は?
全身性皮膚そう痒症の原因として考えられることは…
- 肌の乾燥
- 内臓や血液の病気
- 薬の影響
- ストレス
などです。
かゆみが強く皮膚科を受診しても、考えられる原因は多いのでひとつに特定できず、結局原因はわからないということも多いです。
限局性皮膚そう痒症の原因は?
限局性のものは、肛門の周りや外陰部に起こることが多いです。
限局性皮膚そう痒症の原因として考えられることは…
- 尿道炎やトリコモナス膣炎などの性感染症
- 蟯虫(ぎょうちゅう)や毛じらみなど寄生虫によるもの
- 便が接触することによるかゆみ
- ストレス
などがあります。
そして肌のかゆみは、夏と冬で原因が違ったりします。
次に、夏と冬、それぞれで特徴的な肌のかゆみの原因を紹介します。
この記事を読んでいるのが夏であれば夏の説明の部分を、冬であれば冬の部分を読んでみてください。
肌のかゆみの原因は夏と冬で違う?ストレスや乾燥のせいも?
肌のかゆみの原因は夏と冬で違ってきます。
肌のかゆみの原因:夏の場合
夏はなんと言っても暑いので、汗の量が増えることがかゆみの大きな原因となります。
汗をかいた後に、汗の成分が蒸発してその塩分やアンモニアが刺激になってかゆみが出るのです。
更には、汗や皮脂がくっついた肌にホコリなどが付いて、これも刺激になってしまいます。
汗による肌のかゆみが出やすいのは、皮膚が薄くて弱い部分や乾燥が強い部分です。
夕食
特に首周り、お腹周りも蒸れたり、服との摩擦が起こりやすく、どうしてもかゆくなってしまいます。
そして、夏は紫外線量が多いということも原因のひとつです。
目に見える日焼けをしていなくても、紫外線を浴びた肌はダメージを受けます。
もし肌の奥まで紫外線が届いてしまうと肌の組織を壊して、かゆみだけではなく、シワやたるみも引き起こしてしまいます。
また、紫外線を浴びた肌はかなり乾燥してしまうのです。
肌が乾燥すると、肌を守るバリア機能がうまく働かなくなって、敏感になりちょっとした刺激でもかゆくなったりします。
では冬はどうでしょうか?
肌のかゆみの原因:冬の場合
冬はやはり乾燥することが大きなかゆみの原因となります。
健康な肌は、角質細胞の間にセラミドなどの細胞間脂質(さいぼうかんししつ)というものが十分あって、しっとりとして、潤いがあるのです。
そして、角質層の表面には皮脂と汗が混ざりあった皮脂膜に覆われていて、肌の内部の水分が蒸発するのを防いでくれています。
でも皮膚が乾燥してしまうと、その皮脂膜が壊れて肌の内部の水分が蒸発していくのでその結果、セラミドなども不足して角質層がカラカラになってしまいます。
そうなるとバリア機能がなくなって、外からの刺激が直接的に肌の内部に侵入してしまい、ちょっとした刺激でもかゆくなったりするのです。
この乾燥によるかゆみを引き起こしやすいのは、主に腕や脚などです。
よく、冬になると腕や脚のふくらはぎなどが乾燥して粉をふいたようになってしまうことはないでしょうか?
これは乾燥状態が進んでいる状態なんですね。この粉の正体は、肌の表面の角質層なのです。
本来は肌の一番外側で潤いを閉じこめてくれるはずの角質層なのですが、乾燥によって角質がボロボロと剥がれ落ちてしまいます。
これが脚のふくらはぎなどによく見られる粉の正体です。
このように、乾燥してかゆみが出やすい部分があるのは、身体の各部分によって分泌される皮脂量に違いがあるからなのです。
顔や身体の中心(胸や背中など)は皮脂腺が多く皮脂の分泌量が多く、一方、腕や脚などは皮脂腺が少なくて、乾燥しやすいわけです。
また、腕や脚は衣服によっては(例えばスカートなど)外気にさらされやすい部分なので、外部からの色んな刺激が原因となってかゆみが出やすくなります。
これまでに説明した皮膚そう痒症の原因には意外にもストレスが入っていますが、このストレスは肌のかゆみの原因とどう関係しているのでしょうか?
肌のかゆみの原因:ストレス
かゆみの原因になるのは、肌に直接触れるものばかりではありません。
精神的なストレスもかゆみに影響を及ぼしています。
脳がストレスを感じると、神経にもその刺激が伝わって、皮膚の神経の末端から神経ペプチドという神経伝達物質が放出されます。
そしてこの神経ペプチドが、皮膚に存在する肥満細胞を刺激しかゆみの原因となるヒスタミンを分泌してしまうのです。
こうしてかゆみを感じて掻いてしまうと、更にそれがストレスになり、どんどんかゆみが拡がっていくこともあるのです。
肌のかゆみはストレスが原因だとはなかなか特定することは難しいですが、なるべくかゆみを意識し過ぎないように気を紛らわしてみるのもいいことだと思います。
これまでに、肌のかゆみの原因になることを色々説明してきましたが、実は内臓の病気が肌のかゆみに関係していることがあるのです。
次はそんな「肌のかゆみと内臓の関係」について説明していきたいと思います。
肌のかゆみの原因に内臓の病気が関係ある?
全身性皮膚そう痒症の原因として、考えられる病気には次のようなものがあります。
・糖尿病
血糖を下げるホルモンの異常によって血糖値が上昇する病気です。合併症のひとつとして、身体のかゆみがあります。
・甲状腺機能異常(こうじょうせんきのういじょう)
甲状腺機能が著しく亢進してしまったり、逆に低下してしまう病気にかかると症状のひとつとして、かゆみが出てきます。
・肝臓の病気
肝臓の病気など肝障害がなぜかゆみを引き起こすのかというメカニズムはまだ分かっていませんが、肝臓の病気ではかゆみが出ることが多いです。
・慢性腎不全(まんせいじんふぜん)
腎臓の機能が低下して、体内の老廃物を処理できなくなる病気です。
腎臓の機能が低下すると、むくみやだるさと同時に全身のかゆみを訴える人が多くなります。
そして、透析(とうせき)と言われる腎不全の人に行なう治療を始めると、かなり高い確率で全身のかゆみが出てきます。
その理由は、尿毒素の問題や甲状腺機能異常によるものが考えられています。
・膠原病(こうげんびょう)
全身の血管や皮膚、筋肉、関節などに炎症がみられる病気ですが、その症状としてかゆみがあります。
これらの病気が原因で肌がかゆくなることがあるのです。
それ以外にもまだかゆみの症状がある病気は色々ありますが、主な病気を説明してみました。
肌のかゆみの原因などについてのまとめ
今回は肌のかゆみの原因について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
・夏と冬で違いがある。
・夏は気温が高く発汗量が多くなることで、汗をかいた後の塩分やアンモニアが肌への刺激となりかゆみが出る。
・紫外線量が多いので、肌へのダメージとなり乾燥して外部からの刺激を直接受けてかゆみの反応が出る。
・冬は乾燥によって皮脂膜が壊れてバリア機能が崩れて肌が敏感になり、外部からのちょっとした刺激でかゆみを生じる。
・肌はストレスを感じると、神経ペプチドという物質が肥満細胞を刺激して、かゆみの原因となるヒスタミンを分泌させてしまいかゆみが出てくる。
内臓の病気が原因でかゆみが出ることはある。次のような病気がある。
- 糖尿病
- 甲状腺機能異常
- 肝臓の病気
- 慢性腎不全
- 膠原病
などです。
肌のトラブルは内臓などと違って、かゆみから湿疹などになって炎症を起こしてしまうと、特に目立ちやすいのでとても気になると思います。
こうして原因が分からないかゆみも色々あるとなれば、もっと悩みが深くなります。
ただ「このような原因があるんだな」と知っておくと、自分の状態が当てはまるものが出てくるかもしれませんので、少しでも参考になればと思います。