今回は、『糖尿病治療薬の種類と特徴は?低血糖や肥満など副作用一覧も!』というタイトルでお送りします。
糖尿病の治療方法は、主に食事療法、運動療法、そして薬物療法になります。
糖尿病の治療は、まず最初に食事療法や運動療法で経過をみます。
そして、それでも血糖値のコントロールがなかなかうまくいなかい場合には、内服薬の治療を開始します。
内服薬も豊富な種類のお薬があって、どのお薬が一番合うのかを担当医が色々考えながら処方してくれます。
今回は、そんな糖尿病の治療薬の種類や特徴について説明していきたいと思います。
糖尿病治療薬の種類と特徴は?
2型糖尿病と言って、肥満や運動不足、食べ過ぎなどが主な原因となっている糖尿病の場合には、原則として2~3ヶ月間程、生活習慣を見直して血糖値のコントロールを試みます。
それでも全く血糖値のコントロールが改善しない場合に内服薬を開始します。
そして、その際に使う飲み薬は3つのタイプに分類されます。
- インスリンの働きを良くする薬
- 糖の吸収や排泄(はいせつ)を調整する薬
- インスリンを出しやすくする薬
これらの種類に分かれます。
この中から、患者さんの身体の状態や血糖値、合併症の有無など色々なことを考えながら、薬を選択していきます。
では、上記の3つの種類の中で実際に処方されている治療薬の作用や特徴について、そして更にお薬の名前などを画像と共に紹介していきましょう。
お薬の名前はまず、一般名を記し、カッコ内に商品名を記します。
少し難しい名前が並ぶと思いますが^^; 紹介していきたいと思います。
インスリンの働きを良くする薬
インスリンの働きを良くして、効きやすくするするお薬の中には、
- ヒグアナイド薬
- チアゾリジン薬
というお薬があります。
その作用と特徴については
作用…肝臓でブドウ糖が産生されるのを抑えたり、インスリンに対する身体の感受性を高めるなどして、血糖値を下げます。
特徴…単独で使う場合は低血糖になる可能性が少ないことと、体重が増えにくいことです。
では、それぞれ説明していきましょう。
ヒグアナイド薬
ヒグアナイド薬の中には、
- ブホルミン塩酸塩
- メトホルミン塩酸塩
などの種類のお薬があります。
次にお薬の画像を紹介します。
↓ブホルミン塩酸塩(ジベトス)
↓メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、グリコラン)など
チアゾリジン薬
チアゾリジン薬というお薬の作用と特徴は、
作用…脂肪組織や筋肉などに働きかけて、インスリンに対する感受性を高めて血糖値を下げます。
特徴…単独で使う場合は低血糖になる可能性が少ないことです。
チアゾリジン薬にはピオグリタゾン塩酸塩などがあります。
次にお薬の画像を紹介します。
↓ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)
糖の吸収や排泄(はいせつ)を調整する薬
糖の吸収や排泄を調整するお薬の作用と特徴は、
作用…小腸での糖の消化を抑制して、吸収を遅らせて食後の高血糖を抑制します。
特徴…単独で使うと低血糖の可能性が低いお薬です。
お薬には次のようなものがあります。
- α-グルコシダーゼ阻害薬
- SGLT2阻害薬
などの種類のお薬があります。
ひとつずつ紹介しましょう。
α-グルコシダーゼ阻害薬
α-グルコシダーゼ阻害薬には
- アカルボース
- ボグリボース
- ミグリトール
などのお薬があります。
次にお薬の画像を紹介します。
↓アカルボース(グルコバイ)
↓ボグリボース(ベイスン)
↓ミグリトール(セイブル)
などです。
SGLT2阻害薬
SGLT2阻害薬の作用と特徴は、
作用…腎臓でブドウ糖の再吸収を抑制して、尿の中の糖の排泄を促進して、血糖値を下げます。
特徴…尿量が多くなるため脱水になりやすいため、水分摂取が必要です。
SGLT2阻害薬のお薬には
- イプラグリフロジンL-ブロリン
- ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物
- ルセオグリフロジン水和物
などの種類のお薬があります。
次にお薬の画像を紹介します。
↓イプラグリフロジンL-ブロリン(スーグラ)
↓ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ)
↓ルセオグリフロジン水和物(ルセフィ)
などです。
インスリンを出しやすくする薬
主にインスリンの分泌を促進して、血糖を下げていきます。
そのお薬には次の
- スルホニル尿素薬
- 速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)
- DPP-4阻害薬
などの種類のお薬があります。
ではそれぞれ説明しましょう。
スルホニル尿素薬(SU薬)
スルホニル尿素薬の作用は、インスリンが出てくる膵臓の細胞を刺激してインスリンの分泌をよくすることで血糖値を下げます。
スルホニル尿素薬には
- グリベンクラミド
- グリクラジド
- グリメピリド
などの種類があります。
次にそれぞれのお薬の画像を紹介します。
グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)
グリクラジド(グリミクロン)
グリメピリド(アマリール)など
速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)
膵臓に作用して、インスリン分泌を促しすぐに血糖を下げる速効型インスリン分泌促進剤の作用と特徴は、
作用…服用後すぐに効果がみられ、短時間作用してインスリンの分泌を促進して血糖値を下げます。
特徴…吸収と血中から消失するのがとても速いお薬です。食後の血糖値が上昇する際の調整に適しているので、食直前に服用します。
速効型インスリン分泌促進剤には、ミチグリニドカルシウム水和物などがあります。
ミチグリニドカルシウム水和物(グルファスト)
DPP-4阻害薬
DPP-4阻害薬の作用と特徴は、
作用…血糖を下げる作用を持つ消化管のホルモン(インクレチン)の分解を阻害することで、インクレチンの血中濃度を高めて、血糖を下げやすくします。
特徴…単独で使うと低血糖の可能性が低いお薬です。
DPP-4阻害薬には
- シタグリプチンリン酸塩水和物
- ビルダグリプチン
- アログリプチン安息香酸塩
- リナグリプチン
などがあります。
次にお薬の画像を紹介します。
シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア、グラクティブ)
ビルダグリプチン(エクア)
アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)
リナグリプチン(トラゼンタ)
などです。
では最後に、一部の治療薬についての低血糖や肥満(体重増加)など副作用の説明を加えた一覧の表を紹介します。
糖尿病治療薬の副作用一覧(低血糖や肥満など)
これら薬物療法のポイントとなるのは…
- 低血糖(ていけっとう・血糖値が下がり過ぎること)を起こさないこと
- 血糖が下がったり上がったりと不安定にならないこと
- HbA1C(1~2ヶ月の平均の血糖値)を目標値※まで下げること
- 体重を増やさないこと
目標値は、合併症や低血糖の可能性など色々考慮しながら決めていきます。
などになります。
糖尿病治療薬の種類と特徴などについてのまとめ
今回は糖尿病治療薬の種類と特徴などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
糖尿病治療薬の種類と特徴は?
ヒグアナイド薬…
ブホルミン塩酸塩(ジベトス)・メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、グリコラン)など
チアゾリジン薬…
ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)など
α-グルコシダーゼ阻害薬…
アカルボース(グルコバイ)ボグリボース(ベイスン)ミグリトール(セイブル)
SGLT2阻害薬…
イプラグリフロジンL-ブロリン(スーグラ)
ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ)
ルセオグリフロジン水和物(ルセフィ)
スルホニル尿素薬(SU薬)…
グリベンクラミド(ダオニール、オイグルコン)
グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)など
速効型インスリン分泌促進剤(グリニド薬)…
ナテグリニド(ファステック)
ミチグリニドカルシウム水和物(グルファスト)など
DPP-4阻害薬…
シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア、グラクティブ)
ビルダグリプチン(エクア)
アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)
リナグリプチン(トラゼンタ)
などのお薬になります。
どれも難しい一般名で、なかなか分かりにくいと思います。
これらのお薬は一回飲み始めると一生飲み続けないといけないのではないかと心配になるかもしれませんが、一時だけ服用することで症状が回復して、服用中止になるケースも多いのです。
しかし、内服薬での治療を終了させるには、やはり食事療法や運動療法は大変重要になってきます。
担当医の先生からの指導内容をできるだけ守って、薬物療法を終了できるように血糖値を改善していきましょう。