今回は、『腹膜炎の原因は?ストレスや性行為なども関係ある?症状についても説明!』というタイトルでお送りします。
腹膜炎(ふくまくえん)という病気をご存知でしょうか?
病名を見ると「腹膜の炎症かな」と想像できると思います。では、
腹膜というのはいったいどこにある臓器なんでしょうか?
今回は、この腹膜炎とはどんな病気で、その原因はどういったものなのかについて説明していきたいと思います。
腹膜とはなに?
腹膜炎の原因について説明するまえに、腹膜とはどんなものなのかについて説明していきましょう。
下の画像にあるように、腹膜というのは、胃や肝臓などといったお腹の中にある臓器の全体や、お腹の内側の壁を覆っている薄い半透明の膜のことを言います。
腹膜には、次のような役割があります。
- お腹の中の臓器の動きを滑らかにして保護する。
- お腹に細菌などばい菌が侵入してきたりすると、お腹の中に腹水と言われる液体を作り、ばい菌に対する防御反応(ぼうぎょはんのう)を示して身体を守ろうとする。
などです。
では、腹膜炎とはどういった病気なのでしょうか?
腹膜炎とはどんな病気?
腹膜炎というのは、腹膜になんらかの原因で炎症が起こってしまった状態のことを言います。
その炎症の範囲が、一部分に限局していれば「限局性腹膜炎(げんきょくせいふくまくえん)」と言い、
お腹の中全体に拡がってしまった場合を「汎発性腹膜炎(はんぱつせいふくまくえん)」と言います。
当然、一部分の炎症よりもお腹全体の炎症のほうが、重篤な状態です。
また、腹膜炎は次の2種類に分かれます。
- 急性腹膜炎
- 慢性腹膜炎
この2つです。
急性腹膜炎は、急激に症状が現れ、何も処置をせず放置しておくと死に至ることもある危険な病気です。
そして、慢性腹膜炎は、ゆっくりと病状が進むことで腹水(お腹の中に体液が溜まること)が溜まるのが特長の腹膜炎です。
では、腹膜炎の原因について説明していきましょう。
また、急性と慢性の腹膜炎では原因や症状も違ってくるので、ここからは急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分けて説明していきます。
腹膜炎の原因は?
腹膜炎の原因は次にあげるような病気が原因となります。
- 胃や十二指腸潰瘍の穿孔(せんこう)…潰瘍(かいよう)がひどくなり、胃や十二指腸に穴があいてしまうことによるもの
- 虫垂炎(ちゅうすいえん)…いわゆる盲腸の炎症によるもの
- 胆のう炎…胆のうという臓器の炎症によるもの
- 急性膵炎(きゅうせいすいえん)…膵臓の急激な炎症によるもの
- 骨盤腹膜炎(こつばんふくまくえん)…骨盤の中にある臓器の炎症。女性で子宮や卵巣・卵管などの周りの炎症によるもの
などです。
そして、次に慢性腹膜炎です。
- 結核の感染や発症…結核に感染し、血液を介して腹膜にも炎症してしまうことによる。
- 悪性腫瘍(がん)…肝臓や子宮、卵巣などの内臓にがんができて、それが腹膜に転移することによるもの。
- 何らかの病気の開腹手術(お腹を切る手術)をしたあと、腸などの癒着(ゆちゃく・くっついてしまうこと)によるもの。
以上が、急性腹膜炎と慢性腹膜炎のそれぞれの原因です。
ここまで紹介した原因以外に、ストレスや性行為なども原因になるのか疑問に思っている人も多いです。
次に、ストレスや性行為が腹膜炎の原因になるのかについて説明していきます。
ストレスや性行為が原因で腹膜炎になる?
単刀直入に言うと、ストレスや性行為が原因で腹膜炎を発症することはあります。
ストレスがどのように腹膜炎につながるのかというと、
まず、ストレスが強くかかると胃が荒れたりして、胃潰瘍や十二指腸潰瘍などを発症しやすくなります。
胃や十二指腸潰瘍で穴があいてしまい(十二指腸潰瘍穿孔)、穴が空いてる部分から腸液などが漏れて、腹膜に炎症を及ぼしてしまいます。
そして、性行為に関しても、これが腹膜炎の原因のひとつとなります。
特に女性が性行為によってクラミジア感染症にかかってしまうと、クラミジアは身体の奥のほうにどんどん侵入してしまいます。
そして、子宮内膜症、卵管炎などを経過して、腹膜炎を発症してしまうのです。
では、次に腹膜炎の症状について説明していきましょう。
腹膜炎の症状は?
腹膜炎の症状は次のような症状です。
ここでも、急性腹膜炎と慢性腹膜炎に分けて説明していきましょう。
急性腹膜炎の場合
- 突然の腹痛
- 痛みが少しずつ拡がってくる
- 激痛が続く
- 痛みが周囲の臓器に響くように感じる
- お腹が触れると硬くなる
- 発熱
- 動くことができない
急性腹膜炎の症状は、痛みだけではなく、それに伴うショック症状として、次のような症状が現れることもあります。
- 血圧が下がる
- 意識障害(意識が遠のくような感じ)
- 冷や汗
- 嘔気、嘔吐(おうと)
などです。
このようなショック症状が現れたときには、もう自力で行動はできないため素早い救急搬送が必要です。
ここに挙げている腹痛というのは、私たちが普段時々感じるような排便前にお腹がギューっと痛くなるとか、女性であれば生理痛に似たような痛みなどをとはかけ離れた痛みです。
そんな程度の痛みではありません。本当に身動きできないくらいの痛みになります。
では、次に慢性腹膜炎の症状を説明します。
慢性腹膜炎の場合
慢性腹膜炎の場合、急な強い腹痛などはなく、お腹の中に腹水が溜まってお腹が張ります。
そのため、全身的な症状としては、次にような症状が現れることがあります。
- 全身的にだるい感じがある
- 食欲がなくなる
- 微熱が出る
- 我慢できる程度の痛みが長期で続く
やはり、急性と慢性の腹膜炎とでは、大きな違いとしては急に激しい痛みが出るのか出ないかだと思います。
それぞれの特徴を知って、早めに受診するようにしましょう。
腹膜炎の原因や症状などについてのまとめ
今回は、腹膜炎の原因や症状などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
腹膜炎の原因は
- 胃や十二指腸潰瘍の穿孔
- 虫垂炎
- 胆のう炎
- 急性膵炎
- 骨盤腹膜炎
などです。
ストレスは胃や十二指腸潰瘍の状態を悪化させて穿孔(臓器に穴をあけてしまう状態)の危険性があるので原因におひとつとして考えられます。
また、性行為によって感染する可能性のあるクラミジア感染症によって、子宮や卵管がクラミジアに感染してやがて腹膜炎に移行しやすいため、腹膜炎の原因として十分考えられます。
急性腹膜炎
- 突然の腹痛
- 痛みが少しずつ拡がってくる
- 激痛が続く
- 痛みが周囲の臓器に響くように感じる
- お腹が触れると硬くなる
- 発熱
- 動くことができない
慢性腹膜炎
急な強い腹痛などはなく、お腹の中に腹水が溜まってお腹が張り、微熱やだるさなどが現れる
腹膜炎という病気は、ここで説明してきたように、その原因や症状はひとつではなく様々な原因や症状があります。
特に急性腹膜炎に関しては、すぐに処置をしないと生命に関わってきますので、我慢せずになるべく早く受診するようにしましょう。
恐らく痛みの程度はかなり強いものになりますので、それくらいの痛みがあるとしたら救急搬送をしてでもすぐに受診するようにしましょう。