今回は、『梅毒の感染経路は?風呂やトイレなど日常生活の中で感染する確率は?』というタイトルでお送りします。
梅毒という性感染症が今、ものすごい勢いで増加しているのをご存知でしょうか?
以前は、発展途上国で多くかかる病気だという認識の人が多かったと思います。
しかし、日本の感染者は2010年頃より毎年増加傾向で、2017年12月17日までの速報値で5,534人の感染者が国立感染症研究所によって報告されています。
↓その報告書については、こちらの記事をご参照ください。
国立感染症研究所 感染症週報(https://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2017/idwr2017-50.pdf)
この5000人を越す患者数というのは、1973年依頼の44年ぶりなのです。
ちなみに、2013年には1226例となっていますのでどんどん増えていっているのが分かります。
また、これは報告されている患者数ですので、例えば、症状が治まっているからと受診していない人を含めれば、かなりの患者数になっていることが想像できます。
今回はそんな梅毒の感染経路などについて説明していきたいと思います。
梅毒とはどんな病気?
梅毒の感染経路を説明する前に、梅毒について簡単に説明しておきましょう。
梅毒とは、梅毒トレポネーマという病原菌によって発生する感染症のことです。
昔から淋病と共に性病としては有名な病気で、1940年代にペニシリンが普及し始めてから劇的に患者数は減っていきました。
しかし、近年多くの国々で感染者が増加してきているのです。
梅毒の症状などは、4期の段階に分かれていて、それぞれ特徴が異なります。
それぞれの症状についてはこちらの記事もご参照ください。
では次に梅毒の感染経路について説明していきましょう。
梅毒の感染経路は?
その感染経路は主には性交渉によるものです。
性交渉の時に、例えば梅毒の症状が皮膚に出ている部分を口で舐めたり、手で触れたりして粘膜や皮膚が直接触れ合うことで感染します。
また、輸血血液や注射の回し打ちなどでの感染の可能性もありますが、現在では血液製剤はきちんと検査していますし、注射器具は全て使い捨てなので感染の可能性は低いです。
そして性行為には、例えば、性器と性器、性器と口の接触(オーラルセックス)、性器と肛門(アナルセックス)などがあり、これらが原因で感染します。
また、梅毒の第1感染経路は性行為なのですが、妊娠中に母体から感染してしまう母子感染による先天性梅毒(せんてんせいばいどく)もあります。
では、この梅毒の感染ですが、お風呂やトイレなど日常生活の中でも感染してしまうのでしょうか?
その確率はどれほどなのでしょう?
梅毒はお風呂やトイレなど日常生活でも感染する?感染する確率は?
梅毒の感染経路を説明してきましたが、お風呂やトイレなどでも感染するのでしょうか?
この、梅毒スピロヘータと言われる病原体は、身体の外に出てしまうと急速に死んでしまいます。
ですので、物を介した感染は難しいわけです。
例えば、日常生活におけるお風呂やトイレの便座、食器や衣類を共に使ったりしても、そのことで感染することは一般には不可能であり、確率も0であると言えます。
温泉などで同じお湯に浸かっても大丈夫かと心配する人もいるかもしれませんが、同じお湯に浸かっても感染はしません。
では性交渉以外では絶対に感染しないかというと必ずしもそうではなく、性交渉ではなくても感染した部位を手で触れてしまい、たまたまその手に小さな傷があればもう感染が成立してしまいます。
なので、日常生活をする上で物を介した感染はしませんが、粘膜や皮膚が触れてしまえば感染してしまうということになります。
では、キスでの感染はどうでしょうか?
梅毒はキスでも感染してしまう?
梅毒はキスでも感染する可能性があります。
例えば、オーラルセックスなどで口腔内に感染してしまうと口内炎のように口の中や喉などに発疹などの病変ができてしまいます。
そして、その口でキスをしてしまうと感染してしまうことがあるのです。
梅毒の感染経路で一番多いのは性交渉と説明しましたが、この性交渉は異性間、同性間のどちらが多いのかについて説明しましょう。
梅毒感染患者の原因となる男女別性交渉の相手の性別は?
こちらはデータで説明したいと思いますが、日本でも一番梅毒感染例が多い東京の例を挙げてみましょう。
このグラフを見てわかるのは、
- 男性…2009年~2014年は同性間性的接触が50%以上を占めていますが、それ以降は異性間性的接触の割合が増加している。
- 女性…圧倒的に異性間性的接触がほぼ60%以上を占めている。
という結果です。
この報告は、東京都感染症情報センターの発表によるものです。
↓詳細はこちらの記事をご参照ください。
http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/diseases/syphilis/syphilis2006/
(東京都感染症情報センター:2018年1月5日更新)
結果的には、男女ともに異性間での性交渉が原因となるケースがとても多いということがわかります。
しかし、なぜ異性間での性交渉が原因となる事例が増えているのかはわかりません。
特に若い世代での不特定多数の相手との性交渉が多くなっているという見方をする医師もいる一方、梅毒の患者さんが増えてきたという情報を知り、病院を受診・検査を受ける人が増えたことで発覚した事例が増えたのではないかという見方をする医師もいるのです。
何故、梅毒が増加しているのか、また異性間性交渉で増加しているのかはわかりませんが、でも世界的にも梅毒の患者数が増加しているのは事実です。
性交渉に至るまでに、その相手に梅毒に感染していないかどうかを確認することは難しいと思います。
ですが、もし自分自身の身体に梅毒のような症状があったり異変があった場合には、相手に感染しないように配慮し、早期に受診し治療にとりかかることがとても大切になってきます。
梅毒の感染経路などについてのまとめ
今回は梅毒の感染経路などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
- 性行為によるもの
- 梅毒の症状が皮膚に出ている部分を口で舐められたり、手で触られたりしてもうつることがある(小さな傷からの侵入)
- 血液製剤、輸血血液によるもの…現在では検査しているので可能性は低い
- 注射の回し打ちによるもの…これも日本では注射針は使い捨てなので可能性は低い
日常生活をする上で物を介した感染は一般に不可能である。
梅毒スピロヘータという病原体は身体から外に出てしまうとすぐに死んでしまうため、物を介して感染することはない。
近年、本当に梅毒感染患者は増加しています。
もしまだ受診していない人がいるとすれば、患者数はもっと多いはずです。
梅毒の感染経路についての知識を深め、同性間の性交渉よりも異性間の性交渉が多いという現状を知って私達も自分のことのように危機感を持っておくことが大切だと思います。
また、梅毒の症状に関しては、こちらの記事内で詳しく説明していますので是非ご覧ください。↓
そして、もし感染してしまった場合に気になるのが梅毒の治療に関してですが、梅毒は薬で治るのか、また治療の期間などについてはこちらの記事内で説明しています。↓
梅毒の原因菌についてはこちらの記事をご覧ください。↓
梅毒の潜伏期間についての記事は、こちらの記事をご覧ください。↓
梅毒の検査方法などについては、こちらの記事をご覧ください。↓
梅毒の症状であるしこりの特徴についてはこちらの記事をご覧ください。↓
梅毒の末期症状については、こちらの記事をご覧ください。↓