看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『アミロイドーシスの症状は?透析や多発性骨髄腫によるものについても説明!』というタイトルでお送りします。


「アミロイドーシス」という病気に関しては、聞いたことがないという人もたくさんいると思います。

指定難病のひとつでもあるこのアミロイドーシスですが、この病気を説明する時はつくづくとても難しい病気だなぁと思います。

今回は、そんなアミロイドーシスという病気の症状について説明していきたいと思います。



 

アミロイドーシスとは?

アミロイドーシスの症状を説明する前に、この病気がどんな病気なのかを説明しておきたいと思います。

アミロイドーシスという病気は、アミロイドという繊維状のナイロンのような異常な蛋白が全身や局所に沈着(ちんちゃく・くっつく様子)する病気です。

その沈着した臓器は機能障害を起こしてしまいます。

アミロイドが沈着する部位によって、次の2つの病名に分けられます。

  • 全身性アミロイドーシス…全身の諸臓器にアミロイドが沈着してしまった場合
  • 限局性アミロイドーシス…ある臓器や組織にだけ現局して沈着した場合

これら2つに分けられます。

ここでは、主に様々な症状が現れる「全身性アミロイドーシス」について説明していきたいと思います。

アミロイドーシスの症状については、アミロイドが沈着してしまった臓器によってその症状は様々なものになります。
 

では、全身性アミロイドーシスの症状について説明していきましょう。

アミロイドーシスの症状は?透析や多発性骨髄腫によるものについても

アミロイドーシスの症状は、アミロイドが沈着する臓器や組織の障害によって違ってきますが、初期の症状として最も多いのは…

  • 発熱
  • 下痢
  • アミロイドが沈着する臓器の腫れ

などが挙げられます。
 

多くの臓器に沈着しますので、すべての症状をここで説明できませんが、その中でも高い頻度でアミロイドが沈着する臓器を例にしますと…

腎臓…最初はタンパク尿ですが、進行すると、ネフローゼ症候群や腎不全(じんふぜん・腎臓の機能が低下する病気)になります。
症状としては、血尿、むくみ、高血圧などが現れます。

 

心臓…心肥大(しんひだい)、不整脈などを起こして心不全(しんふぜん)へと進行します。
症状としては、むくみ、息切れや胸痛などが現れます。

 

消化管(胃や腸など)…下痢症状が続きます。

 

手足の神経など…筋力低下や知覚障害、そして自律神経障害(発汗の機能の低下や立ちくらみなど)が現れます。

 

などです。そのほかにも、

  • 気管支や肺などの呼吸器系の臓器
  • 脾臓や肝臓などの消化器系の臓器
  • 皮膚や血管壁(けっかんへき)
  • 関節

などに沈着して、それぞれの臓器に関わる様々な症状が出てきます。

 

では、全身性アミロイドーシスという病気やその症状について、もう少し詳しく説明していきましょう。



 

全身性アミロイドーシスというのは、次のような5つの病気のタイプに分けられます。

  1. 免疫細胞性(めんえきさいぼうせい)アミロイドーシス
  2. 反応性アミロイドーシス
  3. 家族性アミロイドーシス
  4. 透析(とうせき)アミロイドーシス
  5. 老人性全身性アミロイドーシス

 

そして、透析によるアミロイドーシスは(4)に、多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)によるアミロイドーシスは(1)に含まれています。

少し難しい病名などが出てくるかもしれませんが、ひとつずつ説明していきたいと思います。
 

1. 免疫細胞性アミロイドーシス

骨髄の中には形質細胞(けいしつさいぼう)という細胞があり、これは免疫グロブリンというタンパク質を作っています。

このタンパク質は細菌やウイルスなど身体に侵入してきた異物を攻撃してくれます。

この形質細胞というものが、異常に増えていったり、ガン化してしまった場合たくさんの免疫グロブリンが作られてしまいその一部がアミロイドになって沈着してしまいます。

免疫グロブリンがわからないです^^;

多発性骨髄腫という病気は、まさにこの状態です。

形質細胞がどんどん増えていき、ガン化してしまった状態のことを多発性骨髄腫と呼びます。

多発性骨髄腫の症状は、

  • 骨がもろくなって骨折しやすくなる
  • 腎臓の機能が低下するため、むくみや吐き気などが現れる
  • 貧血が進み、動悸・息切れ・めまいなどが現れる
  • ウイルスや細菌などの感染症を起こしやすくなる

などが挙げられます。
 

2. 反応性アミロイドーシス

関節リウマチなどの膠原病(こうげんびょう)、悪性腫瘍、結核などの病気では、血清アミロイドA というタンパク質が異常に増加してしまい、その一部がアミロイドになり沈着します。
 

3. 家族性アミロイドーシス

遺伝子の異常によって、異常なタンパク質が合成されてアミロイドの原因となる物質になり沈着します。

この場合、特に多いのは手足の神経に沈着しやすいと言われています。
 

4. 透析アミロイドーシス
血液透析(けつえきとうせき)は、慢性腎不全で腎機能が著しく低下した患者さんに行う治療方法です。

その血液透析を5年以上受けている患者さんで、β2マイクログロブリンというタンパク質が血液の中に異常に増加してしまって、透析でそれを除去できないために起こります。

症状としては、手の痛みなどがあります。

これは、手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)と言って、手首にある骨と靭帯に囲まれた空間の中に神経が通っているのですが、その神経が圧迫されて起こる痛みのことです。

これを圧迫しているのがアミロイドの沈着なのです。

ただ、最近では透析に使われる器械類の進歩も進み、アミロイドの原因となるタンパク質も透析治療で除去できるようになってきたので徐々にアミロイドの沈着は改善されています。
 

5. 老人性全身性アミロイドーシス

主に高齢者の方の心臓を犯してしまうアミロイドーシスのことを言います。

症状としては、心房細動(しんぼうさいどう)といって脈が不整になる不整脈の症状から心不全に至ることがあります。

以上が、全身性アミロイドーシスの主な病気のタイプです。



アミロイドーシスの症状についてのまとめ

今回は、アミロイドーシスの症状について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

アミロイドーシスの症状は?
全身性アミロイドーシスになると、初期のころに

  • 発熱
  • 下痢
  • アミロイドが沈着する臓器の腫れ

などが現れます。
そして、呼吸器系や消化器系の臓器、また心臓や皮膚など多くの臓器へのアミロイドの沈着により、その臓器に関連した様々な症状が現れます。

 

透析や多発性骨髄腫については?
全身性アミロイドーシスについては、次の病気のタイプに分けられます。

  • 免疫細胞性(めんえきさいぼうせい)アミロイドーシス
  • 反応性アミロイドーシス
  • 家族性アミロイドーシス
  • 透析(とうせき)アミロイドーシス
  • 老人性全身性アミロイドーシス

このうち、透析を長期で受けている患者さんによく起こる合併症として透析アミロイドーシスが、また、多発性骨髄腫の合併症として免疫細胞性アミロイドーシスが挙げられます。

 
 

アミロイドーシスという病気は少し難しい病気だなと感じたのではないでしょうか?

症状もアミロイドーシス特有の症状だというものではないため、そのまま発見が遅れてしまうということも多いようです。

でも、発見が遅れて病気が進行した時には本当に苦痛な症状が出たりしますので、早期発見できるよう少しでも該当する症状があれば早めに受診することが大切です。