今回は、『皮膚の湿疹・カサカサ・ただれなどのかゆみに使う薬は?ステロイドについても説明』というタイトルでお送りします。
寒い季節は特に皮膚が乾燥してカサカサしたり、何かと肌トラブルが起きやすいですね。
冬だけではなくて、夏でも同様に汗などで肌が荒れる方はたくさんおられます。
今回はそんな皮膚の湿疹などのかゆみに対して使うお薬に関して説明していきたいと思います。
ここで説明するお薬というのは、皮膚のかゆみに対して一般的によく使われる薬についての説明です。
かゆみには様々な原因があり、内臓疾患やストレスなどからくるものもありますが、それらを治すお薬ではありません。
もし、原因が自分でわからず皮膚のかゆみの症状が続いていたり、悪化しているようならなるべく皮膚科で診察を受けることをおすすめします。
↓かゆみの原因についてはこちらの記事もご参照ください。
皮膚の湿疹・カサカサ・ただれなどのかゆみに使うお薬は?
かゆみに対してよく使われる薬には、その症状に合わせて色んな塗り薬があります。
特に湿疹やカサカサ・ただれなどは乾燥している状態が多いため、皮膚を十分保湿してあげることが大切になってきます。
保湿剤は皮膚の潤いを保ち、外部からの刺激から皮膚を守るバリア機能を回復させるために使われます。
では、保湿剤としてよく使われるお薬から説明していきましょう。
まずはステロイド剤が入っていないお薬から説明して、その後にステロイド剤が入っているお薬の説明をしていきます。
・白色ワセリン・プロペト
皮膚の表面に油膜を作って、水分の蒸発を防ぎます。
・亜鉛華単軟膏(あえんかたんなんこう)
保湿効果に加え、弱い消炎効果もあります。
白色ワセリンと混合にして使うこともあります。
・尿素軟膏
皮膚の奥のほうの水分を角質層(かくしつそう)に引き寄せて保湿させます。
ドラッグストアなどでは、「ウレパール軟膏」や「ケラチナミン軟膏」という製品名で販売されていますね。
・グアイアズレン軟膏
保湿効果もあり、軽い炎症やかゆみを抑える効果もあります。
製品名は「アズノール軟膏」です。
・ヘパリン類似物質含有軟膏(るいじぶっしつがんゆうなんこう)
カサカサした皮膚に使うと保湿効果は高いので良いですが、ただれや湿疹などでできた傷には使えません。
では、次に主にかゆみを抑えてくれるかゆみ止め軟膏についてです。
・ジフェンヒドラミン配合の軟膏
かゆみのもとであるヒスタミンの働きを抑えてくれて、湿疹や皮膚炎などにも効果があります。
製品名は「オイラックス軟膏またはクリーム」「レスタミン軟膏またはクリーム」です。
この他にも、細菌が侵入していて湿疹を起こしている場合やただれている場合には、抗生物質の入った軟膏などが使われます。
また、真菌(カビの一種)が原因であれば、その増殖を抑える抗真菌剤が使われます。
ここまで説明してきたお薬については、すべて非ステロイド外用剤といって、ステロイドが入っていないお薬です。
次にステロイド剤について説明していきたいと思います。
ステロイド外用剤を使うことについて
ステロイドと聞くと、「副作用が怖い」といったとてもマイナスなイメージを持っている人も多いのではないでしょうか?
しかし、ステロイド剤は決して怖いお薬ではありません。
もっとも早く炎症を抑えてくれて、安全性が確認されているのが、このステロイド外用剤です。
ただ、このステロイド外用剤に関してはただのカサカサした乾燥状態の皮膚に塗る薬ではありません。
炎症を起こしている皮膚とか、ただれや湿疹に対して、ステロイド外用剤を正しく使えば2~3日できれいに治すことができます。
よくアトピー性皮膚炎やひどい湿疹などにも使いますが、その病気を根本的に治すのではなく、炎症や炎症によるかゆみを即座に抑えて、それ以上の症状の悪化を防ぐという意味ではとても大きな意味があります。
それだけよく効くお薬なので、副作用が心配だという人も多いのですが、自分の判断で勝手に使うことはせず医師の指示のもとで使えば、深刻な副作用がでることはないでしょう。
では、ステロイド剤とはどんなお薬なのかについて説明しましょう。
ステロイド剤とは?
ステロイド剤とは、もともと人間の身体の中で作られる「副腎皮質ホルモン」という物質を化学的に合成したお薬です。
「副腎皮質ホルモン剤」とも言われています。
身体の炎症を抑えたり、身体の免疫力を抑えたりする効果があります。
注射薬や内服(飲み薬)や塗り薬で使われていて、塗り薬を主に「ステロイド外用剤」と言います。
ステロイド外用剤には、その薬の強さがランク分けされていて、その症状によって医師が軟膏を選択していきます。
下にあるのが、ステロイド外用剤の強さと種類を表した表です。
ステロイド外用剤の強さは5段階に分かれていて、一番右にそれぞれ製品名を記載しています。
このお薬は、症状の程度や場所、範囲や患者さんの年齢なども総合的に診て判断して処方されます。
皮膚の湿疹・カサカサ・ただれなどのかゆみに使う薬についてのまとめ
今回は皮膚の湿疹やカサカサなどのかゆみに対して使う薬について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
一般的には乾燥状態であることが多いため、保湿効果のある薬がよく使われます。
- 白色ワセリン・プロペト
- 亜鉛華単軟膏
- 尿素軟膏
- グアイアズレン軟膏
- ヘパリン類似物質含有軟膏
かゆみ止め軟膏は
- ジフェンヒドラミン配合の軟膏
細菌が侵入していて湿疹を起こしている場合やただれている場合には、抗生物質の入った軟膏を使用します。
また、真菌(カビの一種)が原因であれば、その増殖を抑える抗真菌剤が使われます。
ステロイド剤は、身体の炎症を抑えたり、身体の免疫力を抑えたりする効果があります。
ステロイド外用剤は湿疹やただれなど炎症を起こしたりした皮膚にはとても効果のあるお薬です。
副作用が心配だという声も多いですが、医師の指示のもの正しい使い方をすれば、そんな怖いお薬ではありません。
今回は、皮膚のかゆみに対してよく使う外用剤などを説明してきましたが、かゆみがあるということは何か原因が必ずあります。
しかし、その原因が全く不明なことも多々あります。
それでも、もし今の皮膚の状態がひどく荒れていたり、湿疹が出ていたりしたら何とかお薬の力を頼って回復させてあげないといけません。
それでもし皮膚の状態が回復してきたら、今度は普段から保湿ケアをしっかりして抵抗力のある皮膚を作っていくようにしましょう。