今回は、『HIV感染症の初期症状はいつからどれくらい続く?発熱・発疹・咳・鼻水・下痢など』というタイトルでお送りします。
HIVというのは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)というウイルス の頭文字をとった略称です。
日本では、新たにHIVに感染した患者さんの数が毎年1,000人を超えているくらい、徐々に増えつつある感染症です。
でも一昔前はHIVという感染症は感染すると助からない、死亡率も高い病気のような悪いイメージがありましたが、現在では治療法も進歩しているので、きちんと治療を受ければそれほど心配はいりません。
今回はそんなHIV感染症の初期症状について説明していきたいと思います。
HIV感染症の初期症状はいつからどれくらい続く?
HIVウイルスに感染すると、感染してから2~4週目の間にウイルスが急激に増殖していきます。
そしてウイルスに感染した後1~2ヶ月以内に風邪やインフルエンザに似た症状が出ます。
例えば、
- 発熱
- 喉の痛み
- リンパ節の腫れ
- 筋肉痛
- 全身倦怠感(だるい感じ)
- 下痢
- 発疹
- 咳
などです。
このうち、気になっている人が多い症状のひとつである「鼻水」に関しては、訴える人はあまりいないようです。
ただ、喉の痛みなどが出てくると、その影響で咳や鼻水が出てくる可能性はあるかもしれません。
どの症状も風邪などの症状にとても似ていることで、症状が治まってしまうと何もせずに様子をみるケースが多いのです。
これらの初期症状は個人差がありますが、だいたい数日から数週間で自然になくなっていきます。
そして、その症状がなくなってからその後は無症状で経過していきます。
自覚症状のない時期はおよそ10年間続きます。
ただ短いケースでは2~3年、長いと15年ほど無症状で過ごす人もいますのでかなり個人差があります。
では、HIV感染症の初期症状が治まり無症状の経過のあとで出てくる症状についても、説明していきたいと思います。
HIV感染症初期症状が治まった後の経過と症状は?
HIVウイルスに感染すると、自覚症状のない無症状の経過の中でも身体のなかでは徐々にHIVウイルスに侵されていきます。
ウイルスというのは生きた細胞に住みついて増殖していきます。
そして、HIVウイルスも同じようにヒトの身体の中の「CD4陽性Tリンパ球」という細胞に住みつきます。
そして、何年もかかり徐々にそのCD4陽性Tリンパ球を破壊していきます。
一方、CD4陽性Tリンパ球というのは、免疫細胞の中でもとても重要な役割を担う細胞です。
身体の免疫機能を維持し、様々なウイルスや細菌などと戦ってくれる免疫の司令塔のような存在です。
そんな重要な役割を担うCD4陽性Tリンパ球が破壊されていくと、当然免疫力が低下していきます。
そして、免疫力が低下していくことで次のような症状が出てくるのです。
- 寝汗が出る
- 発熱が続く
- 疲れやすい
- 下痢しやすくなる
- 食欲が低下する
- 身体の各リンパ節(首・ワキ・股の付け根など)が腫れてくる
これらの症状が出てきます。
本当は初期の段階で症状に気付いて受診して、検査をすることができれば一番良いのですがなかなか受診まで行かずに見つかりにくいのが現状です。
でも、「自分は大丈夫だ」とか「症状がないから大丈夫だ」と思っていても、もし自分が感染していたとしたらどんどんそこからまた感染が拡がっていくので要注意です。
また、もし自分が感染していることが分かった時には必ずパートナーの方にも伝え、一緒に検査・治療を受けることが大切になってきます。
HIV感染症の初期症状についてのまとめ
今回はHIV感染症の初期症状について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
HIVウイルスに感染すると、感染後2~4週の間にウイルスが急激に増加していき、その感染後1~2ヶ月以内
に次のような風邪やインフルエンザに似た症状が出ます。
例えば、
- 発熱
- 喉の痛み
- リンパ節の腫れ
- 筋肉痛
- 全身倦怠感(だるい感じ)
- 下痢
- 発疹
- 咳
などです。
これらの症状が個人差はありますが、数日から数週間で消えていきます。
HIVウイルスに感染してしまっても、その風邪のような症状から初期段階で気付くのはなかなか難しいかもしれません。
ですが、この早い段階で気付くとまだウイルスも多くは増えてはいないので、治療の効果が現れやすいです。
なので、もし感染の心当たりがあったり初期症状に気付いたら、少しでも早めに受診、検査をすることをおすすめします。