今回は、『医療用語のサイナスとはどんな意味?サイナスリズムの定義や心電図波形の画像も』というタイトルでお送りします。
看護師として働いていても、医師の指示で急に心電図をとる機会は多くありますね。
ただ、心電図をとってその結果をみて即座に正確に判断できる看護師は少ないのではないでしょうか?
看護師の中でも、この心電図が嫌いな人はかなり多いと思います。
循環器病棟に勤務していても苦手だと言う看護師はとても多いです。
実際、私も看護師になって初めて就職した科は循環器病棟でしたが、心電図は本当に苦手でしたし、同じことを言う看護師仲間はたくさんいました。
今回はそんな心電図の「サイナス」という医療用語について説明していきたいと思います。
医療用語のサイナスとはどんな意味?
サイナス「sinus」というのは、日本語で「洞」という意味になります。
医学用語で使われるだけではないようですが、ここでは心電図上で使われるサイナスについて説明していきたいと思います。
サイナスというのは洞ということですが、心電図上では「洞結節(どうけっせつ)」という意味合いになります。
この洞結節とは、右心房の付近にあるペースメーカーの役割をしている重要な部分です。
洞結節はそこから発した興奮刺激によって、一分間に60~80回程度の心拍リズムを作っており、その刺激は房室結節に伝わっていきます。
ではサイナスリズムとはどんな意味なのでしょうか?
サイナスリズムとは?その定義とは?
サイナスというのが洞結節だと説明しましたが、サイナスリズムの定義は、
洞結節から興奮刺激を発して正常なリズムで電気刺激が伝わっていく過程のことで、日本語では「洞調律」と言います。
不整脈では洞結節以外の部分から電気信号が出る場合があるわけですが、そうではなくきちんと洞結節から信号が出て、正常な心拍リズムで刺激が伝わっていけばそれがサイナスリズムというわけです。
よく、正常洞調律とも言われます。
では、その心電図波形をみていきましょう。
サイナスリズムの心電図波形の画像は?
まずは正常なひとつの波形から見ていきましょう。
洞結節に始まった興奮が房室結節まで伝わっていく心房興奮の過程が、心電図上ではP波となって現れます。
房室結節を出た興奮は、そのすぐ下にあるヒス束に入ります。
ヒス束は心房と心室を結ぶ心筋繊維の束ですが、このヒス束から伸びた伝導系は、更に左脚と右脚に分かれていきます。
そしてプルキンエ繊維となって心内膜の表面を走っていき、心室筋全体に拡がり心臓の興奮過程は終了です。
このプルキンエ繊維は最速の伝導路であり、伝達速度が他の心筋細胞に比べて著しく早いので心筋が素早く収縮することができ、有効な駆出をすることができます。
ヒス束から心筋までの間の心室の興奮過程が心電図上でのQRS波となって、心室筋の回復の過程がT波となって現れます。
この一回の心拍リズムを正常だと60~80回/分打つわけですが、その心電図が下のような波形となります。
このように、洞結節に始まった興奮が房室結節まで伝わる過程であるP波が同じ間隔で出現してきて、それに続いて心室全体に興奮が一定のリズムで伝わる状態をまさにサイナスリズム(正常洞調律)というわけですね。
この心電図によって、それぞれの部位での興奮過程に要する時間や電気的刺激の強さもわかります。
では、最後に実際のサイナスリズムの心電図を紹介して、その記録紙の目盛りや速度の見方を説明していきましょう。
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サイナスリズムの心電図上での目盛りや速度などの見方について
まずは心電図をとった時の記録紙の目盛りについて説明します。
記録紙は1mm平方の方眼になっていて、5mm毎に太めの線で区切られています。
記録紙の送り出される速度は通常1秒間に25mmです。
下の図にあるように記録紙の上端には線が印字されていますが、この線が25mm、つまり1秒間を意味しています。
したがって、横幅の1mmは、1(秒)/25(mm) =0.04(秒)となります。
5mm毎の太めの線は、0.04(秒)×5=0.20(秒)となるのです。
このように、記録紙の横軸は時間を表しますが、縦軸というのは電気的刺激の強さを表します。
通常は、縦軸の10mmが1mVに相当するようにしておきます。
そして、基線よりも上向きの振れを陽性の振れ、基線よりも下向きの振れを陰性の振れと言います。
以上をまとめると、
- 縦軸:電気的刺激の強さ
- 横軸:心臓の中を電気刺激が進む時間
を表しているということになります。
心電図を見るときの慣れるまでの参考にしてみてくださいね。
サイナス・サイナスリズムに関するまとめ
今回は心電図の基本中の基本であるサイナスリズムなどに関して説明してきました。
では、まとめてみましょう。
英語でサイナス(sinus)とは、「洞」という意味で心電図上では「洞結節」です。
心臓を収縮させる電気的刺激が洞結節から正常に発して、60~80回/分に一定の規則正しいリズムで打つことをサイナスリズム(正常洞調律)と言います。
病棟、特に循環器の患者さんがいる病棟となると、12誘導の心電図をとる機会も多くなると思います。
異常波形などの種類もたくさんあって、その勉強も大変だとは思いますが、まずは正常波形を叩き込むことからです。
ここで説明してきたような基本的な波形の意味など一度覚えてしまえば、異常波形も理解しやすくなると思います。
しっかり基礎を理解して、異常について学んでいきましょう。