今回は、『帝王切開術後の傷口の痛みはいつまで続く?子宮収縮・後陣痛も説明!』というタイトルでお送りします。
一般的に出産の方法は、
- 経膣分娩(けいちつぶんべん):膣から出産する方法
- 帝王切開(ていおうせっかい):下腹部を切って出産する方法
があります。
普通は、特に何も問題がなければ、自然に陣痛を待って、赤ちゃんの出るタイミングに合わせて、出産に臨むという経膣分娩が選択されます。
しかし、骨盤が小さすぎて胎児が出てこれない場合や、または逆子であるといった理由などで経膣分娩が不可能な時に帝王切開がされます。
実は、私自身も帝王切開で娘を出産しています。
逆子であったため、最初から帝王切開の予定で出産しました。
帝王切開も経膣分娩も、出産は命がけで、どちらもかなりの痛みを伴います。
今回は、私も経験したこの帝王切開の痛みを取り上げて、説明していきたいと思います。
帝王切開術後の傷口の痛みはいつまで続く?
帝王切開の傷口の痛みは、帝王切開術後に麻酔がきれた頃から始まり、およそ3日程度続きます。
ただし、3日経てば、痛みがなくなるわけではありません。
ちょっとした痛みや、動いた時の鈍い痛みなどは多少残ります。
そんな我慢できる程度の痛みを含めて、いつまで続くのかといことであれば、これはかなり個人差が出てきます。
長いと、1ヶ月経っても、1年以上、数年経っても、傷口が痛いという人もいます。
しかし、この場合の傷の痛みというのは、帝王切開だから痛いのではなく、どんな手術であっても同じことが言えます。
手術をしていなくても、ただ怪我をした時にできる傷であっても、それが治って何年経っても痛むという人はたくさんいます。
私の友人の一人は、経膣分娩で出産した際の、膣を縫合(ほうごう・傷を縫うこと)した部分が、今10年経ってもまだ、うずく時があるそうです。
ですので、そのような我慢できる程度の傷の痛みに関しては、個人差があり過ぎて、はっきりいつまで続くとは言えません。
ただ、帝王切開術後のかなり強い痛みは、およそ3日程度だと思います。
そして、この帝王切開術後の強い痛みに関しても、個人差はあります。
痛みの感じ方に関しては、人それぞれ、痛みに強い人弱い人もいます。
でも、私を含め、周囲の帝王切開術経験者の人達から生の声を聞いてみても、強い痛みを感じたのは、3日間くらいという意見が多かったです。
この帝王切開術後の傷口の痛みですが、術後は傷口のみが痛いわけではないのです。
むしろ、傷口が痛いように思えているだけで、お腹の中の子宮の痛みのほうが勝っているかもしれません。
ではその痛みに関して、少し説明していきましょう。
帝王切開術後の痛み:後陣痛(子宮収縮)
帝王切開の術後の直後の痛みは、傷口の痛みというよりは、子宮が収縮する痛みのほうが強く感じると思います。
赤ちゃんがいることで伸びきっていた子宮というのは、赤ちゃんを取り上げた途端に、ギュッと収縮を始めます。
元の子宮の大きさに戻ろうとするのです。この子宮収縮の痛みを後陣痛(こうじんつう)と言います。
これは、自然分娩である経膣分娩でも同様に出産直後にすぐに収縮が始まるのです。
そして、赤ちゃんを取り上げた、まさにその瞬間に、手術前からしていた点滴の中に子宮収縮剤のお薬を混入します。
そうすることで、より子宮収縮を促すのです。
この子宮が元の大きさに戻ろうとする力が弱い人もいて、子宮の戻りが悪い人には、子宮収縮剤のお薬の量を増やすなどの調整をします。
なぜ、そんなに収縮を促すのかというと、子宮が収縮しないと、子宮にある血管も拡張(かくちょう)と言って、拡がったままになります。
そうすると、子宮からの出血が止まらなくなるんですね。
出血したままになると、当然、血圧も下がったり、母体が危険な状態になりかねません。
そのような危険な状態を避けるために、赤ちゃんを取り上げた後には、なるべく早くに子宮の収縮を促します。
その子宮収縮の痛みがかなり強いです。
もちろん、この痛みは麻酔がきれてくる、2~3時間後から徐々にやってきます。
恐らく、帝王切開術の直後の痛みは、傷の痛みより、この子宮収縮の痛みのほうが強いだろうと思います。
しかし、この帝王切開術後の子宮収縮の過程は、絶対に避けては通れない道です。
ただただ、痛みに耐え抜かないといけません。
でも、あまりに痛い場合には、痛み止めのお薬がありますので、遠慮せずに看護師さんに伝えてくださいね。
痛み止めのお薬は、飲み薬や座薬などがあります。
一般的に多く使われているのは、座薬のほうです。
飲み薬に関しては、口から水分を入れると、中には吐いてしまう人もいるため、座薬のほうがよく使用されます。
そして、やがてこの後陣痛(子宮収縮)の痛みは、翌日になり、お腹を切った傷口の痛みと合わせて痛みを増していきます。
帝王切開術後翌日の痛み:後陣痛(子宮収縮)から傷口の痛みへ
帝王切開の手術後は、翌日まで点滴をしたまま、寝たきりで一晩過ごします。
もちろん、トイレも行けないので、手術前から尿道に入れていた管から排尿しますので、トイレに行く心配はいりません。
夜間は子宮収縮剤の入った点滴のため、更に子宮が元に戻ろうとする痛みと戦いながら、過ごすことになります。
そして、翌日になると、特に異常がなければ、なるべく早めに排尿の管も抜いてしまいます。
そして、点滴も抜き、起きる練習が始まります。
「起きる練習?…そんなの、少しキツイ生理痛くらいでしょう?練習なんている?」
なんて思っていませんか?
実は私もそう思っていました。
私は、普段から生理痛もかなり痛かったので、痛みには強いほうで、帝王切開術当日の夜間の痛みにも薬を使わず耐え抜いたんです。
だから、翌朝、看護師さんに起きる練習を勧められた時
「そんなのしなくて大丈夫!」
と軽く考えていました。
ちょっと、バカにしていたんですね。
すると、なんてことでしょう・・・(><)
横になったまま、首を少しだけ横に動かすだけでも、手や足を少し動かすだけでも、傷口にとんでもない激痛が走ったのです…(><)
それはそれは、もう、かなり痛かったです。
まだ残っている後陣痛の痛みと、お腹の筋肉や皮を切った痛み、そして傷口の痛みが全て合わさった、なんとも言いようがない痛みでした。
首や手足を少し動かすだけでも、こんなにお腹の筋肉を使っているんだなぁ…と痛感しました。
私個人の意見としては、痛みに関しては、帝王切開術後よりも2日目のほうが、断然つらかったです。
こうして、半日以上かけて練習し、やっとベッド上で座ることができて、食事などを摂ることができました。
そして、何十分もかけてトイレにも行けました。
そんな痛みが、術後丸3日程続きました。
後陣痛である子宮収縮や腹筋の痛みが治まって、あとの傷口だけの痛みに変われば、恐らく痛み止めなどの薬を使うほどではないでしょう。
もちろん、何度も繰り返しますが、痛みには個人差がありますから、あまりに傷口の痛みが続くようであれば、先生に相談してください。
帝王切開術後の傷口の痛みについてのまとめ
今回は、帝王切開術後の傷口の痛みや、子宮収縮、後陣痛について説明してきました。
帝王切開術後の痛みに関してまとめますと、
- 術中の麻酔がきれてから、およそ3日間程度続く
- 個人差があって、我慢できる程度の傷の痛みは数年かかる人もいる
- 傷口の痛み以外に、後陣痛(子宮収縮)の強い痛みがある
- 帝王切開術後翌日には、後陣痛・お腹を切った痛み・傷口の痛みと合わさり、更に強い痛みに変わる
となります。
ただ、これほど強い痛みを感じながらも、我が子と対面した際の喜びは計り知れないものがあります。
あれほど苦しんだ痛みを、一瞬忘れてしまいます。
そんな可愛い我が子のために、この痛みをなんとか乗り切っていけることを祈っています。