今回は、『睡眠時無呼吸症候群の治療方法まとめ!手術からマウスピースや枕など器具を使った方法も』というタイトルでお送りします。
人間にとって、睡眠とは本当に大切なものです。
なかなか眠れなかったり、イマイチ眠りが浅かったりすると、その日は1日ボーッとしたりだるかったりしたことはないでしょうか?
良質な睡眠というのは日常生活の中で本当に大切な行為です。
そんな良質な睡眠を妨害するのが、この「睡眠時無呼吸症候群」という病気です。
私達は一旦眠ってしまうと、自分がいびきをかいているのかいないのかよくわかりません。
いびきは一緒に寝ている家族の安眠も妨げるので、「うるさい!」なんて苦情があって初めて自分が大きないびきをかいていることを知らされることも多いと思います。
今回はそんな大きないびきや無呼吸などを症状とする睡眠時無呼吸症候群の治療方法について説明していきたいと思います。
睡眠時無呼吸症候群とは?
では、まず睡眠時無呼吸症候群について説明しておきましょう。
睡眠時無呼吸症候群は英語で「Sleep Apnea Syndrome」と言い、その頭文字を取って「SAS(サス)」とも言われています。
この睡眠時無呼吸症候群というのは、眠っている間に呼吸が止まり、そのことで日常生活に支障をきたし健康障害が生じる病気です。
睡眠時無呼吸症候群には次の3つの種類があります。
- 閉塞型…息を吸うときに咽頭部が塞がることによる閉塞型
- 中枢型(ちゅうすうがた)…脳の呼吸中枢の指令が消失してしまう型
- 混合型…閉塞型と中枢型が混在する型
この3種類がありますが、患者さんのほとんどの型が閉塞型という種類です。
閉塞型の無呼吸は、肥満や扁桃腺の肥大、そして鼻づまりなどと深く関係があり、息を吸うときに気道が閉塞してしまうことで大きないびきをかき呼吸が数秒間止まったりします。
睡眠中に呼吸が止まり、身体に取り込まれる酸素量が少なくなると、いくら寝ていても脳は起きている状態になってしまいます。
そうなると、夜中の睡眠の量や質が低下して、日中の強い眠気や居眠りに繋がっていきます。
そのような状態が続くことで、慢性的な疲労感、集中力の低下や頭痛などの症状が出ることもあるのです。
そして、無呼吸状態が長期間続くことで、身体は低酸素になり狭心症や不整脈などの心臓病や血管系の病気を引き起こし、生活習慣病に繋がっていくと言われています。
また昼間の居眠りにより、交通事故を起こしてしまう人もいるくらい危険な状態となります。
では、睡眠時無呼吸症候群にかかったら、その治療方法はどんなものなのでしょうか?
睡眠時無呼吸症候群の治療方法まとめ
睡眠時無呼吸症候群にかかった場合、これまでに説明してきたように放置しておくと症状はどんどん進んで悪化していき生命の危険も出てきますので、なるべく早めの受診をおすすめします。
治療方法は病院を受診して、その患者さんの状態にあった治療法が選択されます。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法は主に次の4つです。
- 外科的治療(手術)
- 歯科装具(マウスピース)
- 枕
- 経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)
では、それぞれについて説明していきましょう。
外科的治療(手術)を行なう
閉塞型の無呼吸症候群は、肥大した扁桃腺などがいびきの原因となっているため、扁桃腺を摘出する手術をすることがあります。
ただ、睡眠中の気道の閉塞する部位が患者さんによって違っていることもあるため、完全に防止できるわけではありません。
歯科装具(マウスピース)を使う
歯科装具、マウスピースは睡眠前に取り付けて、舌や下あごを上に(受け口のような感じに)固定することで、舌の位置も上のほうに移動して気道のスペースを拡げて、気道の閉塞を防ぎます。
このマウスピースは睡眠障害でかかっている医師の紹介などで連携がある歯科医師を受診して、その患者さんにあったマウスピースを作成してもらいます。
枕を使用する
枕というのは、睡眠時無呼吸症候群の治療というよりも少しでも症状を改善できるような対策といったほうがいいかもしれません。
枕を使うというのは、睡眠中の体位の工夫をするということです。
仰向けで寝てしまうと、重力の関係で舌の付け根の部分が下向きに下がって、気道を塞ぎます。
この状態が閉塞型による睡眠時無呼吸症候群の原因です。
そのため、横向きに寝ると症状が改善される可能性があるのです。
そこで、枕を使って横向きに寝る工夫をしてみようということです。
枕の使い方は、枕を背中にたてて傾斜を作ってみたり、パジャマの背中に丸めたタオル縫い込んで、自然に身体が横向きになるようにするといった方法があります。
又、下の図のように腹帯にタオルを縫い付ける方法もありますね。
経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)を行なう
経鼻的持続陽圧呼吸療法は、鼻に付けるマスクを通じて持続的に陽圧をかけて、閉塞した気道を押し広げる方法になります。
有効性や安全性も高く、現在では最も普及している治療方法です。
保険適応内で治療できますが、定期的に外来を通院しなければいけません。
CPAPの器械も携帯ができるように小さくなりましたので、出張先や旅行先にも持っていくことが可能です。
睡眠時無呼吸症候群の治療方法についてのまとめ
今回は睡眠時無呼吸症候群の治療方法などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
- 外科的治療(手術) …大きく気道を閉塞する可能性のある扁桃腺を切除する手術
- 歯科装具(マウスピース)…睡眠前に歯に取り付け、受け口気味にすることで気道を拡げていびきを改善する方法
- 枕…仰向けになると、舌が下のほうに落ちて気道を閉塞してしまうので、それを予防するために横向きに眠れるように枕を工夫して使う
- 経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:シーパップ)…鼻にマスクを取り付けて持続的に陽圧をかけて閉塞した気道を押し広げる器械を使った方法
などの治療方法があります。
睡眠時無呼吸症候群で起こるいびきは本当に大きく響きますので、本人もそうですがもし一緒に寝ている人がいればその人の安眠も妨害し、ストレスになることもあります。
また本人は症状になかなか気が付かないことも多いので、なるべく早期に受診をすすめ、治療を開始することをおすすめします。