今回は、『脂肪腫の手術後に痛みや腫れは出る?運動や仕事はすぐにできる?』というタイトルでお送りします。
脂肪腫の手術というのは、脂肪腫が大きくなってきたり、見かけが気になってきたり、中で化膿して炎症を起こしてきたりするなど、日常生活に支障をきたしてくる場合に行います。
手術は、脂肪腫の摘出術(てきしゅつじゅつ)になります。
これは、脂肪種のある部分に麻酔をして、皮膚を切開して中の脂肪を取り除くという手術です。
もし、脂肪腫がかなり大きく深いものであれば、当然、手術自体も外来ではできず、入院になります。
今回は、入院ではなく、一般外来でできる治療として、手術をした後の痛みや腫れ、または手術後の運動や仕事のことなどについて説明していきたいと思います。
脂肪腫に手術後に痛みや腫れは出るの?
まず、脂肪腫の手術後の痛みについて説明していきます。
脂肪腫の手術後に痛みは出る?
手術の間は、局所的に麻酔をするので、傷が大きくても小さくても痛みは感じません。
ですので、痛みを感じるのは、麻酔が切れてきた時から、翌日くらいまでのようですね。
それも、だいたい我慢ができる程度の痛みが多いようです。
傷が大きければ、やはり痛みもあるかもしれませんが、痛みが強いようならば、痛み止めのお薬は出ますので、あまり我慢せずに服用することをおすすめします。
そして、この痛みですが、傷がもし赤かったり、腫れていたりした場合の痛みとなると話は別になってきます。
注意すべき痛みと、様子をみていい痛みがあるんですね。
注意すべき痛みは、痛みの他に傷の赤み、腫れ、熱っぽい感じなどを伴っている場合です。
上の図のような、赤くて、少しむくんだような腫れは注意が必要です。
痛みの他にこのような症状があると、炎症を起こしている可能性があります。
炎症を起こしてしまうと、また内服薬等による治療も必要となりますので、すぐに受診するようにしてください。
では次に、手術後の腫れに関して説明しましょう。
脂肪腫の手術後に腫れは出る?
手術後というのは、傷自体が少し腫れてくることはあります。
この腫れも、日が経つごとに徐々に改善してきます。
しかし、ここで注意して頂きたいのは、痛みと同様で、この腫れが赤みを帯びていたり、徐々に腫れが強くなってきたり、熱感(熱っぽい感じ)を伴ってくる場合です。
この場合には炎症を起こしているかもしれませんので、あまり我慢せずにきちんと受診しましょう。
まとめますと、
- 脂肪腫の手術後にもし痛みや腫れを感じた場合でも、すぐに改善するようなら様子をみても良い。
- 痛みや腫れが少しずつひどくなったり、赤みや熱っぽい感じが出てきた時にはすぐに受診する。
です。
そして、この痛みや腫れが徐々に強くなってきた場合に疑うべきことがあります。
脂肪腫の手術後の経過で痛みや腫れが強くなってきた時に考えられる症状とは?
脂肪腫を取り除いた皮膚の中身は空洞になっています。
この空洞は、取り除いた脂肪腫が大きいと当然、空洞も大きいわけですね。
その空洞の部分に、出血した血液が溜まっていく場合があります。
こうした出血があると、痛みや腫れが強くなってきます。
その溜まった血液が中で固まってしまうと、再度手術を受けて取り除かないといけなくなります。
もし、血液を取り除いても、まだ空洞の中で出血が持続してあるようならば、その血液を外に出してあげないといけません。
そうするために、その空洞に外へと繋がるホースのようなものを入れて、中に溜まった血液を外へ出せるような処置をします。
脂肪腫が大きい場合にはあらかじめ手術の際、このドレーンを挿入したまま手術を終了して、排液がなくなった時に抜去するという処置もとられます。
ですので、痛みや腫れはあまり我慢しないで、続くようであれば早めに先生に診てもらうといいでしょう。
では次に、脂肪腫の手術後は、運動や仕事はすぐにできるかどうかについて説明していきましょう。
脂肪腫の手術後は、運動や仕事はすぐにできる?
- 1 脂肪腫に手術後に痛みや腫れは出るの?
- 2 脂肪腫の手術後は、運動や仕事はすぐにできる?
- 3 まとめ
脂肪腫の手術は、摘出する脂肪腫が小さいものであれば、その出血量も少ないですし、皮膚を縫合(ほうごう・切開した皮膚を糸で縫い合わせること)しないこともあります。
縫合していない場合でも、傷が閉じてくるまでは運動することは控えたほうが良いです。
そして、縫合をした場合は、抜糸(ばっし・糸を抜くこと)をするまでは、運動は控えましょう。
抜糸は、傷がきれいで問題なく経過していれば、およそ7~10日間後となります。
抜糸後は、医師の指示を仰ぎ、OKが出れば激しい運動もしてよいかと思います。
次に、脂肪腫の手術後の仕事への復帰についてです。
仕事への復帰に関しては、仕事内容、そして手術した傷の大きさや深さなどによって変わってきますね。
また、手術した部位によって全く違ってきます。
要は、手術した部位を一定期間安静にできるかどうかです。
安静にできないと、傷が開いてしまったり、傷の中や外で出血や痛みなど炎症をおこしてしまいます。
傷の大小は関係なく、縫合していてもしていなくても、関節に近ければ、あまり安静は保てません。
ですので、いくらデスクワークの仕事内容でも、通勤だけで傷に負担がかかってくるかもしれません。
やはり、皮膚を切開するわけですから、細菌感染などのトラブルがなく、傷がきれいに閉じることを確認するまでは傷を安静にすべきです。
傷が閉じて、抜糸ができるまでだと、手術後およそ7~10日です。
その間はなるべく、傷を安静にできない仕事はお休みすることをおすすめします。
どうしても休めないという方もいるでしょう。
その場合、出勤できたとしても、傷に負担のかからないような仕事内容にしたいですね。
まとめ
今回は脂肪腫の手術後に痛みや腫れは出るのか、運動や仕事はすぐにできるのか、などについてまとめてみました。
脂肪腫は良性腫瘍で、ただ切除してきれいに取ってしまえば治る病気です(^^)
しかし、その手術後のケアを怠ると、出血などで悪化したり、感染を起こしてしまい治療期間が長引くことになります。
その間、痛みなど苦痛な症状も出てくるかもしれないので、術後はきちんとケアして治していきましょう。