今回は、『高齢者に多い「かくれ脱水」の症状は?熱中症との違いの見分け方をチェック!』というタイトルでお送りします。
かくれ脱水という言葉をご存知でしょうか。
なんとなく、言葉から想像はできる人は多いと思いますが、実際体験したり、患者さんをみたりしたことはあまりないと思います。
今回は、この「かくれ脱水」という状態について取り上げてみたいと思います。
まずは、この「かくれ脱水」について色々説明をするまえに、脱水症という状態とはどんなことを言うのかについて説明しましょう。
「脱水症」とは?
脱水症とは、私たちの身体の中の水分(体液)が、発汗によって失われている状態です。
体液は、水分や塩分、そしてカリウムなどのミネラル分で構成されているので、それらが失われると次のような様々な症状が出てきます。
脱水症の症状は…
- 全身に十分な血液が循環しなくなるので、血圧が下がる
- 食欲がなくなる
- 頭痛や倦怠感が出てくる
- 骨や筋肉から電解質が失われるため、足がつったりしびれたりする
これらの症状が出てきます。
では、「かくれ脱水」とはどんな状態のことを言うのでしょうか?
高齢者に多い「かくれ脱水」の症状は?
かくれ脱水とは、脱水症の初期の頃のことで、ほとんど自覚症状がない状態のことを言います。
脱水症になりかけているのに、病状が進行するまで特にこれといった症状が出にくいため本人も周囲の人も気づきにくいのが特徴です。
また、高齢者がかくれ脱水になりやすいとされる原因は次のようなことが挙げられます。
- 高齢になると身体の水分量が少なくなる
- 腎臓の働きが低下していて、水分や電解質(塩分)の調整が難しい
- 食欲も減っており、水分の摂取量も少ない
- のどの渇きを感じにくい
- 認知症などの病気がある場合、喉の渇きを自覚したり、症状を訴えることができない
などです。
高齢になると、もともとの身体の水分量が少ないので、少し汗をかくだけでもすぐに脱水症になってしまいます。
それが例え寒い冬であっても、汗はかきますのでかくれ脱水が起こる可能性は十分あります。
また、暑い夏は食欲がなくなりやすいので、更に食事量も水分摂取量も減ってしまい、かくれ脱水になりやすいのです。
こうしたことから、高齢者の場合は周囲の人が注意して見ていてあげることが大切です。
かくれ脱水は自覚症状がほとんどないとなればとても発見しにくくなりますが、どこかかくれ脱水の兆候(サイン)などチェックできる点などはあるのでしょうか?
かくれ脱水かどうかのチェックポイントは?
かくれ脱水かどうかを見るのは次のようなポイントに注意してみてください。
- 血圧が低い
- 手足が冷たい
- 脈が速い
- 皮膚に張りがない
- 口が乾いていて、喋りにくそうな感じがある
- 尿の回数が減っている
- 尿の色が濃い
- 立ち上がりでふらつく
などです。
これらのポイントは、よく観察しないとわかりにくい症状ですが、とても大切なポイントです。
では、かくれ脱水と熱中症との違いはどういったことなのでしょうか?
かくれ脱水と熱中症の違いの見分け方は?
かくれ脱水とは、上記の説明にあるように「脱水の初期の状態のことで、ほとんど自覚症状がないような状態」のことです。
ですが、かくれ脱水をそのまま何もせずに放置していると脱水症を引き起こします。
そして、もし気温が高い場所で脱水症になってしまうと、やがては熱中症に進行していきます。
かくれ脱水は自覚症状がないので、そばで見ていてもわかりにくいですが、熱中症になれば様々な症状が出てくるので見分け方もその症状の違いを見れば分かりやすいと思います。
熱中症の症状についてもチェックしておきましょう。
- めまい
- 立ちくらみ
- 筋肉痛(こむら返り)
- 頭痛
- 熱(高熱の場合も)
- 吐き気(気分が悪いなどの訴え)
- 嘔吐(おうと・吐くこと)
- 意識障害(呼んでも反応がないような状態)
- 痙攣(けいれん)など
などです。
これらの症状があるようならば、熱中症である可能性が高いです。
熱中症の症状に関する記事はこちらにもまとめていますのでご参照ください。
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では、最後にかくれ脱水にならないように、その予防対策について説明しましょう。
かくれ脱水の予防対策は?
かくれ脱水にならないように次のような点に注意しましょう。
- しっかり栄養分をとるため、食事はきちんと食べるようにする
- 十分な水分や電解質の入ったスポーツドリンクや経口補水液などの飲み物を摂る
- 寝不足を避け、睡眠や休憩をしっかりとる
- 適度な無理のない運動で筋力を保つ
- 家の中にいる時は風通しをよくする
- 汗を吸いやすい、風通しのよい素材の衣服を着る
- 外出の際は、帽子や日傘などを使う
- 暑い季節は無理に節電せず、エアコンや除湿器、扇風機などを上手に使って気温・湿度を下げる
- 高い気温や湿度の中で無理な運動をしない
- 夜間のトイレ回数を減らすために、水分を控えるなどの行為はしない
これらの点に注意して生活しましょう。
高齢者に多いかくれ脱水の症状や熱中症との違いについてのまとめ
今回はかくれ脱水について色々説明してきました。
では、まとめてみましょう。
かくれ脱水とは、脱水症の初期の頃のことで、ほとんど自覚症状がない状態のことを言います。
ですので、はっきりした症状は特にありません。
ですが、注意してみるべき点を次に挙げておきます。
- 血圧が低い
- 手足が冷たい
- 脈が速い
- 皮膚に張りがない
- 口が乾いていて、喋りにくそうな感じがある
- 尿の回数が減っている
- 尿の色が濃い
- 立ち上がりでふらつく
これらの症状がかくれ脱水の兆候です。
かくれ脱水とは、ほとんど自覚症状がないのに比べ、熱中症は様々な症状が出てきますので、その症状の違いが見分けるポイントになってきます。
高齢者では、もし認知機能の低下などがあると、自分で喉の渇きを訴えることもできず、また身体がだるいとかどこかが痛いなどの訴えを伝えることも難しくなってきます。
かくれ脱水というのは、周囲の人がよく見ていてあげないと見逃されやすいものです。
そして、それを放置しているとすぐに熱中症を引き起こしてしまうので、なるべく日頃からの予防対策が肝心になってきます。