今回は、『逆流性食道炎の治療方法は薬や食事によるもの?治療期間と手術についても』というタイトルでお送りします。
逆流性食道炎にかかった場合、その症状は胃の痛みや胸やけなど、とても不快な症状が現れるのでなるべく早い段階で治療を始めたほうがいいです。
食欲がなくなり、食べることができなくなるような症状は、続くととてもつらいものです。
そこで疑問に思うのは、逆流性食道炎の治療方法はどういったことをするかということ。
今回は、逆流性食道炎の治療方法、そして治療にかかる期間などについて説明していきたいと思います。
逆流性食道炎の治療方法は薬や食事によるもの?治療期間は?
逆流性食道炎の主な治療方法は次の2つです。
- お薬を飲むことによる治療
- 生活習慣の改善
これらの中に確かに薬、そして食事は含まれていますね。
では、それぞれ説明していきましょう。
お薬を飲むことによる治療方法について
胃酸を抑えるお薬を飲むことで、胸やけなどの症状を改善し食道炎を治していきます。
この治療薬の中で、最も効果のあるお薬が、「プロトンポンプ阻害薬(そがいやく)」という種類のお薬です。
このプロトンポンプ阻害薬というのは、胃酸の分泌を抑制する薬のことですが、次のようなお薬があります。
- タケプロン
- パリエット
- ネキシウム
- オメプラール
- タケキャブ
それ以外に、ジェネリック品として
- ラベプラゾール
- ランソプラゾール
- オメプラゾール
などのお薬があります。
これらのお薬を飲んで胃液の量を減らすことで、結果的に食道内への胃酸の逆流を防ぐのですが、その薬の効果はおよそ90%と言われています。
お薬を飲んで治す治療期間はどれくらい?
逆流性食道炎という病気は、お薬を服用することで症状も治っていくのですが、お薬を中止すると再発する可能性がとても高い病気なのです。
ですので、「治療期間は1か月です」とか、「〇か月で完治します」などということは言えず、長期間でお薬を服用していくことが必要となります。
慢性的な経過をたどっていく病気のひとつと言えるでしょう。
では次に、食事などを含む生活習慣の改善とはどんなことを言うのかについて説明していきたいと思います。
食事など生活習慣の改善とは?
生活習慣の改善については次のようなことが挙げられます。
- 胃液が逆流しやすい食べ物は摂り過ぎない
- 一度にたくさん食べ過ぎない
- アルコールやコーヒーなどの摂取量を減らす
- 肥満にならないようにする
- 姿勢に注意する
- 禁煙する
などです。
では、それぞれ説明していきましょう。
胃液が逆流しやすい食べ物は摂り過ぎない
脂肪分やタンパク質の多い食事は摂り過ぎないようにしましょう。
また、次のような食べ物は胃に負担をかけやすくなりますので注意しましょう。
- チョコレートなどの甘いもの
- 唐辛子やコショウなどの香辛料の強い食べ物
- レモンやミカンなどの酸味の強い食べ物
- 消化の悪い食べ物
などです。
一度にたくさん食べ過ぎない
胃に負担をかけないように、一度に食べる量は腹八分目として食べ過ぎないようにしましょう。
アルコールやコーヒーなどの摂取量を減らす
アルコールやコーヒー、緑茶なども胃酸の分泌を増やすと言われています。
肥満にならないようにする
肥満になると、お腹の周りのぜい肉などで腹圧がかかって、胃が押し上げられ胃酸が逆流しやすくなります。
姿勢に注意する
姿勢は逆流性食道炎と深く関係しています。
前かがみの姿勢は、胃酸の逆流を起こしやすくしますので避けましょう。
そして、食べたあとは胃の内容物が逆流しやすいので、食後3時間くらいは横にならないようにしましょう。
また、お腹をベルトやコルセットで締め付け過ぎないようにしましょう。
禁煙する
タバコに含まれるニコチンは胃酸を多く分泌させて症状を悪化させてしまいます。
なるべく禁煙することをお勧めします。
このようなお薬や生活習慣を見直しても改善しない場合には、手術による治療を行うこともあります。
逆流性食道炎で手術を行うこともある?
逆流性食道炎の治療は主に薬物療法と生活習慣の改善ですが、それでも治らない場合には手術による治療が選択されることがあります。
そのほかにも、食道炎の症状が重症である場合や、なんらかの理由でお薬を継続して飲むことができない場合にも手術をすることになります。
これは、食道への逆流を防止する機能を取り戻すような手術です。
食道や胃を切ったりするわけではありません。
もともと、胃と食道の間には逆流を防止する機能が備わっていますが、それが機能していないために逆流が起こります。
ですので、その逆流防止機能を再構築するような手術を行うのです。
そして、その手術の方法はお腹を切って行うのではなく、下図のように、1㎝前後の小さな穴を3か所くらい開けて腹腔鏡という管を通して行う腹腔鏡下手術となります。
この方法はとても小さな傷で済み、また入院期間も短く合併症も少ないと言われています。
逆流性食道炎の苦痛な症状を何度も繰り返す患者さんにとっては、ほぼ確実に改善する手術療法のほうを選択するケースも徐々に増えてきています。
逆流性食道炎の治療方法や期間などについてのまとめ
今回は、逆流性食道炎の治療方法や治療期間などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
治療方法は主に薬による薬物療法、そして食事など生活習慣の改善です。
薬物療法として、使われるお薬は「プロトンポンプ阻害薬(そがいやく)」と言われるお薬です。
また、生活習慣の改善点として、
- 胃液が逆流しやすい食べ物は摂り過ぎない
- 一度にたくさん食べ過ぎない
- アルコールやコーヒーなどの摂取量を減らす
- 肥満にならないようにする
- 姿勢に注意する
- 禁煙する
などが挙げられます。
薬物療法による治療は長期にわたります。
お薬を服用すると症状は改善しますが、服用を中止するとほぼ再発します。
ですので、慢性的な治療が必要になってきます。
薬物療法や生活習慣の改善を行っても改善しないときや、症状が悪化し何度も繰り返す場合には手術が行われるあります。
手術はお腹を何㎝も切って行うのではなく、1㎝程度の穴をあけて行う腹腔鏡下手術です。
この方法は入院期間も短く、合併症も少ない手術となります。
逆流性食道炎という病気は、私たちが生活をしていく上で欠かせない「食べる」という行為に直接関わってくる病気です。
ですので、この病気で起きる症状はとても苦痛なものになると思います。
なるべくその苦痛な症状が悪化してしまわないように、処方されたお薬を正確に服用し生活習慣の改善を心がけていくことが大切になってきます。