今回は、『E型肝炎の症状や治療方法は?ウイルスの感染経路や検査方法も紹介!』というタイトルでお送りします。
肝炎と言えば、色々種類がありますが、B型肝炎とかC型肝炎については知っている人も多いのではないでしょうか。
そのほかにも肝炎には、A型やD型などがあります。
私たち医療従事者はB型肝炎ウイルスなどの血液を介して感染するものに関しては、血液を取り扱う者として感染しないようにとても注意しています。
しかし、注意していても感染する職員はいます。
以前、一緒に働いていた臨床工学士のスタッフはB型肝炎ウイルスに感染してしまい、一時は危険な状態となりましたが、何とか回復して元気になりました。
またE型肝炎についても2018年2月1日、ある高齢者が入院治療中にE型肝炎ウイルスに感染し死亡したというニュースもありました。
内容に関しては下記の記事をご参照ください。
参考記事 → 「輸血で感染、80代女性死亡 E型肝炎ウイルス 」日本経済新聞
今回はこの肝炎の中でもあまり耳にしない「E型肝炎」に関して説明していきたいと思います。
E型肝炎とは?
E型肝炎の症状や治療方法、ウイルスの感染経路や検査方法について説明する前にまずはE型肝炎とはどんな病気なのかについて説明します。
そして、次にその症状、感染経路や検査方法を、最後に治療方法について説明していきましょう。
肝炎とはウイルスやアルコール、または免疫関係などが原因で肝臓の細胞に炎症が起こって、肝細胞が壊れる病気です。
そして、その中でも「ウイルス」が原因で起こる肝炎には、A・B・C・D・E型肝炎があります。
それぞれの型が何を介して感染するのかを以下にまとめます。
- A型肝炎ウイルス:主に食べ物や水を介して感染
- B型肝炎ウイルス:主に血液や体液を介して感染
- C型肝炎ウイルス:主に血液や体液を介して感染
- D型肝炎ウイルス:主に血液や体液を介して感染
- E型肝炎ウイルス:主に食べ物や水を介して感染
E型肝炎は上記にあるように食べ物や水を介して感染する病気です。
下記の画像がE型肝炎ウイルスの電子顕微鏡画像です。
では、このE型肝炎の症状について説明していきましょう。
E型肝炎の症状は?
E型肝炎の症状は、およそ6週間の潜伏期間のあとに
- 倦怠感(けんたいかん・身体がだるい感じ)
- 吐き気
- 食欲不振
- 腹痛
- 強い黄疸(おうだん・皮膚が黄色っぽくなること)
などの自覚症状が出てきます。
感染は一過性であり、ウイルスがずっと身体に定着することもありません。
感染しても、症状が軽い場合も多いです。
E型肝炎の特徴としては、
- 妊婦が感染すると、劇症化(げきしょうか)といって症状が悪化しやすい
- 高齢者ほど重症化しやすい
ということが挙げられます。
通常、発症から約1か月で完治すると言われています。
では、次にE型肝炎ウイルスの感染経路について説明しましょう。
E型肝炎ウイルスの感染経路は?
E型肝炎ウイルスの感染経路は、経口感染です。
ウイルスに汚染された食べ物、水などを摂ることにより感染します。
ヒトからヒトへの接触感染や咳やクシャミなどの飛沫感染による感染報告は挙がっていません。
ウイルスに汚染された食べ物で注意が必要なのは、ジビエと言って、シカやイノシシなどの野生鳥獣の肉です。
これらの肉を生や加熱が不十分な状態で食べるとE型肝炎ウイルス以外にも、腸管出血性大腸菌や寄生虫などの食中毒になる可能性も高いと言われています。
日本で最初の事例は、シカの生肉を食べてE型肝炎ウイルスに感染した事例です。
この事例については厚生労働省のホームページに掲載されています。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0801-4.html
また、E型肝炎ウイルスに感染した患者からの輸血によってE型肝炎に感染したという報告も挙がっています。
今回の2018年2月に報告があった、入院患者が輸血後にE型肝炎に感染し死亡した事例も同様に、既にE型肝炎に感染していた方からの輸血提供によって感染し、E型肝炎になってしまったのです。
これまでに日本国内でも、輸血によってE型肝炎に感染したケースはあったようです。
しかし、今回は感染した患者さんが高齢であったこと、その上、癌の治療中で免疫力が低下していたことなどから、ウイルス感染だけが直接的な死亡の原因ではなかったと考えられています。
では次に、E型肝炎ウイルスの検査方法に関して説明します。
E型肝炎ウイルスの検査方法は?
E型肝炎ウイルスに感染したかどうかを調べるのは、採血による検査です。
血液の検査でウイルスに感染しているか否かが判断できます。
ではE型肝炎の治療方法を説明していきたいと思います。
E型肝炎の治療方法と予防接種方法は?
E型肝炎ウイルスに感染して、E型肝炎になった場合の治療方法は対症療法しかありません。
吐き気には吐き気止めや痛みには鎮痛剤などを使うといった感じになります。
もし、重症化してしまったケースでは、少し聞きなれない治療かもしれませんが、血漿交換(けっしょうこうかん)という治療方法や肝臓の移植などが必要となります。
また、ワクチンについてもまだ開発はされていません。
E型肝炎の予防としては、発展途上国などで汚染地域とされる場所に旅行などで訪れるときには飲み水や食べ物に十分注意して、特にジビエは中心部まで十分加熱してから食べるようにしましょう。
E型肝炎の症状や治療方法などについてのまとめ
今回はE型肝炎の症状や治療方法などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
E型肝炎の症状は、およそ6週間の潜伏期間のあとに
- 倦怠感(けんたいかん・身体がだるい感じ)
- 吐き気
- 食欲不振
- 腹痛
- 強い黄疸(おうだん・皮膚が黄色っぽくなること)
などの自覚症状が出てきます。
ウイルスに汚染された食べ物、水などを摂ることによりウイルスに感染する経口感染です。
主にジビエ(シカやイノシシなどの生肉)を食べて感染した事例が挙がっています。
ウイルスに感染したか否かについては血液検査で判定します。
治療方法は対症療法のみになります。
悪化したケースだと、血漿交換や肝臓移植などが必要となります。
E型肝炎は、現代の日本では感染する可能性は低いと思われます。
水もきれいですし、シカやイノシシなどの肉もそれほど多く食べる機会はありませんね。
しかし、感染していても症状が軽いケースもあるので、自分が感染していることに気づかずに献血などをすれば、輸血によって感染を拡大させてしてしまうかもしれないのです。
それが、高齢者や妊婦さんなどであれば、場合によっては生命に関わる状態になりかねません。
E型肝炎ウイルスによる感染は十分予防ができるものなので、正しい知識を得て感染しないよう、感染させないように注意していきましょう。