今回は、『インフルエンザ予防接種の副作用に熱や腫れ?下痢や嘔吐が出ることも?』というタイトルでお送りします。
あなたは小さな頃、何も知らないまま、学校などで予防接種を受けた日のことを覚えていますか?
私達は生まれた時から、色んな種類の予防接種を注射しながら成長していきます(^^)
予防接種には色々種類がありますが、どの予防接種にも副作用が出る可能性があります。
これは予防接種に限らず、どの飲み薬も注射薬もすべて同じように副作用があります。
インフルエンザの予防接種も同様で、副作用の強く出る人もいれば全く出ない人もいます。
しかし、「副作用は全く出ないよ!」という人も、安心はできません。
何故なら、体質というのは変わる可能性があるからです。
去年ワクチンを接種した時はどうもなかったのに、今年はなぜか副作用が出たということもあります。
今回は、インフルエンザの予防接種の副作用について色々ご紹介したいと思います。
インフルエンザ予防接種の副作用は何故起こる?
ワクチンを接種すると、身体がそのワクチンに反応を示して、一時的ですが自然に感染を起こした時と同じような症状を起こして、そして、抗体を作ります。
その時に出る症状のことを副作用、または副反応と言います。
予防接種に使われているワクチンはどれも、感染症を起こすウィルスや細菌の病原体の毒性を弱めたり、無毒化(毒が出ないように処理すること)をして作られています。
昔はワクチンを接種したことで、重大な副作用を引き起こした例もあったようですが、現在使われているワクチンの多くは長期的に使用していて、その安全性が確立されています。
インフルエンザワクチンもまた、不活化ワクチンと言って、ウィルスや細菌などの微生物は除去してきちんと処理しています。
ですので、接種したとしても、ウィルスが身体の中で増殖することもありません。
それでも、身体はワクチンに反応しますが、自然に感染した場合に比べて症状はとても軽いことがほとんどです。
重い副作用が出ることは、極めてまれなことです。
では、インフルエンザの予防接種を受けると、いったいどんな副作用が出るのでしょうか。
インフルエンザ予防接種の副作用には熱や腫れが出る?
インフルエンザ予防接種の副作用のひとつとして、接種したほうの腕が熱を持ったり腫れたりすることがあります。
(熱と言っても、この章では「腕に感じる熱」のことで、全身的な熱に関しては、次の章で取り上げています(^^))
具体的に説明しますと、接種したほうの腕が、
- 赤くなる
- 腫れる
- 固くなる
- かゆくなる
- 熱を持つ
- シビレを感じる
- 痛みが出る
といった感じです。
実際、私自身も接種すれば数時間で赤く腫れ上がってしまいますし、徐々にかゆみも出てきます。
この副作用が出る確率はおよそ10~20%と言われています。
100人接種した中で、10~20人が出るということですね。
この副作用は数時間で治まることもありますが、長くても2~3日で治まると思ってもらって大丈夫です。
腕に熱や腫れが出たときに自分でできることは?
自分でできる対応策としては、熱を持った部分をアイスノンなどで冷やしてみるとか、冷湿布などを貼って様子をみることなどです。
ただ、湿布を貼るとかぶれる人がたまにいますので注意してくださいね。
かゆいからといって、むやみに掻いてしまうと皮膚が傷ついて、細菌が入ってしまい本当に炎症を起こしてしまうことになるので注意しましょう!
かゆみで知らない間に手がいってしまうなら、腕を保護するようなアームカバーなどを使うのもいいと思います。
最近、よく日焼け防止で腕の上の方まである手袋がありますので、それも使えますね(^^)
また、もし接種したほうの腕が腫れた場合、肩より上にも腫れが拡がったり、手指のほうまでパンパンに腫れたりするようなら、一種の強いアレルギー反応として考えたほうが良いので医師に診てもらいましょう。
接種前の部位のアルコール消毒で赤く反応する人も!
ここで一つ注意してほしいポイントがあります(^^)
私達看護師は、患者さんにワクチンを接種する際、「アルコール綿」で注射する部分をアルコール消毒します。
実はこの時、アルコール綿で反応を起こす人がいるんです。
アルコールに弱い人、アレルギー反応が出る人はアルコール消毒したら、ほんの数分で真っ赤になって反応することがあります(><)
中には腫れたり、かゆみが出たりする人も多いのです。
そんな中、ワクチンを接種してしまったら、更にもっと赤く腫れ上がるかもしれません。
赤みや痛み、かゆみをよりひどくしてしまうかもしれません。
しかし、そんなアルコール綿が使えない人のために病院などでは、他の消毒綿を用意していることが多いのです。
ですので、アルコールに弱い人は遠慮なく申し出てくださいね(^^)
では、インフルエンザ予防接種の副作用について、他にはどんな症状があるのでしょう。
インフルエンザ予防接種の副作用には下痢や嘔吐などもある?
インフルエンザの予防接種の副作用として、下痢や嘔吐も含まれます。
その他、全身的な症状として…
- 悪寒(寒気)
- 熱が出る(37.0℃台の微熱が多い)
- 頭痛
- 倦怠感(身体がだるい感じ)
- 関節痛や筋肉痛
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
- めまい
などがあります。
全身的に副作用が出る確率は、およそ5~10%だと言われています。
100人の内、5~10人くらいだということですね。
そして、全身的な症状の中には下痢や嘔吐も含まれています。
しかし、これらの症状もそれほど強く出ることはなく、2~3日以内にはほぼ治まります。
もし、下痢や嘔吐の症状がきついとか、それ以外の症状も同時に続くのであれば、他の病気の可能性もありますので、あまり我慢しないよう早めに診察を受けましょう(‥;)
「こんなインフルエンザみたいな症状が出るなら接種する意味がないじゃないか!」と思う人もいるかもしれません。
でも、実際にインフルエンザにかかってしまったら、こんなものでは済まされません(<>)
これらの症状はワクチンが身体に入ってきたことによって、ちゃんと抗体が作られていることの証です。
副作用がそのままひどくなって、インフルエンザになる、ということは絶対にありませんので安心してください。
副作用で腫れたほうの腕では体温測定はしないようにしましょう!
ここでまた一つ注意ポイントです(^^)
もし注射したほうの腕が腫れ上がった場合、その腕は全体的に熱を持つことが多いです。
そして、その腋(わき)の下で体温を測った場合、37.0℃以上の微熱が出ることがよくあります。
そんな時には、反対側の腋の下で体温を測りましょう。
全身的な副作用の症状として、熱が出てしまった!と勘違いをしないように気をつけましょう(^^)
まれにある重篤な副作用とはどんな症状?
インフルエンザの予防接種で全身的な症状が出る人は約5~10%と言いましたが、その中でも重篤な症状が出る人がまれにいます。
その重篤な副作用とは、
- アナフィラキシーショック
- ギランバレー症候群
- 肝機能障害
- ぜんそく
- けいれん
- 急性脳症
などです。
では、アナフィラキシーショック・ギランバレー症候群・肝機能障害について簡単にご説明します。
危険な状態であるアナフィラキシーショック
アレルギーの原因となるアレルゲンに対して、非常に強い反応が出て起こる症状です。
症状の一つを例に挙げると、最初は部分的な発疹(身体にできる赤いブツブツのようなもの)から始まり、それが広範囲にじんま疹のような発疹へと拡がります。
そのじんま疹のような発疹は喉の粘膜にまで現れ、やがては気道もむくみ、喉を圧迫すると呼吸困難となり、全身状態が一気に悪化します。
そして更に進むと、血圧が低下し、意識障害を引き起こし、ひどい場合には命を落とすこともある症状です。
この症状は、接種後30分以内に現れやすいため、なるべくその時間は医療機関で様子をみるようにしましょう。
ギランバレー症候群
自己免疫疾患の一つです。
急性多発性心筋炎とも言われ、末梢神経が短い時間で麻痺するために現れる症状です。
重篤になれば、呼吸筋・脳神経・顔面神経の麻痺などが起こります。
肝機能障害
何らかの要因で肝臓の機能が低下します。
肝機能が低下すると黄疸などの症状を認めたりします。
インフルエンザ予防接種を受けられないのはどんな人?
一般にインフルエンザワクチンの予防接種は、なるべく受けるように推奨されていますが、接種してはいけない人と、接種するならば注意しないといけない人がいます。
予防接種を受けてはいけない人とは、
- 熱がある人(接種当日)
- 重い急性疾患にかかっている人(症状が急に進んで、その進み方が早い病気のこと)
- インフルエンザの予防接種で過去にアナフィラキシーショックを起こしたことのある人
- その他、様々な理由で総合的に医師が診断して、適切でないと判断した場合
受ける上で注意をしないといけない人とは、
- 心臓・腎臓・肝臓に病気のある人
- 血液疾患の病気のある人
- 発育障害がある人
- 予防接種の後、2日以内に熱が出た人、及び全身に発疹などのアレルギーを疑う症状が出たことのある人
- 過去にけいれん発作を起こしたことのある人
- 過去に免疫不全の診断を受けた人
- 近親者に生まれた時からの免疫不全の病気を持つ人がいる場合
- 接種するワクチンの成分に対してアレルギーが出る可能性のある人(インフルエンザワクチンは極微量ですが、鶏卵を使用して作っています。卵アレルギーの程度にもよりますが、アレルギー反応が強く出る人は接種を控えることもあります。)
- 妊娠の可能性がある人
- 喘息がある人
これらに当てはまる人が接種したら、必ず何かしらの反応が起こり重篤な症状を引き起こすということではありません。
色々な要因が重なって、もともと持っていた持病が悪化したり、身体の状態が悪くなる可能性が高いため接種を見合わせたり、中止したりするのです。
これらの注意すべき項目は医療機関で、必ず問診票に記載するようになっています。
もし気になる項目や不安な点などがあれば、遠慮なく先生に聞いてみてくださいね。
インフルエンザ予防接種をする上での注意点とは?
インフルエンザ予防接種を受ける時はどんなことに注意すればいいのでしょう。
次の点に注意しましょう。
- 接種の前の日は入浴を済ませ身体を清潔にしておきましょう。
- 接種当日は清潔な衣服を身に着けましょう。
- 自宅を出る前に体温測定をしておきましょう。(病院でも測定します)
- 風邪や胃腸炎など、何かしらの症状がある場合には必ず先生に相談しましょう。
- 妊娠の可能性のある人は先生に伝えましょう。
- もし他に予防接種を受けている場合には、接種する間隔などがありますので、必ず先生に確認しましょう。
インフルエンザ予防接種をした後の注意点とは?
インフルエンザ予防接種をした後に注意することは何でしょうか。
- 接種した後の30分間は病院で様子を見るようにしましょう。(30分以内に重篤な副作用が起きやすいため)
- 接種後は普段通りの生活で構いませんが、あまり激しい体操などは避けましょう。
- 万が一、高熱やけいれん発作、どこか具合がおかしいなど副作用が出た場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。
- 接種した当日の入浴は構いませんが、接種した部分を強くこすったりしないようにしましょう。
- 接種した当日はなるべく飲酒は控えましょう。
まとめ
今回はインフルエンザ予防接種の副作用について色々ご紹介してみました(^^)
ここでご紹介したこと以外で不明な点や不安な点はまだたくさんあるかもしれません。
身体に関する大切なことなので、分からないことは積極的に先生や看護師に聞くなどして、納得してから予防接種を受けるようにしたいですね(^^)