看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『結膜炎の原因は疲れやストレス?ウイルスやクラミジアが原因でも結膜炎になる?』というタイトルでお送りします。


結膜炎いう病名は目の病気の中ではよく聞くことのある病名だと思います。

平成30年7月に西日本を襲った豪雨によって各地で土砂災害が発生しました。

そして、その土砂の後片付けの時、多くの被災者の方やボランティアの方が、この結膜炎のような症状を訴えていました。

今回は、この「結膜炎」という目の病気の原因について説明していきたいと思います。



 

結膜炎とはどんな病気?

結膜炎の原因について説明するまえに、結膜炎とはどんな病気なのかについて説明しておきましょう。

結膜炎というのは、「結膜」という部分の炎症のことですが、結膜というのはどの部分なのでしょうか?
 

下記の画像は目横を横から見た断面図です。
目の断面図
 

結膜というのは、下の2つの部分の結膜のことを言います。

  • 眼球結膜(がんきゅうけつまく)
  • 眼瞼結膜(がんけんけつまく)

眼球結膜というのは、いわゆる黒目(くろめ)の周りにある白目(しろめ)と言われる部分を覆っている膜のことです。

そして、眼瞼(がんけん)というのは上下の「まぶた」の部分を言いますので、眼瞼結膜というのは、上下のまぶたの内側を覆っている膜のことを言います。

「ベー」と下のまぶたを引っ張った時に出てくる部分が下のまぶたの内側にある眼瞼結膜です。

結膜というのは、血管やリンパ組織が豊富にあります。

また、外界と直接接しているため、色んな細菌などの病原体にさらされやすい環境にあると言えるでしょう。

「結膜炎」というのは、この結膜がなんらかの刺激を受けることによって、結膜の中にあるたくさんの血管がより太くなって多くの血液が流れるようになり、白目が赤くなる状態のことを言います。
 

では、そんな結膜炎の原因について説明していきましょう。
 



結膜炎の原因はなに?疲れやストレス・ウイルスによるもの?

結膜炎の原因は、主には次のようなものが挙げられます。

  • 感染(細菌・ウイルスなど)
  • アレルギー
  • 空気中にある煙やホコリなどの刺激物質

これらの原因によって、様々な結膜炎の症状が出ます。

原因のひとつとして、ウイルスによる感染はあります。

疲れやストレスは結膜炎の主な原因としては挙がりませんが、アレルギー性結膜炎という病気では疲れやストレスで免疫力が低下していれば起こりやすく、原因のひとつとして考えられるでしょう。

では、ひとつずつ説明していきましょう。

感染(細菌・ウイルスなど)

感染には、細菌による感染とウイルスによる感染があります。

細菌によるものは細菌性結膜炎と言い、主にブドウ球菌やレンサ球菌などの菌による感染です。

症状としては、めやにや結膜の充血を起こします。

治療は、抗菌薬の入った点眼薬を使います。

そして、ウイルスによるものは、ウイルス性結膜炎と言い、代表的なものに流行性角結膜炎(りゅうこうせいかくけつまくえん)という結膜炎があります。

流行性角結膜炎は「はやり目」とも呼ばれ、感染力が強いため保育所や学校などで集団感染する可能性があり、注意が必要です。

流行性角結膜炎などウイルスが原因である結膜炎の病気は、目の充血以外にも風邪の症状である喉の痛みや鼻水などが起こります。

それらの症状は1~2週間と長く続くことが多く、これといって特効薬はありません。

炎症を鎮めるような点眼薬や、他の細菌に感染しないように抗菌薬の入った点眼薬を使います。

アレルギー

アレルギーが原因となる結膜炎は、「花粉症」がよく知られていますね。

花粉以外には、ハウスダスト、動物の毛、カビやダニなどが原因として多いです。

アレルゲンである物質が目に入った場合に起こる結膜炎で、目の充血・目やに・コロコロとした違和感や強いかゆみが特徴です。

アレルギーによる結膜炎は感染することはありませんが、かゆくて目をこすると目が腫れたり痛みが出ることがあります。

ですので、こすらずに抗アレルギー剤の目薬を使って症状を和らげます。

空気中にある煙やホコリなどの刺激物質

刺激性のある煙や土ぼこりなどが目に入って刺激になり、結膜炎が起こることがあります。

今回の西日本の土砂災害の後でも、土砂を片付けている際に結膜炎を発症した方がたくさんいました。

それは、片付けの際に乾いた土砂の土ぼこりが舞っているのが目に入ったり、手に土などがついたまま目をこすったりしたことで結膜炎を起こしてしまうからです。

また、その土の中には何らかの菌が混入している可能性があり、それが目の中の入り結膜炎を発症することもあります。
 

以上、結膜炎の主な原因について説明してきました。

では、次に結膜炎の原因である、クラミジアについて説明しましょう。
 



結膜炎はクラミジアでも感染する?

クラミジアが原因で、結膜炎を発症すると「クラミジア結膜炎」という病気になります。

クラミジア・トラコマティスという細菌が目の中に入って、粘膜に感染することで結膜炎になります。

症状は、まぶたが腫れてきて結膜が充血し、むくんできます。

そして、目やにが出てきて、下記の写真のようにまぶたの内側の結膜の部分に小さなブツブツが現れます。
 
 

クラミジア結膜炎の結膜の写真
クラミジア結膜炎の症状

クラミジア結膜炎は感染してから、2日~2週間程度で症状が出始めることが多いです。

また、クラミジアは性行為が原因で起こる病気です。

性器や喉などにも感染していることが多く、性交渉の相手の方も感染している可能性が高いため、相手の方も一緒に検査を受けられることをお勧めします。

クラミジア結膜炎には、抗菌薬の入った点眼薬を使いますが、完全に治すには2~3か月かかることもあります。
 

結膜炎の原因についてのまとめ

今回は、結膜炎の原因について説明してきました。

では、まとめてみましょう。

結膜炎の原因は疲れやストレス・ウイルスによるもの?
結膜炎の原因として、疲れやストレスは直接的な原因にはなりませんが、アレルギー性結膜炎の場合は免疫力が低下していれば発症しやすくなるので、一つの原因として考えられるでしょう。
また、ウイルスが原因で起こる結膜炎を、ウイルス性結膜炎と言い、代表的なものは流行性角結膜炎という病気があります。

 

クラミジアが原因でも結膜炎になる? 
クラミジア・トラコマティスという細菌が原因で感染するクラミジア結膜炎という病気があります。
クラミジアは性行為によって感染するので、相手の方も一緒に検査、治療をすることをお勧めします。

 

結膜炎と言っても、原因は様々でその症状や治療内容も少しずつ変わってきます。

ですが、原因が何であっても外界と直接接している結膜はとても弱く悪化しやすいため、症状が出始めたらなるべく早めに眼科外来を受診するようにしましょう。