今回は、『しめ鯖などの寄生虫アニサキスの食中毒の症状は?時間(期間)や痛みについても』というタイトルでお送りします。
先日、夕食でアジフライを作ろうと思って、スーパーの生鮮食品のコーナーでアジを選んでいたのですが、その時にある注意書きを目にしました。
そこには、
当店でも調理時に注意深く観察しておりますが、お客様の方でもご自宅で調理前に必ず確認をお願いします。
といった内容のことが書かれていました。
今回は、徐々に患者数が増加しつつあるアニサキスによる食中毒の症状について説明していきたいと思います。
アニサキスとは?
アニサキスという寄生虫による食中毒の症状について説明するまえに、アニサキスについて少し触れておきましょう。
アニサキスというのは、主に魚介類などについている寄生虫の名前であり、それを食べることによる食中毒の報告件数は徐々に増加しています。
中でも、サバによるものが多く、アジ・イワシ・イカ・タラ・サケなどにもみられます。
もちろん、塩や酢を使ってみてもアニサキスは死なないのでしめ鯖などにも生息します。
アニサキスは下記の写真にあるように2~3㎝ほどの白くて細長い線虫です。
魚の中にいるものでも注意して見れば、確認できます。
下記の写真のように、外から見るとトグロを巻いて黒っぽく映っています。
このようにアニサキスがついた生鮮魚貝類を、生食または十分な冷凍や加熱などをせずに食べてしまうと、アニサキスが胃や腸の壁に入り込み、食中毒を引き起こすことがあります。
では、そんなアニサキスによる食中毒の症状について説明していきましょう。
アニサキスによる食中毒の症状は?
アニサキスの混入した魚介類を食べて、「胃」の中に入ると次のような症状が出ることがあります。
- みぞおちの辺りの差し込むような激しい痛み
- 嘔気、嘔吐
そして、もし胃を通過して、そのまま「腸」の方に侵入していくと次のような症状が出ます。
- 下腹部の激しい痛み
- 嘔気・嘔吐
- 下痢
などです。
アニサキスが侵入したときの痛みなどの症状は、胃に入り込んだアニサキスが胃の粘膜をかじって起こる痛みではないと言われています。
体内に入り込んだアニサキスは、胃の粘膜を破ってそこに侵入して自分の分泌液を出します。
その分泌液に反応すると、そこで強い炎症を起こして胃の筋肉が収縮してしまって、激しい痛みを感じてしまうのです。
もちろんアニサキスの分泌液には反応しない人も多くいて、その場合は特に何の症状も感じることなく経過します。
では、アニサキスによる食中毒の症状が出るとしたら、それを食べてからどれくらい時間が経ったあとに出てきて、どれくらいの期間続くのでしょうか?
アニサキスの症状が出る時間(期間)は?放置するとどうなる?
もし胃の中にアニサキスが入り込んでしまった場合、食後数時間から十数時間経過してから症状が出始めます。
また、腸の場合でしたら、十数時間から数日後に症状が出始めることがあります。
症状が出始める時間は、人によってかなり個人差があるようです。
そして、もしそのまま放置していたとしても、アニサキスはヒトの体内では生き続けることはできないので、およそ4~5日で徐々に胃痛や腹痛は消えて回復していきます。
しかし、腹痛はかなり強いものになりますので、我慢することは難しくほとんどの方が病院に受診することになるでしょう。
ちなみに、これが胃の中に入り込んだアニサキスの画像です。
↓胃カメラをしてその胃の粘膜を撮影したものですね。
そして、アニサキスによる食中毒は、時にアニサキスにアレルギー反応を持つ人にとってはとても危険な状態になることがあります。
次に説明していきましょう。
アニサキスアレルギーとは?
普通、アニサキスは調理前の段階で、それを取り除いたり加熱や冷凍をすることで感染性を失い、食べても何の症状も出ないと言われています。
しかし、中には感染性のないアニサキスでも、アニサキスの持つ抗原でアレルギー反応を示してしまう人がいます。
アニサキスの抗原は熱には強く、加熱処理をして注意して調理していても、身体に入ればアレルギー反応を起こしてしまうのです。
そんなアレルギーを持った人に、アニサキスが侵入してしまうと身体に蕁麻疹(じんましん)や発熱などの出ることがあります。
そして、もし、更に症状が進んでしまうと、呼吸がしにくくなったり意識を失うなどの重い症状が出ることがあるので、注意が必要です。
そのような症状が起こった場合には、我慢せずに早めに病院を受診しましょう。
そして、受診した際に必ず、生鮮魚介類を食べたことを伝えるようにしてください。
早めに受診し適切な処置が行われることで、早く症状が消失して回復していくでしょう。
寄生虫アニサキスの食中毒の症状についてのまとめ
今回は、アニサキスによる食中毒の症状について説明してきました。
では、まとめてみましょう
アニサキスの混入した魚介類を食べて、「胃」の中に入ると次のような症状が出ることがあります。
- みぞおちの辺りの差し込むような激しい痛み
- 嘔気、嘔吐
そして、もし胃を通過して、そのまま「腸」の方に侵入していくと次のような症状が出ます。
- 下腹部の激しい痛み
- 嘔気・嘔吐
- 下痢
などです。
アニサキスが生きたまま胃の中に侵入してから症状が出るまでの時間は、数時間から十数時間、腸の中に侵入して症状が出るまでの時間は十数時間から数日後であると言われています。
感染性のないアニサキスでも、その抗原によってアレルギーを持つ人は呼吸がしにくい、意識を失うなど重篤な症状に繋がりやすいので注意が必要です。
普段、私たちは生鮮食品を購入して調理する際、そんなにじっくりと食品を観察せずに調理してしまうことが多いと思います。
アニサキスによる食中毒を経験したことのある人もそうでない人も、これからは少し注意して食品を取り扱うようにしていきましょう。