今回は、『妊娠糖尿病の症状とは?合併症もチェック!めまいはいつから?』というタイトルでお送りします。
妊娠糖尿病という病気があります。
妊娠糖尿病は妊娠した時にのみに見られる糖代謝の異常です。妊娠すると、胎盤から出るホルモンの働きで血糖は上がりやすくなりますが、同時に血糖を下げるインスリンというホルモンの働きを抑えるので、血糖は高くなってしまいます。
妊婦であっても多くの人がかかるわけではないので、知らない人も多いかと思います。
正常な妊婦さんの身体だと、更に多くインスリンを分泌して血糖値を下げることができるのですが、妊娠糖尿病になるとその調整が上手くできずに高血糖になる傾向があります。
年齢を重ねることで妊娠糖尿病のリスクも高くなってくるので、特に高齢出産の人は注意が必要です。
今回はそんな妊娠糖尿病の症状や合併症などについて説明していきたいと思います。
妊娠糖尿病についての更に詳しい説明は下の記事をご覧ください。
妊娠糖尿病のチェックすべき症状とは?
妊娠糖尿病の検査というのは、最初は何かしらの症状が出て検査をするわけではなく、妊娠したら必ず行なう採血検査で初めて発覚することが多いのです。
ですので、「いつから、こんな症状がでたら要注意!」などと紹介したいところですが、実はチェックすべき症状がありません。
本来、糖尿病というのはかかったらすぐに症状が出始めるわけではなく、数ヶ月から何年も経過してから徐々に症状が現れるものです。
糖尿病は症状がほとんど出ないので、早期発見がしにくい病気です。
これと同じように、妊娠糖尿病も初期段階では自覚症状はほとんど出てきません。
ただ、もし進行すると次のような症状が出ることもあります。
・喉が乾く
・尿量や回数が増える
・疲れやすくなる・だるい
などの症状が出るくらいで、例えば、糖尿病の症状としてよく検索されているような頭痛やめまい、吐き気などの症状は特にありません。
しかし、これらの疲れやすいなどといった症状は、普通の妊婦さんでもよく自覚する症状です。だから、なかなか気づきにくいのです。
繰り返しになりますが、妊娠糖尿病は無症状で経過していて、産婦人科で受ける妊婦健診での採血などの検査で発覚するというパターンが多いので、なかなかチェックする症状がありません。
では、この妊娠糖尿病という病気の合併症はどんなものがあるのでしょうか?
妊娠糖尿病の合併症をチェック!
糖尿病にかかり、長い間血糖値が高い状態が続くと様々な症状が現れてきます。
それと同じように、妊娠糖尿病の妊婦も高血糖の状態が続くと、母子ともに色んな合併症が出てきます。
それらを説明していきましょう。
母親の身体の合併症
糖尿病の合併症として
- 糖尿病ケトアシドーシス
- 糖尿病性網膜症
- 糖尿病性腎症
- 低血糖
などがあります。
これらについて簡単に説明していきたいと思います。
・糖尿病ケトアシドーシス
インスリンが不足すると、血液中のブドウ糖を代謝できなくなって高血糖の状態になります。
すると、身体は代わりに脂肪を分解してエネルギーを作り出すのです。
この際、血液中に副産物として作られるケトン体が急に増えるため、血液が酸性になってしまいます。
この状態をケトアシドーシスと言って、悪心や嘔吐、腹痛などの症状が出てきたり、脱水状態になったりします。
・糖尿病性網膜症
目の中の網膜にある血管はとても細いため、血液中のブドウ糖が高い状態が続くと血管が傷ついたりして徐々に血管が弱ったり詰まってしまいます。
また出血をおこしたり、悪化すると失明することもあるのです。
これが糖尿病性網膜症です。
・糖尿病性腎症
腎臓は老廃物が濾過(ろか)される場所です。
そして腎臓にはたくさんの血管が張り巡らさていて、糖尿病性腎症になるとそれらの血管は傷つきやすく濾過機能も低下します。
濾過機能が低下すると、身体に必要なタンパクも尿と一緒に出ていってしまい、高血圧やむくみなどの症状が出てきたり、それをそのまま放置してしまえば腎不全になり透析治療になってしまいます。
・低血糖
血糖値を下げるお薬や注射が効きすぎて低血糖症状を起こします。
低血糖症状には、発汗・手足の震え・動機・吐き気・空腹感・不安感などの症状があります。
また、産科的な合併症として
- 流産
- 早産
- 妊娠高血圧症候群
- 羊水過多症
- 巨大児の出産に伴う難産
- 尿路感染症
などがあります。
妊娠高血圧症候群などは、血液中の血糖が高いことで血液の粘性が高まり、血液の流れが悪くなることで起こります。
血流が悪くなると胎盤への栄養も十分にいかなくなり、結果的に流産や早産になる可能性が高くなります。
また、巨大児は胎盤を通して血糖の供給が多くなることで、大きく成長し過ぎたことが原因となるのです。
子供の身体の合併症
- 胎児仮死や胎児死亡
- 先天奇形
- 巨大児
- 新生児低血糖症
- 新生児ビリルビン血症
- 新生児カルシウム血症
- 肥大型心筋症
- 胎児発育遅延
- 児の肥満や糖尿病
これらの合併症は、高血糖が高い状態が続いてしまうことによる合併症で、やはり血液循環が悪くて胎児が順調に発育できないことによるものが多いです。
また、新生児低血糖症は母体の中にいる時にはずっと血糖が高い状態なので、胎児にも糖が多く供給されていたのが、出産と同時に母体からの糖の供給が急に止まることで低血糖になります。
このように妊娠糖尿病で高血糖の状態をずっと放置していると、様々な合併症が現れるわけです。
母体と共に胎児、そして出産後には赤ちゃんにまで悪影響となりますので、妊娠中の血糖はきちんと医師の指示のもとで管理していかなければなりません。
妊娠糖尿病の症状や合併症などについてのまとめ
今回は妊娠糖尿病の症状について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
妊娠糖尿病の症状を自覚する妊婦はほとんどいません。
もし血糖が高めの状態が続くと、次にような症状が出ることはあります。
- 喉が乾く
- 尿量や回数が増える
- 疲れやすくなる・だるい
母親側の合併症
- 高血糖ケトアシドーシス・糖尿病性網膜症・糖尿病性腎症
産科的な合併症
- 流産や早産・妊娠高血圧症候群・羊水過多症
- 巨大児の出産に伴う難産
子供の身体の合併症
- 胎児仮死や胎児死亡・先天奇形・巨大児
- 新生児低血糖症
などがあります。
妊娠糖尿病というのは本来の糖尿病とは違って、出産後には改善して血糖値も正常に戻ると言われています。
ただ、その間高血糖の状態をそのまま放置していると、これまで挙げてきたようにたくさんの合併症の危険性が出てきます。
そして、出産後もそのまま糖尿病になる可能性も高いと言われていますので、必ず医師の指示のもとで血糖コントロールをしていき、無事に出産し母子ともに健康な状態を保てるようにしていきましょう。