今回は、『尿検査の蛋白プラスマイナスの意味は?+1・2・3の原因と再検査は何科で?』というタイトルでお送りします。
尿検査といえば、普段はあまりする機会がありませんが、会社の健康診断などでは必ず行われています。
身体には特に何の症状がないのに
「ちょっと蛋白が出てますね~」
なんて言われると、とても気になりますね。
今回は、そんな尿検査の「蛋白」を取り上げて説明していきたいと思います。
尿検査の蛋白プラス・マイナスの意味は?
尿検査の検査方法は、尿カップに尿をとり、その尿に試験紙につけるとすぐに結果が出ます。
尿に蛋白が出ているかどうかを見る検査です。
試験紙には尿蛋白が、プラスかマイナスかという結果で出てきます。
尿に出ている蛋白の量が少ないほうがマイナス、多くなるにつれ±から1+・2+・3+・4+と変わってきます。
このプラスやマイナスという判定は、尿に出てくる蛋白の量が1dl中に何mgあるのかによって分けられています。
値 | タンパク量(mg/dl) |
---|---|
マイナス(-) | 14以下 |
プラスマイナス(±) | 15~29 |
1+ (+) | 30~99 |
2+ (++) | 100~299 |
3+ (+++) | 300~999 |
4+ (++++) | 1000以上 |
マイナスまたはプラスマイナス(±)といっても、尿に全く蛋白が出ていないわけではありません。
±にゼロがついていないのは、ただ単に正常な人の平均の値といった意味で付けているからです。
血液中に流れている蛋白というのは、私達の生命維持活動に欠かせない成分です。
腎臓に流れてきた血液は糸球体という器官で濾過(ろか)されて、不要な成分を尿として排泄します。
その際、血液中にある蛋白は身体に必要な成分であるため、尿のほうに排泄されずに、血液中に戻されるようなしくみになっているのです。
しかし、腎臓の機能がうまく働いていないと、蛋白が血液中に戻されず尿に多く出ていってしまいます。
ですので、尿に多くの蛋白が含まれているということは、腎臓に何か異常があるということになります。
※何の異常もなく健康な人の場合でも、わずかな量の蛋白を尿に排泄しています。
マイナス(-)、プラスマイナス(±)、1+が正常で、2+以上は何か異常があるということになります。
ただし、激しい運動をしたり、風邪などで高熱があるときなど一時的に尿蛋白2+程度が出ることがあります。その場合は、1回目の尿検査で蛋白が出たといっても、激しい運動や高熱などの心当たりがあればそれほど心配はしなくてもいいでしょう。再検査をすると、正常な数値が出てきたということが多いです。
では、この尿検査の結果で、異常と言われている2+・3+・4+にはどんな原因があるのか説明していきます。
尿検査の蛋白2+・3+・4+の原因
蛋白尿が出たからといって、全てが病気だということではありません。
蛋白尿には、生理的なものと病的なものがあります。
生理的な蛋白尿は、上の説明でも出てきたように激しい運動や高熱の時に出るような蛋白尿です。
このような時に2+の結果が出ることがあります。
これに関しては治療を必要とはしません。
そして、2+から4+の結果についてですが、これらは2+だからこの病気だというような分類はありません。
ただ、腎機能の働きが悪いほど蛋白の量は増えていきます。
2+、3+、4+の蛋白尿が出るということは、やはり身体のどこかに異変があるということになります。
ではどんな原因で蛋白尿が出るのか説明していきます。
病的な蛋白尿ですが、これには腎臓が原因で出るものと腎臓以外に原因があるものがあります。
腎臓に問題がある場合
腎臓の中には、糸球体(しきゅうたい)といわれる器官がありますが、そこに病気があると蛋白尿が出てきます。
糸球体は、腎臓に送られてきた血液を濾過(ろか)して、身体に必要な蛋白成分などは再吸収する役割があります
その糸球体の蛋白の透過性(とうかせい)が進んで、蛋白の中の主な成分であるアルブミンという物質が尿の中に漏れ出てきます。
例えば、その代表的な病気の一つとして、ネフローゼ症候群という病気を例にあげますと下の図のような感じです。
糸球体が元気な時には、蛋白は血管の中に戻せますが、それができなくなると尿の中に漏れて出ていてしまいます。
こういった糸球体の異常が原因で起こる病気には次のようなものがあります。
病名を挙げますと、
- 急性腎炎
- 慢性腎炎
- ネフローゼ症候群
- 膀胱炎
- 尿管結石
などがあります。
これらの病気が考えられる場合には、
- 更に詳しい尿の検査
- 血液検査
- 腎臓の超音波(エコー)検査
- 腎臓のCTやMRI
- 腎生検(腎臓の中の一部を針でついて採取して検査する)
などといった検査に進んでいきます。
腎臓以外に問題がある場合
腎臓以外に原因がある場合というのは、血液中に大量に異常な蛋白が出てきて、糸球体で濾過しきれなくなって尿に溢れ出てくるのが原因です。
病気の名前を挙げますと
- 多発性骨髄腫(たはつせいこつずいしゅ)
- 白血病など血液疾患
などがあります。
多発性骨髄腫も白血病も、血液の悪性腫瘍と言われています。
この病気にかかると、異常な蛋白を大量に生産し始めるのです。
でも、これらの病気が原因で蛋白尿が出る場合は、原因となる病気を治療することによって蛋白尿は治ります。
腎臓以外に原因がある場合には、詳しい血液検査をするだけで腎機能に問題がないことがわかるので、腎臓の詳しい検査には進んでいきません。
では尿検査をして、蛋白が出た場合に再検査を勧められた場合は何科を受診するといいのでしょうか?
再検査をする場合は何科の病院を受診する?
尿検査で蛋白が出た場合でも、一回目の検査だけでは診断を確定しません。
尿蛋白は、生理的な影響で一過性に出るものがありますので、日にちをあけて何回か検査をします。
そして、何回検査しても異常であれば詳しい検査をしていきます。
そういった場合には、受診する病院は腎臓内科または泌尿器科を受診するようにしましょう。
尿検査の蛋白についてのまとめ
今回は尿検査の蛋白について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
尿検査で蛋白プラスやマイナスの意味は
・正常でも生理的な原因で尿蛋白は出ており、その際の結果はマイナス(-)か、プラスマイナス(±)もしくは1+である
・2+から4+は異常値であり、考えられる病気は原因が腎臓にあるものとそうでないものがある。
腎臓に原因がある場合
・慢性腎炎
・ネフローゼ症候群
・膀胱炎
・尿管結石
などが考えられます。
腎臓以外に原因がある場合
・白血病など血液疾患
などが考えられます。
一度の尿検査では診断ができないので、再検査を勧められたら腎臓内科または泌尿器科を受診しましょう。
私達がいつも何となく当たり前に排泄している尿ですが、とても大切な機能を担っていて、何かの異常があればすぐに量や色、成分などが教えてくれます。
もちろん見ただけではわからないこともたくさんありますので、定期的に健康診断などで検査するということはとても重要なことです。
そんな時にこの記事の情報を参考にしていただければと思います。