今回は、『糖尿病は健康診断でわかる?わからない?尿検査の数値の見方も』というタイトルでお送りします。
健康診断と言えば、会社勤めをしている人なら会社の健康診断、それ以外であれば市区町村が行なっている健康診断などがあります。
そんな健康診断の内容は血液検査や尿検査、そして心電図や胸のレントゲンが一般的です。
その健康診断で受ける血液検査や尿検査で血糖値が高かったりして、そこで初めて糖尿病の疑いがあると言われる人も多いのではないでしょうか?
一般的に糖尿病は自覚症状に乏しい病気なので、健康診断などで早期に発見できればラッキーなほうだと思います。
今回は、糖尿病は健康診断でわかるのかどうかについて説明していきたいと思います。
糖尿病は健康診断でわかる?わからない?
まず一般的な健康診断の結果で、糖尿病にかかっているのかが診断できるのか、という疑問についてですが、これはハッキリ言って診断はできません。
健康診断でわかるのは、「糖尿病にかかっているかも?」という疑いだけです。
では、糖尿病の疑いがある状態とはいったいどんな項目でどんな数値が出ることでわかるのでしょう。
糖尿病検査の項目と数値の見方について説明していきましょう。
健康診断のどの項目の数値で糖尿病の疑いがあることがわかる?
健康診断で糖尿病の疑いがあるかどうかがわかる判断材料は、血液検査と尿検査になります。
まずは、血液検査から説明しましょう。
血液検査の項目と数値の見方は?
では血液検査の項目と数値の見方について説明していきましょう。
血液検査については、シンプルな「血糖値」という検査の項目のみになります。
健康診断の場合は、空腹時血糖値と言って朝ごはんは抜いた状態で測定します。
要注意…100~125㎎/dl
異常値…126㎎/dl~
正常値だと全く問題はありませんが、要注意の値というのは軽度の異常が認められるために生活改善して、今後のデータや自覚症状の出現に注意するといった程度です。
要注意の範囲の血糖値に関しては、
例えばその日の朝、絶食せずに糖が入った飲み物を少し飲んだだけでも簡単に血糖値は上がるので、もし心当たりがあれば経過をみるだけでも構いません。
でも、きちんと絶食していて、尚且つ尿糖も出ているようであれば、指示通りに再検査もしくは受診をしたほうがいいでしょう。
では次に、尿検査の項目と数値の見方について説明していきます。
尿検査の項目と数値の見方は??
尿検査は検査スティックに、尿をかけるか浸すかして試薬と反応させて尿中に「糖」の反応が出ているかどうかをみる検査になります。
この判断基準は製薬会社の検査スティックの種類によって違いはあるかもしれませんが、ほとんどが尿につけておよそ30秒程度で結果がわかります。
ある検査スティックの結果の一例を下に紹介します。
では、尿検査の項目と数値の見方について説明していきましょう。
検査結果の表には下図のように、
もし尿糖が出ていれば -、±、+、++、+++ といった結果が出てきます。
尿糖の目安は50㎎/dl未満(±~-)であればほとんど尿糖は検出されていないということで、全く問題ないと言われています。
血糖値は一定以上に高くなってしまうと、尿中にも排泄されます。
その血糖の数値は、160~180㎎/dl程度と言われています。
ですので、血糖値の検査結果も合わせて尿糖が「+~+++」の範囲であれば尿中にも糖が出ているということなので、指示通り再検査もしくは内科受診をおすすめします。
その数値というのは、
++…500㎎/dl
+++…2000㎎/dl
となっています。
ただ、これらの検査は簡易検査なので、確実に糖尿病かどうかいう診断をするには不十分な検査なのです。
特に血液検査では、血糖が100㎎/dl以上の要注意の結果の範囲であっても内科受診や糖尿病外来などを受診したほうがいいと思います。
今後、定期的に観察するのもいいですが、自覚症状がなかなかわからない人もいますし、ついつい定期的に観察し忘れている内に糖尿病は進行していく可能性もありますので注意が必要です。
これらの検査で糖尿病の疑いがあった人は、次にもう少し詳しい検査をしていきます。
尿の検査では糖の検出に関して、これ以上は深く検査することはないので、更に詳しく検査するのは血液検査になります。
健康診断で糖尿病疑いがある場合に行なう血液検査とは?
健康診断の血液検査で血糖値が高く、糖尿病を疑われた場合に病院を受診して行なう血液検査は「ヘモグロビンA1C」という項目の検査になります。
このヘモグロビンA1Cというのは、1~2ヶ月にわたる間の血糖値の平均を反映する値になります。
これは食事の影響は受けませんので、いつの時間帯でも検査が可能です。
もし、前の晩に食べすぎていたとしても普段から血糖値が高くなければ、ヘモグロビンA1Cは正常のままですし、普段から血糖値が高い人が検査前に食事を減らしていたとしても、ヘモグロビンA1Cの値は異常値になります。
ヘモグロビンA1Cの値は
要注意…5.6~6.4%
異常値…6.5%以上
となります。
空腹時血糖が126㎎/dl以上かつヘモグロビンA1Cが6.5%以上であれば糖尿病と診断します。
糖尿病は健康診断でわかるのかどうかについてのまとめ
糖尿病は健康診断でわかるのかどうかについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
糖尿病は一般的な健康診断ではわかりません。診断できません。
健康診断でわかるのは「糖尿病の疑いがある」ということだけです。
その疑いがわかる検査項目は
- 血液検査の空腹時血糖値
- 尿検査では尿中への尿糖の有無
になります。
血液検査では血糖値をみます。
正常値…99㎎/dl以下
要注意…100~125㎎/dl
異常値…126㎎/dl~
尿検査では糖をみます。
-~±は尿糖の数値が50㎎/dl以下でほとんど検出されず
+~+++までの結果は100㎎/dl以上となり、尿糖が出ているという判断になります。
一般的な職場検診などは、もともとは自覚症状のない見た目は健康な人が対象で、病気の可能性がある人をふるい分けていく簡単な検査です。
健康診断というのは、自覚症状がない間になるべく早く異常を発見して対処することが目的です。
特に糖尿病というのは、昔から万病のもととも言われる厄介な病気です。
健康診断などで早めに発見が出来れば、早期に治療し進行を食い止めることも可能です。
自覚症状がなければ、日常生活を指導されてももう一つピンと来ないかもしれませんが、症状が出てからでは遅いのです。
もし、糖尿病でなく他の生活習慣病が考えれる場合などはそれなりの生活上の注意点を指導されるかもしれませんが、なるべくそういった指導はきちんと受け止め生活改善をしていくように心がけましょう。