今回は、『糖尿病症状で足をチェック!むくみしびれは?壊疽で切断も?写真で説明』というタイトルでお送りします。
糖尿病というのは、初期では本当に症状が出にくいので、かかっていることに気づかずに経過する人が多いです。
「自覚症状が出た時には既にかなり進行していた」といったことも珍しくはありません。
しかし、自覚症状もないのに、糖尿病を発見するというのはなかなか難しいと思います。
ですので、普段から意識して、健康診断や、風邪などで医院などを受診した際、採血する機会があれば、血糖もチェックしてもらうことをおすすめします。
診察の際に、先生に血糖をチェックしてほしいことを伝えれば、ほとんどの医師は検査してくれますので、聞いてみてくださいね。
糖尿病というのは、症状が出ているのにそのまま何も処置をせず放置していると、やがては様々な重い症状に進行していくことがあります。
糖尿病が悪化してしまい様々な重い症状を引き起こしたケースを、私はこれまでに幾度となく見てきました。
そんな中でも、今回はその重い症状の中のひとつである足の病気について説明していきたいと思います。
糖尿病の症状がある場合、足の状態をチェックすることがどれだけ大切かについて伝えることができればと思います。
糖尿病による足のしびれやむくみの症状
糖尿病の症状に、足のしびれやむくみがあります。
足のしびれやむくみを説明するまえに、神経の働きや、なぜ神経が障害されるのかについて説明しておきたいと思います。
神経の働き
神経は脳の命令を身体各部に伝えたり、逆に身体各部から脳に情報を送ったりする役目を持っています。
神経を大きく分けると、
- 中枢神経(ちゅうすうしんけい):脳や脊髄からなっている神経
- 末梢神経(まっしょうしんけい):中枢から身体の各部位に枝分かれして、手足の先など隅々まで張り巡らされた神経
があります。
糖尿病で神経障害が起きる理由
糖尿病になると、血液中の糖分が増えて、神経障害を引き起こす物質が溜まって、糖尿病神経障害という合併症が出ます。
そして、糖尿病で障害が起きるのは、末梢神経(まっしょうしんけい)のほうです。
末梢神経には、
- 運動神経:手や足を動かす。
- 感覚神経:痛い、温かい冷たいなどを感じる。
- 自律神経:意識して動かせない、内臓の働きや体温調整などをする。
の3つの神経があり、それぞれ別の役割を担っています。
これらに障害が起きると、それぞれの調整ができなくなります。
そして次のようなことが起きます。
- 手足の感覚は鈍って、冷たさや熱さ、そして痛みなどを感じない。
- 細かい部位の筋肉が動かない。
- 胃腸の動きが鈍くなる。
- 何も触れていないのに、痛みを感じる。
などといったようなことが起きます。
では、しびれとむくみについて、ひとつずつ説明していきましょう。
足のしびれ
足のしびれが出るのは、上記で説明しましたように、末梢神経に障害が起こるからです。
そして、もうひとつ理由があります。
糖尿病では、血糖が高いことにより、血液の流れはドロドロとして、手や足の先の細い毛細血管などの血液の流れも悪くなります。
すると、血液の流れが悪いので、神経細胞が必要としている栄養分や酸素が隅々まで行き渡らなくなります。
そのため、しびれなどの神経障害が起きてしまうのです。
足のむくみ
糖尿病で血液中の糖が高くなると、その糖の高い濃度を薄めようとして、細胞の中から血管の中に、水分が引き込まれます。
そして、水分が増えるので尿も多くなり、更にそれを補おうとして喉も渇くので、また水分を摂ってしまいます。
そうして、体内の水分が増えていって、排泄されない分がむくみとなって表れます。
ここまで、「糖尿病になるとなぜ足のしびれやむくみなどの症状が起きてしまうのか」について説明してきました。
では次に、なぜ足の症状に注意しないといけないのかについて説明していきます。
足をチェックする必要性
- 1 糖尿病による足のしびれやむくみの症状
- 2 足をチェックする必要性
- 3 足の壊疽と切断の可能性
- 4 糖尿病の足に起こる症状についてのまとめ
糖尿病の神経障害によって、足のしびれが出てくると同時に足先の感覚が鈍くなります。
そうすると、次のようなことで足に傷を作りやすく、また悪化しやすくなります。
- 靴の中に石など異物が入っていても気づかない。
- 入浴の際など、熱湯であっても気づかない→火傷の可能性。
- どこかにぶつけたりして、怪我をしても気づかない。
- 水虫があるが放置している。
- 靴ずれに気づかない。
まってしまった場合、そのなどです。
また、神経障害の影響で、関節などの変形も進み、タコや魚の目などが知らない間にできていることもあります。
なので、こういったことに注意して、いつも足に変化がないか、傷などないか、をよく観察してチェックしておいてください。
そして、例えば、足に傷などがあって、気づかずにそのまま放置していると次に説明するような大変なことになります。
足の壊疽と切断の可能性
- 1 糖尿病による足のしびれやむくみの症状
- 2 足をチェックする必要性
- 3 足の壊疽と切断の可能性
- 4 糖尿病の足に起こる症状についてのまとめ
糖尿病で血液中の糖が多くなり、血液がドロドロとして流れも悪くなり、やがて細い血管などは詰まってしまうことがあります。
血管が詰まってしまった場合、その先の部分には酸素も栄養も運ばれなくなるのです。
例えば、足に怪我など傷ができてしまっても、普通に酸素や栄養分が運ばれてくれば傷はすぐに治ります。
しかし、血管が詰まっていて酸素や栄養が運ばれてこなければ、その部位は壊死を起こしてしまいます。
ましてや、その傷が細菌感染などを起こしてしまうと、どんどん症状は悪化していってしまうのです。
そんな状態のことを「壊疽(えそ)」と言います。
もし、皮膚が壊疽を起こすと、皮膚の色が黒くなってきます。こうなると、どんな軟膏やクリームをつけようが治る可能性は低いです。
ですが、その壊死を起こした皮膚を(黒い部分)切って適切な処置をすることで、新しい皮膚が再生して治っていくこともあります。
また、壊疽になってそのまま放置してしまった場合、その細菌が全身にまわってしまって、敗血症(はいけっしょう)を起こして死亡することもあります。
(敗血症とは、身体のある部位で細菌感染を起こした場合、その細菌が血液の中に入りこんで全身に流れていき、重篤な症状を引き起こす病気です)
そうなると、手段としては、足の切断をするしかありません。
ですので、なるべく早くに治療を開始する必要があります。早く治療を開始するためには、早くに足の異変に気づくことが大切です。
そのためには…
- 足の皮膚の状態を毎日観察しておく。
- もし、巻き爪など爪のトラブル、切り傷や擦り傷、靴擦れなどで傷がある場合には早めに医師に治療してもらう。
- しびれや痛みが出てきた場合は、余計に注意して観察する。
などです。
糖尿病の足に起こる症状についてのまとめ
- 1 糖尿病による足のしびれやむくみの症状
- 2 足をチェックする必要性
- 3 足の壊疽と切断の可能性
- 4 糖尿病の足に起こる症状についてのまとめ
今回は糖尿病の症状の中でも、特に足に出る症状に関して説明してきました。
最後にここまで説明してきた内容をまとめます。
・運動神経
・感覚神経
・自律神経
の3つの神経があり、それぞれ別の役割を担っている。
末梢神経が障害されると
・手足の感覚は鈍って、冷たさや熱さ、そして痛みなどを感じない
・細かい部位の筋肉が動かない
・胃腸の動きが鈍くなる
・何も触れていないのに、痛みを感じる
などの症状が出てくる。
『末梢神経が障害されること』と『血液の流れが悪くなること』で足のしびれやむくみが出てくる。
・靴の中に石など異物が入っていても気づかない
・入浴の際など、熱湯であっても気づかない→火傷の可能性
・どこかにぶつけたりして、怪我をしても気づかない
・水虫があるが放置している
・靴ずれに気づかない
などです。
足に傷があるのにそのまま放置しておくと、その傷の部分が血流不良によって壊疽を起こして危険な状態になることがあります。
糖尿病で足を切断してしまう患者さんにたくさん接してきましたが、切断するとなると患者さん本人も当然つらいのですが、ご家族の方も同様につらい思いをされます。
この足の壊疽というのは、早期に発見し治療をすれば切断せずに済むことも多いのです。
なるべく、日々、足の状態をよく観察して何かあれば早めに対処するようにしてください。