看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『尿管結石の痛み止めは?ロキソニンなどNSAIDs・座薬・ボルタレンの位置づけと受診の目安(市販薬は薬剤師に確認)』というタイトルでお送りします。


尿管結石では、急にはげしい痛みが出ることが特徴です。この記事では、尿管結石の痛みと痛み止めについて、日本泌尿器科学会ほかの『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)と、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の患者向医薬品ガイドに書かれている範囲で整理します(2026年10月16日確認)。
薬の使い方や、痛みへの対処は、医師・薬剤師の指示に従ってください。



 

尿管結石の痛みとは(疝痛発作)

腰に手を当てて痛みをこらえる人

腎臓から膀胱までの通り道を尿管といい、尿管にできる結石が尿管結石です。

腎臓・尿管・膀胱・尿道の位置と結石のできる場所

ガイドラインは、尿路結石による痛みについて、次のように説明しています。

  • 痛みの多くは深夜から早朝に発症し、急性の激痛となることが特徴
  • 上部尿路結石では腰背部から側腹部にかけて片側性の痛みが出る。結石が尿管内を下降すると痛む場所が移動し、下腹部、陰嚢部、鼠径部、外陰部に痛みが広がる
  • 体位による痛みの変動はなく、持続時間は数時間から長くて半日程度
  • 悪心、嘔吐、冷や汗、頻脈などの自律神経症状を伴うことがある

痛みの原因は、結石による尿路の閉塞により、腎盂内圧が上がることと、尿管が攣縮(けいれんのように縮むこと)することだとされています。尿路結石は多因子疾患で、さまざまな要因が重なって発症すると考えられています。

出典:日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)

尿管結石の痛み止めにNSAIDsは効かない?

ロキソニンやボルタレンは、NSAIDs(非ステロイド性消炎鎮痛薬)というグループの薬です(PMDA 患者向医薬品ガイド)。

ガイドラインは、疝痛発作時の疼痛コントロールにはNSAIDsが第一選択として推奨されると書いています。そのうえで、効果が不十分な場合には、オピオイド受容体部分作動薬や抗不安薬などを使うとしています。臭化ブチルスコポラミンは、けいれんをやわらげる目的で使われますが、あくまで補助薬剤だと位置づけられています。
また、痛みの処置は、初期評価と並行して迅速に行うとし、推奨される治療として、次の2つを挙げています。

  • NSAIDsの坐剤(アスピリン喘息では禁忌)
  • 坐剤の効果が乏しい場合は、非麻薬性鎮痛薬の使用

これでも痛みが改善しないときは、ほかの病気を除外したうえで、モルヒネなど麻薬の使用や、持続硬膜外麻酔も選べるとされています。

「NSAIDsはほとんど効かない」と言い切る記述は、ガイドラインにはありません。一方、ここで引いたガイドラインや患者向医薬品ガイドの箇所には、「市販のロキソニンSなどの痛み止めがどのくらい効くか」を示した記述は見当たりませんでした。痛みの程度や、薬が使えるかどうかは人によって異なるため、強い痛みが続くときは、医療機関で診てもらうことが大切です。

出典:日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)、PMDA「患者向医薬品ガイド ロキソニン錠60mg・ロキソニン細粒10%」(2024年10月更新)

ロキソニンなど飲み薬の注意点(市販薬を含む)

医療用のロキソニン錠60mg・細粒10%について、PMDAの患者向医薬品ガイドは次のように説明しています。

  • 炎症にかかわるプロスタグランジンという物質の生成をおさえて、消炎・鎮痛・解熱の作用をあらわす
  • 飲む量は、症状などにあわせて医師が決める。空腹時の服用は避ける
  • 次の人は使用できない:消化性潰瘍のある人、重篤な血液の異常のある人、肝臓または腎臓に重篤な障害がある人、重篤な心機能不全のある人、過去に成分で過敏症のあった人、アスピリン喘息のある人(過去になったことがある人を含む)、妊娠後期の人
  • 併用に注意が必要な薬があるため、ほかの薬を使っているときは医師・薬剤師に相談する

ここで紹介したのは、医療機関で処方される医療用医薬品のガイドです。市販薬(一般用医薬品)は、製品ごとに、使える人や使い方、ほかの薬との飲み合わせが決められています。購入するときは、薬剤師や登録販売者に、持病や使っている薬、妊娠の可能性を伝え、製品の添付文書を確認してください。

また、ガイドラインは、妊娠中の患者について、NSAIDsは妊娠末期の服用により胎児毒性が報告されており、妊娠中には使用しないとしています。妊娠中の痛みにはアセトアミノフェンが比較的安全とされ、胎児のリスクを最小限にするため使用可能な用量の範囲の低用量で使うことが望ましいとされています。妊娠中や妊娠の可能性があるときは、自己判断で薬を飲まず、医師に相談してください。

出典:PMDA「患者向医薬品ガイド ロキソニン錠60mg・ロキソニン細粒10%」(2024年10月更新)、日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)

座薬やボルタレンは?

先ほどのとおり、ガイドラインは、NSAIDsの坐剤を、尿路結石の痛みに対して推奨される治療の一つとしています。
ボルタレンサポ(一般名:ジクロフェナクナトリウム)は、NSAIDsに属する坐薬で、PMDAの患者向医薬品ガイドは次のように説明しています。ボルタレンサポは、医療機関で処方される医療用医薬品です。

  • 肛門に挿入して使う坐薬で、全身的に吸収されて効果をあらわす。飲む薬が使用困難な場合などに使用する
  • 使う量と回数は、医師が決める
  • 次の人は使用できない:消化性潰瘍のある人、重篤な血液の異常のある人、腎臓・肝臓・心臓に重篤な障害のある人、重篤な高血圧症の人、過去に成分で過敏症のあった人、直腸に炎症や出血のある人、痔疾のある人、アスピリン喘息のある人(過去になったことがある人を含む)、インフルエンザにかかっていて脳炎・脳症のある人、妊婦または妊娠している可能性のある人、トリアムテレンを飲んでいる人
  • ほかの消炎鎮痛剤とは併用しないことが望ましい

「ボルタレンはロキソニンより痛み止めの作用が強い」「坐薬のほうが効果が早く出る」といった比較は、ここで引いた資料には書かれていません。どの薬をどのように使うかは、医師が症状や持病を確かめて決めます。

出典:日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)、PMDA「患者向医薬品ガイド ボルタレンサポ12.5mg・25mg・50mg」(2024年10月更新)

自然に出るまでの経過と、水分・運動・点滴

ガイドラインは、一般に10mm未満の上部尿路結石は自然に排石されることが期待できるため、適切に痛みをおさえながら、保存的に経過を見ることができるとしています。結石の径が小さく、下部尿管に近いほど、自然排石率は高くなります。
数字では、4mm以下の症状のある尿管結石の38〜71%は自然に排出され、2mm以下の結石で経過観察中に手術などが必要になったのは5%だけと報告されています。また、近年のメタアナリシスでは、保存的治療を行った結石のうち、5mm未満の75%、5mm以上の62%が自然に排出され、排石までの平均期間は17日(範囲6〜29日)でした。一方で、5%は状態が悪化して入院し、鎮痛剤の副作用が1%にみられたと報告されています。
症状が出てから1か月以内に自然に排出されない場合は、腎機能障害や感染症のリスクを避けるため、結石を取り除く積極的な治療を検討すべきだとされています。

結石の排出を助ける目的の薬については、ガイドラインは、α1受容体遮断薬を使うことを条件付きで推奨しています。ただし、ガイドラインは、現時点で日本で保険適用となっているエビデンスのある薬剤はないとも書いています。使うかどうかは医師が決めます。

水分については、ガイドラインは、小さな結石は輸液による利尿によって下がることもあるが、過度の輸液は腎盂内圧をさらに上げるため避けるべきだとしています。「点滴でどんどん水分を入れればよい」とは書かれていません。
また、水分をとることや運動について、ガイドラインは、科学的根拠には乏しいものの、水分摂取を励行し、適切な運動を行うことが望ましいと述べています(意見募集への回答)。縄跳びなど具体的な運動や、痛みがあるときの飲水量については、引いた箇所に記載はありません。痛みが強くて運動できないときに、無理をする必要はありません。

出典:日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)

受診の目安

ガイドラインは、結石による尿路の閉塞に感染が加わった閉塞性腎盂腎炎を、次のように説明しています。

  • 症状は、発熱、全身倦怠感などの全身症状と、患側の背中(肋骨脊柱角)の圧痛または叩打痛などで、悪心・嘔吐などの消化器症状を伴うことも多い
  • ときに重症敗血症や敗血症性ショックから多臓器不全を生じ、重篤な経過をたどることがある致命的な疾患である(全国調査での死亡率は約2.2%)
  • 軽症では抗菌薬だけで改善することもあるが、緊急のドレナージ(尿管ステント留置や腎瘻造設)が必要になることもある

尿管結石の痛みに、発熱や全身倦怠感、背中の圧痛・叩打痛が加わったときは、閉塞性腎盂腎炎の可能性があります。我慢せずに医療機関を受診してください(悪心・嘔吐などの消化器症状を伴うことも多いとされています)。また、痛みがおさまらないときや、症状が出てから1か月たっても結石が出ないときも、泌尿器科で相談しましょう。
血尿については、日本泌尿器科学会が、血尿は尿路結石のほか悪性腫瘍など重要な病気のサインでもあるため、症状がなくても早めに専門医を受診するよう勧めています(日本泌尿器科学会「尿に血が混じる。血尿を指摘された」)。

出典:日本泌尿器科学会ほか編『尿路結石症診療ガイドライン 第3版』(2023年版)

まとめ

  • 尿管結石の痛みは、急性の激痛で、数時間から長くて半日程度続くことがある(ガイドライン)
  • 疝痛発作の痛み止めは、NSAIDsが第一選択として推奨されている。NSAIDsの坐剤も推奨される治療の一つ。効果が不十分な場合は別の薬が使われる(ガイドライン)
  • ロキソニンやボルタレンサポには、使えない人や併用に注意が必要な薬がある。使い方は医師・薬剤師の指示に従う(PMDA)
  • 水分や運動は、科学的根拠には乏しいものの望ましいとされる。過度の輸液は避けるべき(ガイドライン)
  • 発熱や全身倦怠感、背中の圧痛・叩打痛を伴うときは、閉塞性腎盂腎炎の可能性があるため、医療機関を受診する。悪心・嘔吐などの消化器症状を伴うことも多い(ガイドライン)