看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『看護実習記録の書き方|種類・項目別の例とSOAP・時短のコツ』というタイトルでお送りします。


目次
  1. 看護実習記録は3種類|全体像と書く目的
    1. 行動計画・実習目標、看護過程、学びレポートの違い
    2. 記録を書く目的と、将来の看護記録とのつながり
  2. 項目別の書き方と記入のポイント
    1. 行動計画:決まっている予定を先に書き、患者さん中心に組む
    2. 情報収集とアセスメント:カルテ・観察・会話で集める情報の分け方
    3. 看護計画:その患者さんのゴールを決めて立てる
    4. 学びレポート:感想で終わらせず看護観・課題につなげる
  3. SOAP形式の使い方と例文
    1. S・O・A・Pそれぞれに書く内容
    2. SOAPの記入例(清拭後の場面)
  4. 事実を正確に書き、気づき・考察で深める
    1. 誰が読んでも伝わる事実の書き方
    2. 「感じた」で終わらせない考察の型(なぜ→学び→次にどうするか)
  5. こまめなメモの取り方
    1. 日付・時系列で、感じたことやアセスメントも一緒に残す
    2. メモにも個人が特定されない表現を使う
  6. 記録を時短して睡眠時間を守るコツ
    1. 目的の理解、シラバス確認、情報収集の優先順位づけ
    2. その日のケアを1つに絞り、書き出しはテンプレから始める
  7. 文体・表現と個人情報の注意点
    1. 敬語・丁寧語は必要か(学校ルールの確認)と読みやすい字
    2. 個人情報:仮名表記、記録の管理、電子カルテのログアウト
  8. 指導者のコメントを記録の質向上に活かす
    1. コメントを確認し、返答や修正で記録を育てる
  9. 提出前チェックリスト


 

看護実習記録は3種類|全体像と書く目的

看護実習記録は、大きく「行動計画・実習目標」「看護過程の記録」「学びレポート」の3種類に分けて考えると整理しやすくなります。

この3つは、それぞれ「何のために書くのか」が違います。目的がはっきりすると、書く内容がぶれにくくなり、記録に使う時間も短くなります。

この記事では、各記録の書き方、SOAPの使い方と例文、メモの取り方、時短のコツ、考察の書き方、文体や個人情報の注意、指導者の助言の活かし方まで順に説明します。最後に提出前のチェックリストもまとめました。

名称や様式は学校ごとに異なります。この記事は一般的な考え方の整理として読み、細かいルールは実習要項や先生の指示で確認してください。

行動計画・実習目標、看護過程、学びレポートの違い

まず3種類の役割を、表で比べてみましょう。

記録の種類 主な内容 目的
行動計画・実習目標 1日の行動の予定、その日や実習全体の目標 自分の行動を確認して実践する。やるべきことを明確にして評価しやすくする
看護過程の記録 アセスメント・関連図、看護診断、看護計画、看護の実施(経過記録)、評価 患者さんの状態に合わせた看護を、根拠をもって実践し、振り返る
学びレポート 目標に対して評価できる点、課題、学んだこと 客観的に振り返り、課題を見つけ、看護観を深める

行動計画は、受け持ち患者さんの1日の流れと、自分が学びたいことを組み合わせて立てます。指導者や教員に確認してもらうことが多く、助言を受けながら学びを深める入口になります。

実習目標は、実習全体の目的や、その日の目的を書いたものです。日ごとに目標を決めると、やるべきことが見えやすくなり、1日の終わりに振り返るときの物差しにもなります。

看護過程の記録は、患者さんの病歴や治療内容、身体的・精神的・社会的な情報から、必要なケアを導き出す流れをまとめたものです。学びレポートは、実習全体を振り返る記録です。

記録を書く目的と、将来の看護記録とのつながり

実習記録を書く大きな目的は、体験したことや学んだことを言葉にして、自分の思考のプロセスを見える形にすることです。

実習中は、患者さんやカルテから多くの情報が入ってきます。頭の中だけで整理するのは難しいので、記録用紙に順を追って書き出すと、考えがまとまりやすくなります。

情報が整理できると、今この患者さんに何が必要なのかが見えてきます。看護問題を導いたり、看護過程を進めたりするのも、ぐっと楽になります。

もう一つの目的は、指導者や教員とのやりとりを通して、自分の考えを見つめ直すことです。コメントを受けて考えを修正する経験が、思考や看護観を深めてくれます。

実習記録は、看護師になってから書く看護記録の下準備にもなります。日本看護協会は、看護記録を看護実践の過程を記したもので、看護職の思考と行為を示すものと定義していると紹介されています。実習記録も、これに準じたものと考えるとイメージしやすいでしょう。

ただし、現場の看護記録は決まった書式や電子カルテを使うことが多く、実習記録のような行動計画や学びレポートは通常ありません。だからこそ実習中に、基本に沿って考えて書く練習をしておく意味があります。

項目別の書き方と記入のポイント

ここからは、行動計画、情報収集とアセスメント、看護計画、学びレポートの順に、各欄に何をどう書くかを説明します。

共通する考え方は、「その患者さんにとって何が大切か」を軸に、事実と自分の考えを分けて書くことです。

各項目の例は、あくまで書き方のイメージです。実際の記録は、受け持ち患者さんの状況と学校の様式に合わせて作ってください。

行動計画:決まっている予定を先に書き、患者さん中心に組む

行動計画を立てるときは、まず受け持ち患者さんの検査や治療の予定を確認します。あわせて、患者さんの日課や体調も考えます。

優先順位の一番上は、受け持ち患者さんです。そのうえで、病棟のスケジュール、実習チームの予定、自分が学びたいことを重ねていきます。

手順としては、次の流れがおすすめです。

  1. 検温、保清、リハビリテーション、カンファレンスなど、すでに決まっている予定を先に書き出す。
  2. 空いている時間帯を確認する。
  3. その時間に、患者さんに行いたいケアや、実習目標に沿った活動を入れる。
  4. 患者さんの希望や体調を考え、無理のない時間配分に整える。

先に決まった予定を置くと、自由に使える時間が見えます。何をいつ行うかが現実的になり、当日あわてにくくなります。

計画には、「何をするか」だけでなく「なぜそのタイミングで行うか」を一言添えると、指導者にも意図が伝わります。たとえば、食事の前後や検査の予定を踏まえて、ケアの時間を選んだ理由を書いておきます。

情報収集とアセスメント:カルテ・観察・会話で集める情報の分け方

看護過程は、情報収集、アセスメントと関連図、看護診断、目標と看護計画、実践の経過記録、評価の順に進めます。

限られた実習期間では、効率のよい情報収集が大切です。コツは、先にカルテや看護記録で分かることを把握し、足りない情報だけを患者さんに確認することです。

情報の集め方 得られやすい情報
カルテ・看護記録 現病歴・既往歴、検査内容と結果、医師の指示と治療内容、実施されている看護、夜間の様子
患者さんの観察 バイタルサイン、全身状態、身体的・精神的な訴え
患者さん・家族との会話 生活背景・社会背景、退院後の希望、家族の生活

アセスメントは、集めた情報を分析し、解釈し、評価する作業です。患者さんの言葉などの主観的な情報と、検査値や観察結果などの客観的な情報を合わせて考えます。

病態だけでなく、患者さんの価値観や生活環境も含めて見ることが大切です。同じ疾患でも、暮らし方や考え方によって必要な看護は変わります。

書きやすい部分から書き始めると、内容に偏りが出ることがあります。先に情報を整理して、全体像をつかんでから書き始めましょう。

関連図は、やみくもに書き始めると全体が分かりにくくなります。付箋などに情報を書き出して並べ替えてから清書すると、整理しやすいと紹介されています。

看護計画:その患者さんのゴールを決めて立てる

看護目標と計画は、その患者さん自身のゴールを決めて立てます。

たとえば、もともと食事量が少ない方に、年代ごとの一般的な摂取量をそのまま目標にすると、個別性に合った計画になりません。

病状、治療方針、生活背景、価値観を考えて問題点を洗い出し、それぞれの問題に対して「この方にとってのゴールはどこか」を明確にします。

参考書にある基本の看護計画を土台にしながら、そこに患者さんのゴールという視点を組み込むと、計画が作りやすくなります。

一般的な看護計画では、観察する内容、ケアの内容、患者さん自身が健康状態を理解するための関わり、の3つに分けて書く方法があります。学校の様式がこの形かどうかは、確認してください。

計画を立てたら、実施した結果を評価し、必要に応じて修正します。「実施して終わり」にせず、うまくいった点と見直す点を書き添えると、看護過程がつながります。

学びレポート:感想で終わらせず看護観・課題につなげる

学びレポートは、実習中の体験から得た学びを、今後の課題や看護観に結びつけて書きます。たくさん書けばよいわけではありません。

体験を並べるだけでなく、具体的なエピソードを一つ挙げて、そこからの学びを示すと伝わりやすくなります。

書くときは、次の点を確認しましょう。

  • 実習の目的や目標から外れた内容になっていないか。
  • 具体的な場面(エピソード)が入っているか。
  • 学びが、今後の課題や看護観につながっているか。
  • 読み手に伝わる文章になっているか。

テーマが決まらないときは、次の3つの切り口が役立ちます。

  • 実習目標を見直し、目標に対してどんな経験をしたかを考える。
  • 特に印象に残った場面を思い出し、何を感じて何を考えたかを掘り下げる。
  • 指導者の助言を振り返り、なぜそう言われたのかを考える。

なお、序論・本論・結論の構成や文字数の目安、参考文献の書き方は学校の指示によって違います。指定がある場合は、そちらを優先してください。

SOAP形式の使い方と例文

SOAP形式の使い方と例文

SOAP(ソープ)は、記録を4つの欄に分けて書く形式です。決まった枠に沿って書けるので、何から書けばよいか迷う場面で助けになります。

S(主観的情報)、O(客観的情報)、A(アセスメント)、P(計画)の順に書くと、事実から考察、次の行動までが一本の流れになります。

実習では、経過記録や、その日のケアの振り返りで使われることがあります。様式は学校によって異なるため、指定があるかを先に確認しておきましょう。

S・O・A・Pそれぞれに書く内容

欄 書く内容 ポイント
S(主観的情報) 患者さんや家族が話した言葉、訴え、自覚症状 できるだけ言葉をそのまま書く。発言がないときは表情や態度、行動を書く
O(客観的情報) バイタルサイン、観察や検査で得られた事実、ケア中の様子 見たまま、測ったままを書く。自分の解釈は入れない
A(アセスメント) SとOを分析した結果、その解釈と評価 なぜそうなっているのかを考え、根拠を観察した内容から拾う
P(計画) アセスメントを受けた今後の方針、観察やケア 実習生ができる範囲で、具体的に書く

S欄では、「しんどい」「さっぱりした」「眠れなかった」のような、気持ちが表れた言葉を拾うと、次のアセスメントにつなげやすくなります。

O欄には、バイタルサインに加えて、食事の摂取状況、活動の様子、清潔ケア中の反応などを簡潔に書きます。

A欄で迷ったら、「今日わかったこと」に絞って、なぜそうなっているのかを一つだけでも考えてみましょう。難しく考えすぎないことが、書き進めるコツです。

P欄は、「今後も何を観察し、何を行い、何を目的とするか」を書きます。あれもこれも並べず、実習で実際にできることに絞ります。

S欄に患者さんの発言をできるだけそのまま書き、O欄には観察した事実を簡潔に書くようにすると、書くことに迷いにくくなります。解釈はA欄にまとめます。

SOAPの記入例(清拭後の場面)

清拭を行った後の場面を想定した記入例です。人物は仮名のAさんとし、数値は○で示しています。実際の記録では、測定した値を書いてください。

POINT SOAPは「事実(S・O)→考え(A)→次の行動(P)」の順に書く形式です。AとPは、SとOに書いた内容を根拠にします。

S:清拭後、Aさんは「さっぱりしたわ」と笑顔で話された。

O:清拭後のバイタルサインはBT○℃、BP○/○mmHg、HR○回/分、SpO₂○%であった。清拭中は会話に応じ、体の向きを変える際にも協力的な姿勢がみられた。表情は穏やかで、ベッド上で自ら体を動かす様子があった。

A:「さっぱりした」という発言と笑顔、協力的な様子から、清潔を保つことでAさんは快適さを感じていると考えられる。また、清拭中の穏やかな会話から、看護師の関わりに安心感を持っている可能性がある。バイタルサインに大きな変化がなかったことから、清拭による負担は少なかったと考える。

P:今後も清潔ケアを通して、Aさんの快適さと安心感の保持を図る。ケア中の表情や発言に注目し、心理面の変化を捉えていく。

この例では、Sに患者さんの言葉、Oに測定値と様子、Aに「なぜそう考えたか」、Pに次の観察の視点が入っています。

Aの書き出しを「S・Oの情報から、〜と考えられる。背景には〜があると推察される」という型にしておくと、考察の入口に迷いにくくなります。

この例文は、そのまま写すものではありません。自分が実際に見た場面に置き換えて、使ってください。

事実を正確に書き、気づき・考察で深める

事実を正確に書き、気づき・考察で深める

よい実習記録には、二つの要素があります。誰が読んでも同じ場面を思い浮かべられる「事実の正確さ」と、そこから一歩進んだ「気づきと考察」です。

事実だけで終わると、記録は出来事の報告になります。逆に、事実があいまいなまま考察を書いても、根拠が弱くなります。

まず事実を整え、そのうえで考察を重ねるという順番を意識しましょう。

誰が読んでも伝わる事実の書き方

事実を書くときは、誰が読んでも同じ状況を理解できる表現にします。「いつ・どこで・誰が・何を・どのように」を意識すると、抜けが減ります。

次の点に気をつけましょう。

  • 「元気だった」「つらそうだった」のような印象だけの表現を避け、表情、言動、数値など具体的な様子を書く。
  • 見たこと、聞いたこと、測ったことと、自分の解釈を分ける。
  • 患者さんの言葉は、できるだけそのまま書き、かぎかっこで示す。
  • 時間の流れが分かるように、順番を整える。
  • 略語や自分だけに通じる言い回しを避ける。

たとえば「Aさんは食欲がなさそうだった」は、解釈が混ざった書き方です。「朝食は主食を半分ほど残し、『今日はあまり食べたくない』と話した」のように書くと、事実として伝わります。

事実が正確に書かれていれば、指導者もそこから助言をしやすくなります。自分でも、後から見返したときに考えを追いやすくなります。

「感じた」で終わらせない考察の型(なぜ→学び→次にどうするか)

「難しいと感じた」「うれしかった」という気持ちは、大切なスタートです。ただ、そこで終わると感想文になってしまいます。

気持ちを「学びへの入口」として使い、なぜ→学び→次にどうするかの順に深めていきましょう。

  1. なぜ:なぜそう感じたのか、なぜその反応が起きたのかを、観察した事実から考える。
  2. 学び:その経験から何が分かったのかを、自分の言葉で書く。
  3. 次にどうするか:次の実習やケアで、どう活かすかを具体的に書く。

例を見てみましょう。

変更前:「Aさんとの会話が続かず難しいと感じた。最後に笑顔を見せてくれてうれしかった。」

変更後:「初日は緊張して言葉が続かなかった。そこで翌日から、Aさんの表情や仕草を見ながら、返答を待つ関わりに変えたところ、少しずつ会話が増えた。この経験から、信頼関係には、こちらが話しかけることよりも、相手の反応を丁寧に読み取る姿勢が大切だと学んだ。次は、話題の前にその日の体調を尋ねて、Aさんのペースに合わせて関わりたい。」

変更後の文章には、具体的な場面、行動の変化、学び、次の行動が入っています。これが、考察の型を使った書き方です。

考察に自信がないときは、根拠を必ず観察した事実から探します。根拠が見つかれば、「〜と考える」と書いて構いません。

こまめなメモの取り方

実習中のメモは、記録を書く夜の自分を助けるものです。メモがあれば、出来事を忘れて書けなくなったり、誤った情報を書いてしまったりすることを防げます。

とはいえ、実習中は忙しく、じっくりメモを書く時間はありません。短く、後から思い出せるように残すことが、現実的な方法です。

メモをいつ取ってよいか、どの場所で取れるかは、実習先や学校のルールに従ってください。患者さんの前でのメモは、控えるよう指示される場合もあります。

日付・時系列で、感じたことやアセスメントも一緒に残す

メモには、まず日付を入れましょう。そして、時系列で振り返れるように、時刻と出来事を並べて書きます。

出来事だけでなく、そのとき感じたことや、考えたアセスメントを一緒に書き添えることがコツです。後で記録を書くとき、考察の材料がそのまま残っています。

メモに残すこと 書き方の例
日付・時刻 ○/○ ○時ごろ
患者さんの言葉 「さっぱりした」(そのままの言葉)
観察した事実 表情が穏やか、自分で体を動かす
感じたこと・気づき 清潔が安心につながる?
あとで調べること 疾患の経過、用語の意味

実習に慣れてきたら、記録用紙の項目を意識したメモに変えてみるのもおすすめです。S、O、Aに分けて走り書きしておけば、清書のときに写すだけで済みます。

疑問に思ったことや、指導者に聞きたいことも、メモの端に残しておきましょう。後から質問する材料になり、助言を受ける機会が増えます。

メモにも個人が特定されない表現を使う

メモも、実習記録と同じように個人情報の取り扱いに注意が必要です。メモであっても、患者さんの氏名など個人が特定される表現は使わないようにしましょう。

「Aさん」のような仮名や記号で書き、生年月日、住所、勤務先、病室番号など、組み合わせると個人が分かる情報は書かないようにします。

メモ帳は紛失しないよう管理し、使い終わったメモの処分方法も、学校や実習先の指示に従います。持ち歩く場所や保管の仕方も、事前に確認しておくと安心です。

最初から仮名で書く習慣をつけておくと、清書のときに書き換える手間も減ります。時短と情報管理の両方につながります。

記録を時短して睡眠時間を守るコツ

記録に時間がかかる理由は、書く速さよりも、「何を書くか」で迷う時間が長いことにあります。

迷いを減らす工夫を、実習前から実習中、書き始める直前まで順に見ていきましょう。

睡眠が削られると、翌日の実習での観察や判断にも影響します。無理なく続けられる書き方を作ることも、大切な準備です。

目的の理解、シラバス確認、情報収集の優先順位づけ

最初のコツは、それぞれの記録の目的を理解しておくことです。目的が分かっていれば、書くべき内容と、取り組む順番が見えてきます。

次に、学校のシラバスや実習要項を読み込んでおきます。そこには、学ぶべき内容や実習の到達目標が書かれています。

シラバスを確認すると、その実習で何を学び、アセスメントや行動目標にどう反映させるかが分かります。読み込んでおくと、記録を書くたびに悩む時間が減ります。

看護過程や関連図を扱った文献は、看護展開のパターンを知るのに役立ちます。領域別や疾患別の本も多いので、いくつか見比べながら、患者さんの個別性に合わせて書いてみましょう。

情報収集には優先順位をつけます。カルテで分かることを先に把握し、足りない情報だけを患者さんに確認すれば、実習中の時間も記録の時間も節約できます。

また、不足している情報に早く気づけると、行動計画に何を盛り込むかが明確になります。翌日の準備を、その日のうちに少しだけ進められます。

その日のケアを1つに絞り、書き出しはテンプレから始める

1日の出来事をすべて書こうとすると、時間がかかります。そこで、その日に書くケアを1つに絞るという方法があります。

特に印象に残ったケアや、目標に最も関係するケアを一つ選び、SOAPなどの型に沿って深く書くほうが、考察の質も上がりやすくなります。

もう一つのコツは、白紙の状態から始めないことです。最初の数行を、自分用の型から書き始めると、手が動き出します。

たとえば、次のような書き出しを用意しておきます。

  • S:「○時ごろ、患者さんは『〜』と話した。」
  • O:「〜中、(行動・様子)がみられた。」
  • A:「S・Oの情報から、〜と考えられる。背景には〜があると推察される。」
  • P:「今後も(援助・観察)を継続し、(目的)を図る。」

これは、あくまで自分で作る簡単な型です。型に自分の観察した内容を入れていくことで、考える時間をAの部分に集中できます。

実習中のメモを、そのまま材料として使えば、さらに速くなります。メモと型がそろっていれば、夜に思い出す作業が大きく減ります。

それでも終わらないときは、一人で抱え込まず、先生や指導者に相談しましょう。記録の量や進め方について、アドバイスをもらえることがあります。

文体・表現と個人情報の注意点

文体・表現と個人情報の注意点

記録の内容がよくても、文体や表現が読みにくいと、伝わりにくくなります。また、個人情報の扱いは、実習生として最も気をつけたい点の一つです。

ここでは、文体と表現の基本、文字の丁寧さ、個人情報の守り方を確認します。

学校によってルールが異なる部分が多いので、必ず自分の学校の指示を優先してください。

敬語・丁寧語は必要か(学校ルールの確認)と読みやすい字

実習記録の表現について、看護過程の記録では敬語や丁寧語は基本的に不要と紹介されています。看護の根拠となる思考を、簡潔に分かりやすく書くことが目的だからです。

行動計画や学びレポートでも、一般的には敬語や丁寧語は不要とされることが多いようです。ただし、学校によって細かなルールが違う可能性があります。

たとえば、箇条書きの形式を認めない学校や、カンファレンスでの発表時は丁寧語を使うよう指示する学校もあります。不安なときは、自己判断せずに先生へ確認しましょう。

文体は、どちらを選ぶにしても、記録の中で統一します。途中で書き方が揺れないよう、見直しのときに確認してください。

手書きの場合は、読みやすい字で書くことも大切です。次の点を意識しましょう。

  • 文字の大きさをそろえ、行が斜めにならないようにする。
  • 誤字脱字を減らし、書き終えたら読み返す。
  • 訂正の方法(二重線、訂正印、修正テープの可否)は、学校のルールを確認する。
  • 話し言葉や、略した言い方を避け、正しい言葉遣いで書く。

丁寧に書こうとして時間がかかりすぎる場合は、下書きを別の紙に整えてから清書するなど、自分に合った方法を探してみましょう。

個人情報:仮名表記、記録の管理、電子カルテのログアウト

実習記録は病院の外に持ち出すことがあります。そのため、個人情報の取り扱いには最大限の注意が必要です。

基本の配慮は、次のとおりです。

  • 記録物には個人名を使わず、「Aさん」などの仮名で書く。
  • メモであっても、個人が特定されない表現を使う。
  • 記録やメモを紛失しないよう、管理を徹底する。
  • 学校で説明されたルールに従う。

電子カルテには、多くの個人情報が含まれています。使い方は実習先の指示に従い、使い終わったら必ずログアウトしましょう。

実習先や学校の外で、患者さんの話をしないことも大切です。友人との会話や、SNSなど、不特定の人に見られる場所に実習の内容を書き込むのは避けてください。

書き方に迷ったら、「この情報から誰か特定できるか」を自分に問いかけてみましょう。判断に迷う場合は、先生や指導者に相談するのが安全です。

指導者のコメントを記録の質向上に活かす

実習記録は、指導者や教員が確認し、コメントを返してくれることが多いです。このコメントは、記録の質を上げるための貴重な材料になります。

直しの指摘が多いと、落ち込むこともあるかもしれません。でも、記録を修正したり追加したりできるのは、学生だからこそ得られる機会です。

コメントを「評価」として受け止めるだけでなく、「次に書くためのヒント」として使っていきましょう。

コメントを確認し、返答や修正で記録を育てる

コメントが返ってきたら、まず内容を最後まで確認します。不足していた点と、よい視点だと認められた点の両方を見つけましょう。

確認したあとは、次のように動くと記録が育ちます。

  1. コメントの内容を読み、何を指摘されたのかを自分の言葉で整理する。
  2. 理由が分からないときは、質問して意図を確かめる。
  3. 必要に応じて、記録に返答を書いたり、修正や追加をしたりする。
  4. 次の記録で、同じ点を意識して書く。

コメントに対して返答を書くことで、記録のレベルは日々上がっていくと紹介されています。やりとりを重ねるほど、思考の過程が深まります。

修正されることを怖がらず、間違ってもいいから書いてみる姿勢も大切です。実習の最初と最後の記録を見比べると、自分の成長にも気づけるはずです。

よい視点だとほめられた点は、次回も意識して続けましょう。強みを知ることは、課題を知ることと同じくらい価値があります。

指導者の助言は、学びレポートのテーマを探すヒントにもなります。「なぜあのとき、そう言われたのか」を考えると、自分の課題と重なっていることがあります。

素直に助言を受け取って自分のものにしていけば、看護師になってから看護記録を書くときにも、役立つ力になっていきます。

提出前チェックリスト

記録を提出する前に、次の項目を確認しましょう。すべてに完璧である必要はありません。気になる点を一つずつ整えるだけでも、読みやすさが変わります。

項目は、記録の種類別に分けています。自分の学校の様式に合わせて、使い方を調整してください。

確認する観点 チェック項目
目的・目標 実習の目的や、その日の目標に沿った内容になっているか
行動計画 決まっている予定を先に書き、患者さんを中心に組めているか
情報の整理 カルテ、観察、会話から得た情報を分けて書いているか
事実 見たこと、聞いたこと、測ったことと、自分の解釈を分けているか
アセスメント・計画 患者さんのゴールを意識し、根拠を観察した内容から示しているか
考察 「感じた」で終わらず、なぜ・学び・次にどうするかが書かれているか
文体・表現 学校のルールに合っているか。語尾や言葉遣いがそろっているか
文字・誤字脱字 読みやすい字で書き、読み返して誤りを直したか
個人情報 個人名を使わず、個人が特定される表現がないか。記録とメモを適切に管理しているか
指導者のコメント 前回のコメントを確認し、返答や修正を反映したか
POINT 記録は「事実を正確に書く」「なぜを考える」「個人情報を守る」の3点を押さえると、迷いが減ります。学校ごとのルールは、実習要項や先生に確認しましょう。

実習記録は、大変に感じる日があっても、書くことで思考が整理され、根拠をもって看護を考える練習になります。メモ、型、チェックリストを味方にして、無理のないペースで続けていきましょう。