今回は、『蜂窩織炎の症状を写真で説明!悪化するとどうなる?手や足以外に顔にも出る?』というタイトルでお送りします。
蜂窩織炎(ほうかしきえん)という病名は少し聞きなれない名前だと思います。
名前からもちょっとどんな病気なのかは想像がつきにくいですね。
蜂窩織炎のよく発症する部位は、下腿(かたい)といってふくらはぎの部分から足のほうにかけてといいます。
私はこれまでに蜂窩織炎になった患者さんに何人も接してきましたが、やはりふくらはぎに発症したケースが一番多かったです。
もちろん、腕などにもできる人はいますが、圧倒的に足のほうが多いように思います。
今回はこの蜂窩織炎について、説明していきたいと思います。
蜂窩織炎とはどんな病気?
蜂窩織炎の症状を説明するまえに、この病気に関して簡単に説明しておきたいと思います。
蜂窩織炎は、皮膚の下に起こる細菌感染による炎症のことです。
例えば、皮膚に小さな傷があればそこから細菌が侵入して、皮膚の深い部分である皮下脂肪組織まで感染してしまって炎症を起こします。
または、足の水虫が原因で指の股から菌が侵入して赤く腫れあがることもよくあります。
ただ、皮膚に全く傷が見当たらなくても、何もない毛穴などから細菌が侵入して炎症を起こすこともあるのです。
では、そんな蜂窩織炎の症状について写真を見ながら説明していきたいと思います。
蜂窩織炎の症状を写真で説明!
では、蜂窩織炎はどんな感じの症状なのかを説明していきしょう。
下の写真を見てください。
↓これは、足首付近にできた蜂窩織炎です。
このように赤く腫れあがり、触ると硬くて痛みを伴います。
触れなくても、ジンジンと鈍い痛みを訴える人も多いです。
普通はこの状態ですぐに病院を受診し、きちんと治療を受ければ症状は治まっていきます。
しかし、なにもせずに悪化していくと、どうなるでしょうか?
蜂窩織炎の症状は悪化してしまうとどうなる?
蜂窩織炎の症状が悪化するとどうなるのか、を説明するまえに伝えておきたいのは、蜂窩織炎の場合は症状が出始めても早めに受診して治療をすれば(他に悪化する原因がなければ)ほとんどが改善してくということです。
しかし、なにもせずに放置してしまって悪化してしまった場合のことを説明していきましょう。
蜂窩織炎の症状が出ても、治療を受けずにそのまま様子をみて悪化してしまうと、頭痛や発熱が出たり寒気や関節痛などが出ることもあります。
また、蜂窩織炎の症状がある部分は、一部皮膚が破れて中の膿(うみ)が出てきたり、傷が悪化してそこから更に深くまで炎症が進み皮膚がえぐられたようになることもあります。
そうなると、広い範囲で細胞が死んでいって、今度は血液の中にも細菌が侵入し生命に関わる事態にもなりかねません。
例えば、下の写真は左足が腫れ始めて5日程度でここまで悪化してしまって、その後切断に至った症例です。
もし、このまま何もせず経過していくと全身状態が悪化してしまう可能性が高いでしょう。
そうなる前になるべく早くに受診し、治療を受けなければいけません。
では、蜂窩織炎が特にふくらはぎから足にかけて出やすいと説明してきましたが、それ以外の部位はどうでしょうか?
蜂窩織炎は手や足以外に顔にも出る?
蜂窩織炎の好発部位はふくらはぎから足ですが、もちろん手や腕にも出ます。
そして、顔に出ることもあります。
下の写真は顎の部分に発症したものです。
このように顔に出る場合もありますが、顔に出るものは「丹毒」が多いと言われています。
蜂窩織炎とはとてもよく似ていますが、丹毒というのは皮下組織までいかないもっと皮膚の浅い部分で起こる、細菌による感染症のことです。
普段は私たちの身体にいる化膿レンサ球菌と言われる常在菌が原因となることが多いのですが、健康で免疫力が高いとかかりにくいのです。
しかし、高齢者の方や若くても病気で免疫力が低下していたりすると発症してしまうのです。
特徴としては、顔の皮膚が徐々に赤く腫れていき、皮膚の表面は張って硬めで光沢があります。
触れると痛みを伴います。
下の写真のような状態が丹毒です。
「丹毒」という病気に関しては、別の記事にまとめていますのでご参照ください。
参照:丹毒とはうつる病気?治療は何科で?原因や症状も写真と一緒に説明!
蜂窩織炎の症状についてのまとめ
今回は蜂窩織炎の症状について説明してきました。
では、まとめてみましょう。
好発部位は、どこにでもできますが好発部位としては、ふくらはぎから足にかけて発症することが多い。
症状は、皮膚が赤く腫れあがり、皮膚は硬く触れると痛みを伴う。
蜂窩織炎が悪化すると、頭痛・発熱・関節痛などが現れることがある。
蜂窩織炎の症状が悪化してしまうと、皮膚の一部が破れて、中から膿(うみ)が出てきたり、傷が悪化して更に深い部分で炎症を起こす。
そうなると、血液の中に細菌が侵入して全身状態が悪化する可能性がある。
蜂窩織炎は全身のどこにでも出る可能性はあるが、顔に出る場合は、丹毒である可能性が高い。
丹毒は蜂窩織炎と似ているが、丹毒はもっと皮膚の浅い部分で起こる細菌感染症である。
私がこれまでに接してきた蜂窩織炎の患者さんは、やはり免疫力が低下し抵抗力のない高齢の方が多かったです。
高齢者の方は知覚が鈍くなっていることも多く、蜂窩織炎にかかっていて赤く腫れていたとしても自分から痛みを訴えないこともあり、かなり腫れあがってから周囲の人が気づくといったことも多いです。
蜂窩織炎もなにもせずに様子をみていると、傷はどんどん悪化していき全身状態が悪くなって命取りになることがあるので、なるべく早くに受診することをおすすめします。