今回は、『ロタウイルス感染症の症状は?大人の場合の下痢は軽い?潜伏期間や経過も説明』というタイトルでお送りします。
毎年、冬がやってくると流行する感染性胃腸炎というと、ノロウイルスが最もよく知られていますね。
そして、もうひとつ冬から春にかけて流行するのが「ロタウイルス」による感染症です。
だいたい5月ごろまでは感染しやすいと言われています。
ノロウイルスと同じようにロタウイルスも、保育所や介護福祉施設などで大流行しやすい感染症です。
今回は、このロタウイルス感染症の症状などについて説明していきたいと思います。
ロタウイルス感染症とは?
ロタウイルス感染症の症状の説明のまえに、ロタウイルス感染症のことについて少し説明しておきましょう。
ロタウイルス感染症とは、ロタウイルスというウイルスによる感染症です。
下記は電子顕微鏡でみたロタウイルスの画像です。
ロタウイルスは、感染している患者の便の中に多く含まれていて、なんとそのウイルス量はノロウイルスの約100万倍ものウイルス量だと言われています。
このロタウイルスが含まれた患者の便を処理した際に、念入りに手洗いをしていても手や爪などにたくさんのウイルスが残っていることで、それが口に入ってしまい感染してしまいます。
また、便だけでなく嘔吐物や鼻水などでもウイルスは含まれているので、それが付着した物品(ドアのノブやトイレの便座など)を触ったあと、その手で口を触るなどして感染することもあるのです。
ロタウイルスの感染力はかなり強く、たった10個程度のウイルスで容易に感染します。
そうして、集団生活などをしている保育所や幼稚園などではどんどん感染が拡がっていきます。
では、次にロタウイルス感染症の症状について説明していきましょう。
ロタウイルス感染症の症状は?
ロタウイルスに感染してしまうと、次のような症状が現れます。
- 激しい下痢(白色の下痢便が特長的)
- 嘔気、嘔吐(おうと)
- 発熱
- 腹痛
これらが主な症状です。
激しい下痢と嘔吐はほとんどのケースでみられますが、発熱に関しては38℃以上の熱が出る場合もあれば全く出ないこともあります。
では、このロタウイルス感染症は大人が感染するとその症状はどのようなものなのでしょうか?
ロタウイルス感染症は大人の場合の症状(下痢など)は軽い?
ロタウイルス感染症は、通常は乳幼児など子供がかかりやすい胃腸炎ですが、大人でも感染します。
大人が感染した場合には不顕性感染(ふけんせいかんせん)といって、ウイルスに感染していても症状が全く現れないで終わるという経過をたどることが多いです。
ですので、症状がもし出たとしても比較的軽い症状(だるい感じや気分不良など)で終わるケースが多いです。
ただ、もし抵抗力のない高齢者や免疫力が低下している患者の場合だと、ロタウイルスに感染することをきっかけにして、嘔吐や下痢などの症状が強く出ることも考えられます。
では、大人の症状が軽く済むのはなぜでしょうか?
ロタウイルス感染症は大人の症状が軽いのはなぜ?
ロタウイルス感染症は、5~6歳までに100%の確率ですべての人がかかっていると言われています。
そして、その感染で得られた免疫は大人になっても消えることはありません。
ですので、感染はしたとしても軽い症状で終わるか、不顕性感染となる場合が多いのです。
では、ロタウイルス感染症の潜伏期間や症状の経過について説明していきましょう。
ロタウイルス感染症の潜伏期間は?
ロタウイルス感染症の潜伏期間は、通常1~2日間です。
そのあとに激しい嘔吐や下痢などの症状が現れます。
では、症状の経過について説明していきましょう。
ロタウイルス感染症の症状の経過は?
大人がロタウイルス感染症にかかった場合には症状は軽くて済むことが多いので、ここでは症状が強く現れる乳幼児の経過について説明していきます。
通常は、発熱(出ないこともある)や嘔吐の症状から始まることが多いです。
そして、その24~48時間後に水様便が出始めます。
これらの症状が3~7日間続きます。
そして、自然に治っていく場合が多いのですが、嘔吐や下痢などのために脱水がひどくなると時には死に至るほどの重症になることもあるのです。
特に2歳までの乳幼児が感染してしまうと嘔吐や下痢が激しくなりやすく、受診や治療が遅れてしまうとすぐに脱水状態になり、とても危険です。
そして、脱水により身体の中の電解質のバランスが崩れてけいれんの症状が出たり、脳炎や脳症が起こることもあります。
では、脳炎や脳症といった状態になるとどのような症状が現れるのでしょうか?
ロタウイルス感染症の合併症である脳炎・脳症の症状は?
脳炎や脳症というのは、脳に炎症や脳自体がむくむことで頭の中の圧力が高くなってしまい、色々な症状がでてくる状態のことを言います。
このような状態は生命が危険にさらされることも少なくありません。
乳幼児がロタウイルス感染症にかかり、その合併症として脳炎や脳症を発症した場合、次のような症状が現れます。
- 発熱
- 頭痛
- 意識障害
- 麻痺
などです。
治療としては、入院して安静にして、輸液で頭の中の圧力を下げる治療を行います。
乳幼児の症状に関しては、母親であってもこどもの頭痛や意識状態の変化に気付くことは難しいかもしれません。
しかし、乳幼児はそういった症状をぐずついたり、泣き止まなかったりすることで表現しています。
いつもと何か様子がおかしい、違っているなどと感じればなるべく早く受診し、早期の治療ができるように注意して観察しましょう。
ロタウイルス感染症の症状などについてのまとめ
今回は、ロタウイルス感染症の症状などについて説明してきました。
では、まとめてみましょう。
- 激しい下痢(白色の下痢便が特長的)
- 嘔気、嘔吐(おうと)
- 発熱
- 腹痛
大人の場合は下痢や嘔吐などの症状は出ても軽くて済むことが多いです。
また、感染していても無症状で経過する不顕性感染の事例が多くあります。
ロタウイルス感染症の潜伏期間は1~2日間です。
通常は、発熱(出ないこともある)や嘔吐の症状から始まることが多いです。
そして、その24~48時間後に水様便が出始めて、これらの症状が3~7日間続きます。
ロタウイルス感染症では、かかってしまっても特別な特効薬などはありません。
ただ、症状がひどくなりやすい乳幼児であっても嘔吐や下痢が続けば早めに受診し脱水に対する治療を受けることで回復することが多いので、早めの対応を心がけましょう。
また、大人の場合には高齢者や免疫力の低下した状態の方などに関しては、下痢や嘔吐も強く出ることがありますので注意が必要となってきます。
ロタウイルス感染症は感染力が非常に強いため、手洗いなどをしっかりしていても予防は難しいかもしれませんが、感染した際に症状がなかなか改善しない場合には早めに受診するようにしましょう。