今回は、『手指の関節の痛みの原因は?腫れやむくみはリウマチや痛風の可能性も?』というタイトルでお送りします。
急に手首や、手の指の関節部分が痛くなったことはありませんか?
どこかでぶつけた覚えもないし、何が原因なのか全くわからない痛みです。
でも痛みはずっと続いていて、少しずつ不安になります。
私も、そして友人などでも、このわけの分からない痛みに襲われた人は意外にたくさんいるんです。
では、そんな痛みはいったい何が原因なのでしょうか?
今回は手指の関節の痛みの原因について説明していきたいと思います。
手指の関節の痛みの原因で考えられる病気は?
手指の関節が痛む原因として考えられる病気を挙げていきましょう。
その病気とは次のようなものです。
- 腱鞘炎(けんしょうえん)
- 手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
- ドケルバン病
- ヘパーデン結節
- ブシャール結節
これらが手指の関節が痛む原因として考えられる病気です。順番に説明していきます。
腱鞘炎(けんしょうえん)の場合は?
腱鞘(けんしょう)とは、手指の手のひら側にあり、指を曲げる腱(けん)の通り道になるトンネルのような組織のことを言います。
手指を使いすぎたりすると腱と腱鞘の間の部分で炎症が起こり(これを腱鞘炎と言う)、痛みが出てきます。
そして、その腱鞘炎の症状が進行していくと、腱の腫れあがった部分が腱鞘に引っかかってしまいます。
この引っかかりを起こした状態をバネ指と言います。
バネ指は、手指に力を入れて曲げて、また伸ばそうとすると伸ばしにくく、カクっといった感じで伸びるのが特徴です。
腱鞘炎は中年期以降、更年期の女性や、仕事で一日中手指を動かしている人などが多く、どの指に起こりますが特に親指や中指、薬指が多いです。
最近ではスマホを使う際に片手で親指を動かして使う人がいますよね。
そのような使い方で親指の痛みを訴える人も増えてきています。
また、乳児を育てる母親もなりやすいと言われていて、実際に私も娘が乳児だった頃に手指の痛みがあり、近所の整形外科を受診したことがあります。
私の場合は、まだ軽度で湿布くらいで治ったと思います。
腱鞘炎は主に指の付け根を押さえると痛みがあります。
手指以外には、手首の関節(親指側)にも起こりやすいです。
腱鞘炎も軽い間は手指の安静を保ち、抗炎症剤(炎症を抑えるお薬)や炎症を鎮める塗り薬などを使えば改善します。
それでも治らず痛い時には、ステロイド剤を直接注射器で腱鞘の中に注入します。
これは整形外科医院などの外来で行なうことができます。
また、症状が進み、日常生活にも支障があるような時には腱鞘の部分を切開する手術をすることもあります。
この手術も所要時間は10~15分程度で一般の整形外科医院などの外来でできます。
手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)の場合は?
手の神経には次の3つの神経が通っています。
- 正中神経(せいちゅうしんけい): 手のひら側の親指・人差し指・中指・薬指の感覚を支配
- 橈骨神経(とうこつしんけい): 手の甲の側の親指から人差し指側の感覚を支配
- 尺骨神経(しゃっこつしんけい): 手の甲の側に薬指から小指側の感覚を支配
の3つです。
手根管症候群は、手指の使いすぎで腱や周囲の組織が腫れて、手首の部分にある正中神経が圧迫されて神経が麻痺してしまいます。
主に親指から薬指までがジンジンと痛くなります。
そして症状が進むと、母指球筋といって、親指の根本の筋肉の膨らみが縮んできてボタンなどがかけられないといった動作に制限が出てきます。
手根管症候群もやはり手を使う仕事をされて、中年以降の人に多く見られます。
また男性よりも女性に多く、妊婦や更年期の人も多いです。
手首の内側を強めに押さえると、しびれが指先のほうまで感じます。
治療としては、軽い場合にはビタミン剤の飲み薬やステロイド剤を手根管の中に注入する処置が行われます。
またそれでも症状が強ければ、手術をします。
手の関節の部分から小さく切開して圧迫された正中神経を開放する手術で短時間で行えますが、外来ではなく1日~数日の入院が必要な場合もあります。
次ですが、ここからはあまり聞き慣れない病名が並んでいるかもしれません。
- ドケルバン病
- ヘパーデン結節
- ブシャール結節
の3つです。
できるだけわかりやすく説明していきますので読んでみてください。
ドケルバン病の場合は?
手首の親指側に痛みと腫れが出ます。
親指の曲げ伸ばしの際に強い痛みがあります。
親指の使いすぎが原因で、パソコン作業をする人やスポーツをしている人に多く見られます。
親指の使いすぎで負荷がかかり、腱鞘が分厚くなってしまったり腱が痛んだりして腱鞘炎が起きます。
この場合もやはり安静が必要です。
親指と手首にサポーターや湿布を使いながら、あまり手を使わないようにするだけでも効果があります。
痛みが強ければステロイド剤と麻酔剤を腱鞘内に注入すると痛みが改善します。
ヘパーデン結節の場合は?
一番指先に近い部分の関節が腫れてしまったり、曲がったりして痛みが出ます。
痛みのために、手指を握ることもできません。
中年以降の女性に多く、女性ホルモンの関係が原因かとも言われていますが、はっきりとした原因は不明です。
治療としては、テーピングが効果的です。
また痛みが強ければ、ステロイド剤の関節内への注入などが行われます。
ブシャール結節の場合は?
指先から2番目の関節がコブ状に膨らみ、指が曲がって変形します。
痛みは強い場合とそれほどでもない場合があります。
以前に腱鞘炎をしたことのある人に多く、閉経前後の女性に多く見られます。
末梢神経を改善する作用のあるビタミン剤の飲み薬や、ステロイド剤の関節注入が行われます。
ここまで、手指の関節の痛みの原因として考えられる病気を挙げて説明してきました。
次は、手指の痛みだけでなく腫れやむくみなど他の症状がある場合について説明していきます。
リウマチや痛風の可能性に関しても紹介していきたと思います。
手指の関節の腫れやむくみなどはリウマチや痛風の可能性もある?
では関節リウマチから説明していきましょう。
関節リウマチとはどんな病気?
関節リウマチは、手指、手首、肘、肩、ひざ、足首、足の指などの関節に炎症が起こり、関節が腫れてしまう病気です。
そしてむくみも伴うことが多いです。
症状が進行して悪化すると、関節が変形してしまいます。
30歳~50歳の女性に多いと言われています。
原因は不明ですが、免疫機能の異常ではないかと考えられています。
そして、関節リウマチというと関節だけに症状が出るように思いますが、実は初期の症状として、微熱や食欲不振などがあります。
このような症状は疲れや更年期症状などと間違って見落とされることもあるので、注意したいところですね。
特徴的な症状としては、朝起きた時の手足のこわばりと手指の関節の炎症による痛みです。
そして、症状が出やすいのが手の関節や手の指の付け根部分と、指先から2番目の関節です。
そして、これらの関節の痛みは左右で対称に出ると言われています。
リウマチに関しては、最近ではどんどん新しいお薬が開発されていて、痛みや腫れなどを改善して進行を食い止める治療が可能になっています。
ですので、早めの受診が大切ですね。
では、痛風はどうでしょうか。
痛風とはどんな病気?
痛風は、身体の中の新陳代謝によって産生される尿酸が何らかの原因で増えてしまって起こる病気です。
血液中の尿酸が増えると、高尿酸血症となり血液中に溶けきれない尿酸が結晶となって関節に沈着してしまい痛風発作が起こります。
高尿酸血症の状態が何年も続いてから後に、痛風の症状が出て来ると言われています。
痛風は尿酸の結晶の比重が重いことから、重力によって足にほうに沈着しやすいので、足やかかとに痛みやむくみが出ることが多いのですが、手や肘の関節に出ることもあるのです。
症状としてよくあるのは、突然足の親指の付け根から猛烈な痛みが出現し、1時間くらいで足が腫れ上がり、風が吹いただけでも激痛を感じます。
このように風が吹いただけでも痛いことから「痛風」と言われています。
圧倒的に男性に多く、年齢は40歳以上の人が多いです。
最近では20歳~30歳の男性にもかかる人が増えてきました。
これは暴飲暴食やストレスが多いことなど生活習慣の乱れが原因となっていると言われています。
治療としては痛みや炎症を抑えるお薬や、食事療法などになってきます。
手指の関節の痛みなどについてのまとめ
今回は手指の関節の痛みの原因として考えられる病気について説明してきました。
ではまとめてみましょう。
- 腱鞘炎
- 手根管症候群
- ドケルバン病
- ヘパーデン結節
- ブシャール結節
リウマチや痛風は、手や足以外の関節でも痛みや炎症を起こして、腫れやむくみが出てきます。
手指の関節の痛みはここで挙げてきた病気などがあてはまらず、原因がわからないものが結構あります。
レントゲンや血液検査で調べても、何の異常もみられなくて悶々とすることもあるでしょう。
そして診断がつかず、そのまま痛み止めを飲んで様子をみていたらいつの間にか痛みが治まっていた、などはよくあるケースなのです。
ですが、やはり何かの異常があって痛みや腫れなどの症状が出てくるわけですから、諦めずに早い段階で整形外科を受診してみてくださいね。