看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『急性アルコール中毒の症状は?初期の寒気から痙攣まで段階を追って説明!』というタイトルでお送りします。


新入社員の歓迎会や大学のサークルでの飲み会や合宿がある時、または忘年会のシーズンになると、決まってたくさんの急性アルコール中毒の患者が病院の救急外来に運ばれてきます。

しかも年齢的には20歳代の若い男女で、少しお酒を飲み始めたけどまだどれくらいが自分の限界なのかをわかっていない年齢の人が多いです。

お酒を飲み続けていると、そのアルコールの血中濃度は徐々に高くなり、やがては死に至ることもあるなどあまり考えずにいるのでしょう。

急性アルコール中毒の症状

でも、実際に大学生の合宿やコンパなどの飲み会で飲み過ぎて急性アルコール中毒になり、生命を落とすケースは毎年のようにたくさんあるんです。

今回はそんな急性アルコール中毒について説明していきたいと思います。



 

お酒(アルコール)が体内に入るとどのように酔っていく?

急性アルコール中毒のことを説明する前に、
アルコールが私達の体内に入ってから体外に出ていくまではどのように経過していくのかを説明します。

私達がお酒を飲み始めると、そのアルコール分は胃から約20%、小腸から約80%で吸収されます。

血液の中に入り込み、全身に回っていきます。

体内に入ってきたアルコールは肝臓で代謝されます。肝臓ではアセトアルデヒドに分解されます。
アセトアルデヒドは、毒性作用があり、顔を赤くしたり頭痛や動悸を起こす原因物質です。

アセテート(酢酸)に分解されます。

アセテート(酢酸)は人体に無害で、血液にのって全身をめぐり、筋肉や脂肪組織などで二酸化炭素と水に分解されて、尿や汗などと一緒に体外に排出されます。

ここで分解されなかったアルコールは心臓に戻り全身を巡ってまわり、再び肝臓に戻って分解されます。

 

では、急性アルコール中毒というのは、どんな状態のことをいうのかについて説明していきます。



急性アルコール中毒はどんな状態?

通常は、お酒を飲むと上記のようなに肝臓で分解され、処理されて体外に出ていきます。

その間で次のような4つの段階を進んでいきます。

  • 爽快期
  • ほろ酔い期
  • 酩酊期
  • 泥酔期
  • 昏睡期

爽快期から昏睡期まで移行するに連れ徐々に血液の中でのアルコールの濃度が上がってきます。

それに伴い、酔ってきたと自覚していきます。

お酒は徐々に少しずつ飲んでいくと、アルコールの血中濃度も急には上がらないので足元がふらついてくるなどすれば、自身で調整もできます。

しかし、短時間のうちに大量のアルコールを飲んでしまうと、飲み始めてからアルコールの血中濃度が上昇するまでには時間差が生じます。

そのため、酔ったという自覚が出てくる前にどんどんアルコールを飲んでしまうことがあるのです。

この場合には、本人が知らない間にほろ酔い期や酩酊期など一気に飛び越えていき、泥酔期や昏睡期に突入してしまう恐れがあります。

泥酔期や昏睡期に突入

そして、昏睡期に入ると呼吸をつかさどっている延髄という呼吸中枢も麻痺させてしまうので、最悪、死に至ることもあり、とても怖い状態なのです。

この状態が「急性アルコール中毒」という状態です。

この急性アルコール中毒というのは、お酒が強いとか弱いとかといった体質は全く関係ありません。

どんな人でも、一気に多くの量のアルコールを摂取してしまうと急性アルコール中毒になる可能性が高いのです。
 

そんな急性アルコール中毒の症状はどんなものなのでしょうか?

まずは、お酒を飲み始めた場合に自覚するほろ酔い期から昏睡期までの症状を説明していきます。



急性アルコール中毒の症状は?初期症状から痙攣など重症まで

お酒を飲んでいる時に自覚する症状は、アルコールの血中濃度によって変わってきます。

血中濃度といってもわかりにくいので、その目安となるお酒の量と症状がわかりやすく記載してある下の表を参考にしてみてください。

血中アルコール濃度と飲酒量・症状の目安

お酒を飲んでいる人では、ほろ酔い期や酩酊期などの状態で、少し気分が良くなって人によってはおしゃべりになったり、笑い上戸や泣き上戸になったりしますね。

ほとんどの人が酩酊期くらいでお酒を止めていくパターンが多いと思います。

ただそれは、ご飯やおつまみを食べながらなど、時間をかけてゆっくり飲酒した場合です。

しかし、急性アルコール中毒は、多くが飲み始めて1時間くらいで急にたくさんのアルコールを摂った場合に起こります。

そのお酒の量は、日本酒で1升、ビールで10本、ウイスキーでボトル1本(750ml)以上となります。

この場合には急性アルコール中毒となる可能性が上がり、そのアルコール血中濃度が0.4%以上になった場合には1~2時間程度で約半数の人が死に至ると言われています。

その急性アルコール中毒に至るまでの初期症状としては、表にもありますが主に次のような症状になります。

  • 嘔気(おうき)・嘔吐(おうと)がある
  • 寒気があり頭痛が出ることもある
  • 呼吸が早くなる
  • 意識がもうろうとしてくる
  • 嘔吐などで体内は脱水状態であり、電解質バランスが悪いため痙攣(けいれん)症状が出ることもある

 

そして、時間が経過していくと、

  • 意識がなくなる
  • 呼吸困難が起こり、呼吸はゆっくりと深い呼吸になる
  • 嘔吐や排尿などは失禁(しっきん・垂れ流し)になる
  • 血圧が低下していくことにより、顔色の不良・冷や汗をかくなどする

 

このような状態となり、そのまま放置しておくとやがては死に至ります。

急性アルコール中毒の症状として多くの人が気になる症状である「寒気」に関しては、本当に初期の段階での症状としてあがることはあるようです。

また、けいれんなどは嘔吐などで体内で電解質のバランスが崩れた際に起こることもありますが、全ての人が起こる症状ではありません。

これらの初期に起こる症状に関しては、人それぞれ違ってきますのでご了承ください。

では急性アルコール中毒になった人に対しては、どんな応急処置を施せばいいのでしょうか?



急性アルコール中毒患者に対する応急処置とは?

身近に急性アルコール中毒になったと思われる人がいた場合には次のような点を注意して行動しましょう。

  • 患者は1人にしないで、必ず誰かがそばにいる
  • 意識がもうろうとしていて、反応が薄い場合には救急車を呼ぶ
  • 吐いたもので喉を詰めないように、顔を横向きにして寝かせる
  • ネクタイやベルトなど、身体を締め付けているものは外す
  • 無理に吐かせようとしない
  • 呼吸をしているか、脈がきちんとあるかを確認する
  • 体温が低下しないように、毛布や上着などで保温する
  • 吐き気や嘔吐が治まっているようならば、水分を摂ってもらう

 

意識のないような時には、吐いたもので窒息しないように下のような「回復体位」をとらせることが大切です。

吐いたもので窒息しないように回復体位

このような点に注意していき、少しでも反応が悪くなってきたと感じたならばすぐに救急車を呼んで搬送しましょう。



急性アルコール中毒の症状などについてのまとめ

今回は急性アルコール中毒の症状などについて、まとめてみました。

では、まとめてみましょう。

急性アルコール中毒の症状は?
急性アルコール中毒に至るまでの初期症状としては次のような症状になります。

  • 嘔気(おうき)嘔吐(おうと)
  • 寒気があり頭痛が出る
  • 呼吸が早くなる
  • 意識がもうろうとしてくる
  • 嘔吐などで体内は脱水状態であり、電解質バランスが悪いため痙攣(けいれん)様症状が出ることもある

そして、時間が経過していくと、

  • 意識がなくなる
  • 呼吸困難が起こり、呼吸はゆっくりと深い呼吸になる
  • 嘔吐や排尿などは失禁(しっきん・垂れ流し)になる
  • 血圧が低下していくことにより、顔色の不良・冷や汗をかくなどする

 

このような状態となり、そのまま放置しておくとやがては死に至ります。

お酒はやはり量や飲み方によっては、ストレス解消になるなど心身ともに良い効果もたくさんあります。

しかし、飲み方を間違えるとこのように毒にもなるわけです。

しかも、最悪死に至ることもあるなんて、まさかそんなことなんて考えずに飲む人がほとんどだと思います。

ですが、楽しく飲んでいる時に、急性アルコール中毒で救急搬送などといった事態が起こると本当に色々な方に迷惑をかけてしまいます。

ここで紹介したような、してはいけない飲み方を自分は必ずしないこと、そして周囲にもそんな飲み方をさせないようにすることなどが大切です。