モニター心電図をつけるとき、赤・黄・緑の電極をどこに貼るのか、貼り替えはいつするのか、「電極確認」の表示が出たら何を見ればいいのか、迷うことはありませんか。
この記事では、病棟で使う3点誘導のモニター心電図(送信機・ベッドサイドモニタ)について、電極の位置と色、貼り方と貼り替えの手順、皮膚トラブルを防ぐ工夫、電極外れ・受信不良のときに確かめること、観察と記録のポイントをまとめました。根拠は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)の医療安全情報、日本看護協会の「一般病棟における心電図モニタの安全使用確認ガイド」(2010年作成)、電極・送信機の添付文書、電極の位置については看護師向けの解説書・医師の解説です(2026年10月17日確認)。
波形の読み方(不整脈の見分け方など)はこの記事では扱いません。また、電極の種類や機種によって決まりが違うため、実際の手順は勤務先の手順書と、使っている製品の添付文書・取扱説明書を優先してください。
モニター心電図(3点誘導)の電極の位置と色
電極の色の決まり
心電図のリード線の色には、IEC(EU仕様)とAHA(USA仕様)の2つのカラーコードがあります。ある心電計ケーブルの添付文書に載っている対応表は次のとおりです。
| 電極の記号 | IEC(EU仕様) | AHA(USA仕様) |
|---|---|---|
| RA(右腕) | 赤 | 白 |
| LA(左腕) | 黄 | 黒 |
| LL(左足) | 緑 | 赤 |
| RL(右足) | 黒 | 緑 |
病棟の3点誘導でよく見る赤・黄・緑は、IECの赤(右腕)・黄(左腕)・緑(左足)にあたります。同じ「赤」でも、AHA仕様のリード線では左足を意味するので、見慣れない機器を使うときは、色だけで判断せずリード線の記号(R・L・Fなど)も確かめましょう。
基本の位置は「赤=右鎖骨下・黄=左鎖骨下・緑=左下胸部」
モニター心電図(3点誘導)では、3つの電極を胸に貼ります。看護師向けの解説書などで紹介されている位置は次のとおりです。
- 赤:右の鎖骨の下
- 黄:左の鎖骨の下
- 緑:左の下胸部
解説書では、右上から時計回りに「あー、きみ」と覚える方法も紹介されています。
通常は、赤と緑の電極のあいだの電位がⅡ誘導として表示され、残りの黄はアースの役割になります(機種によってはⅠ・Ⅲ誘導に切り替えられます)。Ⅱ誘導はP波もQRS波も比較的よく見える誘導なので、モニターでは基本の誘導として使われます。
3電極のテレメータでは、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ誘導のうちいずれかを選んで表示できる機種があります。Ⅱ誘導で波形がはっきりしないときは、モニター側で誘導を切り替えられ、それでも見えにくければ電極を貼る位置を変えます。
赤と緑の位置は呼吸の測定にも関わる
心電図と同じ電極で呼吸数を測るモニタがあります。テレメータの添付文書には、呼吸はR電極(赤)とF電極(緑)のあいだのインピーダンスの変化で測ると書かれています。赤と緑の電極は、心電図だけでなく呼吸の表示にも使われていることを覚えておきましょう。
決まった位置に貼れないとき・機種による違い
手術の部位などで基本の位置に貼れないこともあります。麻酔科医が解説した資料では、電極と心臓の位置関係を崩さなければ、本来の誘導と似た波形が得られると説明されています(たとえば緑は、心臓より下で左側であればよいとしています)。
反対に、赤と緑を逆に貼ると、波形が上下逆に表示されると説明されています。色と位置の取り違えに注意しましょう。
なお、電極によっては、添付文書で別の位置(左右の前腋窩線の剣状突起の高さと、脚)を原則としているものもあります。貼る位置は機種・電極の種類で違うことがあるため、勤務先の手順書と製品の添付文書を確認してください。
電極の貼り方の手順

モニタ用ディスポ電極の添付文書と、日本看護協会のガイドに書かれている手順を、流れに沿って並べました。
- 貼る場所を決める:傷口や炎症のある部位、しわの多いところ、凹凸の激しいところは避けます。日本看護協会のガイドでは、動きの少ない部位、筋肉の少ない部位を選ぶとしています。呼吸で動く部分を避けるよう書いている電極の添付文書もあります。
- 皮膚の汚れと皮脂を拭き取る:アルコール綿などで拭きます。体毛が多い場合は、必要に応じて剃毛するよう書いている添付文書もあります。
- 必要に応じて皮膚の前処理をする:電極の添付文書では、メーカーの皮膚前処理剤でこするなどの前処理を行うと、より安定した波形が記録できるとしています。ただし同じ添付文書類には、小児や新生児ではこの処理は不要、皮膚が過敏な人や炎症のある部位には前処理剤を使わない、と書かれています。
- 水分をしっかり取る:汗や水分、前処理剤が残っていると電極がよく貼り付かないため、乾いたガーゼや脱脂綿で十分に拭き取ります。
- 電極を確かめる:ゲル(粘着面)が乾いていないか、汚れやサビがないかを見ます。乾いた電極はノイズの原因になります。
- 電極を貼る:装着部に片側から押しあてるように貼り、電極の上から指で押さえて皮膚に密着させます。粘着面にはなるべく指を触れないようにします。
- リード線をつなぐ:クリップ式やハサミ式のリード線は、電極を密着させた後に、色を合わせて取り付けます。
- リード線を固定する:サージカルテープなどでリード線を身体に固定すると、体動による揺れが少なくなり測定が安定します。リード線が引っ張られたままだと断線や電極はがれの原因になるため、余裕をもたせて固定します。
- 波形と患者情報を確かめる:送信機の電源を入れ、セントラルモニタやベッドサイドモニタで波形が出ているか、表示されている患者情報が装着した患者さんと合っているかを確かめます。
種類の違う電極を1人の患者さんに混ぜて使わないことも、複数の添付文書に書かれています(混用すると心電図が記録できないことがあるため)。
貼り替えの目安と手順
交換の目安
PMDAの医療安全情報(No.29)は、電極は長期間の使用や発汗などで粘着力が落ちるため、粘着力が低下する前に定期的に交換すること、そのために交換時期のルールを決めておくことを求めています。
交換の間隔は製品によって違います。日本光電のモニタ用ディスポ電極(ビトロード)のL・M・Bs・Fの各添付文書では「24時間を目安として交換」とされています。日本看護協会のガイドも、はがれかけた電極によるアラームを減らすため、毎日貼り替えるほうがコストパフォーマンスがよい場合もあると述べています。
使っている電極の添付文書と、勤務先で決められた交換のルールに合わせましょう。決まった時期の前でも、はがれやすくなった電極は新しいものに交換します。
貼り替えの手順
- 古い電極は、端からゆっくりはがします(無理にはがすと皮膚が一緒にはがれることがあります)
- 皮膚にゲルが残っていないか確かめます
- はがした跡の皮膚に発赤やかぶれがないか見ます
- 発赤やかぶれがあるときは、前回の装着部位からずらして貼ります
- 貼った後は、波形がきれいに出ているかをモニターで確かめます
はがした電極の扱いにも注意が必要です。電極のゲルは誤って飲み込むと胃の中で膨らむことがあるため、電極の添付文書は、使った数と捨てた数を確認するなどして電極の行方に注意するよう書いています。
皮膚トラブルを防ぐ工夫

電極装着部には発赤やかぶれが現れることがあると、電極の添付文書に書かれています。添付文書に書かれている注意点をまとめました。
- 傷口や炎症のある部位には貼らない
- 皮膚が弱い患者さんには慎重に使う:装着部の発赤や皮膚びらんが起こり、まれに瘢痕が残ることがあると書かれています
- 粘着剥離剤(リムーバー)を使ったら完全に拭き取ってから貼る
- 使用中も皮膚を定期的に観察する:異常があれば装着部位を変えるなどの対応をします
また、ホルター心電図用の電極の添付文書では、しわが寄ったり皮膚がゆるんでいる部位に貼ると水ぶくれや発赤が起こることがある、皮膚前処理剤で強くこすりすぎると炎症を起こす、と注意しています。
発赤やかぶれが出たときは、使用を中止するか、新しい電極に取り替えて前回の部位からずらして貼り直すよう添付文書に書かれています。かぶれなどが生じたら直ちに使用を中止し、医師の指示に従うよう求めている電極もあります。どう対応するかは、医師や先輩看護師に相談して決めましょう。
なお、新生児・低出生体重児には使えない電極もあります。小児や新生児に使うときは、対象年齢を添付文書で確かめてください。
電極外れ・ノイズ・受信不良のときに確かめること
日本看護協会のガイドは、アラームのほとんどは危険な生体情報ではなく、電極確認・電池切れ・電波切れや、不適切なアラーム設定によるものだったという報告があり、なかでもはがれかけなど電極の不具合が原因になることが特に多いようだとしています。同じガイドは、アラームが鳴ってベッドサイドに行ったら、原因を確かめ、患者さんの状態を直接観察することが大切だとしています。
そのうえで機器側で確かめることを、PMDAの医療安全情報(No.29)、送信機・電極の添付文書、看護師向けの解説書をもとに表にしました。
ある送信機の添付文書(2010年作成)には、「電極確認」の表示が出ているあいだは心電図のモニタリングが中断し、アラームが機能しないと書かれています。表示が出たらすぐに確かめましょう。
| 起きていること | 確かめること |
|---|---|
| 「電極確認」「電極はずれ」の表示 | 電極がはがれていないか、リード線の状態はどうか。必要に応じて電極やリード線を交換する |
| 波形が乱れる・ノイズが入る | 電極のはがれ・浮き、ゲルの乾燥、筋肉の上に貼っていないか、リード線の接続と断線、リード線が引っ張られていないか |
| 波形が小さい・見えにくい | 感度の設定、誘導の設定(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)、皮膚の前処理(皮脂・角質が残っていないか) |
| 受信不良のアラーム | 送信機の電池が切れていないか、患者さんがアンテナの受信エリアの外(電波が届きにくい病室など)にいないか |
| セントラルモニタに「電池交換」などの表示 | アラームが鳴っていなくても、送信機の電池を速やかに交換する |
| 清拭などのケアの後 | ケアのために切った送信機の電源を入れ直したか、セントラルモニタで波形が出ているか |
| 波形が患者さんの様子と合わない | 送信機が別の患者さんのものと入れ替わっていないか、セントラルモニタの患者情報が正しいか |
麻酔科医が解説した資料では、装着時のチェックポイントを「リード(リード線)・カンド(感度)・ユウドウ(誘導)」の3つで覚える方法が紹介されています。
また、テレメータの添付文書は、一部の電極がはがれたとき、その電極の金属部分にベッドの金属部などの導電性のものが触れないようにし、操作者も素手で触れないよう注意しています(患者さんが電撃を受けることがあるため)。はがれた電極は、そのままにせず貼り直すか交換しましょう。
観察と記録のポイント

勤務ごとに確かめる項目
日本看護協会のガイドは、使用者による日常点検を「使用開始時・使用中(勤務交代時など定期的に)・使用終了時」に行うよう勧め、点検項目の一例として次のものを挙げています。
| 項目 | 見るところ |
|---|---|
| 電池・電源 | 電源スイッチ、チャネル設定 |
| 電極装着状態 | 電極の接着状況 |
| 受信状況 | 画面に波形が出ているか、電極確認の表示がないか、心拍数の表示、R波同期音 |
| アラームの設定 | 心拍数の上下限、不整脈アラーム、心停止アラーム、アラーム音量 |
| 記録 | 定時記録と警報記録の設定、日付・時刻 |
あわせて、電極を貼っている部位の皮膚(発赤・かぶれがないか)も観察します。同じガイドは、アラーム音は「切」にしないことを原則とし、点検した結果を記録しておくことも挙げています。記録の書式は勤務先の様式に沿いましょう。
モニター心電図の波形の見方の入り口として、正常な洞調律(サイナスリズム)については医療用語のサイナスとはどんな意味?サイナスリズムの定義や心電図波形の画像もで紹介しています。
まとめ
- 3点誘導の基本の位置は、赤=右鎖骨下、黄=左鎖骨下、緑=左下胸部。通常は赤と緑のあいだがⅡ誘導になり、黄はアースの役割
- 色の意味はIEC仕様とAHA仕様で違う。機種・電極ごとの添付文書と勤務先の手順書を優先する
- 貼る前に皮脂と水分を拭き取り、傷・炎症・しわ・凹凸のある部位は避ける。リード線はテープで固定し、引っ張られないようにする
- 電極は粘着力が落ちる前に、決めたルールで定期的に交換する(確かめた電極の添付文書では24時間が目安)。発赤やかぶれがあれば前回の部位からずらして貼る
- アラームが鳴ったらベッドサイドへ行き、原因を確かめるとともに患者さんの状態を直接観察する。送信機によっては「電極確認」の表示中は心電図のアラームが機能しないため、表示が出たらすぐに確かめる
こんにちは、現役看護師のミカです。
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