看護計画とは?目的と看護過程での位置づけ
結論から言うと、看護計画とは、患者さんが抱える看護上の問題を解決するために、目標とケアの内容をまとめた個別の計画書です。
書く項目は「看護問題」「看護目標」「O-P」「T-P」「E-P」の5つで、この順番に考えていくと全体がつながります。
この記事では、各項目の意味と書き方、具体的な記載例、標準看護計画の使い方までを順に整理します。
実習や病棟で手が止まりやすい方が、自分の計画を最後まで組み立てられるようになることを目指しています。
看護計画は「問題を解決するための個別の計画書」
看護計画は、看護の対象となる人が抱えている問題を解決するために、個別の看護目標を達成するプランを記したものです。
同じ病名の患者さんでも、年齢や性別、生活背景、抱えている問題は一人ひとり異なります。
そのため、看護計画は一人ひとりに合わせて作る個別の計画になります。
看護計画は、看護師が自分の見通しを整理するためだけのものではありません。
同じ病棟の看護師どうしで共有することで、誰が担当しても方針がぶれにくいケアにつながります。
また、患者さんやご家族にも提示して了承を得る書類でもあるため、丁寧で正確な記載が求められます。
日本看護科学学会の用語集でも、看護計画は看護記録の一部として看護職者間で共有され、継続的で一貫した看護を提供するための指針になると説明されています。
つまり、看護計画は「書くこと」が目的ではなく、「ケアを揃えて続けること」が目的です。
看護過程5つの段階のうち、計画はどこに入るか
看護計画は、看護過程というプロセスの中の1つの段階です。
看護過程は、アセスメント・看護診断・看護計画・看護介入・看護評価の5つの要素で成り立つとされています。
| 段階 | おもな内容 |
|---|---|
| アセスメント | 患者さんの現状を把握するために、情報を集めて整理し、判断する |
| 看護診断 | アセスメントの情報をもとに、解決すべき問題を明らかにする |
| 看護計画 | 問題解決に向けた目標と、観察・援助・教育の計画を考える |
| 看護介入 | 計画したケアを実施する |
| 看護評価 | 目標を達成できたかを確認し、できなければ必要なケアを考える |
アセスメントの具体的な進め方は別のテーマになるため、この記事では「計画の前段階にある」という位置づけにとどめます。
この5つは一度で終わるものではなく、ケアを実施しながらアセスメントや計画づくりを繰り返すものです。
患者さんの状態は絶えず変化するため、看護計画も実践の結果を評価したうえで、修正・変更していく必要があります。
あらかじめ評価日を決めておき、目標の到達度や計画の内容を見直す進め方が望ましいとされています。
看護計画に書く項目一覧と作成の流れ
ここでは、看護計画に何を書くのかという全体像と、考える順番を確認します。
先に全体像をつかんでおくと、各項目を書くときに「いま自分はどこを考えているのか」が見失いにくくなります。
5つの項目:看護問題・看護目標・O-P・T-P・E-P
看護計画に記載する内容は、患者さんの問題をどうすれば解決できるかを考え、5種類の項目に分けて落とし込んだものです。
| 項目 | 何を書くか | ひとことで言うと |
|---|---|---|
| 看護問題(看護診断) | 看護によって解決をめざす問題 | 出発点 |
| 看護目標 | ケアの結果、患者さんにどうなってほしいか | ゴール |
| O-P(観察計画) | 観察する項目、確認する情報 | 見る・聞く・確かめる |
| T-P(援助計画) | 看護師が実施するケア | 手を動かす |
| E-P(教育計画) | 患者さんやご家族への指導・説明 | 伝える |
O-Pは「Observation Plan」、T-Pは「Treatment Plan」、E-Pは「Education Plan」の略です。
T-Pは、ケア計画(Care Plan)を意味するC-Pという名前で呼ばれる場合もあります。
病院や学校によって呼び方や様式が違うことがあるため、手元の様式を確認してから書き始めてください。
項目を立てる順番と、つながりのチェック方法
考える順番は、看護問題→看護目標→O-P→T-P→E-Pが基本です。
まず問題を決め、その問題が解決した姿を目標として示し、目標に近づくための観察・援助・教育を考えます。
項目を書き終えたら、上から下へ、そして下から上へと、つながりを確認すると見直しがしやすくなります。
- 看護問題は、患者さんの情報から根拠をもって説明できるか
- 看護目標は、その問題が解決した姿になっているか
- O-Pは、問題の状態や変化を確認できる内容になっているか
- T-Pは、目標に近づくためのケアになっているか
- E-Pは、目標の達成に必要な理解や行動を促す内容になっているか
どこか1か所でも話がつながらないときは、1つ上の項目に戻って見直します。
たいていは、看護問題の立て方があいまいなまま先へ進んでしまっていることが原因です。
日本看護科学学会の用語集では、問題の優先順位を定めたうえで、目標と達成時期、必要な看護活動を選ぶという流れが示されています。
問題が複数ある場合は、緊急性や、患者さんやご家族の欲求・苦痛の程度などを多面的に検討して優先順位を決めます。
看護問題(看護診断)の立て方
看護計画の中でもっとも重要なのは、看護問題を正しく立てることです。
看護問題があるからこそ看護計画が必要になるため、ここがずれると、計画全体がずれてしまいます。
なお、看護問題と看護診断は、呼び方が違うだけで内容は同じものとして扱われることが多いです。
拾う問題は3種類:現在・今後・良い傾向の維持
看護問題として拾うポイントは、おもに次の3つです。
- 現在、患者さんが抱えている問題
- 今後、患者さんが抱えることになり得る問題
- 現状で見られる良い傾向を続けていくための問題
1つ目は、睡眠不足や食欲不振のように、いま起きている問題です。
日頃からよく観察し、患者さんとコミュニケーションをとっていれば、自然に気づける問題といえます。
2つ目は、いまは表に出ていないものの、このままの状態が続くと起こる可能性が高い問題です。
患者さん自身も気づいていないことがあるため、より細かな観察が必要になります。
3つ目は、良い傾向がみられるときに、それを保つために取り上げる問題です。
このまま続ければ回復が早まると見込める場合や、退院後も含めてプラスになることがある場合に挙げます。
問題を探すときは、この3つの視点で順に見直すと、抜けや偏りに気づきやすくなります。
主観的情報と客観的情報を合わせて判断する
看護問題を抽出するときは、偏った情報だけで決めないことが大切です。
患者さんの言葉などの主観的情報と、検査データや観察から得られる客観的情報を合わせて考えます。
たとえば、患者さんが「寝つきが悪い」と話していても、データ上は大きな問題がみられないことがあります。
その場合は、より詳しく話を聞いたうえで、看護問題として取り上げるかどうかを判断します。
気になるデータがあれば、患者さんに直接話を聞き、本人がどう感じているかを踏まえて決めるのが基本です。
患者さんの言葉の内容によっては、治療上の問題がないかを担当医に確認する場面もあります。
書き方は病院・学校のルールとNANDA-Iに合わせる
看護問題は、書き方にもいくつかのパターンがあります。
よく使われるのが、NANDA-Iの看護診断です。
NANDA-Iは、北米看護診断協会(NANDA)が提唱する看護診断の方法で、末尾の「I」は「international」を意味します。
統一された書き方があるのは、看護計画を誰が見ても、すぐに正しく判断できるようにするためです。
ただし、医療機関によって看護問題の書き方にルールがあるため、そのルールに沿って記載することが大切です。
たとえば、食欲がない患者さんの場合は「食欲不振」のように書くのが適切とされています。
一方で、看護学実習では「食事量が少ないままである」のように、学生自身の言葉で書くケースもあります。
書き方に迷ったら、病院や学校の方針を実習要項や指導者に確認してから書きましょう。
看護目標の設定方法

看護目標は、立てた看護問題に対して計画的にケアを行い、患者さんがどのような状態になることをめざすのかを示す項目です。
ケアを実施した患者さんにどうなってほしいかを決めるもの、と考えるとイメージしやすくなります。
目標は、患者さんと看護職者のあいだで共有し、具体的で評価できる表現にすることが大切です。
達成できる範囲で設定することも重要で、看護師が対応できる業務の中でめざせる目標にします。
長期目標と短期目標の分け方
目標は、可能であれば長期目標と短期目標に分けて書きます。
長期目標は最終的に達成したい目標で、短期目標は長期目標に至るまでに起こる問題それぞれに対する目標です。
| 種類 | 役割 | 考え方 |
|---|---|---|
| 長期目標 | 最終的に達成したい姿 | 患者さんがどうなりたいかを反映する |
| 短期目標 | 長期目標へ向かう途中の段階 | 直近で達成できる内容にする |
短期目標をいくつか達成しながら、最終的に長期目標に到達するのが、理想的な形です。
長期目標だけだと、達成までに時間がかかり、そのあいだに患者さんの状況が変わって計画を作り直すことになりかねません。
直近の目標を別に立てておけば、患者さんも達成感を得やすく、急な変化にも対応しやすくなります。
患者さんを主語に、数値で具体的に書く(NG例とOK例)
看護目標を書くときのポイントは、次の3つです。
- 具体的な数値などを用いて設定する
- 無理な設定はしない
- 患者さん目線で書く
目標を達成するのは患者さん自身なので、主語は看護師ではなく、患者さんやご家族にします。
看護計画は看護師の力で何かを成し遂げるものではなく、患者さんの問題を解決するために看護師ができることをまとめたものです。
また、看護の知識がない患者さんやご家族が見ても、どうなることを目標にしているかが分かる書き方にします。
| NG例(あいまい) | OK例(具体的) |
|---|---|
| ある程度自立歩行できる距離を伸ばす | 30m自立歩行できるようになる |
| 一定時間車いすで生活できるようにする | 1日30分車いすで生活できるようになる |
| ほどほどに食事の量が増えることを目標にする | 1日1400kcalを無理なく摂取できるようになる |
「ある程度」「一定時間」「ほどほどに」といった表現は、人によって受け取り方が変わるため避けます。
時間でも距離でも、できるだけ数値にすると、評価のときに達成できたかどうかを判断しやすくなります。
なお、上の数値は書き方を示すための例です。実際の数値は、患者さん本人の状態や希望を確認し、指導者や医療チームと相談して設定してください。
観察計画(O-P)の書き方
O-Pは、看護師の目や耳、鼻、指などで確認できる患者さんの情報を記す項目です。
通常の看護業務で得たデータや、患者さんとのコミュニケーションで得た情報も含まれます。
O-Pは、問題に対して観察したことと、継続して観察が必要なことを記載する項目です。
観察を正しく行い、看護記録に残すことで、患者さんの小さな変化に気づきやすくなります。
O-Pに入れる観察項目の例
O-Pに入れる観察項目の例として、次のようなものが紹介されています。
- バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸数)
- 血液検査のデータ
- 呼吸状態、呼吸音
- 水分出納管理、食事摂取量と水分摂取量
- 皮膚や爪の状態(発赤、浮腫、褥瘡の有無など)
- 下痢・嘔吐の有無
- 排泄物の色・性状・頻度、排泄状況
- 睡眠状態(時間、質、中途覚醒の有無)
- 倦怠感や脱力感の有無
- 痛みの程度とその変化
- 気分や情動の変化
これらをすべて書けばよいわけではなく、看護問題に応じて選ぶことが大切です。
同じバイタルサインでも、問題によって、見るべきポイントや記録の仕方は変わります。
看護問題に直結する観察に絞るコツ
O-Pは、看護問題に応じて立てていくのが基本です。
一方で、問題と直接つながらない情報でも、できるだけ詳しく記載したほうがよいという考え方もあります。
場合によっては、看護の方針だけでなく、診療方針の手助けになることもあるためです。
初心者の方は、次の順で整理すると、絞り込みがしやすくなります。
- 看護問題の原因として考えられることを書き出す
- 原因を確かめるための観察項目を選ぶ
- 目標に近づいているかを確認する観察項目を加える
- リスクの見落としを防ぐために、変化に気づきたい項目を足す
観察項目に「程度」「回数」「性状」など、何を確認するかを添えておくと、誰が見ても同じ視点で観察できます。
援助計画(T-P)の書き方
T-Pは、看護問題を解決するために、看護師が自分の手を使って実施するケアの計画をまとめた項目です。
O-Pで得た情報を根拠に、どのようなケアで問題の解決をめざすかを示す項目ともいえます。
T-Pは、看護師ができる範囲で計画することが大切です。
実際の業務だけでなく、患者さんの話を聴くなど、コミュニケーションも含まれる場合があります。
T-Pに入れるケアの例
T-Pに入れるケアの例として、次のようなものが紹介されています。
- 清潔ケア:入浴介助、清拭、口腔ケア
- 排泄ケア:トイレ誘導、おむつ交換、導尿
- 移動の援助:歩行介助、車椅子移乗の補助
- 褥瘡予防:体位変換、エアマットレスの使用
- 栄養管理:食事介助、食事内容の調整、経管栄養の実施
- 輸液管理、バイタルサイン測定
- 疼痛管理:鎮痛剤の投与、非薬物療法の実施
- リハビリテーション:ROM運動、筋力トレーニングの補助
- 術前の患者さんの不安な気持ちを聴く
たとえば、患者さんが自分で清潔ケアをできない状態なら、清拭やベッド上での洗髪がT-Pの項目になります。
薬剤や処置に関わる内容は、医師の指示のもとで行うものとして書くようにします。
第三者が見てわかる具体的な書き方に直す
T-Pは、実際に看護師が行う業務に直結する項目です。
自分にしか伝わらない書き方ではなく、第三者が見ても理解できるよう具体的に書くことが重要です。
「清拭」とだけ書くより、いつ、どの部位を、どのような点に注意して行うかまで書くと、ほかの看護師もケアを揃えやすくなります。
| 伝わりにくい書き方 | 具体的に直した書き方の例 |
|---|---|
| 食事介助 | 食前に口腔ケアを行い、座位を整えてから食事介助を行う |
| 体位変換 | 体位変換を行い、皮膚の発赤の有無を確認する |
| 歩行介助 | 夜間はトイレ歩行に付き添い、ふらつきの有無を確認する |
上の表は、書き方を比べるための一例です。実際には、病棟の体制や患者さんの状態に合わせて内容を変えてください。
「誰が・いつ・何を・どのように」が読み取れるかを意識すると、具体的な表現になりやすくなります。
教育計画(E-P)の書き方

E-Pは、看護目標を達成するために、患者さんが自分の健康状態を理解できるよう行う指導や教育を記す項目です。
入院中や退院後に注意すべき点を、患者さんやご家族に口頭で伝える内容をまとめます。
E-Pは、患者さんやご家族の理解度や受け入れの状況を見ながら、段階的に進めることが求められます。
指導した内容を実践できているかを確認し、必要に応じて再指導を行うことも大切です。
E-Pで書く指導内容の例
E-Pに入れる指導内容の例として、次のようなものが紹介されています。
- 病態の説明
- 退院後の生活に関する指導、服薬指導、生活指導
- インスリン自己注射の必要性の説明
- 予防行動の重要性の説明
- 食習慣・運動習慣の重要性の説明
- 家族指導
標準看護計画の例では、一連の指導を患者さんの回復や年齢などを考慮して、段階的に時間の流れに沿って立てるとされています。
「いつ、どの内容を説明するか」まで書いておくと、E-Pが実行しやすい計画になります。
「説明する」「指導する」と書くだけでなく、患者さんの理解を確認することまで含めて計画すると、実践につながりやすくなります。
意識・認知機能が低下している場合は家族への指導にする
E-Pは、意識がはっきりしている患者さんには、おもに本人に対して行います。
意識や認知機能が低下している場合や、認知症などで理解や記憶が難しい場合は、代わりにご家族への説明が必要です。
患者さん本人が理解しにくい状態なのに、本人への説明だけで終わらせないよう注意しましょう。
ご家族に指導する場合も、負担になりすぎないよう、健康状態やご家族の状況を考えて内容を決めます。
標準看護計画の例でも、ご家族の励ましや協力は欠かせない一方で、大きな期待は患者さんの精神的な負担になりやすいと述べられています。
看護計画の記載例・例文
ここからは、実際の記載例を3つ紹介します。
例文は、書き方のイメージをつかむための参考であり、そのまま写すものではありません。
同じ看護問題を抱える患者さんでも、必ず一人ひとりに合わせた看護計画を作成する必要があります。
転倒・転落リスク状態の例
転倒・転落リスク状態は、計画を立てる機会が多い看護問題の1つです。
まず、看護問題と目標の例です。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 看護問題 | 転倒・転落リスク状態 |
| 長期目標 | 転倒・転落することなく安全に過ごすことができる |
| 短期目標 | 転倒・転落予防の重要性を理解し、予防行動をとることができる |
O-Pの例は次のとおりです。
- バイタルサイン、睡眠状況、ADL
- 歩行状況(ふらつきの有無)
- 歩行時に履物を正しく履けているか
- ドレーンや点滴ルートの状態
- ナースコールの使用状況
- 疼痛の有無
- 服薬状況(睡眠薬や降圧剤の有無)
- ベッド環境(床の状態、照明、障害物)
- 転倒歴、自宅環境
T-Pの例は次のとおりです。
- 片側はベッド柵を使用するとともに、ベッドを適切な高さに調整する
- 移動補助具(歩行器、杖)を提供する
- 夜間はセンサーマットを配置し、トイレ歩行介助を行う
- 病棟内で歩行のリハビリを行う
- スリッパなど滑りやすい履物の使用を避ける
- 消灯前にトイレ誘導を行う
E-Pの例は次のとおりです。
- 患者さんとご家族に対して、転倒・転落のリスクと予防法を説明する
- 夜間のトイレ歩行は転倒リスクが高いため、ナースコールを使用するよう声かけする
- ドレーンや点滴のルート類が絡まないように声かけする
- 転倒しにくい服装や靴の選び方を指導する
- 退院後の自宅環境整備についてご家族に指導を行う
この例では、O-Pに自宅環境や転倒歴があり、E-Pに退院後の環境整備の指導が入っているところに、退院後を見据えた視点がうかがえます。
食欲不振の例
食欲不振は、さまざまな要因で起こりうる看護問題とされ、原因を見極めて個別性に配慮した関わりが必要になります。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 看護問題 | 食欲不振 |
| 長期目標 | 栄養状態が改善し、適切な食事摂取量を維持できる |
| 短期目標 | 食事に対する前向きな態度を持つことができる |
O-Pの例は次のとおりです。
- バイタルサイン、体重、血液検査データ
- 食事摂取量(1日の摂取カロリー、水分摂取量)、普段の食事摂取量
- 日中活動量
- 食欲の有無、吐き気の有無、味覚異常の有無
- 口内炎など口腔内異常の有無
- 嚥下機能、排泄状況、服薬状況
- 食事に対する意欲
T-Pの例は次のとおりです。
- 嘔気予防のため、食事前に吐き気止めを提供する
- 匂いの少ない食事など、患者さんに合わせた食事を管理栄養士と相談する
- 日中の活動量を増やすため、病棟内でリハビリを実施する
- 食前に口腔ケアを実施する
E-Pの例は次のとおりです。
- 栄養バランスの良い食事の重要性について説明する
- 栄養補助食品を紹介する
- 口腔ケアの実施を声かけする
- 食欲増進のための工夫(適度な運動、リラックス法)を指導する
- ご家族に対して、退院後の食事管理について指導する
薬剤に関する項目は、医師の指示や病棟の取り決めに沿って行うことが前提になります。
がん性疼痛の例
紹介されている例では、がん性疼痛の場合、痛みをコントロールし、患者さんのQOLを向上させることが看護目標になるとされています。
| 項目 | 記載例 |
|---|---|
| 看護診断 | がん性疼痛 |
| 短期目標 | 痛みによって夜間の睡眠が阻害されない/痛みが緩和する/痛みの強弱によらずトイレまで行ける |
| 長期目標 | 3月に花見をする/1日1回散歩をする/〇月に、〇〇へ旅行に行く |
長期目標の「〇月」「〇〇」は、患者さんの希望に合わせて入れる部分を示しています。
O-Pの例は次のとおりです。
- バイタルサイン、血液検査、画像検査、表情
- 痛みに関する発言、行動
- 痛みの部位、性状、持続時間
- 安静時および体動時の痛みの程度
- 食欲の有無、悪心・嘔吐・便秘などの有無
- 睡眠状態
- 鎮痛薬の効果
- 使用薬剤の副作用の有無や発生回数
- 日常生活への悪影響の有無、家族との関係
T-Pの例は次のとおりです。
- 安楽な体位をとる
- 医師の指示に従い、薬剤管理を行う
- 患者さんに鎮痛薬の使用についての思いを確認する
- 食事形態を工夫する、排便コントロールを行う
- 患者さんの話を傾聴し、共感的態度で接する
- タッチングやマッサージを実施する
- 気分転換を行う
- 趣味が楽しめる環境に調整する
- 家族への言葉かけを行う
E-Pの例は次のとおりです。
- 痛みを我慢せず、看護師に伝えるように説明する
- 麻薬製剤について、薬剤師から正しい知識を伝える
- 疑問・不安があれば看護師に相談するよう指導する
- 病状などの情報を患者さん・ご家族と共有し、医師や看護師との間に認識のずれがないようにする
痛みの感じ方や薬の使い方は人によって異なるため、実際の計画は医師や薬剤師など、チームの方針に沿って立ててください。
例文を自分の患者さんに合わせて書き換える手順
例文を自分の計画に活かすには、次の手順で書き換えていくと進めやすくなります。
- 例文の看護問題と、自分の患者さんの問題が合っているかを確認する
- 看護目標を、患者さんの希望や状態に合わせて書き換える
- O-Pは、患者さんの看護問題に応じた項目を選び、足りない項目を加える
- T-Pは、看護師ができる範囲で、具体的な内容に直す
- E-Pは、患者さんの理解力に合わせ、必要ならご家族への指導に変える
- 最後に、5つの項目がつながっているかを見直す
例文はあくまで例であり、そのまま写さないことが前提です。
同じ看護問題でも、生活背景や個性が違えば、計画の内容は変わります。
書き換えたあとは、指導者や先輩に見てもらうと、自分では気づきにくい点を確認できます。
標準看護計画の活用方法と注意点

標準看護計画は、計画づくりの土台として役立つ存在です。
ただし、そのまま使うだけでは患者さんの個別性が反映されません。
ここでは、標準看護計画の特徴と、使うときの注意点を整理します。
標準看護計画とは?根拠つきで書かれた土台
標準看護計画は、よく挙げられる看護診断や症状について、目標と計画の基本形をまとめたものです。
看護学生向けの実習サイトでも、実習でよく挙げる看護診断や、よく出合う症状の標準看護計画が紹介されています。
たとえば「非効果的健康管理」の標準看護計画では、定義と期待される結果(看護目標)が示され、O-P、C-P(ケア計画)、E-Pが項目ごとに整理されています。
さらに、各項目に「根拠」が添えられている点が特徴です。
根拠を読むことで、「なぜその観察やケアが必要なのか」を理解できます。
たとえば、その例では、治療計画は複雑にならないよう工夫し、患者さんの意見も聞き入れながら一緒に計画するとよいと説明されています。
このように、標準看護計画は「何を書くか」だけでなく「なぜ書くか」を学べる土台になります。
そのまま写さず、個別性を足して使う
標準看護計画を使うときは、そのまま写すのではなく、個別性を足して使います。
看護計画は、患者さん一人ひとりの問題を解決するための個別の計画だからです。
| 使い方 | ポイント |
|---|---|
| 土台として読む | 項目の構成や、観察・ケア・指導の視点をつかむ |
| 根拠を確認する | なぜその内容が必要かを理解してから使う |
| 個別性を足す | 患者さんの状態・希望・生活背景に合わせて書き換える |
| 実施できるか確かめる | 病棟の体制や看護師ができる範囲に合っているか見直す |
根拠を理解しないまま項目だけを写すと、患者さんの状態に合わない計画になるおそれがあります。
標準看護計画に載っていても、自分の患者さんには不要な項目があるかもしれません。
反対に、患者さんの状況から必要になる項目が、標準看護計画には載っていない場合もあります。
病院や学校で使う様式やルールがある場合は、それに従って整えてください。
看護計画でよくある失敗と見直しチェックリスト
最後に、看護計画でつまずきやすい点と、提出前の見直しポイントをまとめます。
書き終えたら、次の表を使って、項目ごとに確認してみてください。
| 項目 | よくある失敗 | 見直しの視点 |
|---|---|---|
| 看護問題 | 主観か客観のどちらかだけで決めている | 患者さんの言葉とデータを合わせて判断したか |
| 看護目標 | 「ある程度」など、あいまいな表現になっている | 数値など、具体的に書けているか |
| 看護目標 | 主語が看護師になっている | 患者さんを主語にしているか |
| 看護目標 | 長期目標だけになっている | 短期目標も立てているか |
| O-P | 看護問題と関係の薄い項目が並んでいる | 問題に応じた観察になっているか |
| T-P | 自分にしか分からない書き方になっている | 第三者が見て実施できるか |
| E-P | 理解が難しい患者さん本人への説明になっている | 必要に応じてご家族への指導にしたか |
| 全体 | 例文や標準看護計画をそのまま写している | 患者さんに合わせて書き換えたか |
次のチェックリストも、提出前や実施前に活用してください。
- 看護問題は、現在・今後・良い傾向の維持のいずれかの視点で整理できている
- 書き方は、病院や学校のルールに合っている
- 看護目標は、達成できる範囲で、患者さんの希望が反映されている
- 5つの項目が、上から下までつながっている
- 評価日を決め、見直す時期を決めている
看護計画は、一度書いたら終わりではなく、評価をもとに修正していくものです。
患者さんの状態が変わったときは、計画も更新する前提で、気軽に見直してください。
最初からうまく書ける人はいないので、まずは1つの看護問題を、5つの項目でつなげて書いてみることから始めましょう。
わからない点は、指導者や先輩に相談しながら進めることで、少しずつ書き方が身についていきます。
こんにちは、現役看護師のミカです。
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