点滴の滴下計算|1分間の滴下数の式・例題とmL/h換算【看護師向け】

点滴の滴下計算|1分間の滴下数の式・例題とmL/h換算【看護師向け】 看護師
看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『点滴の滴下計算|1分間の滴下数の式・例題とmL/h換算【看護師向け】』というタイトルでお送りします。


「500mLを4時間で」と指示が出たとき、1分間に何滴落とせばよいのか、輸液セットが20滴か60滴かで何が変わるのか、すぐに計算できますか。

この記事では、看護師・看護学生向けに、点滴の滴下計算(1分間の滴下数)の式と例題、1時間あたりの流量(mL/h)からの簡単な換算、時計を見ながら合わせるときの秒数、終わるまでの時間の出し方をまとめました。輸液セットの滴数の規格は、厚生労働省の「医薬品・医療機器等安全性情報 No.235」と、テルモ・ニプロなどの輸液セットの添付文書(PMDA掲載)で確かめています(2026年10月19日確認)。

この記事の計算は考え方の確認用です。実際の投与量・速度は医師の指示に従い、輸液セットやポンプの扱いは勤務先の手順と使用する製品の添付文書を優先してください。

輸液セットは「1mL≒20滴」と「1mL≒60滴」の2規格

滴下計算の前に、まず手元の輸液セットが1mLあたり何滴かを確かめます。ここを取り違えると、答えが3倍ずれます。

厚生労働省の「医薬品・医療機器等安全性情報 No.235」(2007年4月)によると、輸液セット・輸血セットの1mLあたりの滴数は、平成17年の告示などにより20滴または60滴の2規格に統一されました(経過措置は平成21年3月31日まで)。それまでは15滴・19滴・20滴・60滴(微量輸液用)の4種類が販売されていて、15滴・19滴のセットは平成21年4月1日以降は販売できなくなり、製造販売業者はそれまでに20滴のセットへ切り替えることとされました。

1mLあたりの滴数 厚生労働省資料での区分 看護roo!での呼び方 ナースプラス(株式会社マイナビが運営)での呼び方
20滴(1滴≒0.050mL) 一般用 成人用 一般用輸液セット(主に成人用ルート)
60滴(1滴≒0.017mL) 精密用(微量輸液用) 小児用 微量用輸液セット(主に小児用ルート)

1滴あたりの量(0.050mL・0.017mL)は、ニプロの「ニプロ輸液セット(MIS:DEHP可塑剤フリー)」の添付文書の表記です。ナースプラス(株式会社マイナビが運営)の解説では、60滴のセットは主に小児用ルートとして使うのが基本としつつ、大人の患者さんに使うケースもあると書かれています。名前ではなく、包装に書かれた滴数で判断するのが確実です。

包装の表示を見る

テルモの「テルフュージョン輸液セット」のように、同じ販売名の中に20滴の品種と60滴の品種があるものもあります。

  • テルモの「テルフュージョン輸液セット」の添付文書には、点滴量として「1mL≒20滴」「1mL≒60滴」の2種類が並び、「個包装の点滴量表示を参照」とあります
  • ニプロの「ニプロ輸液セット(MIS)」の添付文書にも、20滴≒1mLと60滴≒1mLが並び、個包装に表示された滴数を確認するよう書かれています
  • 厚生労働省の安全性情報 No.235 も、医療機関で使うときは包装に表記された滴数(例:公称滴数1mL≒20滴)を確認し、滴数の間違いに注意するよう求めています

テルモ・ニプロの添付文書の但し書き:1滴の量が変わることがある

20滴・60滴は「≒(およそ)」の値です。テルモ・ニプロの添付文書には次のような但し書きがあります。

  • テルモの「テルフュージョン輸液セット」:重力式輸液や滴下制御型ポンプなどの滴下方式で投与する場合、一滴あたりの容積が薬剤によって異なる可能性がある
  • 同じ添付文書:1mL≒60滴の品種は、プライミング後に点滴筒を傾けるなどして点滴筒内の微量点滴口部を薬液に浸さないこと(薬液で微量点滴口部の表面が親水化され、一滴あたりの容積が大きくなり、過剰投与の可能性があるため)
  • ニプロの「ニプロ輸液セット(MIS)」:60滴≒1mLの点滴筒で界面活性剤を含む薬液を使う場合は、微量点滴口部を薬液に浸さないこと(1滴あたりの体積が変化するおそれがあるため)。また、自然落下方式・滴下制御型ポンプ方式などの滴下方式によって1滴あたりの体積が異なる場合がある

つまり、計算どおりの滴数で落としていても、実際の量がずれることはあり得ます。後で触れるように、ボトルの減り具合でも確かめます。

1分間の滴下数を出す計算式

基本の式は1つです。

1分間の滴下数(滴/分)= 輸液量(mL)× 輸液セットの1mLあたりの滴数(20または60)÷ 投与時間(分)

時間は先に「分」に直しておくと迷いません(1時間=60分、4時間=240分、24時間=1,440分)。割り切れないときは、この記事では小数第1位を四捨五入して整数にしています。施設で端数の扱いが決まっていればそちらに合わせてください。

例題1:輸液500mLを4時間で(20滴のセット)

  • 4時間=240分
  • 500 × 20 ÷ 240 = 41.66…
  • 答え:約42滴/分

例題2:輸液100mLを30分で(20滴のセット)

  • 100 × 20 ÷ 30 = 66.66…
  • 答え:約67滴/分

例題3:1日量1,500mLを24時間で(20滴のセット)

  • 24時間=1,440分
  • 1,500 × 20 ÷ 1,440 = 20.83…
  • 答え:約21滴/分

例題4:輸液100mLを2時間で(60滴のセット)

  • 2時間=120分
  • 100 × 60 ÷ 120 = 50
  • 答え:50滴/分

同じ「500mLを4時間」でも、60滴のセットなら 500 × 60 ÷ 240 = 125滴/分 となり、20滴のセット(41.66…滴/分)の3倍になります。

▶ 動画で確認:滴下計算の式と3つの指示のパターン

看護の解説チャンネルの動画です。時間を分に直して計算する式、「500mLを4時間で」「1日1,500mL」「mL/hの指定」の3つの指示の例、1時間あたりの量を3で割る方法(20滴のセット)を説明しています。

出典:看護の翻薬「【滴下計算】新人看護師がブチ当たる壁。シンプルな公式と滴下数をスッキリさせる裏技」(YouTube)

mL/h(1時間あたりの流量)から出す簡単な方法

指示が「80mL/h」のように流量で出ているときや、先に1時間あたりの量を出した場合は、さらに簡単になります。上の式で輸液量を「1時間あたりの量」、時間を「60分」にすると、次のように約分できます。

  • 20滴のセット:滴/分 = mL/h × 20 ÷ 60 = mL/h ÷ 3
  • 60滴のセット:滴/分 = mL/h × 60 ÷ 60 = mL/h(数字がそのまま同じ)

例:500mLを4時間なら 500 ÷ 4 = 125mL/h。20滴のセットでは 125 ÷ 3 = 41.66… で約42滴/分となり、例題1と同じ答えになります。

逆に、いま落ちている滴数から流量を知りたいときは、20滴のセットなら「滴/分 × 3」、60滴のセットなら「滴/分」がそのままmL/hです。

流量と1分間の滴下数の早見表

20滴のセットの欄は小数第1位を四捨五入した値です。

流量(mL/h) 20滴のセット(滴/分) 60滴のセット(滴/分)
20 約7(6.66…) 20
30 10 30
40 約13(13.33…) 40
50 約17(16.66…) 50
60 20 60
80 約27(26.66…) 80
100 約33(33.33…) 100
120 40 120
125 約42(41.66…) 125
150 50 150
200 約67(66.66…) 200

時計で合わせるときの秒数(10秒あたり・何秒に1滴)

時計で合わせるときの秒数(10秒あたり・何秒に1滴)

1分間ずっと点滴筒を見て数えるのは大変なので、短い時間に直して合わせます。

  • 10秒あたりの滴数 = 1分間の滴下数 ÷ 6
  • 15秒あたりの滴数 = 1分間の滴下数 ÷ 4
  • 何秒に1滴か = 60 ÷ 1分間の滴下数

下の表の10秒あたり・15秒あたりは、小数第2位を四捨五入した値(小数1桁)です。

1分間の滴下数 10秒あたり 15秒あたり 1滴の間隔
20滴 約3.3滴 5滴 3秒に1滴
30滴 5滴 7.5滴 2秒に1滴
40滴 約6.7滴 10滴 3秒に2滴
50滴 約8.3滴 12.5滴 1.2秒に1滴
60滴 10滴 15滴 1秒に1滴

例題1の約42滴/分なら、10秒で7滴(42 ÷ 6 = 7)。「3秒に2滴(=40滴/分)」より少し速いくらいが目安です。例題3の約21滴/分なら、10秒で3.5滴、「3秒に1滴(=20滴/分)」より少し速いくらいです。

看護roo!の解説は、1回では合わないのが普通だとして、訪室時に残量と残り時間から計算し直し、微調整するよう勧めています。

点滴が終わるまでの時間の出し方

終了予定の時刻を出したいときは、式を逆に使います。

  • 流量(mL/h)がわかっているとき:かかる時間(時間)= 残りの量(mL)÷ 流量(mL/h)
  • 滴数がわかっているとき:かかる時間(分)= 残りの量(mL)× 1mLあたりの滴数 ÷ 1分間の滴下数

例1:残り200mLを100mL/hで落としている → 200 ÷ 100 = 2時間。

例2:20滴のセットで500mLを30滴/分で落としている → 500 × 20 ÷ 30 = 333.33…分 = 約5時間33分。

▶ 動画で確認:看護学校の模擬授業:計算から滴下の合わせ方まで

相模原看護専門学校の模擬授業の動画です。小児用(60滴)と成人用(20滴)のセットで1分間の滴下数を計算し、10秒あたりの滴数に直して点滴台で合わせるところまでを扱っています。合わせたあとも体の動きで滴下が変わることがある点にも触れています。

出典:相模原看護専門学校「模擬授業_点滴の滴下計算」(YouTube)

合わせたあとに確かめること

落ち方・液面・減り具合・刺入部

テルモの「テルフュージョン輸液セット」の添付文書は、輸液開始時に、点滴の落下状態、点滴筒内の液面の高さ、輸液の減り具合と穿刺部位を必ず確認し、輸液中も巡回時など定期的に同じ確認をするよう求めています。ニプロの「ニプロ輸液セット(MIS)」の添付文書にも、輸液開始時に点滴の落下状況、点滴筒内の液面の高さ、穿刺部位などの輸液状況を確認するよう書かれています。

滴数を合わせて終わりではなく、時間ごとのボトルの減り具合が計算と合っているかも見ておくと、ずれに気づけます。

滴下制御型の輸液ポンプは滴数の設定を合わせる

輸液ポンプを使う場合、厚生労働省の安全性情報 No.235 によると、輸液ポンプには容積制御方式と滴下制御方式があり、滴下制御方式(ドロップセンサーで滴下をとらえて流速を制御する方式)のポンプは、使用前にあらかじめ輸液セットの滴数を設定して使います。三矢メディカルの輸液セット(カスタムキット)の添付文書にも、製品の滴数表示(被包に表示)と異なる輸液ポンプの滴数設定で使用しないよう書かれています。

ポンプの種類や設定方法は機種ごとに違うため、使用する輸液ポンプの添付文書・取扱説明書で確認してください。

まとめ

  • 輸液セットは1mL≒20滴(一般用)と1mL≒60滴(精密用・微量輸液用)の2規格。包装の表示で確かめる
  • 1分間の滴下数 = 輸液量(mL)× 20または60 ÷ 投与時間(分)
  • 流量(mL/h)からなら、20滴のセットは「÷3」、60滴のセットは「同じ数字」
  • 10秒あたりは「÷6」、何秒に1滴かは「60 ÷ 滴下数」
  • 20滴・60滴は「≒」の値。テルモ・ニプロの添付文書には、薬剤や滴下方式で1滴の量が変わることがあると書かれている。滴数だけでなく、ボトルの減り具合や刺入部も確かめる

最後までお読み頂いてありがとうございました。

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