12誘導心電図の電極の位置と付け方|看護師が押さえたい手順と注意点

12誘導心電図の電極の位置と付け方|看護師が押さえたい手順と注意点 循環器科
看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『12誘導心電図の電極の位置と付け方|看護師が押さえたい手順と注意点』というタイトルでお送りします。


12誘導心電図は病棟でも外来でもとる機会が多い検査ですが、「V1はどこだっけ」「四肢の色は何色をどこに付ける?」と、久しぶりだと迷いやすい手技でもあります。

この記事では、12誘導心電図の電極の位置(四肢誘導と胸部誘導V1〜V6)、貼る前の準備、記録中と記録後に気をつけることを、看護師・看護学生向けにまとめました。根拠は、日本不整脈心電学会の臨床検査技師部会がまとめた「12誘導心電図検査手技」(2021年)、日本光電の心電計の添付文書、大学病院が公開している検査の資料です(2026年10月17日確認)。

電極の種類や心電計の操作は機種によって違います。実際の手順は、勤務先の手順書と使う心電計の取扱説明書を優先してください。

12誘導心電図の電極は四肢に4つ、胸部に6つ

日本不整脈心電学会の手技資料では、標準12誘導の電極として、四肢誘導の4つ(R・L・F・N)と胸部誘導の6つ(C1〜C6)が表にまとめられています。

胸部の電極はC1〜C6、それぞれで記録される誘導がV1〜V6です。この記事では、なじみのある「V1〜V6の位置」という言い方で説明します。

なお、同じ資料には、標準の位置とは別に「高位肋間誘導」「右側胸部誘導」「背側部誘導」という追加の付け方も載っています。この記事で扱うのは標準12誘導の位置だけです。

四肢誘導の電極の位置と色

識別記号 付ける場所 色
R 右手 赤
L 左手 黄
F 左足 緑
N(RF) 右足 黒

(日本不整脈心電学会「12誘導心電図検査手技」の表Ⅲ-1より)

和歌山県立医科大学附属病院の検査マニュアルは、四肢の電極を両手首・足首に付ける前提で、付けられないときの扱いを定めています。手技資料でも、検査の前に手首と足首を出してもらうよう書かれています。

手首や足首に付けられないときの扱いは、和歌山県立医科大学附属病院の検査マニュアルに「より体幹側へ装着しその旨を記載」とあります。手技資料でも、手足の先に震えがある場合は四肢の電極を中枢側に付ける対処が挙げられています。位置を変えたときにコメントへ残すことは「記録後にすること」で紹介します。

胸部誘導V1〜V6の電極の位置

胸部誘導V1〜V6の電極の位置
電極 誘導 位置 色
C1 V1 第4肋間胸骨右縁 白/赤
C2 V2 第4肋間胸骨左縁 白/黄
C3 V3 V2とV4の中点 白/緑
C4 V4 第5肋間と左鎖骨中線の交点 白/茶
C5 V5 V4と同じ高さで左前腋窩線上 白/黒
C6 V6 V4と同じ高さで左中腋窩線上 白/紫

(日本不整脈心電学会「12誘導心電図検査手技」の表Ⅲ-1より)

V1とV2は同じ第4肋間で、胸骨をはさんで右と左です。V4だけが1つ下の第5肋間になり、V5とV6はV4と同じ高さで横へ並べます。

第4肋間の探し方は「胸骨角」から数える

富山大学附属病院の検査・輸血細胞治療部が出している「Labo News」のQ&Aでは、胸部誘導はV1またはV2の第4肋間を探すところがポイントで、そのために先に第2肋間を探す、と説明されています。

  1. あお向けの状態で、胸の前の中央にある出っぱり(胸骨角)を探す
  2. 胸骨角には第2肋骨がついているので、そこを手がかりに第2肋間を見つける
  3. 第2肋間から順に指を置いて、第3肋間、第4肋間と下へたどる

胸骨角は胸骨柄と胸骨体のつなぎ目で、ここに第2肋軟骨がついています(日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌の体表解剖の解説より)。

胸部の電極を付ける順番

同じQ&Aでは、次の順番が紹介されています。

  1. 第4肋間にV1・V2を付ける
  2. 第5肋間と鎖骨中線の交点にV4を付ける
  3. V2とV4の中間にV3を付ける
  4. V4と同じ高さの前腋窩線にV5、中腋窩線にV6を付ける

富山大学のQ&Aでも、V4を付けてから、V2とV4の中間にV3を付ける順番になっています。

1肋間ずれると記録が変わることがある

新潟医療福祉大学の学会発表では、学生66名でV1・V2を決められた位置と1肋間上の位置で記録し比べたところ、心電計に内蔵された解析ソフトの所見が変わった人が22名いました。同じ発表では、第1肋骨と第2肋骨の区別がつかず、決められた部位に付けられないことがあるとも書かれています。

手技資料でも、電極を正しい位置に付けることが「もっとも重要」とされ、位置が間違っている記録は診断に使えないと書かれています。

電極を貼る前の準備

患者さんの確認と説明

  • 本人確認:手技資料では、患者さん自身に姓名と生年月日を言ってもらう方法が挙げられています。名前を呼んで確認すると、高齢の方は違う名前でも「はい」と答えることが多いためです
  • 説明:心電図検査に慣れていない患者さんには、「この検査は痛くない検査で、力を抜いて静かに寝ていれば、2~3分で終わります。」と丁寧に説明する例が載っています。検査に慣れた人には説明を省き、「力を抜いて、楽にして下さい。」と声をかけるとしています
  • 患者情報の入力:ID・氏名・生年月日・性別などを入力し、記録の前と後に確認します。日本光電の心電計(ECG-1250)の添付文書には、自動解析を行うときは年齢と性別を正しく設定するよう書かれています

服装と体位

  • 上半身の服は下着ともう1枚くらいは着たままで、服をまくって胸を出します。このとき腕に力が入らないようにします
  • 手首と足首も出します。ズボンはまくって靴下を下げれば足りますが、パンティーストッキングは脱いでもらいます
  • 男女を問わず、また体調が悪いときや室温が低いと感じたときは、胸にタオルをかけるなどの配慮をします
  • 体位は仰臥位です。腰が曲がっている場合は、膝を立てたり背中にタオルを当てたりして、できるだけ仰臥位に近づけます

皮膚の処理

手技資料では、皮膚の汚れをとって電極との接触抵抗を下げるために、電極が触れる部分の皮膚を拭くとしています。アルコール綿を使う場合は、アルコールアレルギーの有無の確認が必須で、かぶれる可能性があれば、アルコールでない消毒剤か水で拭きます。

日本光電の心電計(ECG-2400シリーズ)の添付文書には、次の注意があります。

  • 皮膚が過敏な人や炎症のある部位には、皮膚の前処理をしない。炎症のある部位への電極の装着もなるべく避ける
  • 前処理のときに皮膚を強くこすりすぎない(炎症を起こすため)

電極の種類(シール電極を使う場面)

電極には使い捨てのシール電極と、四肢用のクリップ電極・胸部用の吸着電極のように繰り返し使うものがあります。手技資料では、次のような場合はシール電極を使うとしています。

  • 血液や体液が付く可能性がある
  • 体動がある
  • やむを得ず座位で検査する
  • 胸毛が多い、やせているなどで、繰り返し使う電極(クリップ電極・吸着電極)が外れやすい
  • 皮下出血しやすい
  • 体とベッドの間に電極が来る

クリップ電極は皮膚との間に導電性のゲル・ペーストや生理食塩水(水道水)を含ませた綿などをはさみ、吸着電極は導電性のゲル・ペーストをはさんで記録します。

日本光電の添付文書の日常点検の項目には「新旧、異種の電極を混用していないか」があります。また、つないでいないコードの先や付けていない電極が、ベッドの金属部などに触れないようにする注意も書かれています(電撃やノイズの原因になるため)。

心電計の設定

手技資料が示す標準は、感度10mm/mV、紙送り速度25mm/秒です。波が大きく振り切れるときや誘導どうしが重なるときは5mm/mVに変えて記録するとしています。

記録中に気をつけること(体動・ノイズ・付け間違い)

記録中に気をつけること(体動・ノイズ・付け間違い)

付け間違いがないかを確かめる

手技資料では、記録の前後に電極の色と部位を確認するだけでなく、記録中も患者さんと波形を見て付け間違いがないか判断するとしています。特に注意する点として挙げられているのは次の2つです。

  • 四肢誘導で、aVR誘導が下向きであること
  • 胸部誘導で、R波がV1からV5まで徐々に大きくなっていること

また、患者さんの右側から電極を付けるときは、四肢の左右の付け間違いや、右側からは見えにくいV5・V6の付け間違い・ずれが起きやすいとして、より注意深く確認するよう書かれています。ストレッチャー上で記録するときも、心電計と患者さんの位置関係がいつもと逆になることがあるので注意が必要です。

ノイズ(アーチファクト)が入ったとき

種類 主な原因 手技資料が挙げる対処の例
交流障害(ハム) 電源や周りの電気機器からの混入、アースの不備、皮膚と電極の接触抵抗の増大、電極の接触不良・さび・汚れ・新旧や異種電極の混用など アースの接続を確認する、不要な電気機器の電源コードを抜く、誘導コードをまとめる、皮膚を拭いて汗をふく、電極の状態を確認する
筋電図の混入 緊張・不安による力み、寒さによる震え、背中が曲がっている、衣服で手足が締め付けられている、ベッドが狭い リラックスしてもらう、室温を調整したりバスタオルをかけたりする、衣服をゆるめる、手足の先に震えがあれば四肢の電極を中枢側に付ける
基線の揺れ(ドリフト) 体動や大きな呼吸、衣服が電極に触れて電極が動く、電極の接触不良 電極とコードを確認する、静かに呼吸してもらう、電極に衣服がかからないようにする、検査前にトイレを済ませてもらう

心電計のフィルタについては、まずノイズの原因を取り除くことが大切で、フィルタは波形に影響することがあるため、フィルタなしで記録してから必要なフィルタを入れて記録する、とされています。ペースメーカを使っている患者さんには、交流除去フィルタと筋電図除去フィルタは使わないとしています。

手技資料では、激しい体動や不穏で安静が保てないとき、激しい筋電図の混入があるとき、裂傷や熱傷で電極を付けられないときを、検査の中止基準として挙げています。

記録後にすること

記録後にすること
  • 電極の取り外し:電極の位置に間違いがないか最後に確認してから、検査が終わったことと電極を外すことを伝えて外します。皮膚が傷つきやすい患者さんでシール電極を使った場合は、リムーバーなどを使って注意しながら外します。外し忘れがないかも確認します
  • コメントに残すこと:傷などのために電極の位置を変えた場合、体位がいつもと違う場合、検査中に症状の訴えがあった場合は必ずコメントに書きます。追加誘導やフィルタの使用条件も書きます
  • 自動解析の扱い:日本光電の添付文書には、自動解析の結果を含む心電図は医師が確認して署名することで初めて診断としての意味を持つ、と書かれています

和歌山県立医科大学附属病院の検査マニュアルでも、四肢を体幹側に付けた場合、胸部を指定の部位の近くに付けた場合、仰臥位がとれず座位などで記録した場合は、その旨を記載するとされています。

迷いやすい場面での付け方

手技資料の巻末には、日本不整脈心電学会の認定心電図専門士を対象に2018年に行ったアンケート(回答340名)の結果が載っています。施設によってやり方が分かれている場面もあるので、参考として紹介します。

場面 回答の多かった対応(回答数)
乳房の大きい患者さんの胸部電極 乳房を持ち上げて電極を付けてから乳房を離す(159/340)、そのまま肋骨の位置に付ける(143/340)
胸毛が多く電極が付きにくい 胸毛を開いてゴム球電極を付ける(172/340)、胸毛を開いてシール電極を付け紙テープで固定(106/340)
やせていて胸部電極が付かない シール電極を紙テープなどで固定(216/340)
腰が曲がっている 仰臥位で膝を曲げ上半身を上げる(119/340)、仰臥位で膝を曲げる(93/340)

なお、胸部の電極が付けにくくて剃毛する場合について、手技資料は、臨床検査技師が検査のために剃毛する法的根拠はない点を考え、施設ごとにルールを決めておくことが望ましいとしています。

心電図の波形の基本(サイナスリズム)については、医療用語のサイナスとはどんな意味?サイナスリズムの定義や心電図波形の画像もで紹介しています。

まとめ

  • 四肢は右手=赤、左手=黄、左足=緑、右足=黒
  • 胸部はV1=第4肋間胸骨右縁、V2=第4肋間胸骨左縁、V4=第5肋間と左鎖骨中線の交点、V3=V2とV4の中点、V5・V6=V4と同じ高さで左前腋窩線上・左中腋窩線上
  • 第4肋間は胸骨角の横(第2肋骨)から数えて探す
  • 皮膚を拭く前にアルコールアレルギーを確認し、記録中は付け間違いとノイズを確認する
  • 位置や体位を変えたとき、症状の訴えがあったときはコメントに残す

最後までお読み頂いてありがとうございました。

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