看護師ミカ こんにちは、現役看護師のミカです。

今回は、『急性疼痛の看護計画の書き方|O-P・T-P・E-Pと術後の例』というタイトルでお送りします。




 

急性疼痛の看護計画の全体像:まず押さえる流れ

急性疼痛の看護計画は、「アセスメント→看護診断→目標→O-P・T-P・E-P」の順に、痛みの原因と生活への影響をつなげて書くと整理しやすくなります。

この記事では、実習記録や臨床で使える形に絞って、定義、目標の立て方、評価スケール、術後の計画例、がん性疼痛との違いまでを順に説明します。

ここで紹介する計画は、あくまで書き方の例です。実際には患者さんの状態、医師の指示、病棟のルールに合わせて調整してください。

急性疼痛とは?定義と3つの種類・原因

急性疼痛とは、組織への刺激や損傷に対する生体反応として、侵害受容器が刺激されて起こる一過性の痛みです。

NANDA-Iでは、疼痛の継続が3か月未満とされています。細胞や組織が回復するにつれて、痛みは軽くなっていくことが予測されます。

痛みは突然あるいは急速に現れることもあれば、刺激や損傷から少し遅れて現れることもあります。部位は局所的なことが多いとされています。

痛みが強いときは、心拍数や血圧の上昇、発汗など、交感神経が優位になったときの症状がみられることがあります。

疼痛は大きく3つの種類に分けて説明されます。急性疼痛の多くは、このうち侵害受容性疼痛にあたります。

種類 特徴 主な例
侵害受容性疼痛 組織の損傷や炎症により、侵害受容器が刺激されて起こる痛み 手術の創部、骨折、打撲、熱傷
神経障害性疼痛 痛みを伝える神経の経路に、病変や機能異常がある場合に起こる痛み 神経の圧迫、帯状疱疹後の痛みなど
心因性疼痛 不安やストレスなど心理的な要因が関わる痛み 痛みへのストレスが重なった場合など

これらは単独で現れることもあれば、複数が重なっていることもあります。慢性疼痛や神経障害性疼痛の詳しい治療は、この記事では扱いません。

急性疼痛の原因として、よく挙げられるものは次のとおりです。

  • 手術による創部の侵襲
  • 骨折や外傷、熱傷による組織の損傷
  • 感染や臓器の急性炎症
  • ドレーンやチューブ類の挿入による刺激
  • 体動に伴う痛みの増強や、不安

痛みは本人にしかわからない主観的な体験です。看護師は「見た目に傷がないから軽い」と決めつけず、訴えと観察の両方から把握します。

計画を立てる順番(アセスメント→診断→目標→O-P・T-P・E-P)

計画を書くときは、順番を守ると迷いにくくなります。次の手順で進めてみてください。

  1. 情報を集めてアセスメントする(痛みの部位、強さ、時間帯、生活への影響)
  2. 看護問題(看護診断)を一文で書く
  3. 短期目標と長期目標を立てる
  4. 観察計画(O-P)で、何を見て評価するかを決める
  5. 援助計画(T-P)で、実施するケアを決める
  6. 教育計画(E-P)で、患者さんに伝える内容を決める

それぞれの関係は、O-Pで見つけた変化に対してT-Pで動き、E-Pで患者さん自身の対処力を支える、という流れです。

実習でよくある失敗は、診断と目標の間でつながりが切れることです。「痛みで離床できない」という問題なのに、目標が「痛みがなくなる」だけだと、評価が難しくなります。

POINT 計画は「原因→痛み→生活への影響」の流れで考えると、目標とケアが自然につながります。

痛みを取ること自体が目的なのではなく、痛みによって何が制限されているかを見つけて、その制限を減らすことが看護計画の中心になります。

看護診断とアセスメントの書き方

看護診断は、「何が原因で、どんな痛みが起きているか」を短く示す部分です。アセスメントは、その診断に至った理由を説明する部分にあたります。

実習記録では、アセスメントが長くなりがちです。情報、解釈、判断の3つに分けて書くと、読み手にも伝わりやすくなります。

ここでは診断の書き方と、術後1日目を想定したアセスメントの例を紹介します。なお、例の患者像は書き方を示すための仮のものです。

看護問題の書き方(〜に関連した急性疼痛)

看護問題は「原因に関連した急性疼痛」という形で書くのが基本です。原因が変われば、同じ急性疼痛でも計画の中身が変わります。

書き方の例を挙げます。

  • 手術侵襲に関連した急性疼痛
  • 手術侵襲やドレーン留置に関連した急性疼痛
  • 骨折による組織損傷に関連した急性疼痛
  • 臓器の炎症に関連した急性疼痛

診断の根拠になる情報は、主観的な情報と客観的な情報に分けて整理します。

区分 書く内容の例
主観的情報(S) 「動くと傷が痛い」「息を吸うと痛い」などの訴え、NRSの数値
客観的情報(O) 苦痛表情、発汗、血圧・呼吸状態の変化、活動の低下、睡眠障害
原因・関連因子 手術侵襲、骨折、炎症、ドレーンやチューブ類の挿入など

痛みに続いて起こる問題は、二次的な問題として別に立てることもあります。たとえば、活動耐性の低下、睡眠パターンの乱れ、不安などです。

ただし、問題を増やしすぎると、計画が散らかります。まずは最も優先度の高い急性疼痛を1つに絞り、必要に応じて追加するとよいでしょう。

術後1日目のアセスメント例

術後1日目は、創部痛のために離床や深呼吸が進みにくい時期です。次の例は、書き方のイメージとして使ってください。

術後1日目であり、手術侵襲による創部痛がみられる状態である。

体動時に痛みが強くなり、離床や深呼吸が十分に行えていない。

このまま活動量の低下が続くと、深部静脈血栓症や無気肺などの術後合併症につながる可能性がある。

そのため、疼痛コントロールを行いながら、安全に離床を進める必要があると考える。

この例は、「状態→問題→起こりうるリスク→必要な看護」の順に並んでいます。この4つがそろうと、読み手に筋道が伝わります。

自分の患者さんの情報を入れるときは、次の点を加えると個別性が出ます。

  • 安静時と体動時の痛みの違い(NRSの数値と時間帯)
  • 鎮痛薬を使った前後の変化
  • ドレーンなどの有無と、体動への影響
  • 睡眠、食事、排泄など生活面の状況

実習では「なぜそのアセスメントになったのですか」と聞かれます。根拠となる情報を、1つずつ指し示せるようにしておくと安心です。

看護目標(短期・長期)の立て方

看護目標(短期・長期)の立て方

目標は、患者さんを主語にして、評価できる形で書きます。「〜する」より「〜できる」「〜と話す」のように、患者さんの状態として表します。

期間と評価の基準があると、実習の評価日に振り返りやすくなります。ただし、期間は病棟の方針や指導者と相談して決めましょう。

目標が大きすぎると達成できず、小さすぎると意味が薄くなります。患者さんの回復段階に合わせることが大切です。

短期目標と長期目標の具体例

短期目標は数日以内に確認できる変化、長期目標は退院や回復に向けた最終的な姿として考えるとわかりやすくなります。

区分 目標の例
短期目標 痛みの程度を言葉や数値で表現できる/痛みが軽くなり、夜間に眠れる/表情が和らぎ、食事をとれる
長期目標 疼痛コントロールを行いながら、術後の回復を進められる/離床や深呼吸を、痛みに妨げられず行える

短期目標の一つに「痛みを表出できる」を入れると、観察と援助の土台になります。痛みを我慢する患者さんも多いためです。

目標に「痛みが0になる」と書くと、達成できないときに計画が行き詰まります。患者さんが納得できる程度を、本人と一緒に考える姿勢が大切です。

POINT 目標は「痛みの有無」だけでなく、「睡眠」「動作」「表現」など生活の変化で示すと評価しやすくなります。

睡眠・安静時・体動時と段階的に設定する考え方

痛みの治療・ケアの目標は、段階的に設定する考え方が紹介されています。順番に達成していくイメージです。

  1. 第一段階:痛みに妨げられず、夜間に眠れる
  2. 第二段階:日中の安静時に、痛みの少ない状態で過ごせる
  3. 第三段階:体動時の痛みが軽くなり、動くことができる

夜に眠れないと、日中の痛みの感じ方や気持ちにも影響するため、まず睡眠から整える考え方です。

体動時の痛みは最後に残りやすい部分です。術後であれば、離床前に痛みへの対応をしておくなど、タイミングを工夫して近づけます。

すべてを一度に達成するのは難しい場合もあります。その場合は、患者さんが望む過ごし方を一緒に考え、できる段階から少しずつ進めることが大切です。

記録では、どの段階を今日の目標にしているのかを書いておくと、日々の評価がぶれません。

痛みを評価するスケール(NRS・VAS・フェイススケール)

痛みは主観的なため、数値や表情で表してもらうスケールを使います。同じ患者さんを同じ方法で継続して評価することが、変化を捉えるコツです。

ただし、スケールだけで判断するのは避けます。数値、表情、バイタルサイン、動作の様子を合わせて見ていきます。

痛みの大きさを完全に客観的に評価する方法は確立されていないとされています。だからこそ、複数の情報を組み合わせることが重要です。

スケール 方法 向いている場面・注意点
NRS 0〜10の11段階で、数字を答えてもらう 成人の評価で広く使われる。数字と痛みを結びつけにくい人には難しい
VAS 100mmの線上に、痛みの程度を印で示してもらう 同じ患者さんの経時的な観察に向く。患者さん同士の比較には向かないとされる
フェイススケール 表情の絵で痛みを6段階から選んでもらう 小児、高齢者、認知症の人など、数字の理解が難しい場合に使いやすい

NRSの聞き方とタイミング

NRSでは、0を「痛みなし」、10を「これまでに経験した、または想像できる最大の痛み」として尋ねます。

聞き方の例は、「今の痛みは、0が痛くない、10が一番強い痛みとしたら、いくつですか」です。数字で答えてもらいます。

数値の目安として、1〜3は軽度、4〜6は中等度、7〜10は強い痛みとして整理される場合があります。ただし、数値は目安であり、患者さんの生活への影響とあわせて考えます。

評価のタイミングは、場面ごとに分けると有用です。

  • 安静にしているとき
  • 体を動かしたとき(体位変換、起き上がり、歩行など)
  • 深呼吸や咳をしたとき(術後など)
  • 鎮痛薬を使ったあとの、時間をおいた確認
  • 眠れたかどうか(夜間の状況)

実習生がつまずきやすいのは、「いつ聞けばよいかわからない」点です。バイタルサイン測定のときに合わせて聞くと、習慣になりやすくなります。

数値だけでなく、「どの動作で痛むか」も一緒に聞きましょう。同じ数値でも、動けるかどうかで必要な援助が変わります。

小児・高齢者・認知症の人にはフェイススケール

NRSは、数字と痛みを結びつけられない場合には使いにくくなります。小児や意識レベルが低下している人では、評価が難しいとされています。

フェイススケールは、表情の絵を指さして答えてもらえるため、小児、高齢者、認知症の人にも使いやすい方法です。

それでも、言葉やスケールで痛みを伝えにくい人はいます。その場合は、表情、うめき声、体をかばう動き、呼吸の様子、食欲や睡眠の変化など、行動の観察が大切です。

家族や普段ケアをしているスタッフから、「いつもと違う様子」を聞くことも手がかりになります。

POINT スケールは患者さんの状態に合わせて選び、同じ方法で続けて評価すると変化がわかります。

観察計画(O-P)の観察項目

観察計画(O-P)の観察項目

O-Pは、「痛みそのもの」「痛みの影響」「原因に関わる部位」の3方向から整理すると、抜けが減ります。

痛みを訴える部位だけでなく、ほかの部位にも痛みがないかを確認します。関連痛のように、原因と異なる場所に痛みが出ることもあるためです。

観察は、実施したら終わりではなく、記録してアセスメントにつなげるところまでが計画です。

観察の視点 観察項目の例
痛みそのもの 部位・範囲、強さ(NRSなど)、性状(鋭い、鈍い、締めつけられるなど)、持続時間、出現の状況、増強因子・緩和因子
客観的な変化 表情、発汗、顔色、血圧、脈拍、呼吸数、SpO2、痛みに関する言動
原因に関わる部位 創部の発赤・腫脹・熱感、ドレーンの位置・固定・排液の量と性状、腹部症状(膨満感、悪心・嘔吐、便秘など)
生活への影響 離床や活動の状況、睡眠、食事・飲水の摂取、排泄、不安の有無
鎮痛薬に関する観察 使用前後の痛みの変化、持続時間、眠気・ふらつき・悪心などの様子
検査データなど 炎症や栄養状態に関する検査値、画像所見(医師の指示や病棟の方針に沿って確認)

バイタルサインの変化は、痛みが強いときに起こりやすい一方で、ほかの原因でも変わります。数値だけで痛みを決めつけないようにしましょう。

創部の発赤や熱感、腫れの変化は、感染の可能性に気づくきっかけになります。ドレーンの排液が不良の場合にも、痛みにつながることがあります。

観察項目を書き並べるだけでは、実習では不十分と指摘されがちです。「なぜその項目を見るのか」を一言で説明できるようにしておくと、指導者への報告も楽になります。

たとえば、「体動時の痛みを観察するのは、離床や深呼吸にどの程度影響しているかを確認するため」と答えられれば十分です。

援助計画(T-P)の具体的ケア

T-Pは、薬に関する援助と、薬以外の援助の2つに分けて書くと、整理しやすくなります。

この2つは、どちらか一方ではなく、並行して行うものです。痛みを取り除くことだけに目を向けず、生活全体の安楽を考えることが大切です。

痛みが強くなる前に対応できるよう、医師の指示の内容を事前に確認しておくことも、看護師の大切な動きです。

薬物療法と看護師の役割(効果と副作用の評価)

鎮痛薬を処方するのは医師ですが、看護師は使用の判断材料を集め、使ったあとの評価を行います。ここが看護の中心的な役割です。

鎮痛薬には、痛みの程度や種類に応じて、いくつかの種類があります。非オピオイド鎮痛薬、オピオイド鎮痛薬、鎮痛補助薬、神経ブロックなどです。

種類によって作用する部位が異なるため、使い分けが行われます。薬の選択や量は、必ず医師の指示と病棟の手順に従ってください。この記事では、具体的な薬剤名や量の指示は扱いません。

看護師が行う内容を、流れで整理します。

  1. 痛みの部位、強さ、動作との関係を評価する
  2. 指示の範囲で、鎮痛薬の使用を検討し、必要に応じて医師に報告・相談する
  3. 使用後に、痛みの程度の変化と持続時間を確認する
  4. 眠気、ふらつき、悪心、便秘などの副作用が出ていないか観察する
  5. 評価の結果を記録し、次の対応に生かす

効果が十分でない場合や、副作用が気になる場合は、一人で判断せず、早めに指導者や医師に報告します。

術後は、離床の前に痛みへの対応を済ませておくなど、タイミングを考えることが役立ちます。痛みが強くなってから動くより、リハビリや離床がスムーズになる場合があります。

実習生が独断で薬剤の使用を判断したり、患者さんに指示したりしてはいけません。必ず指導者に確認し、指示のもとで行います。

体位・罨法・環境調整・声かけなどの非薬物的ケア

薬以外のケアは、実習生が実践しやすく、患者さんの安楽に直結する部分です。患者さんの状態や禁忌を確認したうえで行います。

ケア 内容の例 注意点
体位の工夫 痛む部位をクッションで支える、楽な姿勢を本人と一緒に探す、体位変換 ドレーンやチューブ類が引っ張られないよう確認する
罨法 温罨法・冷罨法など 疾患や部位によって適否が異なるため、指導者に確認する。やけどや凍傷に注意する
マッサージ・タッチング 負担にならない範囲で、触れる、さする 痛みが強い部位や術野には行わない。本人の希望を確認する
環境調整 ベッド周りの整理、物の配置、音や光、室温の調整 患者さんの希望とADLに合わせる
気分転換・声かけ 傾聴、そばにいる、テレビやラジオ、家族との時間 無理に励まさず、訴えを受け止める
動作の補助 歩くときに痛みがあれば、車椅子や歩行器を使う 転倒に注意し、安全を最優先にする

痛みは、不安やストレスによって強く感じられることがあります。逆に、痛みが続くと、気持ちも落ち込みやすくなります。

交感神経が優位になると、血管や筋肉が縮み、循環が悪くなって痛みが増すことがある、と説明されています。体を温めたり、リラックスできる環境を整えたりすることが、その悪循環を和らげる一助になります。

声かけでは、「つらいときはいつでも教えてください」と伝えるだけでも、患者さんが話しやすくなります。痛みを訴えにくい人には、こちらから「眠れましたか」「動くとどうですか」と尋ねてみましょう。

不安が強い患者さんには、検査や処置の見通しを説明するだけでも、気持ちが落ち着くことがあります。

教育計画(E-P)の指導内容

E-Pでは、患者さん自身が痛みに対処できるよう、必要な知識を伝えます。専門用語は避け、相手の理解に合わせた言葉で説明します。

教育の目的は、患者さんが痛みを我慢せずに伝え、自分で楽な姿勢や対処を選べるようになることです。

説明した内容は、患者さんがどのくらい理解できたかを確認し、記録します。一度に多くを伝えず、場面に応じて少しずつ繰り返すと、定着しやすくなります。

  • 痛みは我慢せず、ありのままをスタッフに伝えてよいこと
  • 痛みが強いときは、医師の指示の範囲で鎮痛薬を追加できる場合があること
  • 鎮痛薬の使い方と、眠気やふらつきなど気をつけたい症状
  • 楽な体位のとり方と、動くときの工夫
  • 痛みをうまくコントロールすることが、離床や深呼吸、回復につながること
  • 長時間の歩行や、痛む部位に負担をかける動きを避けること(整形外科領域など)

患者さんの中には、「痛みを訴えると迷惑をかける」「がまんするのが当然」と考える人もいます。「痛みを伝えることは治療の一部です」と、ていねいに説明するとよいでしょう。

術後であれば、深呼吸や痰の出し方、ドレーンなどの扱いについても指導します。痛みの管理が、呼吸や離床とつながっていることを伝えると、患者さんも取り組みやすくなります。

家族がいる場合は、家族にも痛みの伝え方や見守りのポイントを共有します。患者さんが話せない状況でも、家族が気づける手がかりになるためです。

【術後】疼痛の看護計画例

【術後】疼痛の看護計画例

ここでは、手術後の患者さんを想定した計画例を、まとめて確認します。肺がんの術後など、ドレーン留置がある場合の視点も含めます。

あくまで書き方の例です。診療科、術式、患者さんの状態に合わせて、必要な項目を足したり削ったりして使ってください。

項目 記載例
看護問題 手術侵襲(およびドレーン留置)に関連した急性疼痛
短期目標 痛みを言葉や数値で表現できる/痛みが軽減し、夜間に眠れる
長期目標 疼痛コントロールを行いながら、術後の回復を進められる/離床や深呼吸を行える
O-P NRS、痛みの部位・出現時期・増強因子、表情、発汗、血圧、脈拍、呼吸数、SpO2、創部の感染徴候、ドレーンの排液量・性状・色調、離床状況、食事・飲水、排泄、睡眠、検査・画像データ
T-P NRSやVASなどで継続して評価する/医師の指示に基づく鎮痛薬を使用し、効果と副作用を評価する/離床前に疼痛への対応を行う/ドレーンの自己抜去を防ぐ/可能な範囲で深呼吸や自己喀痰を促す/楽な体位を調整する/安心できる声かけを行う
E-P 痛みを我慢せず伝えるよう説明する/鎮痛薬の使い方を説明する/体動時にドレーンやチューブ類へ注意するよう説明する/深呼吸や腹式呼吸の必要性を説明する/疼痛コントロールが回復につながることを説明する

この計画の特徴は、「痛みの数値」と「離床・深呼吸」を結びつけている点です。術後は痛みが強いと動けなくなり、合併症のリスクが高まるためです。

ドレーンがある場合は、チューブ類の刺激そのものが痛みの原因にもなります。固定の状態や、体動で引っ張られていないかも観察項目に入れます。

術後の看護目標の一つとして、身体的な苦痛と精神的な苦痛がやわらぐことを挙げる例もあります。痛みだけでなく、不安への配慮も計画に含めると、全体像が見えてきます。

POINT 術後の疼痛計画は「痛みの評価」と「離床・深呼吸」をセットで書くと、目的が伝わりやすくなります。

実習では、「なぜ離床前に疼痛への対応をするのですか」と質問されることがあります。痛みで動けない状態を避け、安全に離床を進めるためだと説明できると、理解が伝わります。

がん性疼痛・終末期の看護計画で変わる点

がん性疼痛は、急性疼痛と違って、痛みが続いたり、強さが変わったりしやすい痛みです。そのため、計画の視点がいくつか変わります。

身体的な痛みだけでなく、不安や恐れ、孤独感といった精神的な痛みも含めて、全体をみる姿勢が必要です。

鎮痛薬を使用していても、ときに耐えがたい痛みが起こることがあります。表情や睡眠の様子が、言葉にできない苦痛のサインになる場合があります。

項目 急性疼痛(術後など) がん性疼痛・終末期
目標の方向 痛みの軽減と、離床・回復の促進 痛みの緩和、夜間の睡眠、不安や恐れの表出、穏やかな過ごし方
O-Pの追加視点 創部、ドレーン、離床状況 顔貌、痛みに対する言動、随伴症状、食欲・悪心・便秘、鎮痛薬使用の効果、睡眠、家族関係やサポート体制
T-Pの特徴 早期離床に向けた疼痛対応 傾聴、タッチングやマッサージ、薬剤管理、排便コントロール、食事の工夫、気分転換、好きなことを楽しめる環境の調整、家族への声かけ
E-Pの特徴 痛みを我慢しない、離床・呼吸の必要性 痛みを我慢しないこと、薬への不安に対する正確な情報提供(薬剤師と連携)

がん性疼痛では、痛みが出る前に薬を使って苦痛を最小限にする考え方が紹介されています。そのため、「痛くなったら言ってください」だけでなく、早めの相談を促します。

鎮痛薬の一種であるオピオイドを使うと、腸の動きが低下して便秘になりやすいとされています。あらかじめ予測できる苦痛は、早めに対応し、排便コントロールも計画に入れます。

薬に対して「依存するのでは」「意識がなくなるのでは」といったイメージを持つ患者さんもいます。不安を否定せず、正確な情報を丁寧に伝え、必要に応じて薬剤師とも連携します。

傾聴では、無理に話をさせたり、自分の意見を一方的に伝えたりせず、あくまで「聴く」ことが大切です。話すだけで気持ちが楽になる患者さんもいます。

食欲の低下ややせは、患者さんにとって不安につながりやすい症状です。好みに合わせた食事を、少量でも満足感が得られるよう工夫します。

家族もまた、苦しむ姿を見守る中で、緊張やいら立ち、後悔といった気持ちを抱きやすい存在です。家族への声かけや配慮も、計画に含めましょう。

実習で書くときのチェックリストとよくある失敗

最後に、書き終えた計画を見直すためのチェックリストを紹介します。提出前に、一つずつ確認してみてください。

  • 看護問題が「〜に関連した急性疼痛」の形で、原因が書かれている
  • S情報とO情報が分けて整理されている
  • アセスメントに、状態・問題・リスク・必要な看護が入っている
  • 目標の主語が患者さんで、評価できる形になっている
  • 短期目標と長期目標の違いが明確である
  • O-Pに、痛み・客観的変化・原因部位・生活への影響が含まれている
  • T-Pに、薬物と非薬物の両方がある
  • E-Pに、「痛みを我慢しない」ことが含まれている
  • 評価スケールを何にするか、いつ聞くかが決まっている

実習生に多い失敗と、避け方も整理しておきます。

よくある失敗 避けるための工夫
目標が「痛みがなくなる」だけになる 睡眠、安静時、体動時など、段階的な生活の変化で示す
観察項目を並べただけで、理由がない 各項目に「何を判断するための観察か」を添える
T-Pが「鎮痛薬を使う」だけになる 評価、副作用の観察、体位、環境調整、声かけまで広げる
E-Pが一般論で終わる その患者さんの手術や状態に合わせて、具体的な動作や場面を書く
NRSの数値だけで判断する 表情、バイタルサイン、動作、睡眠と合わせてアセスメントする
実習生の判断で薬を勧める 必ず指導者や医師に報告・相談し、指示のもとで行う

計画は、書いて終わりではなく、実施して評価し、必要なら修正して育てていくものです。評価の結果を次の計画に反映させる流れを意識しましょう。

ここで示した例は、あくまで書き方の参考です。患者さんの痛みの感じ方や背景は一人ひとり違います。目の前の患者さんの言葉と様子を大切にして、その人に合った計画に整えてください。

POINT 急性疼痛の計画は「評価→援助→再評価」を繰り返し、患者さんの生活がどう変わったかで確かめます。